Fingering
  

                      
拡幅フィンガリング
親指フィンガリング・セーハ
特異フィンガリング・小指フィンガリング
コードポジション

 ↑メニューのリンク先へ飛ぶ前にまずはお手軽なテクで十分弾きこなせる練習曲として、Minstrel Hallのメインフレーズを分析したので見てもらいたい。(押さえる指を表記した色分けについては、黒→赤→青の順に音符を進めてください。黒が複数ある表記なら同時に鳴らすということです。)

           


 
6フレまで移動した小指F音(左側2番目の画像、以下左−2と表記する。)の次の5フレE音(左−3)について、薬指で弾きたくなるけど、そのまま小指を半フレット戻して対応している。右−1のC省略コードはルートを親指で、5度・8度は薬指でセーハ。次のB♭コード(右−2)は2音のみで、長3度をベース音にするところがミソ。


 
 左-1のGmに進行させるに当たって、直前の3弦2フレA音に人差指を使用していたことから思わず3弦3フレは中指で押さえたくなるのをグッっと我慢し、人差指を持って行こう。更にここで安心せず気合を入れて次のA音(左-2)にも人差指を戻して使用する。フレーズ最後の3・4弦下降ライン中にも独特な指使いが組み込まれている。右-2については、大半のギタリストは薬→中、あるいは中→人と弾いてしまうのではないだろうか。まさかの薬→人には驚愕するしかない。最後の開放弦時には、指板から左手を離しピロピロとやれば完璧だ。

 更に悩ましいのは、同じフレーズでも時期などによって異なるポジションに変わってしまう場合がある。Spotlight Kid キメフレーズは80年代と90年代では一部Dコードフィンガリングポジションが異なる。この場合、繰り返し弾くキメであることを考慮して推論すると、11年ぶりの演奏であったことから、忘れていた?フレーズを再度練習する過程で80年代と相違したポジションにて解釈したと見るのが正解だろう。アドリブフレーズじゃないので二通りを弾き分けていた可能性はまずない。

  

 ちなみに巷で諸説あるChild In Timeソロエンディングのキメも1・2弦使用型説(映像に出会う機会が極小だった70年代当時、高速フレーズを3弦アルペ型で弾けるはずがない、と思っていた採譜者の思い込みによる解釈が広がったものかと・・・二通り弾いてるなどという可能性が低い俗説を主張する輩もいた。)があるが、映像を確認すると3弦アルペ型が正解である。とにかく同時期に二通りはないと主張したい。
 キメフレーズ中、遊びで別フレーズにアドリブったり、省略系・加音系で弾いたり、または派手なフィンガリングを披露したりする脱線的な展開を行うことはあっても、その場合は定番フレーズに若干でも崩れが生じる結果となるが、寸分違わぬ小脳インプット無意識定番キメフレーズを音符音色が同じまま同時期に二通り弾き分けることは、奏者の立場からすると意味が無いし心理学上からもちょっとあり得ない。空白期間を伴う時代の経過による単純な変遷であろう。

   
 
 上図による画像の他、1982年8月サンアントニオ(ポジションダウン)、1997年2月トロント(ポジションアップ)の映像も確認したが、やはり同様の結果であったことから当該考察を補強する材料として追記しておく。

 更にはなんの変哲もないBmアドリブより、その特異性について洞察してみた。You tube映(Fires After Midnight- May 21,2011-Tarrytown) にRB固定カメラの重宝ソロシーンがあったので、能力開発の一貫として自らの指癖をRB風により洗脳すべく、寸分たがわぬフィンガリング、ピッキングを網羅した完全コピーに挑戦している過程で発見!長年コピーしてきてもこの↓指使いによる神経回路は構築していなかった。というか、単なる観賞ではなく究極の完全コピー目標に気合入れて映像見てなけりゃ、見逃して気づかなかったであろう一瞬の出来事だ。Paris Moon2006のMinstrel Hallラスト独奏内でも同様の指使いが確認できるかとから間違いなく指癖だ。

         

 クラシック音楽のPeer Gyntを模したHall Of The Mountain Kingのメインリフは、正に独特の運指方法にてプレイしている。出だしの3音目から5音目までB♭−C−Dと3音連続5弦上を人差し指のみで上昇させ対応、その後人・中指のみで5弦6弦を捌いてる。このフィンガリングは映像見ない限り、耳コピでこの運指を選択することは普通ありえないだろう。2音までなら突発的に実施することもあろうが、あの素早く何度も繰り返しテンポアップしていくリフにおいて3音に渡り、人差し指を中心に据えて5フレットに及ぶ大幅な移動に至ったのは彼が初コピーしたときに決め打ちし、指癖にまでなった結果であろう。

       
  

 同曲においてもう1パターンを検証。後半転調後の2・3弦活用部は、下図のとおり3弦開放・2フレ・4フレ、そして「5フレC音」ではなく3弦4フレは小指として「2弦1フレC音」に人差し指を持って行き、そのまま人指し指を2弦3フレへ移動して続ける。やりにくい。3弦同一のまま「5フレC音」を小指とし、2弦3フレ人差し指と移ったほうがスムーズなんだが・・しょうがない!RBの運指に倣おう。(将棋の解説みたいやな)
 
 

 Hall Of The Mountain Kingよりもう一発、後半転調後にライブではお馴染みのオクターブ上でのフィンガリング。ここは、1・2弦のみ使用の拡幅ポジションで実施している。12フレの異弦同フレ部分は中・薬か薬指2弦同時セーハで一般的なプレイヤーは運指しそうだが、フレット幅が狭くとも拡幅ポジションから窮屈ポジションに切り替え、薬・小で12フレット1・2弦を同時に押さえよう。
 
 
 
 このように、お手ごろフレーズや同節異ポジションなど、どう弾いてもコピー結果は同じように聴こえるフレーズにまでブラックモア流フィンガリングの個性があるわけだが、完璧に模倣するには映像で確認できない限り、はっきりいって耳コピだけでは不可能に近い作業といえる。現況としては映像で確認できた部分から、似たパターンが出てきた場合に推察して判断するしかない。この項目では絶対外せないブラックモア流フィンガリングについて各項目ごとに検証してみた。

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