ストレッチフィンガリング
 
 フィンガリングについては基本的に、4フレットごとの区割りでポジションを認識してチェンジしていくことが多く、拡幅(ストレッチ)なフィンガリングをとることは稀にしかない。親指がネックの裏側へと回りこむこともほとんどないようで、ロックギタリストの基本的フォームを踏襲している。
 ギター奏法・ハンマリングオン、プリングオフ、トリルの項においても検証しているが、チョーキングやプリング、トリル、ヴィブラート、スラー等を実施する場合はなるべく小指を避けるようにしてフィンガリングしている。
      
 例外として中4フレットに及ぶ拡幅なポジションを下記に示してみた。この他アコギにおいても、The Stormの中盤ソロラスト部分で中4フレットのヒネリを聴くことができる。更にTearin' Out My Heartイントロアルペジオで登場する拡幅コード(根音D音に8th、9th、11thを加えたものでコードネームなんかわからん・・)は、中3フレットとはいえ比較的ローポジションのため結構苦しく、指の短いプレーヤーには試練のフィンガリングだ。ブラックモアも左手親指を曲げるほど指板にかけることができず、裏側へ異動させるスタイルに移行している。

     

     
  
       
   
 Mandrake Rootではストレッチフィンガリングにてフルピッキングプレイを披露している。同様に1弦上でWriting On The Wallでも行っている。速度はかなり遅いためオールupだ。この他有名なところでは、ロックギタリストなら誰でも1度は弾いたであろうHigway StarSpotlightkid、最近の曲ではSpanish Nightsあたりでも拡幅にポジショニングしている。
 
           

  
 
 また、インプロヴィゼーションの鬼曲Wrinng That Neckの唯一の決め事であるテーマメロディー最後の1節では、下記のストレッチポジションが確認できる。
 
     

 更にアンサンブルなしの独演状態では不安定な音階にて、指癖を優先させたフレーズに拡幅な展開が・・・・・異弦同音(2弦5F、3弦9F)連続を交えつつ人・中・小指によるプリング引っ掛け下降フレーズは、3弦4弦では5フレット(5F〜9F)幅に跨る認識にてポジショニングしている。
         
 
 1996年欧州のMistreated live soloにおいて同様のポジショニングが確認できる。併せてエコノミーアップピッキングにより、小・中・人プリングオフ中は緩慢な動きにて上弦(6弦方向)へ1ストロークのみ行う。
   

 ここまで考察してきた拡幅ポジションを自らの指クセとすべく、インプロヴィゼーションの持ち駒として頭の引き出しに入れて置いてはいた。が、1995年10月16日ドイツ公演でのTemple Of The KIngソロ中に、何の変哲もないAマイナースケールの流れに即興の拡幅フィンガリングNoteを発見してしまった。映像というお手本がなくてはとてもじゃないが、こんな即興,、指クセの引き出しには入っておらず容易に繰り出せない奇抜な運指順となっている。
 12フレットから15フレットのEフリージアン型ポジショニング位置(5弦5フレをルートとするAイオニアン型の次に繁用する第二ポジション)にも拘らず、いきなりフレーズ冒頭は1弦13フレを1音強烈チョークで開始!しかも中指の定位置を無視して薬指を宛がうという稀有な押弦(6弦10フレルート的なDドリアン的ポジションの認識でチョークしたのかな?)。チョーク後は同じ1弦13フレF音をわざわざ人差し指に変更し、次の半音下E音は1弦12フレではなく2弦17フレ小指となるミクソリディアン型(AマイナーとGミクソは同一音階。拡幅な押弦からFリディアン的な運指ともとれる。いずれにしろ、この小指位置は意識しないと無理)の離隔地へ半分突っ込む場所を選択。
 Fリディ゙アン的のまま2弦15フレを中指で鳴らした後、一個前のE音に戻るのに同じフレット位置には戻らず一気にEフリージアン型の1弦12フレへと人差し指を戻す。次音2弦のチョーク音を狙ったポジションチェンジであると推測できるのだけれど、押さえた2弦14フレはAナチュラルマイナーには含まれない長三度となるD♭音。マイナーkeyに対しメジャー音を選択しており、経過音としなければ不協音の度合いが強いため、すぐに半音チョークしてマイナースケール内のD音へ。
 単なるAマイナー6Noteフレーズにも係わらず6フレットに渡る拡幅度。即興やで・・・この動きが・・・フレット位置と番線による音程が頭に入ってないとポンとは繰り出せない。ちなみに映像みてなけりゃ、素直に下図下側の譜面のように4フレット幅で完結させられるEフリージアン型ポジション(音階はあくまでAマイナー、ルートを6弦12Fとする場合AマイナースケールはEフリージアンスケールと同一となることから、管理人は仮にこう呼んでいる。)で間違いなく耳コピしていたであろう。

 ※ 補足:Aマイナーのダイアトニック音階について管理人は個人的に、次の5つの型により視覚的にフレット位置(音程)を認識してインプロヴィゼーションしてる。
         Aナチュラルマイナー(6弦5フレからとなる真っ先に使用したくなる王道定番位置)
         Cメジャー(6弦8フレからの王道域より上がった隣接装飾位置。特に1〜3弦は必須ポジション)
         Dドリアン(6弦10フレからとなり経過的には使用するが、踏み留まってポジショニングすることはあまりなく使用頻度は少なめ)
         Eフリージアン(6弦12フレからとなる王道定番位置とは間逆の場所となる使用頻度の高い第2ポジション)
         Gミクソリディアン(6弦3フレからとなり王道定番位置より下った隣接装飾位置で開放弦混ぜの速いパッセージや5・6弦あたりは重宝する。)

 半音階の移動しか伴わないFリディアン、Bロクリアン(Cメジャーとほぼ同一ポジション)となるポジションは明確に意識しておらず、それぞれEフリジとGミクソの融合、AマイナーとCメジャーを融合させたポジション感覚でてダイアトニックスケールを認識しているのだと今回自己分析することができた。Blackmoreの胸中を知り得る由も無いが、当該フレーズを含め他にも奇抜なアドリブ運指が散見されることからして、相当フィンガボート上での音程を熟知していることが伺える。
 
 今回のコピーを通じ、リディアン型ポジション位置を自由自在に操れるよう攻略しておかないと、この拡幅ポジション゙はすんなり繰り出せないとの結論に至った次第である。Fフリジア位置完結でのコピーでもフレーズ音に相違はほぼ影響しないことだけれど、精神的に放置できない(RBは認識しているのに、自分のアドリブプレイにおいて無視はまずかろうと)といったマニアックな欲求領域での論評である。


 
  
 
 同曲の検証において脇道にそれてしまうがスルーし難くどうしても触れておきたい。この日のTemple Of The KIngソロは、全般的に速いパッセージを控え、一風変わったポジショニングによるアドリブを模索する展開となっている。弾き流す手癖全開速弾きとは異なるRB節を堪能できる。迷わずコピーしてみた。残念ながらこれからという期待値が高まるソロ半ばで弦が切れてしまい、不足感のあるバージョンとなっていることが非常に残念である。
     
 余談であった。

 
  2020年Stay Home中のBNのアコギプレイから親指の拡幅指技を! 
  Minstrels In The Hallを生演奏してくれてることにまずは色めき立つ。しかも曲中の大半はあさっての方向見ながら・・・RB指板、本当に見ない。僭越ながら即効で完コピ、練習、録画(私のテクでは指板をガン見じゃないと無理だった)。7年前にアルバムオリジナルのテイク耳コピしてYou tube(Blacomore100)の記念すべき1曲目にアップ済みのものと比較し、一部ポジションに相違が見られるものの、指使いも含めほぼ正解していたことにまずはマニアとして満足。ただし2箇所ほど想像だにしなかった拡幅ポジションを見分できたことから、論考する。

 

 まずは親指・小指拡幅ポジションから見分してみよう。
 
 弾いてみるとわかると思うが、非常に苦しい。ましてやLakewoodだ。このC#ポジションは一番フレット幅が長いローポジションとなることから、普通長3度音としてこのポジションのまま親指ベース音を入れ込もうなどと考えもしない。アルバム原曲では逆に高音域の長3度にて演奏しており、管理人にとっては論外、想定外(昨今、社会的には許されない言葉になりつつありますが・・・)のポジションだった。実際練習を通して大分弾けるようになりはしたが、まだまだ高確率で失敗する。2019年Long Long TimeのLive映像において、5フレ位置での当該ポジショニングを初めて認識(このポジション事態に当時は驚愕したんだけどね・・)してはいたけれど、RBはどこ吹く風、何が問題なの?・・・1フレ位置も当然視しているようだ・・・こちとらやるぞ!っと気合入れないと無理。
 
 もうひとつは、中間部に登場する親指・薬指拡幅ポジションだ。
 
 Dマイナー音階の王道ルートポジションにて、根音4弦12Fルート音を薬指で鳴らしつつ、ベース音親指をまたも気合入れて(RBはさくっと押さえてます・・・)中3フレット下の6弦8フレC音に。さっきのローポジションより弾きにくさは若干マシだが、それでも親指をストレッチさせる苦痛を味あうことに変わりない。
 
 さて、ここでRB先生へ懺悔しなければならない。このフレーズは続いて親指を押さえたまま2弦10フレA音を人差指としており、またも変則的に親指・人差指と位置取りしている。この部分について、7年前のアルバムオリジナルを耳コピ時、管理人はRBがミスしたのをそのままOKテイクにし発売してしまっていると、今日まで勝手に信じ込んでいた。You tube(Blacomore100)の記念すべき1曲目アップ映像に証拠として残っている。
 管理人は親指・薬指の拡幅ポジションも親指・人指の変則ポジションにも気がつくことなく、親指6弦8フレと同時に2弦8フレ人差指を鳴らし損←(この音を鳴らそうとしてRBは押さえたものの、ピッキングをミスったと本気で思ってた・・・)、2弦10フレA音は薬指と解釈(下の上段図参照)して、存在しない当該A音をわざわざ挿入してコピーしていたのだ。何のことはない。ミスではなく想像を絶する凄まじいポジションを駆使しつつ、RBは意図する通り淡々と弾き去っていたのである。凡人には思いもつかぬポジションで・・・・ミスでも何でもない。正しくはこうあるべきものだったとする自分のコピー映像が傲慢で恥ずかしい・・・・・
 どうゆこと??(判ります????)
 こうゆこと。
 

 
 2020年Stay Home中の自宅liveよりもう一発!(曲名・・わからん・・約60分のlive映像ラスト前曲Minstrels In The Hallの更に2曲前の曲・・・聴いたことあるんやけどコピーしてアップしようにも曲名不明・・・・)ここまで来るともう笑うしかない。(RBがやっとるんならオレもやらな、できな、ってだけや。)
 実際RBも苦しいのだろう。左肩を上げてまで親指を伸ばしてギリ押さえるものの当該Am7コード4拍中、2拍だけ親指G音を入れ、残り2拍は親指解除。6弦は鳴らしてない、というか全般に衝撃音(ミュート)状態となっている。E音のみクリアによく聞こえる。1弦開放音(2弦5F音かも)が鳴ってしまったという感じ・・・