先手後手の持駒も含めて使用駒10枚のシンプルな初形。
ここからどんな趣向が展開されるのでしょうか。
4筋、7筋に詰方駒による壁ができているので、玉が動けるのは5筋6筋だけ。
初手は61龍を狙って63銀と捨てるしかなさそうです。
同玉と取れば61龍、62銀合で、また64銀と送りの手筋で追えますが、63銀に53玉とかわされたら? 51龍とすれば受方は持駒なしですから、結局63玉と銀を取るしかなく(64玉は54龍まで)、
すぐ63同玉と取った場合より2手長いので、こちらが正解です。
63銀、53玉、51龍、63玉、61龍、62銀合、
61龍に53玉と逃げるのは64銀、54玉、63龍、65玉、75銀以下。
54玉も65銀と打てば同様なので、結局62銀合の一手で、6手サイクルで61銀62玉の形が62銀63玉と一段ずれました。
続けて行けるところまで楽しみましょう。
64銀、54玉、52龍、64玉、62龍、63銀合、
65銀、55玉、53龍、65玉、63龍、64銀合、
66銀、56玉、54龍、66玉、64龍、65銀合、
67銀、57玉、55龍、67玉、65龍、66銀合、
68銀、58玉、56龍、68玉、66龍、67銀合、
69銀、59玉、57龍、69玉、67龍、68銀合、
一つの筋だけならば単なる送りの手筋ですが、もう一筋空けることで銀合入りの龍ノコ追いというおもしろい趣向になりました。
以下は4筋の壁を壊して、龍追いで収束します。
58銀、59玉、48銀、同玉、
47龍、39玉、49龍、28玉、29龍、17玉、27龍 まで53手
作者 「新型の龍ノコ追いのつもりです。」
通常の龍ノコ(龍ノコ引き)では、龍だけが近づいたり遠ざかったりして、玉は同じところを繰り返し動いています。
それに対して、玉も龍と一緒に動いていく趣向を龍ノコ追いと呼びます。
名前が紛らわしいですが、ノコ引き趣向ではなく、移動趣向の一種です。
もっともシンプルな龍ノコ追いは「龍-玉-龍-玉」のパターン。
通常は玉を動かす捨て駒が入る「龍-玉-龍-玉-*-同玉」のパターンが多いようです。
次の作は横の龍ノコ引きと縦の龍ノコ追いを両方いれた作品。
合駒が入るものとしては、龍の軌跡がちょっと変わっていますが次の作品があります。
「龍-歩合-龍-玉」のパターン。
本作は「銀打-玉-龍-玉(銀取)-龍(銀取)-銀合」という新しいパターンの銀捨て銀合入りの龍ノコ追い。
このユニークな趣向を、使用駒わずか10枚で盤の端から端まで最大限7回も繰り返すとは、流石吉田さんですね。
龍ノコ追いはまだいろいろおもしろい作品が作れそうです。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 6手一組で、玉・龍・銀が優雅な動きを見せる作品。
- 占魚亭さん:
- 一間竜の形を活用した銀打〜銀合のサイクルが面白かったです。
- S.Kimuraさん:
- 受方が持駒ないと,協力詰みたいな動きができるのですね.
- 蛇塚の坂本さん:
- 地味にマメ玉を追い詰める銀と龍がカッコいい。
- 長谷繁蔵さん:
- 89は金だよとヒントに欲しい所。収束は期待通りでした。
- 小山邦明さん:
- 銀打、銀取を繰り返す趣向も、玉が盤端まできて残念ながら終了。
- ハマGさん:
- ノコノコ69まで進んでからが意外と長い
- ぬさん:
- 龍と銀と壁駒だけでよくこんな手順が成立するもの。
- Pathfinderさん:
- 銀合銀捨の入る龍鋸に驚き。銀の懐が安全地帯でした。
- 池田俊哉さん:
- 銀龍鋸とでも言おうか、最上段から最下段まで徹底させたのが素晴らしい
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