棋譜ファイル(柿木将棋kif形式）

出題時のコメント：

受方は持駒なし　３０手台

くるくる展示室Ｎｏ．１はおかもとさんの「おもちゃ箱」、２００３年１１月の出題でした。 それから約１２年、出題作品数は３００作に到達。 おもちゃ箱の数ある展示室の中でもダントツで、やさしい趣向詰が作者、解答者共に人気があることを示しています。 まだまだくるくるワールドは広がっていくと思いますので、これからもよろしくお願いします。

３００作目の出題は、最近パズル展示室や記録展示室で活躍の金少桂さんの作品。 さっぱりした初形、受方持駒なしで合駒の心配も不要で、思わず手を出したくなりますね。

飛は縦横どちらに動いても取られる形なので、龍を活用するしかないところです。 ９９龍と引いてみると、７８玉なら６９銀までなので６８玉の一手。 ８８龍、６９玉となれば、初形から龍と玉が一つ右にずれた形で、同じように追っていけそうです。 そう、これは龍ノコ追いですね。 ８８龍には５９玉と逃げることもできますが、すぐ７９龍で１サイクル短縮できて早く詰みます。

　　９９龍、６８玉、８８龍、６９玉、
　　８９龍、５８玉、７８龍、５９玉、
　　７９龍、４８玉、６８龍、４９玉、
　　６９龍、３８玉、５８龍、３９玉、
　　５９龍、２８玉、４８龍、２９玉、

気持ちよく右に寄せてきましたが、１７の歩が浮いているので、ここが考えどころ（４８龍に１７玉は２６銀、１６玉、１８龍まで）。 ４９龍とこれまでと同じように追うと、２８玉、１９銀、１７玉と抜けられます。 結局２８玉には４８龍とするしかなく、これは千日手で失敗。

３８銀が好手で、１８玉や２８玉は３７銀があるので１９玉と逃げるしかなく、３９龍以下捕まります。 収束で舞台装置の飛が働いて消えるのが気持ちの良い手。

　　３８銀、１９玉、３９龍、１８玉、２９龍、１７玉、２６歩、１６玉、
　　１７飛、同玉、２７龍　まで３１手

作者 「手持ちの未完の超長編の素材から作りました。レールなしの龍の鋸引き追いです。
往復させることもできるのですが駒数が増えるのでくるくる向けにすっきり片道でまとめました。
収束飛１枚消せたので割と気に入っています。」

持駒に銀があるだけで玉の逃げ方が限定され、龍ノコ追いが成立する、このシンプルさがいいですね。 趣向自体は宮島信昭さん（詰パラ１９７７年２月７９手）にありますが、全駒使用の大作で、本作は受方持駒なしにすることで、くるくるで楽しめる作品となりました。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん：

稲妻を描きながら、玉が横に逃げるさまが愉快。

金少桂さん（作者）：

まずは拙作の採用、それも300番で採用していただき、ありがとうございます。
私は記録展投稿がメインでくる展は気が向いたときにたまに投稿する程度なのに、それでまさかのキリ番300番をゲットしてしまって、他のくる展ガチ勢の方々には申し訳なくもありますが、あしからず。
本作は片道ですが、この趣向を使って６往復300手超に仕上げて、こちらは詰パラに投稿して現在採用or返送待ちです。

３００手超えとはすごい。 返送されたときは研究展示室にどうぞ。

蛇塚の坂本さん：

玉をジグザグに追っかけ最後に９七飛が活躍スッキリ！

長谷繁蔵さん：

面白い竜鋸でした。

ぬさん：

合駒なし特有の龍のにじり寄り。

小山邦明さん：

収束のまとめ方が、飛捨ても入って上手いですね。

隅の老人Ｂさん：

王と竜での鬼ごっこ、合駒が出来ないのが口惜しいな。

キリギリスさん：

27竜の空間を作る26歩が斬新でした。

S.Kimuraさん：

龍だけで玉を1筋まで押し出してしまうとは，思いませんでした．玉方の持ち駒がないと，意外なことが起きますね．

攻めダルマンさん：

妙な追いかけっこ。

占魚亭さん：

竜の動きがいいですね。

池田俊哉さん：

21手目49龍として18玉から31手詰として危うく済ましてしまうところ。
38銀が打ちづらく、飛一枚消えるところも良い

馬屋原剛さん：

玉も龍も軌跡が限定されているのがよい。

Pathfinderさん：

龍追いが楽しい。収束の飛車捨ても爽快です。

やぶいりさん：

ノコの後、38銀がちょっと意外な手

くるくる展示室Ｎｏ．３００　解答：１５名　全員正解

　　池田俊哉さん　　馬屋原剛さん　　S.Kimuraさん　　キリギリスさん　　金少桂さん
　　小山邦明さん　　隅の老人Ｂさん　　攻めダルマンさん　　占魚亭さん　　ぬさん
　　Pathfinderさん　　長谷繁蔵さん　　蛇塚の坂本さん　　やぶいりさん　　山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。