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詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート
ドキドキ展示室 No.54 野中謙一さん
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:

合駒に注意 40手台


ドキドキ展示室No.54 野中謙一

意欲的に香歩問題や金問題の改作に取り組む野中さん。 本作もおもしろい狙いを秘めています。

77飛に89桂のヒモがついているので、72歩の筋でも詰みそうですが、定跡の84桂合、83金合の連続中合で、追い出してもちょっと足りません。

それが確認できれば、83桂と行くしかなく、しばらくは一本道です。

  83桂不成、81玉、82歩、92玉、95(94)香、93角合
  91桂成、同玉、93香不成、92角合

なぜ角合なの? という方は大道棋詰筋辞典の香歩問題の基本の攻防をごらんください。 83桂(角角合)の詰筋の主なものは追い出し型、押さえ込み型、質駒型の3タイプ。 本作の7筋に飛香があり61銀で受けている形の詰め筋は7筋香型(1)61銀で解説されています。

77飛があるので84に追い出す追い出し型で詰みそうにも見えますが、78龍が強く、もうちょっとで詰みません。 また、取れそうな質駒もないので、質駒型でもなさそう。 というわけで、本作は押さえ込み型になります。

  同香成、同玉、65角74歩合、同角、91玉、81歩成、同玉、

65角は、91玉なら81歩成〜72角〜61角成〜43角成を狙った限定打。 これに対して飛筋を遮る74歩中合も定番の受け。 81同玉のあとは、63角成、72角、92角と詰め筋は3つ。 63角成は72歩合、72角は同銀で続かず、92角の筋で攻めます。

  92角、91玉、82金、同玉、83角引成、71玉、

92角に71玉は、53が塞がっているので、72でばらして83角引成で簡単。 この辺までの詰め筋は前例がある(奇策縦横304図)ので、詳しい方はすらすら進められたかもしれません。

奇策縦横304図では、このあと63角成、76銀成、61馬、82玉、72馬上として簡単。 本作では、63角成、77龍と進めると龍が72に利いてくるので72馬とは入れません。

「あ、でも72馬とできなくても83銀と打てば詰むんじゃない。 えーと、83銀、93玉、94銀成、92玉、83成銀、91玉に64馬とすれば、73歩合は92歩から72馬だから73飛合かな。 でも切って簡単だよね。」

実は、この手順が本作の狙いとするワナ。 63角成に73銀合という受けの妙手があるのです。 61馬なら同玉と取って73銀が62に利いているので逃れ。 かといって、73飛成、同龍としても龍が利いてくるのでやはり詰みません。

正解は、93馬、82歩合、同馬、同玉と1歩稼いでから73馬と取る手。 この歩、最長手順の作意では余るのですが、すぐに82馬、同玉、73馬といくと、92玉で1歩足りなくなります。

  63角成、73銀合93馬、82歩合、同馬、同玉、73馬、81玉、
  72銀、同銀、同馬、91玉、92歩、同玉、83銀、93玉、
  94銀、92玉、83成銀、91玉、82成銀(馬) まで45手

香歩問題の奥の方に受けの妙手を入れたおもしろい問題でした。

初形で53歩と89桂が目障りで、集客度は60とぎりぎりの線。 本作、最初に投稿された図(右図)は4×8に収まって集客度も78と高い図でした。 実戦で出題するなら、こちらの方が価値が高そうです。

手順はいったん63角成から74馬としてから92角と打つ手順。 ところがこの図は63馬に対して73銀合は43手、77龍は45手と作意の73銀合でなく77龍の方が正解になってしまうのです。

実戦なら応手を大道棋屋さんが選べるので問題ないとはいえ、展示室で出題すると73銀合を見落としても正解になるのはうまくないので修正していただきました。 ちょっと形が悪くなってしまったのは残念。

それではみなさんの感想を。解答到着順です。

山下誠さん:
7三銀合が意外に抵抗力のある中合。龍の存在を忘れると痛い目に遭いますね。

73馬に92玉と逃げて75馬までの41手解。 駒余りにならない方を選んだのだと思いますが、大道棋の場合は駒が余っても最長に応じてください。 詰めていると判断できるので解答は正解扱いです。

鳥本敦史さん:
うーん、あまり新鮮味がないかなぁという印象 すみません。
鈴木彊さん:
序で2枚の角を入手、馬で攻め入る順は見事。
波多野賢太郎さん:
難しくて非常に面白かったです。これで正解かはちょっと自信がありません。 序盤は7二歩から香打に、桂合、金合の手順ばかり考えてどうしても詰まず悩みました。 ようやく桂不成から9筋に香を打ってからも、連続角合、歩中合、銀合まで出てきて、攻防がとても見応えがある作品でした。
小山邦明さん:
合駒がたくさん出てきて悩ましい。香歩問題は奥が深いと感じました。
金少桂さん:
7筋の飛龍の配置が工夫点ですね。
14手目74歩捨合は予想の範疇だったけど、26手目の73銀合にはびっくりしました。
27手目手拍子で82馬と突っ込んで1歩足りずかなり長いこと唸る破目になりました。
S.Kimuraさん:
桂馬が95にあったので,83桂不成から入りましたが,13手目で74角として,行き詰ってしまいました.
でも,ここで稼いだ歩は,作意では残ってしまうので,全体を理解するのが難しかったです.
隅の老人Bさん:
12手目までは、たぶん、こう。ここから先はお家で研究。
さんざん捻り回して73銀合を発見。こんな難手は、大道ではとてもムリ。
池田俊哉さん:
角連合系の香歩問題で、65角から74歩中合を取るのも良くある形。
その後73銀中合の延命やいったん93馬と82歩を強要しないと詰まないあたり芸が細かい。 歩余らずの41手でも良かったかも
占魚亭さん:
不動の飛車が後方支援。銀合が上手い手でした。

ドキドキ展示室No.54 解答:11名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  キリギリスさん  金少桂さん  小山邦明さん
  鈴木彊さん  隅の老人Bさん  占魚亭さん  鳥本敦史さん  波多野賢太郎さん
  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。