■笑顔
「あなたを救う彼女の力は何?」 という三樹子の問いかけに、直江は「彼女の春みたいな笑顔だ」と答えた。そのときの彼の表情はどんなだっただろうか。微笑みながら答えたのだろうか。それとも、三樹子を気遣って、申し分けなさそうな顔をしていたのだろうか。
とても澄んだきれいな瞳。まっすぐに自分に向かってくる。そして、その笑顔は何の曇りもなく、春のように自分を温めてくれる。
彼女の笑顔があったからこそ、僕の人生の最期は輝いたんだ。
君がいたからこそ,僕はわがままを通して死ぬことができる。
君がいたから,死ぬ勇気が持てるんだ。
僕は孤独と絶望の果てに死ぬんじゃない。
君と過ごした日々があるからこそ,今,堂々と死を選べる。
君に出会うことができた人生を,本当に心からよかったと思っている。
後悔はしていない。
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