■強さ
倫子の母親は彼女のことを「がんばりや」という。今までもいろいろなことを持ち前の頑張りで乗り越えてきたのだろう。
彼女と接するうちに、倫子の強さは直江自身もよく分かっていた。「へこたれない」といったほうがいいかもしれない。仕事でくじけそうなことがあっても、気を取り直してがんばる。患者から何をいわれようとくじけない。
そして、直江に対しても。彼はこんな自分に告白する彼女が信じられなかっただろう。どう考えても彼女が自分を好きになることなど想像もしていなかっただろうから。
さらに直江が拒絶しても、彼女はくじけない。直江を気遣って、「私は大丈夫です」と言う。この強さは尊敬に値すると思う。
現状を受け入れる強さと、困難に打ち勝つ強さ。

直江の死を乗り越えられる強さ。これを感じられたから直江は倫子を愛せた。
「彼女なら分かってくれます。そういう人だから僕は彼女を愛することができた。」