都市領域画定(mdbUA)の方法 |
日本では,現在,国土を碁盤目状の小地域に区分して,国勢調査結果などの統計データをこれに対応させた「地域メッシュ統計」の整備が進められている(詳しくは,総務省統計局を参照).
地域メッシュの区分には,第1次地域区画,第2次地域区画,第3次地域区画,2分の1地域区画,4分の1地域区画という5つの区分があり,このうち第3次地域区画が基準地域メッシュといわれ,約1q四方の区画からなる.
区画の種類 | 区分方法 | 緯度の間隔 | 経度の 間隔 |
一辺の長さ | 地図との関係 |
---|---|---|---|---|---|
第1次地域区画 | 全国の地域を偶数緯度及びその間隔(120分)を3等分した緯度における緯線並びに1度ごとの経線とによって分割してできる区域 | 40分 | 1度 | 約80km | 20万分の1地勢図の1図葉の区画 |
第2次地域区画 (統合地域メッシュ) |
第1次地域区画を緯線方向及び経線方向に8等分してできる区域 | 5分 | 7分 30秒 |
約10km | 2万5千分の1地勢図の1図葉の区画 |
基準地域メッシュ (第3次地域区画) |
第2次地域区画を緯線方向及び経線方向に10等分してできる区域 | 30秒 | 45秒 | 約1km | |
2分の1地域メッシュ (分割地域メッシュ) |
基準地域メッシュ(第3次地域区画)を緯線方向,経線方向に2等分してできる区域 | 15秒 | 22.5秒 | 約500m | |
4分の1地域メッシュ (分割地域メッシュ) |
2分の1地域メッシュを緯線方向,経線方向に2等分してできる区域 | 7.5秒 | 11.25秒 | 約250m |
注)総務省統計局ホームページより(http://www.stat.go.jp/data/mesh/m_tuite.htm)
ここではこの基準地域メッシュ=1qメッシュごとの国勢調査結果にもとづく人口量を基準に都市の区画設定を試みた.東京圏を例に,設定の手順について説明していこう.
6000人で区切った場合 5000人で区切った場合
人口密度5000人を基準値として採用 |
こうして基準値は5000人に設定するのが適当と判断した.次に,これにもとづくより詳細な都市地域設定の方法について説明する.
都市地域をどこで区切るか |
大都市の場合
縁辺部になると5000人以上の人口をもつメッシュの連なり方が,正方形の一辺や一点に限定される場合が増えてくる.そのため東京などの大都市地域では,鉄道の路線沿いに細長くメッシュが連なることになる.そこで,一辺ないし一点のみでつながっている場合は,そこで区切るという原則を採用することにする.すなわち,下の図に示した通りである.
5000人以上のメッシュが広く拡がっている大都市地域では,上のような原則をとることにする.具体的には,関東圏,中京圏,関西圏という三大都市圏では,このような原則で都市地域を区切ることにした.
この原則を適用して設定した東京の都市地域を示すと,以下の通りである.参考までに,鉄道路線を表示してある.
一般的な都市の場合
ところが,それ以外の都市においては,同じような原則を採用すると,ひとつの都市地域とみなすべきところがいくつかに細かく分断されてしまったり,面的に設定できない場合が出てくる.そこで,次に大都市圏以外での都市地域の設定の仕方について解説する.
例としてトヨタが立地する豊田市を見てみよう.5000人以上のメッシュを表示した地図を示すと,以下の通りである.
注)Googleマップより
以上の原則で設定し直した豊田市の都市地域は,以下の通りである.
以上,5000人以上の人口量を示すメッシュの分布にもとづき,上のような大都市地域とそれ以外の都市における区切り方の原則を採用して,都市地域を設定することとした.
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