2006年6月 文部科学省 調査結果公表 |
公立小中学校 130,976棟 |
2006年6月文部科学省は、2006年4月に行った5回目の全国の公立小中学校施設の「耐震改修状況調査」の集計結果を公表しました。 |
文部科学省「平成18年4月・耐震改修状況調査」より |
実施計画求めた成果現れる 耐震診断は大きく前進 |
1995年1月の阪神・淡路大震災を受けて同年6月、政府は公共建物の耐震診断を急ぐ必要性を認め、「地震防災事業五箇年計画」を策定してそれまで特定地域に対して行っていた耐震工事事業への補助を全国対象に広げ、かつ耐震診断と耐力度調査の費用に対しても国庫補助を行うこととしました。 上の耐震診断実施の経過を示すグラフを見れば、文部科学省の3カ年計画のその後も全国的な取り組みが行われたことが分かります。 府県別で見ると実施率10%台は沖縄県のみになり、20%台は佐賀・長崎の2県、30%台にとどまる県が青森・新潟など6県ありました。 学校施設が集中する都市部の拠点として、政令指定都市別で見れば財政力の事情もあり全体調査よりも10%程度高くなっていますが、ここでも14の政令指定都市のバラツキは大きく、北九州市の20%台、さいたま市の30%台は深刻です。 |
学校施設の耐震化の遅れは、自治体での抜本的な取り組み強化と国のさらなる財政支援が欠かせません。 しかし、「三位一体の改革」が国と地方自治体の間で取り組まれる中で、学校施設耐震化の遅れる自治体を現状の水準で放置したまま地方への不十分な財源移転が行われれば、安全な学校施設整備は深刻な打撃となる可能性があります。 |
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政令指定都市でも 耐震化は66.5% |
財政基盤の強いはずの14の政令指定都市ですら、耐震化の平均値は66.5%です。17314棟の内、耐震化工事を終えたものや耐震性が確認されたのは、5555棟となりました。都道府県同様に、先進都市と遅れる都市の差はやはり大きくなっています。 |
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注 全国の公立小・中学校の調査対象棟数は、統廃合のために減少傾向にあります。 |
新聞報道などでは、全国的データーによる記事が主になっていたために、自治体別の実態は明らかではありません。 |
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全国一の棟数がある大阪府は、この3年間に急速な対策が進み財政が厳しい中では大きな成果をあげたと言えますが、残る非耐震化の建物の数は、あまりにも大きく見えます。学校施設は、建物面積でみれば公共建物の内で半数近い比重を占め、非耐震の建物は、自治体財政の決算書には載らないマイナスの財産でもあります。
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平成18年4月現在では 吹田市は「29.8%」 |
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吹田市の学校の耐震化は、平成15年3月の市議会での答弁によると「約21%」、その後耐震補強工事が進んで、第5回調査での大阪府の平均値54.1%に対して大きく立ち後れた水準に留まっています。吹田市は、府下でも財政状態は良いとされて来ましたが、こと耐震化に限れば市民の期待を裏切る結果となっています。 |
文部科学省「平成18年4月・耐震改修状況調査」より |
耐震診断未実施棟数突出する福岡県、大阪府、 北海道 |
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耐震診断の実施率では、全国11位の大阪府は全体の棟数が東京都を上回る1位であり、56年以前に建てられた建物の比率も東京都、香川県に次ぐ高い(71.2%)ために、未実施数では、2位となっています。 |
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文部科学省「平成16年・耐震改修状況調査」より |
都道府県と市町村 バラバラな対応 |
耐震診断の実施率は、全国平均で60%超えましたが、静岡県の94.1%を先頭に、神奈川県93.0%、東京都、岐阜県、愛知県、三重県の80%台、岐阜県、千葉県、香川県、京都府が70%台となり、60%は7府県と平均値以上の都府県は16ありました。 |