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啄木文献、催事 よろず案内
最近の啄木文献情報
(2017年9月2日 現在)
2017年 啄木祭〈盛岡市・渋民で〉
啄木の詩歌から生涯をたどる研究書
中村稔著『石川啄木』(青土社/2017年5月1日発行/528頁/2800円+税)
著者渾身の研究書!
田口道昭著『石川啄木論攷 青年・国家・自然主義』
(和泉書院/2017年1月15日発行/7000円+税)

啄木研究20年の成果を問う、大著ついに完成!
大室精一著『「一握の砂」「悲しき玩具」―編集による表現―』
(おうふう/2016年12月1日発行)
前代未踏の分野に挑んだ学者の研究成果はスリリングな味を持って読者に迫ります。

【私の読書メモ】※以下は私のフェスブックに載せたものですが、多くの方から「いいね!」のサインや
書き込みを頂きました。そちらもフェスブックをなさっておられる方は合わせてご覧ください。
フェスブックではMsaru Satoで検索して頂ければ私の頁にたどり着くと思います。なお、公開記事以外の
ものをご覧いただく場合にはフェスブックの規定に則りまして、お手数でも「友達リクエスト」送って下さい。
大室先生の大著は、まだ途中までの読書ですが、紹介せずにはおられない内容の面白きて?つい、・・・。

大室精一著『「一握の砂」「悲しき玩具」―編集による表現―』
《私の読書メモ》
12月1日発行された大室精一著『「一握の砂」「悲しき玩具」―構成による表現―』(おうふう)は、著者が約20年の
年月を経て「啄木歌集」の「編集」についての研究成果であり、管見だが俗に「石川啄木の研究書は山ほどある」と
言われる中でも燦然と輝く書は少ない。それが本書は、これまでの全ての研究書を凌ぐとも劣らない書であることは
間違いないと、私は紹介したい。

まだ、読破の途中だが、この感動を少しでも早く伝えたくて堪らない私の気持ちを察して頂ければ嬉しいです。


(ここから下が私のオススメ読書メモです)
本書は大室氏の、飽くなき二冊の啄木歌集への執念にも似た深い探究心から生み出された研究書であり、著者の
探究心はブレルことのない筋金入りであったからこそ「啄木歌集の謎」が突き止められたのであろう。
かつて、これほど熱い心で書き上げられた「啄木歌集」の研究論があっただろうか。管見だが私の脳裏に浮かぶ論稿で
指摘する論は無い。
先ずは本書の魅力を知るために直接読んで頂くのが何より一番であるが、そのためには、著者の論敵?でもあった、
近藤典彦氏の編著である『一握の砂』(朝日文庫)を手元に置いて読むことをおすすめしたい。本書を面白く、しかも、
理解しやすく読むには近藤氏の『一握の砂』ほど最適な参考書は無いと私は思う。
 さて、それでは本書のどこが、なぜ面白いのかを私の言葉で少しだけ紹介してみる。
先ず、啄木の二冊の歌集(『一握の砂』と『悲しき玩具』)は、啄木がそれまでに作りためた歌を単純に配列を変えて
編んだものでは無く、啄木が読者に語りたいこと、あるいは伝えたいことを織り込むことで、あらゆる手法を駆使しており、
それを物語的に編んだものなのである。そのために新しく歌を作ったり、既発表の歌を作り変えたりしているのであるという。
その手法のひとつが〈つなぎ歌〉という著者による新しい造語によって語られることが本書の最初の刺激的な魅力だが、
それは歴史に残る大作家が書いた推理小説よりも面白くて感動的である。

(※私が読んだのは分は半分にも満たない 2016年12月5日)

松田十刻さんの本が、補訂版として重版されました!

私の読書メモから〉
著者の「あとがき」に、この再販は、石川啄木記念館長の森義真氏が校閲した
と記されております。が、私は初版の時も、よくぞ此処まで石川啄木の生涯を
コンパクトにまとめ上げたものだと感心したものでした。おすすめの一冊です。



石川啄木記念館の企画展が
NHK盛岡局でニュースに

啄木に関するテレビ放映情報
※情報不足でお知らせできませんでしたが
去る、2016年10月29日に 岩手県内にて
IBC岩手放送より放映されました啄木登場の
「啄木と女たち」(55分)は好評であったため
下記の日時に同局より再放送が決定した!
再放送日時:2016年12月21日(水)
     午後1時55分より
※番組のナビゲーターは啄木ソムリエの山本玲子さんです
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
※ BS朝日では去る8月2日に放映した、
啄木を取り上げた番組の再放送も!

※このニュース情報源は石川啄木記念館(2016年10月4日現在)です。
 詳しくは「石川啄木記念館」のHP、又はお電話でお問い合わせを。
IBCテレビ番組のお知らせ(啄木関係) 
※編注:IBCテレビは岩手県内を中心に放映されているテレビ局です。

10月に下記の3件が放映予定となっております。ご覧いただければありがたく存じます。

1.「じゃじゃじゃTV」内
「岩手ご当地キャラ図鑑 第6回たま姫ちゃん」

  10月8日(土)9:25〜11:30 の中(10:00ごろ)で、スタジオでのトークも含めて10分ぐらい
※ 旧渋民尋常高等小学校内で、たま姫ちゃんとレポーターとお話ししたり簡単なクイズのやりとりをします。
(森館長も出演します)

2.「ぶっくまーく岩手」
 <岩手の博物館・記念館>「石川啄木記念館」

  10月21日(金)10:55〜11:00 約3分
※ 資料として「福田幾一郎宛金子借用證書」と「金田一京助宛絵はがき」について紹介します。
(森館長も出演します)

3.啄木生誕130年記念
「啄木と女たち〜26年の人生 彼は自由を求め続けた〜」

  10月29日(土)16:00〜16:56 約50分番組
※ ラジオの「石川啄木うたごよみ」(山本玲子、松原友希)のテレビ版仕立て。
記念館の展示室や旧渋民尋常高等小学校などで録画したものです)

※【再放送の番組】
 BS朝日で8月2日に放送した
<新にほん風景遺産「盛岡・函館 北のハイカラ街めぐり」>が
再放送されるとのことです。 前回見逃した方は、どうぞ!
  10月18日(火)21:00〜21:55   BS朝日(森館長も出演)
石川啄木記念館 第6回企画展
「啄木と北海道〜新運命を開拓せん〜」
期間:2016年9月27日〜2017年1月9日
相模原市「相模女子大(グリーンホール)で啄木短歌 歌曲のコンサート&講演会」
10月8日(土)午後2時 開演
入場料:1000円 (全席自由)
詳細は SMS 090 4709 5585 (山田さんへ)
又は下記の毎日新聞(神奈川版)記事をご覧下さい


「湘南啄木文庫収集目録」第28号が完成しました。A4判 30頁 
※2015年度中に収集できた石川啄木に関する文献の総目録

残暑と言うには厳しすぎる暑さの中ですが、何時も湘南啄木文庫のホームページをご訪問いただきまして有難うございます。

 今回 発行した目録は例年1月に発行しておりましたが諸事情にて8ケ月ほど遅れましたが8月31日を発行日として、本日、
 出来上がりました。ご希望の方には頒価 800円(送料共)にてお分けいたしておりますので、ホームページ扉のアドレス
 より、メールにてお申し込み下さい。なお、メールに目録28号を希望の旨と住所、氏名、電話番号をお忘れ無く記してください。


 
  また、この秋に、15年前に発行致しました 拙著『石川啄木文献書誌集大成』(武蔵野書房)の続篇として、
 『補輯・石川啄木文献書誌集大成』が桜出版より「石川啄木生誕130年記念」として発行されることになりました。
 この出版にあたりまして、私が作成した検索などに便利なCD−Rを予約者にのみ、特典としてお付け致します。
 詳しくは下記のチラシにも載せて有りますが、特典は「桜出版」に直接申し込まれた方に限らせていただきます。
 
―――――――――――――――――――――
 ※『補輯・石川啄木文献書誌集大成』の予約は下記の桜出版までお願い致します。
 桜出版
 〒028-3312 岩手県紫波郡紫波町犬吠森字境122番地
 電話:019−613−2349 
 FAX:019−613−2369
 E‐Mail:sakuraco@leaf.ocn.ne.jp

 補輯・石川啄木文献書誌集大成』は、今秋の発行に向けて特典付予約を受けてけ中です!
 佐藤勝著『石川啄木文献書誌集大成』(武蔵野書房)の続篇として、
 『補輯・石川啄木文献書誌集大成』が桜出版より「石川啄木生誕130年記念」として発行されることになりました。
 この出版にあたりまして、私が作成した検索などに便利なCD−Rを予約者にのみ、特典としてお付け致します。
 詳しくは下記のチラシにも載せて有りますが、特典は「桜出版」に直接申し込まれた方に限らせていただきます。
 
―――――――――――――――――――――
 ※『補輯・石川啄木文献書誌集大成』の予約は下記の桜出版までお願い致します。
 桜出版
 〒028-3312 岩手県紫波郡紫波町犬吠森字境122番地
 電話:019−613−2349 
 FAX:019−613−2369
 E‐Mail:sakuraco@leaf.ocn.ne.jp
予告
NHK総合テレビ「歴史秘話ヒストリア」〜石川啄木と妻・節子〜
2016年9月16日(金)夜8時から放映される予定です!


「歴史秘話ヒストリア」に石川啄木が登場します!
NHK総合テレビ番組の予告に出ておりますが
放映は 2016年9月16日(金) 午後8時〜9時
番組のタイトルは
「妻よ、私がバカだった 〜石川啄木と妻・節子〜」
再現ドラマにおける俳優さんは
啄木:溝端淳平/節子:川島海荷
再放送は翌週の金曜日(9月23日午後4時5分?)


2016年2月に放映を予定されていた「石川啄木」は事情(NHK談)があって大幅に
放映の予定が遅れましたが、関係者の話しによりますと、上記の日時には確実?に
放映されるということですので、啄木の愛好者はもちろん、歴史大好きさんも、ぜひ!
新生 石川啄木記念館の素晴らしい企画展を見てきました!
※夏早々に日頃は神奈川と東京に離れ住む孫(中学1年)と二人で
4泊5日(7月24日から28日)の東北への楽しい旅をして参りました。

東京浅草に一泊。翌朝、上野駅発「特急ひたち」で福島県いわき市へ
26日は各停の磐越東線で「いわき駅」から「郡山駅」に出て東北新幹線。
(原発事故後は仙台駅に行く常磐線が不通のままだ)盛岡市に夕方着。
27日は盛岡駅前のバス停から沼宮内行きのバスに乗って啄木記念館へ
ちょうど館長さんがおられたので緊張気味の孫も一緒にご挨拶しました。

記念館で開催中の第5回企画展「啄木の妻 節子」をじっくりと見た。
先ず、各パネルの要を得た短い解説文に感銘を受けた。執筆は館長
自ら筆をとられたと聞いて納得した。なぜなら森義真館長は、草莽の
啄木研究者として、その名を知られていたが、あのパネルの文章も、
長年、心血を注いで来た森館長の啄木研究の「結晶」の1つだと思う。
まだ、ご覧になられて無い方には、ぜひ、とお薦めしたい企画でした。
石川啄木記念館の隣にある宝徳寺の庭に立つ樹齢数百年?の
「ヒバの木」は同行の孫にも興味があったらしく見上げてました。
(下の写真)
※ 2016年9月3日(土)に、石川啄木記念館中庭にある旧渋民尋常高等小学校で
「啄木学級故郷(ふるさと)講座」が開催されます。詳しくは下記のチラシをご参照ください。
『補輯・石川啄木文献書誌集大成』の
予約受け付けを 開始いたしました!
 先の拙著『石川啄木文献書誌集大成』(武蔵野書房)を刊行してか多くのらすでに15年が経ちました。
この間に啄木文献が新しく発行されました。また、先の拙著には多くの遺漏も有った事が解りりました。
この、2点を補うために、このたび桜出版より前著の続編として、上記の本を刊行することになりました。
予約者には著者特製の正続2冊分の情報を入力したCD(コピー不可)を差し上げますので下記まで、
ご連絡ください。なお、代金は商品受け取り後に同封の振込用紙にて「桜出版」宛に送金してください。
また、予約のご連絡は「
湘南啄木文庫」へのメールでも結構です。 その場合は下のチラシの記載事項を
メールに記して、頂ければ、そのメールを「桜出版」へ転送いたしまして確認のメールを差し上げます。
最近の「啄木記事」を切り抜き紹介しました
『石川啄木』に未収録の文献21点を大阪の天野さん(91才)が
まとめられた冊子(「大阪啄木通信 36」)を紹介!

「石川啄木全集」全8巻が刊行されたのは1978年4月〜1980年3月でした。
その後、新資料(主に書簡など)が発見され。また、啄木の作品では無いという
ことが研究家の調査で判明したものなどもあって、現時点では最善の全集版を
発行している筑摩書房には、改訂版の発行を望む声が各方面から届いているが
昨今の出版事情もあって、実現せずに現在に至っている。 が、小生の旧著
『啄木の肖像』(武蔵野書房)には、その一部を写真版で紹介して有りますが、
このたび、旧知の啄木研究家の天野さんから、手元に残っていた上記の冊子を
頂いた(以前に寄贈されて湘南啄木文庫には収録されてる)ので、啄木全集の
未収録の存在は一部の人には知られているが、この未収録文献には大変貴重な
文献も多くあるので、90才を超えられた天野さんから、全集の改訂版の発行をと
思いを綴った手紙と一緒に下記の写真の冊子を頂いて、私もあらためて全集の、
未収録文献の貴重さと多くの人が容易に手にして読めることを願って紹介しました。
※上記の天野さんの作成された「大阪啄木通信 36」は国会図書館、岩手県立図書館などで閲覧可能です。
金田一京助が「方の会」の舞台に立つ
6月28日(火)〜7月3日(日)

(↓クリックで地図が出ます)
戸野廣浩司記念劇場(東京・西日暮里駅より徒歩5分)
啄木と賢治の魅力
東京 文京区で「啄木学級 文の京講座」
講師
:ロジャー・パルバース
啄木生誕130年記念
〈新生〉  石川啄木記念館 第5回企画展
啄木生誕130年記念 啄木祭 
場所:東京・エデユカス(地下鉄有楽町線「麹町駅」5番出口 徒歩2分)
国際啄木学会高知セミナー
2016 啄木祭 ※詳しくは石川啄木記念館
日本切り絵百景館」にて石川啄木生誕130年記念
石川啄木の世界〜原画50点〜を2016年4月15日より公開されます
北村克夫著『石川啄木と江差』 
 3月15日発売
  予約受付中 
啄木生誕130年記念出版
啄木と北海道江差町との関わりを初めて究明した力作
江差町出身の 西堀秋潮・藤田武治と啄木との交流。
「江差追分」に魅了された啄木。
啄木が小樽で出会った 江差町出身の「謎の女性」。
これまで知られていなかった啄木と江差町の関わりを
事実をもとに徹底追求した 啄木研究未踏の一冊。

定価  1,800円(税込)
 送料:200円(2冊以上に付き100円加算)
本書のお申し込みは下記の著者連絡先まで

申込み先
北 村 克 夫
(きたむらかつお)

〒049-0612北海道檜山郡上ノ国町字上ノ国175番地
電話&FAX:0139-55-3178  Eメールkatsuo-kamint@nexyzbb.ne.jp
郵便振替口座番号   02760−5−48773 
お申し込みの際は、氏名・住所・電話番号を明記してください。

ドナルド・キーン著『石川啄木』  角地幸男
現代歌人の先駆となった啄木の壮烈な生涯をたどる渾身の本格的評伝!
生地日戸村には一切触れず、啄木が自らの「故郷」と呼んだ渋民村。函館、小樽、釧路を
転々とした北海道での漂泊。 金田一京助とのあいだの類いまれなる友情。
そして、千年に及ぶ日本の日記文学の伝統を受け継いだ『ローマ字日記』。
膨大な資料をもとに啄木の生涯と作品を丹念に読み解く、九十三歳の著者が精魂傾けた傑作評伝。

発行:新潮社/発行日:2016年2月25日/定価:2200円+税 
現代短歌」2016年3月号 【石川啄木生誕130年 特集号】
★啄木の誕生日に記念講演★
※詳細は「石川啄木記念館へお問い合わせを!
★啄木がオペラになった★
※詳しくは下記のチラシに掲載のところへお問い合わせ下さい。

★啄木の懐かしい映画上映★
※詳細は「石川啄木記念館へお問い合わせを!
日本歌人クラブ」(三枝昂之会長)が言葉の危機を訴えるシンポジウムを企画!
※詳しくは下記の「東京新聞」(2015年12月2日付けの夕刊)記事をご覧ください。

2016年の啄木カレンダー

2016年の「啄木カレンダー」が出来ました、と言っても販売されは無いようですが、千葉、宮城、岩手の各県内にある
そろばん教室「つじわけそろばん」が作成した1枚大判カレンダーで、各月ごとに啄木の歌が記されております。   
このカレンダーに付いているA4判解説も味があります。歌の解説を書いたのは石川啄木記念館の森義真館長です。
啄木便箋」と「啄木一筆箋」が発売されました!
40年ほど前に私は石川啄木記念館前のおみやげ店(その後に店は閉鎖された)で、「啄木便箋」を数冊買ったことがある。
その後、何度か記念館を訪れたが、記念館の売店をはじめ、盛岡市内のお土産店で「啄木便箋」を見かけたことは無い。

それが、このたび、盛岡市在住の友人から下記の「啄木便箋」と「啄木一筆箋」を送って頂きました。嬉しい限りです。    
この便箋と一筆箋は石川啄木記念館の売店にて「便箋」が360円、「一筆箋」が300円(税込)で販売されているとう事です。

詳しくいことは「石川啄木記念館」(電話:019−683−2315)まで問い合わせ下さい。

日本切り絵百景館」で 来年(平成28年)の4月に
啄木生誕130年を記念して、特別企画展を開催

特別企画展「石川啄木の世界」(16年4月15日から6月30日まで開催)

※詳しくは下記の写真版「案内パンフレット」と「切り絵のしおり」11号をご覧ください。
近藤典彦氏の異色の啄木小説論?を収録
 上杉省和・近藤典彦共著『名作百年の謎を解く』(同時代社 201511月)から「石川啄木」の項を読む


 啄木には常に、嘘つき、借金、に加えて「女好き」という悪評?がつきまとう。何故であろうか。

 私は、それらの悪評を否定はしないが、多くは論者(あるいは談話者)の売名行為が優先していると思っているが、この3つの問題を極めて真面目に論じ、解説している研究者も存じあげている。

 私の範疇では近藤典彦氏も真面目に取り組んでいる研究者の1人なので、この度の論考は多くの啄木愛好者や研究者に読んで頂きたいと思った。

 但し、近藤氏の目は今回の論考も一部の啄木愛好者には、否定したくなる部分もあるかと思うが、先ず、一読をおすすめしたい。

 啄木の「道」という短編小説を縦軸にして、啄木の性的志向と女性関係の問題点を説得力のある言葉で論じられている。啄木の妻、節子の貞操問題には、管見だが多くの啄木研究者が多種多様な見解を示している。しかし未だ決定論考は無い。この問題を節子が 妹のふき子(啄木の親友で節子の貞操問題の相手である宮崎郁雨の妻)宛に書いた手紙と啄木の小説「道」から論じた視点に私は感服した。とにかく面白い。

 本書にはほかにも「甦った棄老伝説―深沢七郎「楢山節考」―」/「〈たけくらべ〉百年の誤読を正す」/などの興味深い項目が並んでいるが、取り敢えずここには啄木の項を紹介した。 (2015年11月16日)

啄木が怖れた言論の自由 「国禁の書(ふみ)を」の歌
東京 銀座で啄木演劇を上演!
「方の会」第57回公演
われ泣きぬれて〜石川啄木

会場:銀座みゆき館劇場

上演期間 2015年12月2日(水)〜6日(日)
全席自由 公演回数 全8回

※ 詳細は下記の案内とチラシ、新聞記事をご覧ください。

チケット:4.000円 (全席自由)
お申し込み込み 03−3922−2589(狭間)
メール:honoka04i@yahoo.co.jp
お名前、日時、枚数をお知らせ下さい。

会場:銀座みゆき館劇場
〒104−0061
東京都中央区銀座6−5−17
銀座みゆき館ビルB1
電話:03−3574−0694

交通のアクセス=
東京メトロ「銀座駅」下車で「C2」出口
JP有楽町駅 銀座口

国際啄木学会関西支部研究会

日時:2015年11月21日(土)14時30分〜17時(受付14時より)        
場所:立命館大学 朱雀キャンパス2階 203教室               
※交通アクセス  (「二条駅」下車・駅前の千本通りを南へ5分くらい。  
「二条駅」は京都駅から嵯峨野線に乗り二つ目の駅、京都駅から7分程度)

発表                             
 田口道昭: 「啄木・漱石・教養派」            
   太田 登:「『一握の砂』60番61番の〈犬〉の形象について」

終了後、懇親会(懇親会場は未定)        
  
湘南啄木文庫のお薦め本・私的な「啄木旅日記」四六判 338頁 定価 2000円+税 2015年10月10日発行
 西脇巽著『石川啄木 旅日記』 (桜出版) 読後寸感 (2015/10/11 佐藤 勝


 西脇さんは、とにかくユニークな啄木の研究家というのが、私が最初に抱いた著者への印象であった。この思いは10年ほどの年月を経た今でも変らない。

 その西脇さんが、今年に入って立て続けに3冊の啄木図書を刊行された。これまでの西脇さんの啄木図書を数えると10冊目の記念すべき「啄木図書」であり、私のような啄木愛好者にとっては、これ以上の歓びは無い。しかも今回の本には何ヶ所にも私の名前も登場しているが、まったく「気づいていない」自分の言動が紹介されている。

 本書の「解説」を書かれている石川啄木記念館館長の森義真氏が、国際啄木学会の各種の研究会や大会、あるいは催事などの後で必ず送られて来る「ワープロ打ちの啄木旅日記」の原稿をよむたびに(氏ご自身は頻繁に登場するので)「私の名前が登場する。大変ありがたいことだ。ヒトの目に映った自分の姿が再現されていることもあり、少しくすぐったい気持ちになりながらも、いつも楽しく」読ませて戴いたが、一冊の本になったものを通読すると、過去の啄木催事が「立体的に甦ってくるようだ」と記しておられる。私もまったく同感である。そして、私も森さんも書くことの無かった私たちの個人的な交流の一端なども記されているが、これらも「嬉しくもあり、気恥ずかしくもあり」という気持ちで読んだ。

 本書に収められた多くの文章は2007年4月から2014年6月までの8年間にわたる「国際啄木学会と国際啄木学会盛岡支部会」でのことを記したもので、当日の研究発表や講演の内容はもちろんだが、その前後に著者が体験した会場へたどり着くまでの出来事や催事の後の懇親会で交流した人々の印象記(著者が意識したわけでは無いと思うが啄木も歌会や職場で対面した人の的確な人物評を記している)なども楽しい読み物になっている。

 この個人記録ゆえの面白さが本書を読む醍醐味でもあると思う。ゆえに国際啄木学会員個人の「啄木旅日記」でもあるが、本書はある意味では国際啄木学会という団体の側面史にもなっている。

 本書を読むと国際啄木学会が如何に楽しく、そして高度な、あるいは庶民的な(愛好者には願ってもない)学会であるかが良く解るように懇切丁寧に書かれているから、私には「国際啄木学会への入会案内」本になっている気がして嬉しい。これは著者が意図したものでは無いことも明らかだが本書を読んだ人から、「国際啄木学会」という厳しいネーミングの付いた学会だが、「楽しそうだから行って見ようか」という希望者があれば嬉しいと私は密かに期待している。

 少なくとも現在の「国際啄木学会」は私のようなミーハー的な啄木愛好者には、普段は近くでお話しも出来ないだろうと思っていた「学者」の方々も、本当は啄木が大好きなのだというお顔を垣間見せる場面も多々にあって、ホットな気持ちになれるところであり、そのような先生方が精魂込めて調査研究されたものを愛好者の私などにも理解できるように解説しつつ発表をされる姿には、何時も感動と感謝の気持ちでいっぱいの満足感を味あわせて頂いている。また、本書はこのような喜びの中へ必ず案内してくれるものと思う。

 以上が、私の駆け足で読んだ「読後寸感」です。下記に本書の帯文とカバー裏に載せた出版社の内容案内、そして、勝手にスキャンした目次を載せて置きました。啄木という人の魅力と「国際啄木学会」という団体に集う学者と愛好者の楽しい「学びの場」を知って、貴方も一度、国際啄木学会の催事に出かけて見ませんか、というのが、私からの個人的メッセージです。

購入は新刊書店、ネット系(アマゾンなど)書店、又は下記の「桜出版」へ直接お問い合わせ下さい。
 桜出版のホームページアドレス
 http://www.sakuraco.co.jp/
 
 電話:019−613−2349

 下記の記念館の企画展について詳しいことは
 石川啄木記念館のHPをご覧ください。
国際啄木学会 シドニー大会レポート 1〜4
 
 森 義真 氏 (石川啄木記念館館長)

 私は、個人的な事由で 今年の国際啄木学会のシドニー大会には参加できなかった。
そのような私に、シドニー大会全体の様子が把握できるような2人の会員が書いた2点の
文献が届いた。下記の盛岡タイムス掲載の 森 義真氏のレポートは 参加できなかった
私にも、大変に解りやすく大会の状況が伝わってくる内容であったので、ここに紹介した。
シドニー大会全体のことは「啄木アトランダム」に紹介した望月善次の文章をご覧下さい。

2015年10月6日 湘南啄木文庫 主宰 佐藤 勝
93歳のD・キーン氏の精神力と健康にも敬意をもって毎号の連載を
楽しみに拝読してましたが、今は単行本化を楽しみにしております。

啄木から、現代の若者たちへのメッセージ
西脇 巽著『石川啄木 若者へのメッセージ』(桜出版/2000円+税)
 このたび、桜出版から刊行された『石川啄木 若者へのメッセージ』は
石川啄木の「語録」から 著者の西脇巽氏が、現代の若い人たちに伝えたい、と思う
「啄木の言葉」を抄出して編まれた本です。
 ※(下記の写真にて、著者と池田功(国際啄木学会会長)氏の推薦の言葉を参照)

 西脇氏は、すでに多くの啄木関係図書や精神医学の専門書を出されている。

 本書の副題に「若者へのメッセージ」とあるが、高齢者(?)の私が読んだら
「ああ、そうだったか!」と 思うことなどが多くあって、
啄木愛好者の私には、新しい「啄木発見」がたくさんありました。

 そして、なんと副題の「若者へのメッセージ」というネーミングの効果もあるのです。
私は本書を読んでいたら、いつの間にか自分も「若者たち」の仲間入り出来たような
嬉しい気分になって、若き日の気分でつい、読みふけってしまったのです。

 そこで、早速に湘南啄木文庫のHPでも早く紹介したい、と思った次第です。
なお、本書は若い人には勿論ですが、それなりに人生を経験された人たちにも
おすすめの1冊です。

購入は新刊書店、あるいは下記の桜出版へ直接お問い合わせ下さい。
 桜出版のホームページアドレス
 http://www.sakuraco.co.jp/
 
 電話:019−613−2349
おすすめ エッセイ一文”
 啄木の「馬鈴薯(ばれいしょ)の花」の歌を取り上げた 近藤典彦氏

先日、当ページに 「石川啄木日記」 という大変良いホームページが
(※リンクをするには上記の「石川啄木日記」赤い文字をクリックする)
プロバイダーのサービス終了のため閉鎖されて利用できなくて困ったと
書きましたが
本日移転先を知っているという方から連絡を頂きました。
啄木愛好者の一人としては嬉しい限りです。そして、この思いを皆様に
お知らせして、 啄木の日記が如何に貴重なものであるかと云うことを
再確認したいと思います。 合わせてメールでご連絡頂いた同好の方に
心よりお礼をもしあげます。 2015年8月 湘南啄木文庫
 主宰 佐藤 勝

湘南木文庫の主宰が啄木終焉の地で講演

演題
 「啄木 文京区で過ごした青春」

※ 詳しくは下記の「区報 ぶんきょう」(平成26年12月10日発行)の記事をご覧ください
歌人・釈迢空(折口信夫)の啄木短歌(『一握の砂』)の評価!
 
 毎日新聞(東京版夕刊)2011年6月11日号の「詩歌の森」に、酒井佐忠氏(文芸ジャーナリスト)が
最近創刊された「折口信夫研究」創刊号について書いている。

 その中に異色の偉大な歌人である折口信夫が、啄木の歌集『一握の砂』に書き込みとして記した、
○や☆印、短評などのメモを、高弟の岡野弘彦氏が、全文を筆写しておいたものとして掲載されている。

 そこには、若き日の折口が○や☆印(中には二ツ重ねも)を付けて共感しているものや、
また、突き放すような厳しいコメントもある。

 これらのメモが岡野弘彦氏によって詳細に筆写されていたことは、啄木研究者や愛好者にとっても
幸運なことであり、一級の資料とも言うべきでしょう。

 岡野氏の功績は、折口信夫(歌人・釈迢空)の研究者ばかりでなく、啄木関係者にとっても有難い資料である。

 「折口信夫研究」創刊号は、書き写したものを全て(短歌166首とメモ全文)を掲載し、これに、長谷川政春が
「解題」を付けて載せているので、広く伝えたいと思って紹介した。

 なお、以下は毎日新聞に載った酒井氏の文章から<折口メモ『一握の砂』>に関する部分です。
                                (2011年6月17日 佐藤 勝)
***********

創刊号には、石川啄木の歌集『一握の砂』に、歌の評価や印象を迢空・折口自身が書き込みを入れたものも資料として収録された。例えば<高山のいただきに登り/なにがなしに帽子をふりて/下り来しかな>には「新藝術(げいじゅつ)のむかふべき方の暗示を見る」などと書かれている。若き迢空・折口がいち早く啄木の新しい芸術性に注目していたことを示す貴重な資料、と歌人成瀬有氏はいう。ここにも自由で多面的な視線が見える。

***********

「折口信夫研究」創刊号についての問い合わせは下記の住所まで。

 折口信夫の会(東京都渋谷区東4−10−28折口博士記念古代研究所内)

池田 功著『啄木日記を読む』
(新日本出版社/2011年2月/1900円)

池田功著『啄木日記を読む』の帯文には、「はじめての日記論/赤裸々さと煩悶/心情の吐露から見える新たな啄木像」とあります。

 まさに、はじめての「啄木日記論」の単行本です。池田氏にはすでに『石川啄木 国際性への視座』(おうふう)をはじめ、多数の啄木関係著作があります。

 
また、多くの啄木論を書いております。私は啄木を読む池田氏の視点にいつも、国際性の目線で啄木作品を読むという、他者にはみられない広さを感じてきましたが、今回の著書もその視点はしっかりと感じられました。

 現存する啄木日記は13冊ですが、そのすべてを丹念に読み込んで、そこから啄木の「喜びや苦しみや社会への憤り」を感じ取った著者の深い知識と豊な感性とが、だれにでも分かるやさしい言葉で書かれていることに、先ず感動しました。

 先年亡くなられた作家、井上ひさし氏が国際啄木学会の東京支部研究会で、井上氏が小説を書くときの心情としていることのひとつに、「むずかしいことを易しく書くということです」、と話されたことは、今も私の心に深くのこっております。
 この話しは著者の池田氏も一緒に聴いていた、と記憶しますが、まさに井上氏の心情のひとつを、池田氏が実践しているような思いがします。


 国際性のもっとも大切なのは他者との協調性である、と私は思うのですが、池田氏の今回の著書からも、啄木が如何に豊かで、深い国際的精神を有した文学者であったかを、”外国人から見た啄木”などを通して池田氏が得たことも含めて知らせて頂きました。
 本書は研究者には勿論でしょうが、私のような愛好者にも嬉しくなるような一冊です。


山下多恵子氏の【書評】 池田功著『啄木日記を読む』

森 義真氏の【書評】 池田功著『啄木日記を読む』
最近の啄木図書 <2冊の新書判>

鳥居省三著・北畠立朴(補注)『増補・石川啄木―その釧路時代―』
〈釧路新書30〉(釧路市教育委員会)

松田十刻著『もりおか暮らし読本 めん都もりおか』
(盛岡出版コミュニテー)

 
  
鳥居省三著・北畠立朴(補注)『増補・石川啄木―その釧路時代―』

 石川啄木の釧路時代を知るには欠かすことの出来ない貴重な啄木文献であるにもかかわらず、長く品切れ状態のままであった鳥居省三氏の著書が、このたび増補版となって再販された。嬉しい限りである。

 著者の鳥居氏は故人となられてしまったが、鳥居氏の研究を継承しつつも、独自の視点をもって釧路における啄木とその時代、そして啄木の周辺を長年研究してきた、北畠立朴氏の補注を加えての『増補・石川啄木―その釧路時代―』〈釧路新書〉(214頁735円)の再販である。

 細目をここに記して紹介とするので、ぜひご一読を頂きたい。なお、北海道内の書店以外での購入希望者は釧路市役所の教育委員会へ問い合わせて下さい。

 細目:北海道での啄木(釧路まで)P1〜16/釧路と啄木P17〜100/釧路を離れてからの啄木P101〜110/釧路での啄木研究余禄P111〜160/釧路の啄木案内P161〜184/改訂版にあたって・補注185〜210)

 ※元本は1980年9月の発行/ 発行所:釧路市教育委員会


  松田十刻著『もりおか暮らし読本 めん都もりおか』

 少年時代の啄木の好物のひとつに「そば」がある。では、啄木は、何処で、どのような「そば」を食したのであろうか。

 最近、盛岡在住の作家 松田十刻氏が、盛岡の〈めん〉に関する本を出されたが、その中に”「麺食い」たちのエピソード”という章があって、「石川啄木編」がある。
 
 ここでも細目だけを紹介するので、ぜひ取り寄せて(ネット又は地方流通出版扱いで新刊書店でも購入可能)一読してみてください。

 私たちの知らない「盛岡人」の麺好きが書かれておりますが、新しくて、意外な啄木と出会える一冊です。

 細目:島崎藤村にクレームをつけたふるさとの味P151〜159/芋の子汁と蒸しホッキP160〜162/わんこそばを十六杯たいらげる?P162〜166/釧路で芸妓と食べたそばP166〜171/東京でお気に入りの藪そばP172〜178

 ※本書には他に原 敬、宮沢賢治などの〈そば〉に関するエピソードもかたられているが、最終の「うんちく編」を読んで私は盛岡人の〈そば好き〉を納得した。そして、私もますます〈そば好き〉になった。

※本書の購入は下記の出版社へ直接問い合わせて下さい。
 
 盛岡出版コミュニティー 
 〒020-0811盛岡市川目町23-1
 Eメール:morioka-pc@chic.ocn.ne.jp
 電話&FAX:019−681−1451


最近読んだ新刊の啄木図書2冊

(1)
 成田 健著『東北の文学 源流への旅』(無明舎/2011年2月/2100円)

 本書は総数514頁の大著で、東北6県にかかわる近現代の文学者に関する論稿が収められており、啄木に関する文献は3篇です。

 その中で、私がおすすめしたいのは「石川啄木に詠まれた松岡蕗堂」と「石川啄木と鹿角」の2篇です。

 
松岡蕗堂は啄木が故郷を追われて函館に渡った時に、最初の宿を提供してくれた文学仲間であり、しばらくは隣り合わせた部屋で同宿した友人でした。

 しかし、二人の友情は何故か、それ以上には発展しませんでした。その辺も含めてこれまであまりしられなかった「人間松岡蕗堂」の素晴らしさと、その真摯な人生を詳しく伝えている貴重な研究文献でもあると思います。

 しかし、私の知人のA氏は、松岡蕗堂は川並秀雄の著書を読む限りでは、誠実な人とは思えない、と語っております。A氏のような視点も含めて松岡蕗堂は、さらに研究されてゆくべき人物なのかと思いました。


 「鹿角」(現在の秋田県鹿角市)には「錦木塚」という古跡があって、啄木にはこの塚に伝わる悲恋の伝説を詠んだ詩があります。

 本項の「石川啄木と鹿角」では、「鹿角」を訪問した盛岡中学生時代の啄木が、十和田湖まで足をのばして遊んだのは事実なのか、という「問題」(未だ決着してない)の論争を詳細に記述してますが、ひとつ残念なのは、著者も読んでいる筈の森義真氏の「啄木の十和田湖訪問について」の論稿についてまったく記述が無いことです。

 成田氏の論点は、森氏の論考に近い視点なのですが、なぜか参考文献にも記されてないことを不思議に思いました。

 この論争(問題)の焦点は、中学生の啄木が「空腹坊」と署名して友人宛に出したハガキの真偽であり、森氏の論考は「東奥日報」(平成141225日付)などでも大きく報じられております。成田氏は森氏の論文を読んで無いのでしょうか。私はやはりその辺を不自然に感じました。

 それから、私も成田氏同様に少年時代の啄木の「ハガキ」は現在どこにあるのか気になるところです。

(2)
 ロバートキャンベル著『Jブンガク マンガで読む・英語で味わう日本の文学12編』
(デスカヴァー・トゥエンティワン/2011年1月/1300円)

 本書は昨年の8月31日〜9月10日に、NHK教育テレビで放映された「Jブンガク」(7・8月合併号)のテキストを1冊の単行本に収めてもので、啄木のほかに樋口一葉や太宰治の作品の英訳ですが、まったく英語力のない私は、友人に読後感をもとめてところ、「これまでの啄木のイメージ(センチメンタルな)に縛られない現代的な感じだ」ということでした。
 この本には日本語入りのマンガと英文で書かれた簡単な啄木略伝と「東海歌」など22首の英訳の啄木短歌が収められてあります。

 なお、昨年の放送を見逃した人には、現在テキストが発売中の「Jブンガク」2.3月と『一握の砂』部分の再放送(2011年3月1日〜3月4日(朗読)/3月8日〜3月11日(トーク)に再放送があるのでご覧になられることをお薦めします。毎回5分間の短い放送ですからご注意ください。


                 (以上3点の紹介者:湘南啄木文庫 佐藤勝/2011年2月23日)

湘南啄木文庫の「収集目録」第23号を発行!!
 湘南啄木文庫の「収集目録」第23号(2009年12月〜2010年11月発行の文献 A4判 24頁 頒価800円)が出来ました。
 
 本号には平成2112月から同2211月に発行された石川啄木に関する文献と平成元年から同2110月までに発行された文献の「補遺」で、湘南啄木文庫が収集できた情報を掲載してあります。

 単行本(参考文献を含む)27点、啄木特集号の雑誌ほか29点(文献220点)、雑誌、単行本等に収録の文献(論文等)30点、書評(新刊紹介等)37点、新聞、雑誌など掲載の記事・随筆など468点、1号から22号までの「補遺文献」41点、ほかに12月発行文献3点、以上826点を掲載紹介しました。


 ご購入をご希望の方は「新刊割引コーナー」より、新刊書の購入と同じ方法で湘南啄木文庫までメールにてお申し込みください。代金は送料共800円です。
 メールでお申し込み頂いた方にはお支払い方法など詳しいことをご連絡いたします。(佐藤 勝)

100年前、明治時代に書かれた最初の啄木研究書
宮崎郁雨の『一握の砂』書評が初めて刊行されました!

遊座昭吾編『なみだは重きものにしあるかな ―啄木と郁雨―』
新書判 228頁 952円+税 桜出版

ISBN978−4−903156−11−8

 啄木歌集『一握の砂』の刊行100年目にして、ようやく読める『一握の砂』について書かれた、最初の本格的な書評は、「郁雨生」なる人が函館日日新聞に45回にわたって連載したものですが、その執筆者の「郁雨生」は、啄木の親友であり、後に義弟(妻節子の妹と結婚)となる、宮崎郁雨です。

 この本の「啄木と郁雨」という副題の意味は、郁雨の書評に感激した啄木が、同じ新聞に書いた「郁雨に與ふ」が一緒に収めてあるからなのです。

 この啄木の文章は全集でも読めますが、この本で一緒に読めることに大きな意義があることを、私は本を読み終えて実感しました。
 
 そして、ここにいたって編者の啄木研究の深さと、温かさを感じました。また、解説や解題の文章を参考にしながら「啄木を知る」原点に戻ることの大切さも学びました。

 この本が多くの研究者や愛好者にとって、今後は貴重な一冊になることは間違いないと思います。

 発売日は明日12月1日です。

 私は今、2010年の最期に来て、こんな嬉しい本に出合えたことを感謝したい気持ちでいっぱいです。

 なお、解説の執筆者(近藤典彦)が、〈付記〉として、山下多恵子著『啄木と郁雨 友の恋歌 矢ぐるまの花』(未知谷)も読まれることを勧めておられたが、私もまったく同感でした。

    2010年11月31日 佐藤 勝



『一握の砂』刊行100年
 大特集 はじめての石川啄木 「短歌」12月号
 本日(11月25日)発売の角川書店発行の雑誌「短歌」12月号は
『一握の砂』刊行100年記念として「大特集 はじめての石川啄木」を
発行しました。
 書店、またはネットにてご購入される方の参考までに、
その目次を下記に写真で載せておきます。
(2010年11月25日 佐藤 勝)

初公開の啄木の年賀状で、石川啄木全集の90年前からの誤りを発見!
北海道の北畠立朴氏


 上の写真は平成22年10月18日より平成23年4月13日まで、函館市文学館にて特別展として初公開されている岩崎正宛、明治45年1月1日の石川啄木年の賀状です。

 が、昨年の10末に、北海道在住の啄木研究家・北畠立朴氏より新聞記事のコピーとともに届いた手紙には、「岩波文庫はじめ、各社の全集本には「癒えずに」が「癒えずと」になっている」、と記されてあったので、湘南啄木文庫所蔵の各種全集本で調べて見たら、大正9年4月発行の新潮社版以降の全集がすべて、北畠氏の指摘通りであった。

 新潮社版は、土岐哀果の編集であるが実務の多くは啄木研究の先駈けの人でもある吉田孤羊の努力にたよるところの多かったもの、私は推測している。

なお、問題はその後の全集本が、すべて実物との照合を怠って発行されてきたことでなないだろうか。

 上記の年賀状に記された啄木短歌は、啄木の最後の短歌作品としても有名な歌だけに残念に思われる。が、やはり実物を見ることの大切さを今更に思う。

 新幹線が青森まで開通したことでもあるから、私も特別展の開催中に函館市文学館を訪ねてみたいと思っている。
 
 なお、石川啄木の全集本は1919年〜1920(大正8年〜9年)発行の新潮社版から、1978年(昭和53年)〜1980年(昭和55年)に発行された筑摩書房版(全8巻)を最後に、残念ながらその後は改訂版も出されない。

 この間に書簡や短歌作品にも全集未収録の作品が多数発見されている。この未収録作品や全集に載った作品の一部の誤植については、拙著『啄木の肖像』(2002年、武蔵野書房)に「啄木全集の拾遺」として全文献として16点の書簡と11首の短歌を載せたが、その後に2通の書簡も発見されている。
 
 このような事情も含めて、私は筑摩書房版の改訂版の発行を切望する。 (改稿 2011年1月19日 佐藤勝)

 ※写真は北海道新聞(2010年10月17日)からのコピーです。



山下多恵子『啄木と郁雨 友の恋歌 矢ぐるまの花』(未知谷)
2010年9月15日
(定価2500円+税)刊行されました!

  
私のおすすめ図書 『啄木と郁雨』 読後感  2010年9月18日   佐藤 勝

  
 山下さんについては、湘南啄木文庫のHPでも何度か取り上げている気鋭の評論家で、啄木研究家でもあるが、その山下さんの待望の新著、「啄木と郁雨」が、このたびついに一冊の本となって刊行されました。
 
 本論は一昨年「新潟日報」に56回にわたって連載されたもので、主に啄木の友人「宮崎郁雨」にスポットを当てた論稿です。

 私は新聞連載中から、早く一本になってほしいと願っていたひとりです。

 「新潟日報」という地方新聞に連載されたのは、新潟が郁雨の故郷であったことと、山下さんが、新潟在住という縁によるものと思うが、私が全国版で読んでほしいと切に願ったのは、連載の文章を読み始めて何回目頃からだったでしょう。

 宮崎郁雨については、これまでに多くの人(小説家や研究者)が、それぞれのことを書いているが、それらの中には郁雨の人間性をまったく理解していない、あるいは誤解しているのではないか、と思うようなものもあります。

 私が山下さんの文章に見たのは、これまでに読んだ事の無い、「人間郁雨」の真実の姿でした。
 
 かつて郁雨の親友であった医師の阿部たつをが、貶められた親友像を修正しようと懇親の努力をした本も出されたが、「身内的な書」と読む人もあってか、この人の「郁雨論」のインパクトは、いまひとつの感じであったと記憶します。

 山下さんの文章は、郁雨が啄木につくした根底には、自分も故郷を追われた人間であったから、ということが大きく影響しているのではないか、という考えもあるようです。

 そのために郁雨の書き残したものは、勿論、これまでの研究者が見なかった、あるいは見ようとしなかったものまで、訪ね歩き、ゆかりの人々に直接会って話しも聞いている。

 今までに書かれなかった郁雨像とは、どのような面か、と言えば御幣も有りますが、多くは啄木の経済的な援助者で、啄木の晩年は「節子の不貞説」問題が起きて啄木から絶交された人、という程度の郁雨像しか語られず、また論じられても、その周辺を出る事はなかったと思います。
 
 が、今回の山下さんの著書には、「人間郁雨」のすべてが語られている、と私は思いました。

 また、山下さんが郁雨の遺した約四千首の歌の中から探り出した「郁雨の言葉」も注目すべきひとつと思います。

 これまで、郁雨の書き残した文章は多くの人に読まれ、論じられてもきましたが、短歌については、ほんの一部の歌を除いては、ほとんど論じられることも無く、存在すら知られて無かったものもありました。

 山下さんはそれらを丁寧に調べ、読み込み、検討しながら、途切れながらも新聞連載を続けておられましたが、その成果は、本書によって充分に結実したと思います。

 少し話しは外れるが、私は昨年の7月、30人ほどの集ったある夕食会で、宮崎郁雨の直系のお孫さん(現、宮崎家の戸主)と同席する機会がありました。(晩年の郁雨は、このお孫さんたちと東京で暮らしていた。)

 面差しが写真で見る郁雨に良く似た、背の高い人でした。会場では、「千の風」の作曲者としても知られる作家の新井満さんが、「私がお誘いしました」と言って宮崎氏ご夫妻を紹介されました。

 私は席も近くであったので、郁雨の晩年のお話しなどもお聞きしました。また、同行した知人が一緒に写真を撮らせてほしいとお願いしたりして、啄木愛好者の私たちにとっては最高の夕食会でした。

 宮崎氏は、現役の勤め人で「温厚実直」な人柄が伝わってくる話し方で、初対面の私などにも、丁寧に、また謙虚な話し方で、孫から見た家庭における「祖父郁雨」のお話しなどを興味深くお聞きかせ頂きました。

  宮崎氏の話しを聞きながら私は、郁雨もこの方のような人であったのではないだろうかと思いました。

 さて、山下さんが「啄木と郁雨」を書きながら、何をどのように感じていったのかは、読めばだれもが「そうだね」と頷いてしまうと思うが、私が読み進むごとに、頷き、感じたのは、山下さんの「冷静」で「公平」な「視点」でした。

 郁雨の弱さも、頑なさも、実直さも、全部を見つめた中からつむぎだされた文章に、私は何度も何度も胸に込み上げてくる熱いものを感じました。

 新聞連載という制約の中で、生まれた文章の成果なのか、天与の名文家なのか、いづれの章を読んでも、ぎりぎりまでに無駄を省いた見事さにも感動しました。

 とにかく、多くの人に早くこの情報を伝えたくて、読後感にもならない感想を書いてしまいましたが、研究者は勿論、啄木愛好者にも必読の啄木図書の刊行を皆さんと一緒に喜びたいと思います。

 〈追記〉
 本書には10年前に同人誌「北方文学」に発表された長編論文「啄木と雨情」も収録されております。こちらの論稿も必見の文献です。

 ※本書は新刊書店なら、どこでも取り寄せできます。私が取り寄せたネットのアマゾンでは送料無しでした。(中古品は別です)


月刊 インド」 に、池田功氏(明治大学教授)の論文が掲載!
「石川啄木とインド、そしてタゴール」


 
このたび発行された、「月刊インド」No.4(日印協会発行)に昨年の12月にインド
大使館で行われた「日印文化交流会」で、池田教授が話された「石川啄木とインド、
そしてタゴール」の講演内容が、5月14日発行の「月刊 インド」に掲載されました。

 池田氏には、啄木の国際性を論じた著書や論稿も多く、大使館での講演も国際感
覚を養わなければならない現代を生きる私たちにとって示唆の多い講演でしたが

 今回、講演内容が公開された事は、私たち啄木愛好者ばかりではなく、多くの人の
目に触れて、読者の目が国際的にひろがってゆくことを思うと、嬉しい限りです。

 尚、「月刊インド」の文章はネットで読む事もコピーも可能です。下記のアドレスを
クリックして、ぜひご覧になってください。     (2010年6月32日 佐藤 勝)

日印協会のHPアドレス


http://www.japan-india.com/backnumber

上記のアドレスから 「月刊インド」 が ご覧になれない場合は、
下記の「日印協会」のトップページを開いて「月刊インド」へ入って下さい。
http://www.japan-india.com/




北海道から発行された文庫本
『啄木を愛した女たち』――釧路時代の石川啄木――
を読んで感じたこと。

 北海道内で発行されている道民雑誌「月刊クオリテイ」(北海道メデア研究)が募集した、<第30回北海道ノンフィクション賞>の大賞を、この春に受賞した、佐々木信恵氏の「啄木を愛した女たち―釧路時代の石川啄木―」が文庫本(500円)になって発行された。

 啄木関係の論文が入賞した、と知らせてくれた札幌在住のM氏が市内の書店で求めて送って下さったので、私は早速に感謝しながら読んだ。

 本文101頁の小論なので、すぐに読み終えたが、気になることが多々にあって、M氏への礼状に記す言葉が見付からずにいる。

 選者の一人である作家の会田一道には、小論ながら啄木について書かれた文章もあるので、期待して読ませて頂いたのだが・・・・・、誤植の多いのはガマンできるが、誤記の多いのが気になって仕方が無い。

 ノンフィクション、と銘打ったものでなければ、これも気にならないのだが、例えば釧路新聞に発表された、啄木の歌が、三行書きであったように書かれている、という基本的な間違いが随所にある。
 
 この論文は釧路時代の啄木と交友のあった、近江ジン(小奴)と梅川操を中心に、特に梅川の側から描かれたものなので、啄木の文学面からの論稿では無い、と割り切って読めば、面白い読み物として読むこともできるかと思う。

 が、釧路、特に梅川操については、すでに私の知友であり、敬愛する地元の啄木研究家のK氏の詳細な研究論が発表されており、それらを読んできた私には、気になった。それで付記された参考文献を見て驚いた。

 そこにはK氏の著書名と資料提供の協力者として名前も載っている。

 ならばK氏は応募前に原稿は見たのだろうか、あの几帳面な、そして後輩研究者の面倒見の良いK氏が、なぜ誤記を訂正させなかったのだろうか、と思った。

 歌集『一握の砂』からの引用歌も、雑誌や新聞に発表した歌も、混合して三行書きや二行書きにしてあり、しかも誤植が多い。

 私は気になったついでに、K氏に電話をしてみた。

 K氏は、「資料は貸してあげたが、(文庫本の)ゲラはもちろん、応募の原稿も見てない」、と言って困惑されていた。

 物を書く人の姿勢の問題であるが、私が敬愛するK氏の困惑する顔が電話の向こう側に見えるようで、気の毒でならなかった。  (10/06/16 佐藤 勝)

 上記の本に興味を持たれた方は下記の発行所へ連絡してお求め下さい。
 発行所:(株)太陽
       札幌市中央区大通西28丁目円山公園ビル内
        TEL:011-644-0101
        FAX:011−644−2444


盛岡てがみ館で企画展「永遠に生きる啄木――人々に刻まれたその思い――
――少年啄木、自我の目覚め――

盛岡の「盛岡てがみ館」にて,只今開催中の
企画展の記事が毎日新聞(岩手版)に載っておりました。
下記にコピーを貼り付けます。

「永遠に生きる啄木」展:手紙や原稿など140点−−盛岡てがみ館で

 ◇10月4日まで

 石川啄木に関する手紙や原稿を集めた企画展「永遠(とわ)に生きる啄木」が、盛岡市の盛岡てがみ館で開かれている。処女歌集「一握の砂」の発刊100周年を記念して、自主企画した。10月4日まで。

 斎藤茂吉が雑誌「改造」に寄稿し、「啄木の歌は一度は必ず通らねばならない歌境」と啄木論を記した随筆の直筆原稿(1938年)や、啄木が親友の岡山儀七にあてて、幼い長男を亡くした悲しみをつづったはがき(10年11月)など140点を公開。「一握の砂」や、続く歌集「悲しき玩具」(12年)の初版本も展示している。川村敏明館長は「啄木の素顔や後世の評価に触れ、彼の魅力を再発見してほしい」と呼びかけている。

 午前9時から午後6時まで。毎月第2火曜日は休館。入館料は一般200円、高校生100(中学生以下は無料)。問い合わせは同館(電話019・604・3302)。【宮崎隆】

※上記の記事は毎日新聞(岩手版・2010年6月10日)からのコピーです。


2点のユニークな啄木歌集 新刊
 このたび2点のユニークな啄木歌集が刊行されたので紹介します。

 1点目は、山本玲子著「啄木うた散歩」(盛岡出版コミニュテー/A5サイズ/各300円)です。

 今年の2月から3月にかけて発行された12冊の冊子型の本で、季節ごとに編まれ、各冊とも
30頁ほどの冊子です。

 これは著者の山本さんが、地元の「岩手日報」に短文の解説を付けて一年間、一日一首で、
連載されたものを12冊の本にまとめたものです。

 1月から12月までに分けられ、月々の啄木短歌が楽しめるように編まれております。

 石川啄木記念館の学芸員、山本さんの解説は、私たち啄木愛好の読者に
 啄木という人を さらに身近な人に、そして楽しい人に 感じさせてくれます。

 湘南啄木文庫のおすすめ本です。

※本書の購入は下記の出版社へ直接問い合わせて下さい。
 
 盛岡出版コミュニティー 
 〒020-0811盛岡市川目町23-1
 Eメール:morioka-pc@chic.ocn.ne.jp
 電話&FAX:019−681−1451
 2点目は、自由国民社から5月に出た『一握の砂』(文庫判・303頁/1200円+税)です。

 何がユニークか、というと、
 この歌集には明治から大正にかけて発行された、北海道、東北、東京など
 81枚に及ぶ、珍しい各地の風景絵葉書が、見開きの頁で紹介されてます。

 啄木の生きた時代の、各地の風景と共に写っている、建造物や街を往く人々の姿は
 啄木愛好者はもちろん、研究者にとっても貴重で必見の書です。

 これだけでも本書の価値は充分です。

 使用された写真は、「日本における絵葉書収集の第一人者」の協力を得て
 かなえられたもの、と解説の頁にありました。
 
 とてもぜいたくな歌集「一握の砂」だと思います。また、文庫判で安価な値段にも
 感謝したいです。

 そして巻末に付けられた 81枚の各絵葉書の索引には編集者の親切が感じられて
 嬉しくなりました。

※本書は一般の新刊書店、ネットのアマゾンなどで購入できます。
大室精一氏が注目の論稿続篇を発表
『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(4) 
 先に、大室氏より下記の案内状と共に上記の論稿抜き刷りを恵送頂きながら、私的な用件に埋没しておりまして、紹介が遅れました。
 本論は、歌集『一握の砂』の編集意識に関する研究にひきつづき、啄木が意図したであろう「悲しき玩具」の編集意識を探る貴重な内容です。

 以下は送付文からの抄出です。

**************

 「・・・・・さて小生このたび啄木に関して、昨年の続稿として
    「『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(4)」
      ―「第四段階」の歌群(131〜177番歌)について―

         (『佐野短期大学研究紀要・第21号』 平成22年3月)
の論を発表しました。
 この『悲しき玩具』に関する報告は、以下の通りに連載してきました。
『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(1)―「第一段階」の歌群(3〜68番歌)について―
          (『佐野短期大学研究紀要・第17号』 平成18年3月)

『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(2)―「第二段階」の歌群(69〜114番歌)について―
          (『佐野短期大学研究紀要・第18号』 平成19年3月)

『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(3)―「第三段階」の歌群(115〜130番歌)について―
          (『佐野短期大学研究紀要・第19号』 平成20年3月)

『悲しき玩具』歌稿ノートの中点  (『佐野短期大学研究紀要・第20号』 平成21年3月)

 すると残るのは「第五段階」の歌群のみになりますが、その一部は国際啄木学会春のセミナー(4月25日・明治大学)において「『悲しき玩具』末尾の17首」として口頭報告し、『悲しき玩具』歌群全体の総括は勤務先の研究紀要に来年報告する予定でいます。」

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 上が著者より頂戴した送付文の抄出ですが、著者は論稿の「はじめに」で下記のように記しておられますので、その部分をここに書き写して置きます。
 
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 はじめに
 
 前稿までにおいては「一握の砂以後」(四十三年十一月末より)と扉に記されている『悲しき玩具』歌稿ノートに着目して、従来殆ど考察されることのなかった『悲しき玩具』における啄木の編集意識を「第一段階」の歌群(3〜68)に限定して考察してきた。そこで本稿では続稿として、「第四段階」の歌群(131〜177)における啄木の編集意識を可能な限り考察してみたいと思う。
 
 ところで、『悲しき玩具』歌稿ノートの段階区分は(前稿で詳述したように)藤沢全『啄木哀果とその時代』(桜楓社・昭和58年)に従うこととなる。その藤沢説の詳細な分析によれば、『悲しき玩具』歌稿ノートの記入状況は、次の五段階と想定されている。
  第一段階 (3〜68番歌)(略)
  第二段階・前期 (69〜98番歌)
        ・後期 (99〜114番歌)
  第三段階 (115〜130番歌)
  第四段階 (131〜177番歌)
  第五段階 (178〜194番歌)

 なお、『悲しき玩具』歌稿ノートの全歌には一首ずつ○印が記入されているが、「第一段階」〜「第三段階」の一部にはさらに色分けされた中点も付されている。中点の色は、「第一段階」が黒色、「第二段階・前期」が朱色、「第二段階・後期」は中点なし、「第三段階」が青色と黒色になっている。又、「第四段階」には、最初の一首のみに黒い炉の中点が付されている。

 本稿では、そのうちの「第四段階」を考察することになるが、その歌群は以下に示す「新日本」「文章世界」「層雲」に対応する歌群になる。なお、一部の歌の上部にA〜O、下部に※印を付してあるが、それは配列構成の意識を最後に考察するための参照事項としたい。

***************

 この「はじめに」を読んだだけでも、わくわくする内容である事はお察しできると思いますが、復刻版の『悲しき玩具 直筆ノート』(盛岡啄木会の昭和55年発行ですが、現在も安価で発売されてます)を、手元に置いて大室氏の論稿を読むと、著者と一体となって啄木により近づけると言うことが、私の個人的実体験です。

 なお、本論も興味の尽きないものなので、ぜひ先の「一握の砂」の研究論とともに一冊にまとめて頂きたい、と願うのは、私ばかりではないと思います。 (2010年4月23日 佐藤 勝)

短歌が楽しくなる本が出ました!
「短歌は人間の体温にもっとも近い詩型」

15首の啄木短歌の解釈は必読です!

  三枝昂之著『短歌へのいざない』四六判 255頁 1400
     (NHK出版 2010年1月発行

 
  2月の中旬、私はある「啄木の集い」に参加するために岩手県に行きました。
  東京から盛岡まで、新幹線の所要時間は2時間26分です。が、

  私は車中で読む一冊の新刊書をあらかじめ選んでおいたので、
  それが今回の旅の楽しみのひとつでもありました。
 
  持参した本は、三枝昂之著『作歌へのいざない』(NHK出版)です。

  この本の帯には「短歌はちっとも難しくない!」と大書されております。
  が、この本を読んだ人なら誰もが「そうなんだ」と、コピーの言葉を
  納得するのではないだろうか。

  著者は最初の一行に、
 「短歌は人間の体温にもっとも近い詩型。私はそう考えています。」と記す。
  見事な一言の表現です。この言葉は頁を繰るごとによみがえりました。

 この本を私は、今、短歌を作っている人に、これから作りたいと思っている人にも、
 そして短歌はちょっと・・・・・・と思っている人に、ぜひ読んでほしくて、
  最近の私は、出会う人ごとに、この本のことを吹聴しております。

 これまで気付かなかった、短歌の面白さや楽しさが発見できたようで嬉しいのです。
 そして、今まで以上に、多くの人の歌(歌集)を読んで見たくなりました。

 この本に引用された歌の多くは、明治以降の歌人たちと現代も短歌雑誌や
  新聞などで、その名を目にする歌人たちの作品です。

  その人たちの作品を例に引きながら、初心者(?)にも、解りやすく、
  誰もが、その歌人の歌をもっと読んで見たい、と思うようになるはずです。

 この本は、これから短歌をはじめたい、と思っている人はもちろん、
 今まで短歌にながく親しんで来た人にも、短歌と出会った頃の感動を
 思い出させてくれる一冊ですから、ぜひご一読を、と
 言ってすすめたくなるのです。

 また、とりあげられた歌の中には、15首の啄木短歌の解釈などもあって、
 歌人の著者ならではの、著者の独自な解釈に私は感動しております。
 で、啄木愛好者のみならず、研究者の方々にもおすすめしたい一冊なのです。
 (2010年3月1日)



湘南啄木文庫の「収集目録」第22号が出来ました!
A5判 23頁 頒価 800円(送料共)

「湘南啄木文庫収集目録」22   佐藤 勝 
―平成2012月1日から平成211130日までに発行された石川啄木関係文献―

 22号には、単行本(準資料も含む)など
21点、特集号雑誌など19誌(紙)(文献97点)、研究論文など34項目115点の文献、書評・新刊紹介文献24点、新聞・雑誌の記事など442点、CD・ビデオなど13点、1号から21号までの補遺文献71点など、総数836点の石川啄木関係文献を紹介しました。

※上記の目録をご希望の方はメールにて湘南啄木文庫までお申し込み下さい。
申し込み方法については★「余剰本コーナー」を参照して下さい。
「頒布書籍のご注文メール宛て」

啄木の生涯が文庫本になって盛岡から発行されました!
松田十刻著『26年2か月 啄木の生涯』
盛岡出版コミュニテイー
連絡先は、下記の読売新聞(岩手版 記事)をコピーして貼り付けますので、ご覧下さい。

郷土文化の文庫本  盛岡の出版社 年2冊で

 盛岡市の出版社・盛岡出版コミュニティーが、郷土文化の「地産地消」を目指し、「もりおか文庫」を創刊した。盛岡など県内ゆかりの作家に執筆してもらい、年に2冊のペースでシリーズ出版していく計画だ。

 盛岡出版コミュニティーは、地元の書店に約20年勤めた栃内正行さん(55)が、「盛岡をはじめ岩手の文芸を発掘し、全国に発信したい」と7月に設立。第1弾は、盛岡出身の作家松田十刻さんの「26年2か月 啄木の生涯」(730円)で10月に出版された。

 26歳の若さで生涯を閉じた石川啄木に関する日記や歌集などをひもとき、恋愛や結婚、友人関係などに焦点をあてて活写。「初めて啄木に接する若者でも共感が持てるような内容にした」と松田さんは話す。

 来春には第2弾として、栃内さんの考えに共鳴した紫波町の作家沢口たまみさんの「宮沢賢治 愛のうた」(仮題)が発刊。沢口さんは、「地元の人と賢治の恋の記録を、詩をたどりながらつづってみたい。地元の人にこそ読んで欲しい」と執筆にいそしむ毎日だ。

 挿画や表紙画のほか、本に巻く帯も盛岡のイラストレーターが手がけるなど、内容から装丁まで「地元」にこだっている。栃内さんは「目指すは文芸資産の地産地消」と意気込む。同社では、文庫本のほか自費出版にも力を入れる予定。問い合わせは019・681・1451。

(2009年11月24日  読売新聞)

啄木の妻 節子の 問題の手紙 を全文公開 !!
「青森文学」78号 発売中です

この10月に発行された「青森文学」78号には、愛好者はもちろん、研究者にとっても衝撃的な「啄木の妻 節子の手紙」が掲載されている。
川アむつをという啄木研究者によって筆写された節子の手紙は、啄木没後に房総の地で静養中の節子が、啄木の妹光子宛てに書いたもので、光子自身の著書などにもその一部は引用されており、存在は知られていたが、未だ全文の公開は無くて、その所在さえ不確かな現状であるが、今回発表された手紙は、光子の著書刊行時の協力者であった川アむつをがノートに書き写したもので、これを発見した西脇巽氏がその経緯と懇切な解説を付している。

西脇氏の論稿も貴重な内容であり、これは今後の啄木伝の研究に欠く事の出来ない重要な文献として扱われることになると思われます。


本物は今も三浦家に存在すると思うが、当分の間は世に出る事など考えられません。したがって未完の筆写であっても、啄木の妹光子の問題の著書(『兄啄木の思い出』昭和39年・理論社)の刊行の時に深く関わりのあった、川アむつをという人の書き写しである事と、川アむつを氏の周囲の事や経緯についての西脇巽氏の懇切な解説(論文)は、多くの啄木研究者にとっても貴重な文献として扱われると思います。

「青森文学」78号は、800円(送料別)にて湘南啄木文庫でも取り扱う予定ですが、事務局の米谷氏が煩雑な手間を担って下さるようでしたなら、後日あらためて購入の連絡先を載せますが、お急ぎの方は少数ですが湘南啄木文庫の在庫から発送致しますので、メールで湘南啄木文庫までご連絡下さい。

平成の啄木研究名著 ついに刊行 !
三枝昂之著『啄木 
ふるさとの空遠みかも 
本阿弥書店

先ず、はじめに言いたいことは、啄木の如何なる側面からの研究者も、今後は、本書を読まずして啄木研究を論ずることはできないであろう、ということです。

また、私のような愛好者にとっては、啄木研究書のバイブル的存在となって、永く読まれてゆく本になるだろうということです。

著者の三枝昂之氏は現代歌人の中で、私が最も信頼する歌人の一人であることは、すでに他の所で何度か記してきた事ですが、その理由のひとつは、先年発行した『昭和短歌の精神史』を読めば誰もが納得されるはずです。

『昭和短歌の精神史』は、右にも左にも凭れず、日本人の短歌の精神史を見つめた本ですが、私はあの本を読みながら、思わず涙を流し、襟を正したくなった事を今もはっきりと記憶しております。

その三枝氏が、「あたらしい啄木」を雑誌「歌壇」に32回にわたって連載したものが本書です。

私は連載中の3年間、雑誌「歌壇」の発売日をどれほど待ち焦がれたことか。

それは少年時代に、雑誌連載の物語の続きが読みたくて、何度も本屋の軒先に佇んだ頃と同じような思いだったのです。

それがようやく1冊の本になったのですから、嬉しいやら、有り難いやらです。

啄木の何処が「あたらしい」のか、については本書を読めばすぐに解ります。

先ず啄木は、「自分の居場所を探す」、孤独で、心の優しい青年です。

しかし、啄木の生きた時代も、また平成という現代を生きる青年たちにも、彼らの本当の居場所はあるのだろうか、と私は本書を読みながら何度も思いました。

そして著者は、過酷な時代を啄木は、どのように生きたのかを、明治という時代を語りながら、平成という時代を映し出し、現代を生きる私たちが、今という時代を、どのように生きて行けばよいか、ということを、啄木の歌と生を通して示唆しているように私は感じました。

が、これは私の深読みかもしれません。なぜなら本書は、どこまでも啄木の研究書なのですから。

ですから私も、本書によって明らかにされてゆく、啄木の歌と人生から、その時代に呑み込まれずに生きた啄木の、苦悩と、多くのよろこびのあった事などを、学びましたことも記して置きます。

さらに本書は、全編にわたって、多くの先行研究文献を読み込んで書かれたことを明らかにしながら、その中で著者が見つめなおした「あたらしい啄木の人物像」と「あたらしい啄木短歌の解釈」が、詳細に記されていることを記して置きます。

しかし私がここに、それらの箇所をひとつひとつ紹介すれば、それは383頁の全文を引用しなくてはなりませんから遠慮しますが、ひとつだけ、記しておきたいことは、先行研究文献の紹介が、そのつど、あるいは各章ごとに記されていることです。

これは、ほかならぬ著者の誠実さと、親切な人柄によるものと思うが、とても有り難い配慮を感じました。

とにもかくにも、そして誰にも彼にも、私が一読をおすすめしたい啄木図書の発行された事を、私は心から喜びたい、と思っております。     (2009年11月1日 佐藤勝)

本書について、山梨日々新聞に石川啄木、宮沢賢治の研究者で、現在 盛岡大学学長の望月善次先生の書かれた書評が掲載されました。下に写真版を載せましたのでお読み下さい。(佐藤)
全国書店にて発売中 

三枝昂之著『啄木 ふるさとの空遠みかも』
四六判 383頁2800円+税 本阿弥書店 09/02/30 発行
アマゾン、その他のネット上でも購入できます

井上信興氏がネットで、「啄木と三人の女性」を連載中 !

09年12月10日現在(1)〜(20)を掲載されております

この数年間に、10冊の啄木研究書を立て続けに刊行してきた、在野の啄木研究家(本業は医師)、井上信興氏が、只今(正確には今年の2月から)、ネット上で「啄木と三人の女性」という啄木評伝を連載中です。

この読み物は、氏がこれまでに発表して来た研究とは少しばかり趣を異にするするが、これは、氏の10冊の著書の中でも、最も定評の高い『実録・石川啄木の生涯 漂泊の人』(文藝書房)の評伝を踏まえたもので、今回のネット上では、さらに氏が「実録」で書き足りなかった部分を補足する意図もある、と思われますが、これは連載15回までを読んだ私の感想です。

不定期掲載と言う事も、井上氏が大正10年10月生れ、というご高齢なことから健康を気遣う「明和会ホームページ」の管理者と、何よりも氏、自身の「健康であるかぎり、啄木を見つめ続けたい」という意志の堅さからの配慮だと思う。

私はとにかく、氏のような高齢者が、なおかつ啄木文学の顕彰に情熱を持って取り組んで居られる姿に感動します。

井上氏がこれまでに刊行した著書の文章は、所謂「学究論文」とは異なって、一般の読者を対象とした文章なので、少し気楽に読ませて頂ける、と言う事もあって、いづれの著書も楽しみながら読ませて頂いて来たが、今回はネット上ということもあってか、さらに読み易い書き方をされているので、その点も有り難く思いました。

無理を言えば、ネット小説的に、文章をさらに省いた方が若い人達には馴染み易いかと思うが、88才という井上氏の活力と、その精神力には、ただただ感服するばかりです。

「啄木と三人の女性」というが、本日(09・09・25)現在、石川節子(1〜15)であるから、あと2人の女性は、誰を取り上げて書くのか、予告の無いのも楽しみです。
そして、井上氏の健康を祈りながら、16回以降の連載を待ちたいと思ってます。

2009年9月25日 湘南啄木文庫・佐藤 勝

※井上信興氏の「啄木と三人の女性」は、右の[明和会ホームページ]から「啄木と三人の女性」をクリックしてご覧になれますが、会員登録が必要です。


啄木の職業意識──啄木新刊図書『職業の発見──転職の時代のために』から

このたび(9月)、池田功、上田博共編『職業の発見──転職の時代のために』(世界思想社、2100円+税)が、発行されたました。

明治から昭和に活躍した作家や文人たちの書き残した作品の中に彼らが、自分の職業(転職)の事をどのように考え、また、捉えてそれを体験したのか、について、17名の執筆者が、それぞれの得意とする分野の対象人物をとりあげて、分かりやすく、面白く、そして「転職と天職」について解説しながら、転職のすすめ?、をしております。

石川啄木についての執筆者は、実際に会うと、その肩書(明治大学教授、文学博士、国際啄木学会副会長)に驚くような若い?、池田功氏が執筆しておられます。

啄木が、どのような思い(自分の職業に対する)で、転職を繰り返したのか、特に啄木が、代用教員という職業体験を通して書き残した、素晴らしい職業意識については、池田氏の付けた論題「詩を書く事は天職ではない──石川啄木」からも察しられますが、ここには職業(教育者)に対する啄木の、真摯な姿が語られておりました。これは私(佐藤)にとっても、新しい啄木の発見でした。

なお、啄木以外の項目では、芹沢光治郎、永井荷風、松本清張、柳田国男、羽仁もと子、林芙美子、石橋湛山、坪内逍遥、夏目漱石、特にその中でも、私がこれまでに全く触れることのなかった人物、相馬愛蔵などは、今更に、新しい発見の喜びも一緒に感じられて、嬉しい一冊でした。

どうぞ、皆さんも是非ご一読下さい。そして人物再発見をお楽しみ下さい。(9月2日。佐藤勝)

池田功、上田博共編『職業の発見──転職の時代のために』(世界思想社、2100円+税) 09年9月20日発行。

この本はamazon他のネットからも購入できます。
北京市から、中国語訳 で「啄木詩歌集」など2点が出版!!
2点とも中国語版で、対訳では無いが、特に「石川啄木詩歌集」は、岩波書店版の「新編 啄木歌集」を元にして、周 作人の翻訳を坂本文泉子氏が編集校訂したものと思われるが、岩波文庫の新編版(久保田正文編)を片手に持って比較しながら頁をめくると、中国語はまったく読めない私にも、日本語と同じような漢字が並んでいるので雰囲気が伝わって来るから不思議だ。異国の啄木を偲ぶには最適ではないだろうか。
啄木愛好者の私には つい、「一冊を手元に置いて国際的詩人の啄木を偲んで下さい」、と言いたくなる。


【訂正加筆】
上記の本を私と一緒に購入した盛岡在住のM氏から、本日、下記のようなメールを頂いて、上記の私の紹介文に大きな誤りのある事を知りました。
M氏には心より感謝し、HPをご覧になられた方にはお詫び致しまして、ここにM氏のメール文を紹介して訂正とさせて頂きます。(2009年6月17日)

(前文略)
本日中国語の本2冊が届きました。
ご手配いただきありがとうございました。
代金は、明日にでも送金いたします。

書誌として、湘南啄木文庫収集目録に掲載する場合、5月31日のメールで
お知らせいただいた内容とは、若干違っているようです。
私なりに把握した内容を記します。

(1) 『現代日本小説集・両條血痕』 国木田独歩、鈴木三重吉等 ・ 石川啄
木、武者小路実篤等 著  周作人訳
    出版社:中国対外翻訳出版公司
     出版年:2005年01月 価格 1,764円

(2) 『如夢記・石川啄木詩歌集』 坂本文泉子 ・ 石川啄木 著  周作人訳
    出版社:中国対外翻訳出版公司
     出版年:2005年01月 価格 2,016円

すなわち、2冊ともタイトルが2つあります。
(1)の<現代日本小説集>と<両條血痕>は並列で、2部構成の本としています。
そして、お気づきのことと思いますが、<両條血痕>は、啄木の小説「二筋の血」の
ことです。

(2)の<如夢記>と<石川啄木詩歌集>も並列で、<如夢記>の著者が坂本文泉子
であり、<石川啄木詩歌集>の著者が石川啄木です。

<石川啄木詩歌集>は、「一握の砂」「悲しき玩具」「呼子と口笛」「食ふべき詩」
から構成されていますが、二冊の歌集の全歌が訳されていることに感激しています。
それも、訳しているのが、魯迅の弟「周作人」というのも大きな喜びです。

これまで、中国本土でも啄木の翻訳本が出版されているという断片的な情報は得てい
ましたが、入手をトライするような具体的な情報は少なく、また行動力も伴わないで
いましたが、佐藤さんのおかげで、氷山の一角かもしれませんが、今回貴重な中国の
啄木本を入手することができました。
(後略)

『石川啄木詩歌集』(「一握の砂」〈全〉「悲しき玩具〈全〉」収録) 周 作人・坂本文泉子訳 四六判 337頁〈中国語〉日本国内頒価 2016円(国内の取り扱(東方書店・東京 神田店/京都店)/出版:中国対外翻訳出版公司 /発行:2005年1月

「現代日本小説集」には、啄木の小説は「両條血痕」(※両は別文字です)1篇ののみの収録であるが、こちらには、近代の代表的な小説が多く収録されておりますので、今、中国で読まれているものに興味のある人にはお薦めです。
『現代日本小説集』(石川啄木は1篇収録)四六判(171〜188頁)日本国内頒価 1764円(国内の取り扱(東方書店・東京 神田店/京都店)/出版:中国対外翻訳出版公司 /発行:2005年1月

インドから ヒンデイー語訳
啄木歌集が二冊発行
 !
昨年の11月に国際啄木学会はインドで大会を開いて、話題になったが、このたびインド大会にあわせて同国から2冊(正しくは巻一、巻二)のヒンデイー語と日本語の対訳本が刊行されました。

著者はウニタ サチダナンド、望月善次共著

巻一は、『一握の砂』の「我を愛する歌」1〜151を収録。
巻二は、『一握の砂』の「煙(一)(二)」152〜252を収録。

発行所=インド
発行日=2008年/判型 B5判 /巻一、115頁

発行所=インド
発行日=2008年/判型 B5判 /巻二、95頁

石川啄木 原作の寓

「サルと人と森」が刊行

石川啄木が盛岡中学の校友会誌に投稿した寓話が、このたび盛岡市の石川啄木記念館の山本玲子学芸員の現代語訳で刊行されました。
これは、去る4月6日付けの毎日新聞ネットニュースで岸井成格の「TVメール」に紹介されていたので、すでにご覧になった啄木愛好者も多いかと思いますが、今日の自然環境問題については社会全体が感心を深めている、ということもあって、多くの人たちに、啄木が100年前に環境問題を提起していた、という事を吹聴して行きたい一冊だと思って啄木愛好者の私には嬉しいニュースです。

下に毎日新聞に載った文章の、本書の関係部分をコピーして貼り付けておきますので、興味のそそられた方はぜひ、講読して見て下さい。
一読の価値は絶対にある、というのが私の感想です。

発行所=NP法人「森びとプロジェクト委員会」
発行日=2009年3月31日
判型 タテ19cmm ヨコ22cっm

なお、上記の本は一般の書店では購入できませんので、
盛岡市の石川啄木記念館
又は「森びとプロジェクト委員会」へ申し込んで下さい。

〒257−0013 東京都北区東田端1-12-24 二美ビル201
電話・FAX・03-5692-4900 まで問い合わせ下さい。
頒価は1000円+税と送料との事です。
「サルと人と森」について(2009年4月6日の毎日新聞ネットニュース掲載文から)
(前略)先に紹介した植林NPO「森びとプロジェクト委員会」も6年目に突入し、養成されたインストラクターも100人を超えた。活動の輪も広がり、地方の新聞、テレビで紹介される機会が多くなった。同委はこのほど一風変わった絵本「サルと人と森」を刊行した。原作は、あの石川啄木が102年前に母校の同窓会誌に寄せた物語だ。
 森の中でサルと人間が激しく応酬する。サルは「人間の歴史は退化であり、自然を破壊して地獄の道を歩んでいる」と痛烈に人間の“文明”を批判する。啄木の先見性には驚くばかりだ。(問い合わせは同委事務局、03・5692・4900) (毎日新聞ネットニュース掲載の岸井成格氏の文章から引用です)

新刊啄木図書紹介

谷静湖と石川啄木』 四六判 105頁 600円+税 塩ブックス 09.02,28

埼玉県には、石川啄木と関わりを持った青年が何人かいる(居た、と云うべきか)。谷静湖もその一人であるが、その存在(研究)はあまり知られていなかった。
今回、北沢文武氏の研究によって、静湖と啄木の関係のほぼ全容が明らかになった事は、嬉しいことです。
啄木が、文学を志す後進のために、どのような関わりを持ったか、という点にも私は注目している。
啄木が、その文学(研究も同じだが)を自分だけのものと考えず、周囲と協調して広めて行くことの大切さを知っていたからである、と私は思う。貴重な啄木研究書だ。(2009年3月13日 佐藤勝)

※上記の図書はアマゾンで購入できます。『谷静湖と石川啄木』をクリックして下さい。

出版社(塩ブックス)の住所とFAXは下記の通りです。
※〒334-0073 埼玉県川口市赤井 1-4-9インフォルムビル内
FAX:048-280-1272

啄木短歌の最新英訳本
荒又重雄著 『啄木を英文で詠む』
 が北海道で刊行されました。
本書はこれまでに発行された冊子版論稿の一部に加筆訂正して一冊にまとまたもの、と思いますが、英語学零年の私が下手に紹介文を書くよりも、著者である荒又氏の「まえがき」の一部を抄出して、著者の思いの一部をお伝えした方が良いかと思います。 

*******(略)***** 啄木が近年ますます世界に広く知られるようになっていると聞くにつけ、また、それに伴う外国語訳の出現に、日本人の側からの批評活動が必ずしも活発でないことを知るにつけ、これを配布して諸氏の好意ある扱いにゆだねたいと思う ************

*******(略)******・・・(これまでの英訳をみて)・・・日本人同志でも解釈の差が相当程度に訳文に現れています。【いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指の間より落つ】の歌の解釈で、わたくしは運が付いててこない自分が口惜しくて、啄木はここで砂を握り締め、何事にも無反応な砂を侮辱していると読むのですが、坂西志保訳は以下です。

O.the sadness of Lifeless sand!
Tricking
It falls through my hand
When I take it in my hand

「握る」を「掬う」に近いこころで訳しています。
須賀照雄訳は以下です。

How sad the sand is that has no Iife of its own!
It comes falling down
With a sound as stream from detween my fingers.

「さらさらと」を、日本人に例の学校唱歌「春の小川」を連想させるように訳されてしまっているのではないでしょうか。
わたくしの自己主張は、以下の本文で読み取っていただくことにして、もう一つ、わたくしが翻訳を試みていちばん問題だと感じたのは、日本の和歌の伝統にある詠嘆、とりわけ「あはれ」とか「かなし」とかいう形容詞、「かな」「かも」等々助詞の扱いです。日本人同志の以心伝心では、外国人には伝わらない。立ち入って、「詠嘆」しているこころ方向の種別を、言語化しなければならないのではないか、と考えるのです。わたくし流の努力の当否を誰かが点検してくれることがあれば、幸運この上ないことです。 **********(略)*********

発行日・2009年1月30日
A4判サイズ 全66頁 定価不記載
発行者連絡先・札幌市中央区北4条西12丁目ほくろうビル3F 北海道労働文化協会内 (著者宛)に

井上信興著『啄木文学の定説をめぐって』
井上信興さんが、またまた啄木図書を新書判で、2009年1月に刊行されました。
この本は著者がこれまでに発表した論稿(単行本など収録の)の一部を新書判向きに書き改めて、著者が主張する啄木文学の定説をまとめたものです。コンパクトな新書判には、親しみを感じました。

書名・『啄木文学の定説をめぐって』新書判
発行社・そうぶん社出版
定価 ・800円(税込み)
発行日・2009年1月1日
女声合唱曲集に「橘智恵子を詠う」
啄木の歌3首に土肥定芳が作曲


 このたび、神奈川県秦野市在住の作曲者 土肥定芳氏の作品から夫人の美枝子氏によって「女声合唱集 山のあなた」が発行された。
 この曲集には、啄木が函館時代に知り合って、その面影を慕って詠んだ22首の中から3首を選んで定芳氏が作曲した、「別れきて」が収録されている。
 私は未だ、この曲を聴いてはいないのだが、美枝子夫人の文章”「山のあなた」によせて”を読んでいたら、美枝子夫人の声をを中心とした、美しい女声合唱が聴こえたような錯覚を感じてしまった。
 短い文章だが、感動的なので、その一部を以下に記しておく。 (2008年11月18日・佐藤勝)

(前文略)
「(夫は)50代からは大病との闘いに明け暮れるようになりました。「このままでは廃人になる」という危機意識の中で、「あれほど好きだった音楽を・・・・・・」とふと思いつき、地元の秦野混声合唱団の扉をたたいたのがすばらしい転換点となりました。最初は歩行困難、眼瞼けいれんのため眼も不自由、声もほとんど出ない状況でしたが快く受け入れていただき、一歩、また一歩、本当にゆっくりではありましたが「音楽への思いを唯一の杖」として快復、自立への道を歩み始めました。以来約7年、連れ添う私の予想をはるかに超える快復を見て、本当に好きなことへの執念が精神のみならず、肉体までも支えるという人間の不思議さを実感している昨今でございます。」
(後文略)

 ※ 「女声合唱集 山のあなた」A4判 48頁 2008年10月発行
 発行者:土肥美枝子(連絡先:〒259−1324 秦野市千村4−5−17)
新刊で『一握の砂』文庫版2冊が発行
 啄木歌集『一握の砂』の文庫本が、この11月に2社から発行されました。(写真及び下記の「最近の啄木図書10点」を参照)
 
 宝島社文庫(11月19日)と朝日文庫(朝日新聞出版:11月30日)です。いづれもおすすめの新刊ですが、宝島社文庫の方には、評論「時代閉塞の現状」が加えられて、郷原宏氏の書き下ろし解説が付いている。
 
 朝日文庫は、明治43年に発行された初版本を再現した歌の配列を基調としており、編者の近藤典彦氏の解説を読んでから、ページを繰ると、啄木の編集意識なども理解出来て、新しい『一握の砂』を発見出来るように工夫されている。
 どちらもおすすめの文庫本なので、2冊購入して読み比べる事が一番良いと思います。(2008年11月8日・佐藤勝)
 
盛岡の啄木

 このたび、啄木の故郷、岩手県盛岡から、『盛岡啄木手帳』として、啄木の日記、書簡、随想などを集約した本が発行された。
 石川啄木記念館の学芸員・山本玲子さんの懇切な解説もついており、啄木と盛岡という街との関わりや、盛岡人との関係など、興味のつきない一冊だ。
 
 本は文庫サイズで、明治を偲ばせるような色調と装幀。380頁。税込み1000円という値段も手頃。本書を手にしていると、啄木が私に話しかけて来るようで、幸せな気分になるから不思議。一般の書店でも買えるそうだが、
詳しくは下記の発行所へ訪ねて下さい。

 『盛岡啄木手帳』2008年10月14日・盛岡啄木手帳刊行委員会発行
 発行所連絡先:盛岡市内丸12−2盛岡市ブランド推進課内(電話:019−651−4111)

※下に、ネットニュースの毎日新聞(岩手)記事をコピーして置きましたので参考にして下さい。(佐藤勝)

 

盛岡啄木手帳:書簡や散文を集め−−刊行委が編集、発行 /岩手

 盛岡ブランド推進の一環として、歌人・石川啄木の書簡や散文などを集めた文集「盛岡啄木手帳」が14日、発行された。盛岡啄木手帳刊行委員会が編集。刊行委代表の池田克典盛岡市副市長は「啄木作品には、現代の世相にも通じる普遍的な部分が多くあるはず」と話す。

 手のひらに収まる文庫本サイズで380ページ。短歌ではなく、日記や書簡など全集にしか収録されていないテキストを中心に編んだのが特徴。1904(明治37)年以降に出た「胃弱(いじゃく)通信」(1909年)、「時代閉塞(へいそく)の現状」(1910年)など盛岡と関連のある17作品が発行年順に並ぶ。

 解説を書いた石川啄木記念館学芸員の山本玲子さんが、難解な漢字にルビをつけて旧仮名遣いの送り仮名を改めた。「閉塞的な社会に疑問を抱いていた啄木に触れ、これを機に全集も読んでほしい」と話す。

 3000部発行。同記念館やもりおか啄木賢治青春館、東山堂書店などで販売するほか、全国の各書店でも販売する予定だ。1冊1000円。【念佛明奈】

毎日新聞 2008年10月16日 地方版

最近発行の啄木にも関する参考文献図書3点

安田敏朗著『金田一京助と日本語の近代』(平凡社新書)284880円+税 平凡社 08・8
<一口紹介>
 啄木と金田一京助とに関する記述は、書く人によって古今さまざまだが、安田氏の記述には偏った所が無い。
 また、金田一を過大評価もせず、しかし、その偉大さを認めた真っ直ぐな目によって書かれた文章は気持ちの良い読後感であった。

佐藤昭八編「野村胡堂・あらえびす関係 新聞・雑誌・文献記事目録 及び 執筆者・事項索引」A4判 72頁 (頒価の記載無し) 野村胡堂・あらえびす記念館発行 08・3
<一口紹介>
 一般には流通しない書物だが、啄木の先輩である野村胡堂が、啄木について、どこに、どのような事を書いているかを知るのには、貴重な文献になる。


木股知史
著『画文共鳴』〜『みだれ髪』から『月に吠える』へ〜 四六判 327頁 3400円+税 岩波書店 08・1
<一口紹介>
 直接啄木に触れる論稿はない。が、雑誌「明星」などの装画論は啄木研究の示唆に富む内容となっている。一見の価値多大なり、と言いたい。


最近出版された啄木図書!10点です。

書店から購入しましょう


※下記7点の詳細な「内容目次」は★単行本のコーナーにて紹介しております
 2008年になって、湘南啄木文庫が入手した啄木図書の情報は下記の9点であります。

印は連絡先へ直接、又は湘南啄木文庫でも取り扱い致します。

『啄木の母方の血脈』以外は、いづれの図書もネットからの購入は可能です。
が、なるべく街の書店に注文して、取り寄せて下さい。

書店の方の脳裏に、啄木という文字を、刻み込ませてほしいのです。
 啄木愛好者のみなさん宜しくお願い致します。

※ページ数の記載が無いものは、湘南啄木文庫で只今
取り寄せ中なので、詳細が分かり次第、紹介致します。

湘南啄木文庫・佐藤 勝

2008年11月8日(更新)

書籍名
『一握の砂』
著者名
石川啄木/著・近藤典彦/編
出版社名
朝日新聞出版
発行年月
2008年11月
価格(税込)
520円+税円
ページ数/版型
 322P/ 16c
上記の本(朝日文庫)の紹介が新潟日報に載りましたので、紹介します。写真版なのでクリックしてご覧になって下さい。

書籍名
『一握の砂・時代閉塞の現状』
著者名
石川啄木/著
出版社名
宝島社
発行年月
2008年11月
価格(税込)
460円
ページ数/版型
 254P/ 16c
書籍名
『盛岡啄木手帳』
著者名
石川啄木著
出版社名
東山堂
発行年月
2008年10月
価格(税込)
1,000円
ページ数/版型
 380P/ 16c

書籍名
『北天の詩想 啄木と賢治、それ以前・それ以後』
著者名
遊座昭吾/著
出版社名
桜出版
発行年月
2008年9月
価格(税込)
1,000円
ページ数/版型
 224P/ 22cm

書籍名
詩物語 啄木と賢治
著者名
関 厚夫/著
出版社名
扶桑社
発行年月
2008年9月
価格(税込)
1,785円
ページ数/版型
423P/ 20cm
ISBNコード
978-4-594--05750-3 (4-594-05750-0)

書籍名
  野口雨情そして啄木
著者名
井上信興/著
出版社名
渓水社
発行年月
2008年7月
価格(税込)
1,890円
ページ数/版型
221P 20cm
ISBNコード
978-4-86327-022-0 (4-86327-022-4)

書籍名
啄木の妻-節子星霜 ひとり芝居・二幕
著者名
山本卓/作  
出版社名
同時代社
発行年月
2008年6月
価格(税込)
1,575円
ページ数/版型
108P/ 20cm
ISBNコード
978-4-88683-625-0 (4-88683-625-9)

書籍名
  啄木の母方の血脈─新資料「工藤家由緒系譜」に拠る─
著者名
森 義真/佐藤静子/北田まゆみ/編  
発行者
遊座昭吾
発行年月
2008年5月
価格(税込)
1,000円
ページ数/版型
98P/ 21cm
連絡先
〒020-0131 盛岡市中堤町 32-48 森方
FAX:019-641-2462

書籍名
石川啄木 その散文と思想
著者名
池田功/著
出版社名
世界思想社
発行年月
2008年3月
価格(税込)
6,090円
ページ数/版型
298P/ 22cm
ISBNコード
978-4-7907-1313-5 (4-7907-1313-X)
シリーズ名
明治大学人文科学研究所叢書

書籍名
啄木と朝日歌壇の周辺
著者名
平野英雄/著  
出版社名
平原社
発行年月
2008年2月
価格(税込)
1,050円
ページ数/版型
117P /22cm
ISBNコード
978-4-938391-43-0 (4-938391-43-0)
 
いわき市の「石川啄木〜貧苦と挫折を超えて〜」について

 いわき市立草野心平記念文学館で、この夏、特別企画展「石川啄木〜貧苦と挫折を超えて〜」が開かれる。

 いわき市は私の故郷であり、草野心平の故郷 小川村は私が生まれ育った村(旧入遠野村)とは、三石山を挟んだ隣村である。だから、私も何十年ぶりかで、企画展の期間中に訪ねてみることにした。

 JRの常磐線いわき平から、磐越東線に乗るのは多分、五十年ぶりではないだろうか。
 詳細は下記の案内を。 (2008年7月18日 佐藤勝)

 いわき市で、石川啄木展 

石川啄木〜貧苦と挫折を超えて〜

いわき市立草野心平記念文学館
 開館10周年記念企画展
2008年7月19〜8月24日

期間2008年7月19日〜同8月24
場所いわき市立草野心平記文学念館 (福島県いわき市小川町高萩字下夕道1−39)

主な内容:岩手出身の詩人・石川啄木を取り上げ、日本近代文学館名誉館長の中村稔さんの監修で生涯や詩歌の世界を紹介する。

 家族・友人へあてた手紙や貴重な自筆の原稿、ノートなど合わせて約80点を展示。

 ほかに、7月20日には、ソプラノ歌手 小川邦美子コンサート(14時〜)「啄木の魅力をうたう」

7月27日には中村稔(詩人・展示監修者)記念講演会(14時〜)などの企画もある。

入場は一般が420円、高校・高専・大学生が310円、小・中学生が150円。

※65才以上の方は無料です。

開館は午前9時から午後5時(土曜日は午後8時)まで。

月曜日定休ですが、7月21日は開き、22日が休館となる。8月11日は臨時開館。

 問い合わせは直接、記念文学館電話0246(83)0005へ。

 ※ 交通機関で、電車を利用される方は、JR磐越東線「小川郷駅」から、文学館まで約3.2キロですが、バスはありませんので、タクシーを利用されることをおすすめします。
なお、タクシーは利用電車の到着時間に合わせて、予約を入れておくこともおすすめ致します。(平和タクシー電話:0246−83−0023)


「釧路春秋」春季号が啄木特集号を発行
 
 釧路文学団体協議会が発行する「釧路春秋」春季第60号が、このたび啄木特集号として発行されました。
 その内容は、特集T.現代にみる石川啄木/特集U.私の好きな啄木の歌、となっております。
 特集T.は、釧路在住の啄木研究者と文学関係者の「啄木来釧100年記念シンポジュム」で、パネラーは、北畠立朴(『啄木に魅せられて』の著者)/高橋一美(『落第記者啄木』の著者)/ほか3名。
 司会は「釧路春秋」編集長の永田秀郎(「さいはての啄木」ほかの著作者)氏です。
 
 各氏の発言の中には注目すべきことも多いので、啄木(特に釧路時代の)に関心のある人にはおすすめしたい特集号でした。(2008年5月28日 佐藤)

「釧路春秋」第60号 1200円 2008年5月17日発行

 本書は釧路市内の主な新刊書店で販売されてが、詳しいことの問い合わせは下記の住所へ。
〒085ー0836
釧路市幣舞町4−6 釧路市立図書館内 釧路文学団体協議会

新資料”啄木の系譜”を盛岡の3人が出版!
湘南啄木文庫でも頒布致します

『啄木の母方の血脈─新資料「工藤家由緒系譜」に拠る─ A5判 98頁 頒布価格1000円 +送料と振り込み手数料 2008年5月11日発行
編集: 森 義真/佐藤静子/北田まゆみ
序: 遊座昭吾 /解説: 森 義真
連絡先:〒020-0131 盛岡市中堤町32−48 (森方)
FAX:019−641−2462

以下は遊座昭吾先生の序文からの抄出ですが、本書の内容と発刊までの経緯がよく語られているので、その一部を抄出して掲載しました。(佐藤勝)

(前文略)
「詩人啄木は、父方の石川家と、母方の工藤家の血脈から誕生した。この度、母方工藤家の血脈を証かす、貴重なる「工藤家由緒系譜」が、発行されることっとなった。些かの由縁を持つ私にとって、その喜びはたいへん大きい。
 啄木研究家の先達岩城之徳氏、昆豊氏、郷土史家佐々木京一氏の先駆的研究を継承しながら、新資料工藤常象謹撰「工藤家由緒系譜」を、三名の編者が、二年の歳月を掛け、多くの専門家からご教示を受け、可能なかぎりの文献を渉猟し、共同して解読に当り、翻刻して遂に集成した。(後略)」(遊座昭吾「序」より)


本書は湘南啄木文庫でも頒布致しております。購入希望者は「湘南啄木文庫」までメールで申し込み下さい。
送料は湘南啄木文庫が負担致します。
※湘南啄木文庫の取り扱い数には制限がありますので、品切れの場合は発行者へ直接申し込み下さい。
湘南啄木文庫へのお申し込みは★新刊コーナーからどうぞ。

山下多恵子氏の「啄木と郁雨─友の恋歌 矢ぐるまの花─」が新潟日報に連載開始!
2008年5月8日(木)に第1回が掲載されました。文末に、「次回から毎週水曜日掲載」とありますので楽しみです。

※この項についてのコメントは後ほど記しますが、取り敢えず連載開始のことをお伝えします。(佐藤勝)

最新刊
池田功著『石川啄木 その散文と思想』 世界思想社

上記の本はヤフー又は楽天のネットでも購入出来ます。
2008年3月31日 世界思想社 5800円+税

 只今、新聞2紙が「啄木評伝」を連載中!
 <その1>
 穴吹史士 「歌う記者 石川啄木 朝日新聞社の3年間」は昨年12月1日より、朝日新聞(首都圏版の夕刊、毎週土曜日に掲載)に、連載開始となり、3月29日現在で17回目ですが、回を重ねるごとに、興味深い内容になっております。

 <その2>
 関 厚夫 「詩(うた)物語 啄木と賢治」は、近年発刊された「SANKE EXPRESS」(サンケイ・エクスプレス)というタブロイド判の新聞で、1月14日より(月〜金に掲載)<啄木篇>として連載が開始されました。
 3月28日の54回を掲載して<啄木編>は完結し、来月21日からは、<賢治編>を掲載すると告知されておりました。
 連載中、毎回カラー大判写真入りで、新聞を見るのが楽しみでした。単行本として発行される日が待ち遠しい思いです。

 余談ですが、「サンケイ・エクスプレス」の「啄木伝」掲載の情報を頂いたのが、連載40回を過ぎてからなので、神奈川県立図書館に新聞の保存館を尋ねた所、県内や首都圏の図書館では、保存している所が無くて、全国新聞協会の「新聞ライブラリー」(横浜市中区)にある事を教えて頂きました。

 私はネットで検索して、一週間の無料試読のあと講読を申し込んでみました。
 以前の分は「横浜情報文化センター」にある、全国新聞協会の「新聞ライブラリー」でコピーをとってきましたが、コピー代は一部40円、紙面の3分の2を超えない事、の規定がありました。 (2008年3月30日・佐藤勝)


 
 平野英雄さんの著書『啄木と朝日歌壇の周辺』が、朝日新聞の全国版記事(08.03.19 朝刊)になって、紹介されてました。
 ネットでも見られますので、次の書名
『啄木と朝日歌壇の周辺』をクリックして、ご覧下さい。

啄木と朝歌壇の周辺』平野英雄著
平原社 08・2 (A5変型判 117頁 1050円)
 朝日新聞の首都圏版夕刊に、昨年12月1日より、毎週土曜日に、穴吹士史という方の文章で「歌う記者 石川啄木」が連載されている。
 2月16日の分は、まだ、読んでない(図書で見てるから)が、多分11回目も載っていると思われる。
 啄木の朝日新聞社時代の事が、新聞記者の経験者らしい筆力で書かれているので、コピーを取りながら、秦野市図書館(私には不便な場所にあるが)へ毎週一回通っている。

 そんな日々の私の所へ、このたび、驚く様な啄木図書が届いた。
 上記の平野英雄著『啄木と朝日歌壇の周辺』である。著者とはお目にかかった事はないが、共通の啄木友人を介して知り合いとなり、情報の交換をしてきた。
 平野氏は、かなり前から「朝日歌壇と啄木」の研究をしてきた人で、貴重な論考も発表されてきたが、今回の著書には、それらの論考のほかに、啄木研究者の一部で、朝日歌壇に載った「白面郎」という人の歌は、啄木の歌ではないか、とも言われているのであるが、この「白面郎」なる人物を詳しく調べた、「白面郎は啄木でなかった」という論考を載せている。

 平野氏の執念とも言える研究成果である。と、ともに、この著者からも啄木への熱い思いが伝わってきて嬉しくなる。啄木もきっと、名誉を挽回してくれて有り難う、と言っている事と思うのは、私だけだろうか。
 
 朝日新聞の穴吹氏の連載がはじまった中で、先行研究者である平野氏の書がでた事は嬉しい事です。 
 本書は湘南啄木文庫おすすめの一冊とします。(2008年2月18日 佐藤勝)


 平野英雄著『啄木と朝日歌壇の周辺』
平原社 08・2 (A5変型判 117頁 1050円)


湘南啄木文庫では上記の本を著者平野氏のご好意にて
冊数に限りはありますが頒布させて頂きます。
詳しくは「★新刊コーナー」の頁をご覧下さい。

本書の購入はお近くの書店、又は出版社へご連絡下さい。

山本玲子著『新編 拝啓 啄木さま』は 啄木豆事典!
 
 
このたび(2008年2月17日)、「しんぶん赤旗」に上記の啄木図書についての拙文を載せて頂きましたので、ご覧になった方もあると思いますが、この本の紹介を私はどうしても書きたかったのです。特に私と同じような啄木愛好者のために。このたび刊行された新編は、啄木愛好者の私にとって大変待ち遠しいものでしたから。

 前の本が絶版になって、愛好者の人にすすめたい啄木図書が一冊、どうしても不足している感じでしたから、私はなおさら嬉しくてならないのです。
 今度の新編は、前著をそっくり収録したほかに、プラスされた多くの文章が入ってます。

 著者の山本玲子さんは石川啄木記念館の学芸員です。第一章には、山本さんが「啄木への熱い思い」を綴った手紙を収められてますが、この熱い思いは、私たち啄木愛好者の思いそのものなのです。

 第二章には、日頃の啄木研究のかたわらに感じたという啄木エッセイを載せております。
 このエッセイが啄木愛好者の私には又、何とも言えないほど嬉しくなるものなのです。

 私は、著者の山本玲子さんも、私と同じように、いや、私などの何倍も、何倍も「熱い啄木愛好者」だと思います。
 そうでなければ、これほど読者の知りたいことを、的確に実証しながら、分かり易く、伝えることは出来ないのではない、と思うのです。

 研究者の皆さんにも、ミーハー的などと笑う前に、ご一読をおすすめしたいように思うのですが如何でしょうか。(2008年2月18日 佐藤勝)

しんぶん赤旗に掲載の書評
初のアラビア語版『啄木歌集』
シリア共和国で発行されました!

 オダイマ・ムハンド、武田朝子翻訳『啄木歌集』<アラビア語・日本語対訳版>B5変判 170頁 ダール・タクウイーン社(シリア共和国) 07・─

 昨年の10月に盛岡の知友、啄木研究家の森義真氏から、「アラビア語版の啄木歌集」が発行された、という情報を頂いて、ぜひ、一部購入したいとお願いしたところ、年末の31日に森氏を通して、本書の恵送にあずかった。

 私がアラビア語を読めるわけではないが、啄木歌集と聞けば私の血が騒ぐのには変わりはない。それだから、日本語と対訳というのは有り難い。

 送られてきた歌集を手にして私は先ず、その表紙のデザイン、しっくりとした色合いに感激した。(私が写したHP上の写真はそれを上手く撮っておりません)裏表紙もなかなか良いのです。
 
 森氏の手紙によればアラビア語圏内で啄木歌集のみならず、アラビア語と日本語を併記した書籍が発行されたのは本書が初めてとの事です。
 翻訳されている歌は『一握の砂』の「我を愛する歌」148首、「煙」98首、「忘れがたき人人」(一、二) 130首、『悲しき玩具』33首、全部で409首の歌が収められている。

 翻訳にあたったオダイマ・ムハンド氏は詩人で現在は日本の大学で非常勤講師も勤めておられる方とのことです。
 私は何時かシリアの詩人オダイマ・ムハンド氏が何故啄木の歌を翻訳する気持ちになったのかを直にお聞きして見たいと思う。
 そして、この素敵な感触の啄木歌集を多くの啄木愛好者にも手にとって頂きたいと思う。

 アラビア語版『啄木歌集』の向こう側にある、遠いシリアという国と、その周辺の国々に起きている不幸な戦いのことやその国の人々のことをもっと知って、今、私たちに何ができる支援なのか、その国の人々にとって本当に必要な支援とは何なのかを考えて見たいと思う。

 世界に広がる啄木の歌のように、私もまた、視野を広めたいと思う。(2008年1月4日 佐藤勝)


※本書の日本での頒布は4月以降になる予定との事ですが、詳しい事はわかり次第にお知らせします。

啄木の新刊図書 07・12発行
門屋光昭著『啄木への目線』の紹介と感想(佐藤)
門屋光昭著『啄木への目線 ─鴎外・道造・修司・周平─』 四六判 252頁 2520円  洋々社 07・12
 (本書の目次)
  緒言 ※あえて、わが啄木好み ※「寺の子」の挫折と流転
 第一章・啄木の絵葉書
  1.石川啄木記念館所蔵の絵葉書
   (1)赤坂芸者万龍の絵葉書
   (2)啄木記念館所蔵の絵葉書
   (3)啄木に来た絵葉書
  2.啄木と橘智恵子─「長き文三年のうちに」考
   (1)葉書が糊付けされた『一握の砂』と「忘れがたき人人 二」
   (2)「我の書きしは四度にかあらむ」
 第二章・啄木と鴎外・道造・修司・周平
  1.啄木と鴎外の観潮楼歌会
   (1)鴎外の観潮楼歌会
   (2)啄木の小説と鴎外
  2.立原道造の「盛岡ノート」と啄木
   (1)深沢紅子と立原道造
   (2)道造の見た啄木と賢治
  ※堀辰雄への決別と「風たちぬ」──おわりに代えて
  3.寺山修司と啄木──「便所より青空見えて啄木忌」覚書
   (1)便所より青空見えて啄木忌
   (2)小説「若き日の啄木」の二、三の章について
   (3)偽作「『一握の砂』補遺」
  ※おわりに──啄木と修司のキーワード
  4.藤沢周平の東北回帰と啄木
   (1)藤沢周平の東北回帰
   (2)藤沢周平と石川啄木
  ※おわりに──周平、啄木、そして東北文学
 第三章・啄木と民族芸能
  ※はじめに──文学者の感性と民族芸能
   (1)しょっぱい川を渡った民族芸能
   (2)啄木と渋民の盆踊り
   (3)啄木と愛宕神社の奉納神楽
 結語

 以上が2007年12月15日に発行された本書の目次に記された全部である。
本書はどの項目から読み出しても面白い。私は藤沢周平の小説が好きなので「周平と啄木」の項から読み出した。そして、結局はどのテーマで書かれたものも、面白くて、新しい啄木の読み方に納得出来た。
 また、藤沢周平の小説がなぜ今も私たちの心を引きつけてやまないのか、については、その原点が啄木と同じ「大衆の思い」を記すからであることも確認出来た。
 著者の門屋氏は民族芸能の研究者で『鬼と鹿と宮沢賢治』(集英社新書)や『隠し念仏』(東京堂出版)など多くの著書もある。
 そのような著者だから書けたのであろうと思える「啄木と渋民の盆踊り」も新しい啄木の発見であった。
 さらに、私はよく知っていると思っていた橘智恵子と啄木の関係にも「新しい発見」があった。
 私は今、藤沢周平の最終エッセイ集『ふるさとへ廻る六部は』をもう一度読み直したいと思う。(2008年1月3日 佐藤勝)

【追記】
 先日、湘南啄木文庫と横浜啄木文庫の共催による「横浜啄木の集い」のお知らせに応募して頂いた、Yさんから、上記の啄木図書について、嬉しいメールを頂いたので、本人の了解を得て紹介する事にしました。 Yさん、本当にメール有り難うございました。(2008年2月17日)

湘南啄木文庫 主宰 佐藤 勝 様

 横浜市金沢区の、(Y)です。(編注:お名前は佐藤の判断で載せない事にしました)
 
 ご多用のところ、早々にご連絡いただき、有難うございました。4/26(土)の「横浜啄木の集い」、楽しみにしております。
 
 つい先日、門屋光昭さんの「啄木への目線」を読了しました。ちょうど読み始めた頃、08.1.10付けの岩手日報のホームページの「郷土の本棚」で、山本玲子さんがこの本を取り上げ、最後に、「著者は2年余りの闘病生活の末、昨年12月5日に亡くなった。」
と書いていましたが、本の奥付には、07年12月15日第1刷発行となっていたので、ご本人は、出来上がった本を眼にすることができなかったのですね。
 
 「結語」には、最終校正を山本さんにお願いしたことを記し、「遺稿になるか、さらに次の出版があるかどうか、本人にもわからないが・・」と書いたのが、07年10月とあるので、覚悟はされていたのでしょうが・・・。

 私は、盛岡出身ですが、一昨年の秋、仕事で、久しぶりに近くまで行ったついでに、両親の墓参りのあと、渋民の啄木記念館を訪れました。
 
 「啄木と明治の盛岡」が、一般書店で入手できなかったので、窓口で購入したところ、受付の女性が、奥にいた山本玲子さんに声をかけてくれて、話をすることができました。

 帰りのTAXIをわざわざ見送っていただきましたが、単に自著を買っただけの一人の来訪客に対しても、とても自然で、丁寧な応対振りでした。
 新井満さんがその後、著書「ふるさとの山に向かいて」で、かなりのページを費やして、山本さんの案内振りに感動した模様を書いていましたが、自分のささやかな経験からも実感できました。

 「啄木」を通じて、いろいろな場面で、「感動する」機会があります。大事にしていきたいと思います。

 ご連絡をいただいた嬉しさのあまり、つい長々と余計なことを書いてしまいました。お忙しいところ、“お眼汚し”になってしまい、申し訳ありません。
 では、4月26日、宜しくお願いします。
本書を直接購入ご希望の方は、洋々社へ電話で(03−3268−0796)お申し込み下さい。
「湘南啄木文庫のホームページで見た」、と言って注文して下さい。送料が無料になります。

※上記の本は新刊書店で発売中です。

国語教師の辛口啄木ツアー・釧路から出てます

 
 釧路市地域資料室が発行する<釧路新書>の一冊として去る3月に発行された、小田島本有著『釧路から〜国語教師のメッセー〜』(700円+税)を読んだ。
 私が見出しに「辛口の」と付けたのは、著者の真意に計りかねるところがあるからのこと。

 著書の記述には、啄木が好き、としながらも、私にはそれが冷静さを装う著者のポーズのように読めるのは何故か。

 また、啄木の欠点を羅列するなどの記述にも抵抗を感じるが、それを教育現場で高専生に啄木を伝える「ワザ」にしては如何なものか。

 だが、啄木を市の観光目玉にする釧路市の刊行物である<釧路新書>として発行されているのであるから、私のように感情に害されずに読める人には、釧路市内の啄木案内として、一読の価値はあると思いたい。

 目次を開くと
 「石川啄木と釧路」/「高専生と啄木ツアー」
 啄木に関する項目は二つだが他にも随所に啄木談義は噴出する。

 この本に著者の記している事のほとんどは事実と思うが、しかし、どこを読んでも私が気になるのは、啄木よりも講義している著者の方が偉い、とう声が後ろの方から聞こえそうで、それが聴講者の高専生を啄木から遠さけてしまうのではないか、ということだった。

 それは本書に収録された項目の多くが、高専生に向けて「語られたもの」だったからであるが、同じように高校生向きに書かれた二冊の啄木図書があるので記して置く。

 南條範男著『高校生のための 石川啄木読本』(宝文堂 935円+税)
 理崎 啓著『啄木評伝 詩人の夢』(日本文学館 1000円+税)
 この二人の著書は、事実はしっかりと記しているが抵抗なく読めるのは、著者が、語るべき対象者(啄木)への暖かい眼差しを向けているからではないだろうか。

 南條氏も理崎氏も啄木の素晴らしさを若い魂に響かせたい、という熱い思いで書いている。また、二人の著者の生業も同じ高校教師である・・・・・・。
 <釧路新書>からはかつて鳥居省三著『石川啄木─その釧路時代』という名著も刊行されていた事を思い出す。 (
200711月3日 佐藤勝)

 


※本書の購入希望者は「釧路市役所地域資料室」へ問い合わせて下さい。
 定価735円 新書判 252頁 07・3 <釧路新書28>

小樽の啄木事典 『小樽啄木余話』を豆本で発行 小樽啄木会の水口 忠さん

 この10月に小樽啄木会の水口忠会長が『小樽啄木余話』という豆本(タテヨコ9.5mm 96頁)を余市豆本の会から刊行した。
 著者の水口氏は、この本は多くの研究者や地元の方々の成果をまとめたもので、これが「小樽での啄木を知る契機になればと思う」と記している。

 まさに著者の言葉の通りで、目次に並んだ18項目のどの項を見ても「小樽と啄木」の関係がよくわかり、さらには意外な事を知らされる。

 その項目の一部を記してみよう。
 ※「赤い靴」と啄木
 ※「小樽日報」記者 啄木
 ※榎本武揚と啄木
 ※羽織と袴
 ※石川家の家計 小樽編
 
 これらの項を読んだ時、私は、これは『石川啄木事典』(国際啄木学会編・おうふう)の小樽補遺編だ、と思いました。
 これほど正確に、しかもコンパクトで簡潔な文章は、さすがに地元の啄木研究の第一人者ならではのものです。
 私は感謝、感謝の思いで一読して、嬉しくてすぐに、この本の紹介をしようと、書き出した次第です。

 この豆本はこれからも何度も私は読み返す事と思います。
 この本によって啄木が、小樽で暮らした115日余が如何に素晴らしいものであったか、をはじめて知った気がします。

 私がこのような想いになったのは、著者の目が冷静な研究者としての目と、「天才啄木」への畏敬の想いによって書かれているからだと思います。

 値段も想定外の安さなであり、小樽文学館が取り次ぎをして下さるというので、ご一読をおすすめしたいと思います。
 本書の購入を希望される方は下記の小樽文学館宛に電話の申し込みで購入できます。
 代金は本が届いてから、同封されている振り込み用紙で、本代500円+送料を郵便局から送金します。
 なお、小樽文学館に申し込んだ方には特製の「石川啄木来樽・「小樽日報」創刊百年記念」の絵葉書2枚がプレゼントで同封されます。   以上 (2007年10月29日  佐藤勝)
 
 ※小樽文学館=電話:0134−32−2388

(写真は特製の絵葉書と豆本です)

絵画雑誌「一枚の絵」(07・8月号)が、石川啄木特集号
 
 少し遅れた情報になったが、書店に申し込めば購入出来るのでお知らせします。

 絵画雑誌「一枚の絵」は過去に「啄木と賢治のふるさと」(1997年)という素晴らしい別冊特集を出しておりますが、今回は小規模で「石川啄木の哀しみ」として全25頁の特集です。

 しかし、啄木愛好者には見逃せない現代画家の作品21点が紹介されております。また、啄木短歌と絵画の組み合わせもよくて、楽しめる画集でした。

 ほかに石川啄木記念館所蔵の品3点の写真紹介もあり、作家 高井有一氏のエッセイもおすすめです。


 「一枚の絵」(2007年8月号、定価820円)の購入は書店またはネット上でも可能です。

悲しき玩具』記念館から復刻版
以下は河北新報と中日新聞の記事200710月16日)からの情報です。

 「悲しき玩具」初版を復刻 盛岡市と啄木記念館

 石川啄木記念館(盛岡市)と盛岡市は16日、啄木の代表的な歌集「悲しき玩具」の初版本を復刻したと発表した。


 「悲しき玩具」は、啄木が闘病から病死するまでの生活を詠んだ歌集。

 2006年1月に啄木の出身地である玉山村と青春時代を過ごした盛岡市が合併したのを記念した事業で、関係者は「啄木で盛岡市をアピールしたい」としている。

 復刻作業は、同記念館所蔵の初版本を使い、資料を傷めないようデジタル写真撮影で行った。できるだけ初版本に近くなるようカバーの厚さや紙質にもこだわった。約2カ月かけ、啄木の妻節子の誕生日に当たる今月14日に3000部を完成させた。

 同記念館学芸員山本玲子さん(50)は「初版には、今の文庫本には載っていない、命の大切さや心の豊かさなどについての歌論もある。今の時代だからこそ読んでほしい」と話した。
 同記念館や盛岡市の書店などで販売される。税込みで1冊1260円。

※下の写真は記念館から発行された『悲しき玩具』です。

啄木短歌英訳の「小冊子」発行


以下は「北海道新聞」記事(200710月11日)からの情報です。


 函館、札幌、小樽、釧路を転々としながら短歌を詠んだ歌人石川啄木の作品を道労働文化協会(札幌)会長の荒又重雄さん(72)が英訳し、自主制作の小冊子で発表し続けている。
今年は、啄木が道内で初めて函館などで暮らした一九七年(明治四十年)からちょうど百年。「北海道は啄木に大きな影響を与えた。
ここから啄木の新たな魅力を発信したい」。荒又さんは意欲的だ。 


 荒又さんはもともと経済学者。北大経済学部長の後、一九九六年に釧路公立大学学長に就任した。釧路は啄木が一年弱の道内滞在の最後に住んだ地で、市内に二十六の歌碑が立つ。
「でも外国人観光客が歌碑を見ても意味が分からない。それなら自分が、と英訳を始めた」ときっかけを語る。 


 二○○一年、釧路ゆかりの歌三十四首を訳し、市民団体制作のパンフレットに掲載。
英訳に当たり啄木の短歌と向き合ううちに「和歌の素養がなくても理解でき、現代人にも共鳴できる部分が多い」とのめり込んだ。 


 啄木の表記は当時としては斬新な三行分かち書きだが、荒又さんは五七五七七のリズムを大切にしたいと五行書きで訳す。
「啄木作品の英訳は他にもあるが、歌は読む人によって解釈が違い、多様に訳せるのが面白い」 

 四年に学長を退任、札幌に戻っても英訳を続け、小冊子制作も始めた。これまでに百三十首を訳し、小冊子も「釧路」「札幌」「故郷」などテーマごとに六冊に上る。

 次は「函館」をテーマとした小冊子の制作が目標。荒又さんは「いろいろな方に読んでいただき、訳し方などを議論できればうれしい」と話す。 

 小冊子はA4判、五−八ページ。希望者に無料で配布している(送料は実費)。
問い合わせは道労働文化協会(電)011・261・0020へ。
 

ネットの不正確な「文献情報」は怖い?

 先日、アマゾンブックスで「啄木」を検索したら、新刊情報の中に、高橋幹雄著『本郷、下宿屋ものがたり』というのが出た。定価1000円+送料(300円)である。

 この検索は、目次や著者の経歴、本の能書きなどにでも、「啄木」という文字が出てたなら、検索にひっかかるシステムなのだが、何度見ても啄木の文字はどこにも無い。
 本の内容紹介も無い。頁数も無い。発行所も発行日も記されて無い。

 すべて無い、無いづくしであるが、値段もさほど高価ではないから、思いきって取り寄せて見ることにした。

 この本が昨日届いて笑ってしまった。
 本、というにはあまりにオソマツすぎて笑ったのだが、これって詐欺か?、と思うが・・・・・・。

 この本?は、27頁の冊子なので、一応読んで見た。

 書かれている内容は、明治期の本郷界隈の下宿屋について書かれた、作家の伝記小説などから引用したと思われる(頁潰しのように末尾に十数点の参考文献も載っている。その中に金田一京助著『新編石川啄木』や石川啄木日記などが、発行年月や発行元の記載もなく、○○図書館蔵として記されている。記された図書館はすべて文京区内の館)内容である。

  冊子の体裁は参考文献からの引用文章を旧式?のワープロで打ち込み、A4判の用紙7枚の両面コピーを二つ折りして綴じ、表紙の模造紙に表題を貼り付けたものである。

 この体裁は60年前の日本が、終戦直後で極端に書物の供給が需給に合わず不足した時代に、ガリ版刷りの冊子などを個人が作って闇市などで売った、という方法と似てると思う。が、私もその時代のことを詳しくは分からないが、まさか・・・・・・・
 
 私が笑った、というのは、この先の想像からなのだが(著者の高橋幹雄さんには悪いけど)、80才を超えた人が、このようなものを作ってネット上で販売している、と思ったら不思議と腹も立たず、笑ってしまった、という次第です。 

 以上、ネットの不正確な「文献情報」は怖い?、というお話でした。 (2007年9月22日 佐藤勝)

 
啄木学会がインドネシアで大会
 
 去る9月3日〜7日に、インドネシアで国際啄木学会の大会が開かれた。(詳しくは★国際啄木学会又は★啄木の息のホームページに掲載されておりますので、ご覧下さい。)

 私は殘念ながら健康上などの事由もあって参加できなかったが、この度、啄木友人(私と同じ啄木愛好者なので、このように呼んでます)のKさんから、お土産です、と言って大会のポスターと研究発表などのレジメが送られてきた。

 そのKさんの手紙が何とも味わいのある、インドネシア紹介なので、手紙の一部を以下に載せて置きます。
(2007年9月11日 佐藤勝)

 「(前略)インドネシアは確かに暑い国には違いありませんが、今は乾季で朝晩は涼しく、日中も乾燥気候で、日本の夏の方がよほど暑いです。
 インドネシアの人口は2億2000万人。多くの人々が暮らしていますが、何といっても若者や子供が多く、日本のような高齢者の国とは違うなあ という感じでした。

 多くの人たちは貧しい生活のようでしたが、若者が多いということは、将来性に期待出来ると思います。
 ジャカルタではバラック建ての家も多くありましたが、高層ビルやマンションがいたるところで建設中であり、活気に溢れた大都市でした。

 日本でも人気のバリ島は9割り以上の人々がヒンズー教を信仰しているそうで、家々の前には供物が供えられ、寺院も多くありました。
 南国の香りのする樹木や花が咲き乱れ、外国人が多く押しかけていましたが、やはり日本人が多かったです。

 この国の男性は経済力さえあれば、妻を4人まで持ってよいそうで、バスガイドの男性は、姉妹を妻にしており、5人の子供がいるそうです。
(中略)

 町や村のいたる所に、泥だらけの犬、毛が抜けて血がにじんでいる犬、足を引きずっている犬などが目につきました。
 これらの犬が放ったらかしにされ、暑さで、ハーハー苦しそうにしている姿を見て、クーラーの涼しいソファーの上で、腹を天上に向け、スースーと寝ている我が家の犬を思うと、・・・・・・・・(略)・・・・大会のことは会報で読んで下さい。(後略)」


「国際啄木学会」インドネシア大会ポスター

小樽文学館に新しい啄木像が!
 北海道新聞2007年9月8日の記事によれば、新しい啄木像が小樽文学館に展示された、という事です。

 新しい啄木像は、 「石川啄木の来樽百年を記念し、市立小樽文学館が新たに啄木像を制作した。道内は函館、札幌、釧路に啄木像があるが、道内最長の百十五日間を過ごした小樽にはなかった。新しい像は、ほろ酔い加減で風に吹かれる啄木をイメージした。八日に同文学館で開幕する特別展「石川啄木と小樽日報」で公開する。」(北海道新聞9月8日付の記事より)、 との事。

 作者には悪いけど、私は新聞に掲載された啄木像の写真を見て、どうも好きになれそうもない。というのが正直な感想だった。

 むかしのことだが小樽の人の中には、啄木がその歌の中で、「かなしきは小樽の町よ/歌ふことなき人人の/声の荒さよ」、と詠んだ事で感情を害した人もあったと聞いたが、何だかその感情のお返しのような啄木像では、と想ってしまうのは、私だけだろか。

 この像の写真を見たい人は「北海道新聞」の文字をクリックして下さい。記事と写真が表示されます。(2007年9月8日 佐藤勝)


啄木の妹 光子とその夫、三浦清一牧師の生涯を書いた本
 
 先頃、啄木と宮沢賢治の研究者である知人のMさんから、「2006年後半以降の啄木文献紹介」<部分的に啄木が取り上げられている本>と題して各書籍の背文字を並べてA4判2枚にコピーしたものを頂いた。
 その中の一冊に藤坂信子著『羊の闘い〜三浦清一牧師とその生涯〜』という本があった。
 2005年8月に熊本日日新聞社という所からでた本だが、「啄木」をキーワードにネットで検索しても出て来ないから、私も見落としていたのだと思うが、Mさんの検索力の凄さには何時も感謝している。
 
 『羊の闘い』という本には「三浦清一牧師とその生涯」という副題も付いているが、ここに「啄木の妹 光子の夫」という文字も付けてほしかったと思うほど、当然ながら啄木と光子についても多く語られている。
 啄木の生涯に興味を持つ人なら、誰もが読んでみたい一冊ではないか、と思う。
 特に妹を愛した啄木であるが、その兄を慕った光子の側から、そしてキリスト教者としての光子を知るためにも、一読の価値を持つ書であると思う。

 ほかに光子を取り上げた本では、小坂井澄著『兄啄木に背きて──光子流転』(1986年・集英社)もあるので、こちらも合わせて一読をお薦めしたい。(2007年9月2日 佐藤)

藤坂信子著『羊の闘い〜三浦清一牧師とその生涯〜』(46判 1800円+税) 熊本日日新聞社 05・8

※発行所=熊本日日新聞社
熊本市世安町172 (電話:096−361−3281)

新刊ニュース 井上信興著『続・終章 石川啄木』 
 井上信興氏の新著『続・終章 石川啄木』が刊行された。著者にとっては8冊目の啄木図書である。前著を最終の思いで刊行したことは、その書名からも読み取れる。が、さらに続篇の刊行されたことは、啄木愛好者の私にとって、この上ない歓びである。
 著者の井上信興氏は85才という高齢にもかかわらず、こと啄木に関しては意気盛んな人である。前著を「終章」としたことは、健康上の事由もある、とのこと。
 医師である氏にとっても、予測できない健康上の事由とは大きな問題なのだと思うが、その事由を超えてなお、氏の心を駆り立てて再度、「終章」を書かせたのは、啄木短歌が、作者である啄木の思いを離れて、勝手に一人歩きをしている(井上氏はそのように強く思っているようです)が、これは啄木の作歌当時の気持ちを無視するもので、このような風潮を是正したい、と考えたからのようだ。
 
 このように啄木に思い入れをする人を、私は大好きである。そこで終章の続きも読みたい、と思っていたら、同じように思った人がほかにもあって、「続・終章」が出たということ。
 この本に収録された文章の多くは、反論の反論への反論だが、それが第三者の立場で読むと著者には少々申し訳ないが、楽しくて嬉しい。 これは、著者の若々しい情熱が、読む方にも伝わって熱くなって来るからだろう。
 
 しかし本書がそのような反論ばかりでない事も紹介しなければ著者に叱られる(私の書いた前著の書評は、書評としては不十分だ、と今回の書で諭されましたので)かと思うので、次の2点も記しておきたい。

 特に、本書に「資料」として収録されている、三浦光子「兄啄木のことども」(九州日日新聞 大正13年4月10〜13日、全4回)は貴重なもので、九州日日新聞社から氏が原文を取り寄せて翻刻したも。これは、光子が啄木について書いた最初のものであり、その後のものなどは1990年に日本図書センターから刊行された『悲しき兄啄木』(近代作家研究叢書 77 上田博解説)にも収録されているが、「九州日日新聞」掲載のものが全文載ったのは、管見だが本書がはじめてである。
 また、啄木が書簡や日記に記した人物評は、多くの人の知るところだが、これを著者が拾いだして一覧にした表も収録されている。この表を見ながら私は、啄木の人物評価の慧眼をあらためて感じた。

 とにかく啄木愛好者と研究者には、ぜひ一読をお薦めしたい一冊である。 (2003年8月10日 佐藤)

井上信興著『続・終章 石川啄木』46判 243頁 2000円+税 渓水社 07・8
内容の詳しい紹介は「 単 行 本コーナー」をご覧下さい。


大室精一氏
啄木歌集の編集の謎に迫る研究、いよいよ大詰めに!


大室精一氏の論稿
「『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(2)」 
についての紹介

 本年3月発行の「佐野短期大学 研究紀要」18号(抜き刷りの発行は7月)を頂いた。大学の研究紀要は一般には入手困難な書籍なので、啄木愛好者の私にとっては悩みの種であったが、最近はほんの一部の先生方であるが、知り合える機会があり、お蔭様で抜き刷りなども頂けることがあります。有り難いことです。
 さて、大室精一氏は啄木歌集の編集意識については『一握の砂』の研究にはじまり、すでに多くの論稿を発表しておられます。それらは他の研究者にも大きな刺激となっていることは、私などの言うまでもないことですが、例えば平成17年度の岩手日報文学賞「啄木賞」を受賞した木股知史氏の著書『和歌文学大系 77』(明治書院)の「一握の砂」の脚注に木股氏が記した、大室研究論の引用箇所の多さによっても明らかです。
 前置きが少し長くなりました。ここで大室氏より頂いた論稿送付文の一部を紹介して、この研究シリーズの面白さと『一握の砂』と『悲しき玩具』の編集意識についての研究論が、一冊の本となって誰にでも読める日の早く来ることを願いたいと思います。

※下記は大室精一氏より頂いた論稿送付文の一部です。

(前略)
 このたび啄木に関して、昨年の続稿として
「『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(2)─「第二段階」の歌群(69〜114番歌)について─
  (『佐野短期大学 研究紀要』第18号 平成19年3月)
の論を発表しました。『一握の砂』と異なり『悲しき玩具』では、単に作歌順に記載された歌集という先入観が強いため、配列論に関する研究は殆ど進展していないのが現状であると思われます。そこで前稿「第一段階」の歌群では、(『一握の砂』の編集手法と全く同様に)諸雑誌の掲載歌を推敲し再編集しながら歌稿ノートに浄書されていく経緯を検証しました。しかし本稿「第二段階」の歌群では(全く逆に)歌稿ノートが推敲前(編集前)で、諸雑誌掲載歌が推敲後(編集後)であることを検証したものです。
(後略)


 このあとに続く大室氏の送付文は、石井勉次郎の先行論『私伝 石川啄木 終章』の優れた論稿の学恩に謝しつも、氏独自の研究による検証がなされたことがしるされております。

 ともあれ私たちは、このような論文によって、さらに啄木の心に近づけることは何よりも有り難いことです。繰り返しになるが、そのためにも大室氏の論稿が一本として刊行される日が待たれます。
(2007年7月25日 佐藤勝)


現代に甦った啄木の「手記」刊行!

陽羅義光(ひら よしみつ)『ぼく啄木』かりばね書房


 かりばね書房から21世紀に甦った「石川啄木」なる人物の手記『ぼく啄木』という本が出ていることをネットニョースで知ってさっそく取り寄せて読んだ。

 先ずは嬉しい事に、この本の内容は数々の啄木の不名誉を払拭すべく書かれたような内容である。作者の陽羅義光氏なる名を恥ずかしながら私は知らなかったが、後記の著者紹介によれば、大変お偉い方のようであるが、私にとって大事なのは、啄木をどのように捉えて書いてあるか、ということなのであって、その点では啄木理解度が、満点に近い能力者のように思われる。

(※注── 作者自身は「(略)ぼく啄木の再来ではないかと思われる、陽羅義光である。無名作家の陽羅のことを、この場であれこれ言っても、その文学に触れたことのない人ばかりであろうから」とも記しているが。)

 本書は147頁の文庫本だが、作者の略歴のひとつに「全作家協会理事長」とあって納得できるが、内容の多くは、作家(小説家)の見た啄木を上手く紹介しながら、現代に甦った啄木の言葉を借りて、作者の陽羅義光の啄木観、あるいは現代社会観が語られる、という手法である。

 思いつくままに登場する小説家の名を記すと、井上ひさし、渡辺淳一、水上勉、澤地久枝、阿部昭、寺山修司などなどである。彼らが語った啄木を、啄木の言葉や陽羅氏自身の言葉で語られる啄木観、社会観、あるいは文学観が面白い。

 啄木は本当に嘘つきだったのか。
 啄木は本当に借金魔だったのか。
 啄木は何故、故郷を棄てたのか。
 啄木短歌の解釈は、 啄木が意図したものか。などなど。

 さまざまな、そして素朴な啄木への疑問が、陽羅氏にのり移った啄木の口から語られる。

 これまでに小説家の啄木観についてまとまった文章がなかったから、本書を読んでいたら、あらためて多くの作家の書いた、啄木についての文章を読み返してみたくなった。  (2007年6月6日 佐藤勝)

陽羅義光著『ぼく啄木』文庫判 952円+税 (かりばね書房 2007年3月)

 函館市文学館が啄木の来函、
百年を記念して特別企画展!
2007 函館市文学館 企画展

 
※函館市文学館の企画展については「★函館市文学館」のホームページに詳しく載っております。
 なお、上記の紹介ページは函館市文学館HPからの部分貼り付けです。


JR東日本車内誌
「トランヴェール」5月号にも啄木登場
 
 JR北海道の車内誌「JR北海道」3月号の啄木特集号についてはすでに紹介したが、本日、湘南啄木短歌会の会員であるさんから、この連休に故郷の宮城県で採った、という山菜と一緒にJR東日本の車内雑誌「トランヴェール」5月号(特集:岩手の暮らしにふれる旅)が、送られて来た。嬉しい事に、ここにも啄木さんが登場している。

 Tさんは私と同類の啄木愛好者。一昨日、新幹線の中からメールで「啄木の記事が載っています。必要なら何冊か持ち帰ります」と伝えてきた。私はすぐに「何冊でもほしい」と返信。

 持ち帰らない同行者の分も集めて送って頂いた。早速に開いて「天才歌人、石川啄木の真実」という記事を一読した。数枚の写真入りの2ページの記事だが、その紹介の巧さには感心する。

 昨年秋に発行された北海道札幌のタウン誌「ぶらら」も、また上記の「JR北海道」の特集号にしても、巧いこと紹介している、と感心している。これは最近の自分が、自分の柄に合わないような啄木論を読みすぎた所為(せい)だろうか。

 今回の「トランヴェール」5月号の紹介文の中でもっとも気に入ったのは、石川啄木記念館の学芸員の言葉、として紹介されている部分だった。

 「よく啄木の文学をはぐくんだのはふるさとの大自然だといわれます。一方で、私は、村人たちとのかかわりも大きいと思うんです。啄木は人間が好きで、人間を深く理解した人でした」と。

 故郷の渋民での啄木は、「日本一の代用教員」を自負し、教育にありったけの時間と情熱を費やした反面、借金や女性関係など、人間性が取りざたされることについて、学芸員の言葉はつづく。

 「19歳で家庭を持ち、親を養わなければならなかった上、病気や失職などの苦難が次々と襲いかかったんです。生きてゆくために借金は仕方なかったと思いますよ。彼は真剣に人生を見つめた哲学者。小さな命に心を寄せる、愛情ある人だったことを理解していただきたい」と

 このような学芸員の言葉は、啄木を心底敬愛するからこそ出てくるものであろうと思う。作家や研究者の書いた文章の中には、書くべき、論ずべき対象人物を、冷徹に見詰めることが何よりも大事、ということなのか、対象人物への敬愛を忘れてしまったような文もある。私はそのような文章に感動したことはない。

 今回のJR車内誌に掲載された文章は、無署名で、観光案内も含めての短い文章だが、学芸員の言葉などを上手く挿入して構成された、良い文章なので、啄木愛好者にはおすすめだ。

 私は、たとえPR誌の観光案内的な紹介文でも、こと啄木に関しては正確に、歪めずに書いてほしいと日頃から願っているので、今回のような誠実な文章を読むと嬉しくなる。 (2007年5月7日 佐藤勝)
※本号のみを講読希望される方は発行所へ直接申し込む方法(226円、税送料共)もあります。電話:03−5447−7856 迄問い合わせて下さい。
※東北新幹線を5月中に利用される方は無料です。(念のために)

啄木図書の新刊案内 新井満著『ふるさとの山に向かひて』NHK出版
 
 新井満作曲、歌唱のCD「ふるさとの山に向かひて」(ポニーキャニオン)の発売につづいて、新井氏の啄木図書『ふるさとの山に向かひて』(NHK出版)が、この4月30日に刊行されました。

 私はこの出版をネットニョースで見て、楽しみに心待ちしていたのですが、私が啄木の大のファンである事を知っている知人のYさんから、この本が今日送られて来て喜んでいる所です。

 新井氏は下記の欄でも紹介しているように、先日、日経新聞に自分は「啄木ファン」である、と書いておられましたが、その新井氏が啄木短歌に曲を付けるまでのエピソードを収めた”啄木をめぐる十の断章”は心あたたまる文章でとても良いです。また、CD吹き込みされた啄木短歌を紹介したページの写真はさらに良いのです。啄木ファンへにはおすすめの一冊です。(2007年5月2日 佐藤勝)
 

※ 本はCD付きと本のみの2種類あって、CD付きが1800円+税、本のみは1000円+税。
 下記の文章でも紹介したように新井氏の歌は現在NHKラジオ深夜便でも聞くことが出来ます。

※ 本の内容については★単行本のコーナーをご覧下さい。
NHK出版
CDなし
1000円+税
NHK出版
CD付き
1800円+税
新井満氏が日経新聞に「啄木、100年目の帰郷」を執筆!

 本日、早朝に我が家のFAXベルが鳴りました。新潟のK先生が日経新聞に載った啄木記事のコピーを送信してくれたのです。(K先生に感謝)

 作家の新井満氏が、日本経済新聞に「啄木、100年目の帰郷」を執筆されている。氏は最近、啄木短歌に曲を付けた自作のCD「ふるさとの山に向かひて」(ポニーキャニオン)を発売したばかりである。
 また、同曲はNHKラジオ深夜便の歌として、ラジオ深夜便の午前3時50分頃かと思うが流されているので、興味のある方はお聴き下さい。

 さて、新井満氏の「啄木、100年目の帰郷」を私がここに紹介したいと思ったのは、新井氏の文章が嬉しかったからである。「告白すると、実は私、大の石川啄木ファン」なのです。という新井氏の文章が気に入ったのである。
 新井氏は30年程前に、啄木短歌に曲を付けて「何処へ」というLPレコード(歌・五木ひろし)を出している事からもうなずけるが、ただ、ちょっと気になるのは「告白すると」云々の文言である。
 好きなものは好き、良いものは良い、それだけで良いのではなか?、と私は思うのだが。

 何はともあれ、啄木の良さを認めている新井氏の素直さは大いによろしいのです。皆さん、本日の日本経済新聞を是非お読み下さい。褒めるとか、褒められる、という事は他人の事でも嬉しいけど、まして啄木のことになると、私にとって、自分の事も同然なので気分の良い一日となりました。
(2007年4月29日 佐藤勝 9;10記す)


啄木忌前夜祭 ※入場無料
第4回 没後95年 盛岡で4月12日に開催!
第4回目の啄木忌前夜祭が国際啄木学会盛岡支部、岩手大学地域連携推進センターの主催で下記のように開かれます。
(クリック拡大)
(以下の案内は主催者作成のパンフによる)

啄木忌前夜祭

日時:2007年4月12日(木)18:00〜20:30

場所 : おでってホール(プラザおでって3F)
   盛岡市中ノ橋通 1−1−10

<内容案内>
    

第一部 パネルデイスカッション
     「小・中・高生は啄木をどう読むか」
    
    コーデイネーター  望月善次(国際啄木学会盛岡支部長、岩手大学特任教授)
    パネラー    岩手大学教育学部付属小学校 生徒
              盛岡市立下橋中学校       生徒
              岩手県立盛岡第一高等学校  生徒
    

第二部 参加者スピーチ
      「私の啄木」
    

第三部 講演 「啄木愛好者の楽しい研究方法」
     講師  佐藤 勝(さとう まさる) 湘南啄木文庫主宰
     
     (講師紹介は略)
    

啄木忌法要  4月13日(金)10:00〜  宝徳寺(盛岡市玉山区渋民)
    


主催=国際啄木学会盛岡支部(連絡先・岩手大学 国語科教育研究室 TEL:019−621−6520)、盛岡市文化振興事業団・盛岡てがみ館


後援=岩手県、盛岡市、朝日新聞盛岡総局、毎日新聞盛岡支局、読売新聞盛岡支局、河北新報社盛岡総局、盛岡タイムス、NHK盛岡放送局、IBC岩手放送、テレビ岩手、めんこいテレビ、岩手朝日テレビ、マ・シュリ、石川啄木記念館、もりおか啄木・賢治青春記念館、岩手県歌人クラブ、岩手県教育研究ネットワーク(含・申請中)

明治大学リバティ・アカデミーの教養文化講座で「国際啄木学会々員」の教授陣が「明治の職業」を語ります!
以下は明治大学のHPからの転載ですが、興味のある方は直接教養文化講座をクリックして下さい。
明治の職業往来
-小説を通して考える-

講座コード:07120029

◆講 師:池田 功(明治大学政治経済学部教授)ほか
◆日 時:金曜日 17:00〜18:30 全5回
◆アカデミーポイント: 1AP


●講座趣旨
 昨今、フリーターやニートが増え、職業に対する意識が希薄になっています。職業の問題は、社会のそしてその時代に生きる人々にとっての中心的なテーマです。私たちは働くことを通して収入を得、そして社会に参加し暮らしています。それでは明治以後一体どのような職業があったのでしょうか。それは今とは違っているのでしょうか。その職業になるためにはどのような資格があり、また収入があり、社会的な評価があったのでしょうか。そしてどのような喜びや苦しみがあったのでしょうか。
 本講座では、単なる職業の紹介解説ではなく、文学作品に描かれた人間のドラマを通して職業の問題を考えたいと思っています。それを大きく以下の3つの視点から行います。1、遊女や女工、家事手伝いなどを通して明治時代の女性の職業を考える。2、人力車夫や工夫などの低賃金労働者たちの職業を考える。3、教師、弁護士、医者、外交官などのエリートたちの職業を考えることです。

【受講をお薦めする方】
 職業や文学に関心のあるすべての方々に。



●講師紹介
池田 功 (イケダ イサオ)   明治大学政治経済学部教授
当講座コーディネータ。文学博士。政経学部のゼミでは「社会病理」をテーマにし、様々な社会問題を考察しています。昨年の共同研究では「フリーター・ニート問題を考える」を行い、現代の若者の職業意識を学生と共に考えました。主な著書に『石川啄木 国際性への視座』(おうふう)、『こころの病の文化史』(おうふう)、『若き日本文学研究者の韓国』(武蔵野書房)など、また論文「明治期・「闇」の世界のルポルタージュ」(「論究」12号)で、明治期の下層社会の研究をしました。
 
近藤 典彦 (コンドウ ノリヒコ)   成城大学講師、元群馬大学教授
若いころ東京大学文学部の国史学科を出て、大学院は国文に進みました。そんな経歴のせいか、わたくしの場合文学研究と歴史的考察が重なってしまいます。『石川啄木と明治の日本』『啄木短歌に時代を読む』(以上吉川弘文館)『『一握の砂』の研究』(おうふう)など、どの著書にもその傾向が出ていると言われます。「解釈と鑑賞」2005年9月号に「「たけくらべ」検査場説の検証」を特別寄稿しました。この論文は本講義と深く関わります。
 
上田 博 (ウエダ ヒロシ)   立命館大学名誉教授
文学博士。1940年生まれ。15歳で町工場に働きに出、2006年春に40数年の教育労働者生活を終えました。『石川啄木 抒情と思想』(三一書房)、『明治の結婚小説』、『昭和の結婚小説』(以上、おうふう)、和歌文学大系26『別離』(明治書院)、『きしのあかしや 木下杢太郎随筆』(日本図書センター)など。ポトナム短歌会同人。歌集『食卓の津波』。現職は甲南大学大学院講師、毎日文化センター講師。
 
古澤 夕起子 (フルサワ ユキコ)   同志社女子大学現代社会学部講師
京都生まれの京都育ち。与謝野晶子や明治・大正期の少女雑誌、そして石川啄木の小説などをテーマに研究をしています。晶子は11人の子供の母親でもあり、百篇を越える童話や少女小説を書き、子供や女性の問題についてもユニークな考え方をしていました。そのようなこともお話しできればと思います。著書に『与謝野晶子 童話の世界』(嵯峨野書院)、共編著『与謝野晶子の童話』(和泉書院)、共著に『明治の職業往来』、『現代に甦る知識人たち』(以上、世界思想社)などがあります。
 

●講義概要
第1講  2007/04/27
国木田独歩などの作品を通して、明治の低賃金労働者を考える。
横山源之助『日本の下層社会』(明治32年)には人力車夫、立ちん坊、日雇い労働者、女工、小作人など様々な職業の状況が記されています。その具体的な生活状況、その人達が生み出されてくる社会的な背景などを独歩作品をまじえながら解説します。
(講師:池田)
 
第2講  2007/05/11
樋口一葉「たけくらべ」を通してみる吉原とその界隈の女達
樋口一葉の「たけくらべ」を通して、吉原で働く遊女たちと吉原界隈で生計をいとなむ女性達の生活を考えます。当時の女性達への一葉の同情は美登利の悲しみに象徴的に描かれていますが、そのことの歴史的意味も考えます。
(講師:近藤)
 
第3講  2007/05/18
夏目漱石「坊っちゃん」を通して教育者を考える。
「教育」の目的が楽をして高収入を手に入れることになり、「学校」が知識の受け渡し場になったのはいつからでしょうか。漱石の小説「坊っちゃん」(明治39年)を鏡に、現代の問題を一緒に考えたいと思います。
(講師:上田)
 
第4講  2007/05/25
与謝野晶子などを通して明治の女性の職業を考える。
与謝野晶子が少女のために書いた小説『八つの夜』には、さまざまな境遇にあって夢を追いかける12歳の少女たちが描かれています。この作品を通して、明治から大正期の少女の職業選択について考えてみたいと思います。
(講師:古澤)
 
第5講  2007/06/01
新聞記者、弁護士、医者、外交官などのエリートたちの職業を考える。
石川啄木「我等の一団と彼」の新聞記者、平出修「畜生道」の弁護士、森鴎外「カズイスチカ」の医者、鴎外「大発見」の外交官などを通して、明治期のエリートと呼ばれる人達の職業を考えてみます。
(講師:池田)
 
●教材:
レジュメ資料
参考文献として、上田博・池田功共編著『明治の職業往来』(世界思想社・2,100円・2007年1月刊行)があります。ご希望の方は初回に教室にて1,800円で販売します。


国際啄木学会 2007年 春のセミナー


と き: 2007(平成19)年4月14日(土)

ところ: アイーナ8階(いわて県民情報交流センター、岩手県盛岡市)

【日 程】

◆ 理事会<10:00〜11:00>811号室

◆ 評議員会<11:00〜12:00>811号室

◆ 総会 <12:30〜13:10>812号室

・開会の辞/挨拶 会長/議長選出/協議/閉会の辞


◇ 記念講演 <13:15〜14:15>812号室

「石川啄木と飲み仲間達」 藤原隆男(岩手大学名誉教授)

◇ 研究発表(3分科会方式) <14:25〜16:30>

A会場(司会・河野有時・都立産業技術高等専門学校教授)812号室

・柳沢有一郎(筑波大学大学院生)「『何がなしに/肺が小さくなれる』考」

・望月善次(岩手大学特任教授)「結合比喩(中村明)から見た啄木・賢治短歌」

・長江隆一(北海道・八雲啄木会)「石川家の謎と啄木短歌の真実性」

・今野 哲(長岡工業高等専門学校教授)「尾山篤二郎における啄木〜啄木没年前後〜」

B会場(司会・安元隆子・日本大学教授)810号室

・西川敏之(国木田独歩の会事務局長) 「独歩と啄木 時代の中での夢と希望」

・森 義真(近代文学研究家)「野村胡堂宛書簡にみる啄木像・・・」

・西脇 巽(医師)「小姑と嫁 光子と節子の場合―友好から怨恨への転変―

・米地文夫(前岩手県立大学教授)「啄木と賢治の『北方の風土観』〜岩手・北海道・ロシアをどう見たか〜

C会場:シンポジウム「我等の一団と彼」をどう読むか 811号室

・コーディネーター若林 敦(長岡技術科学大学教授)/近藤典彦(前群馬大学教授)/鈴木 敦(明治大学大学院生)/飯村裕樹(岩手大学大学生)

発表=1名の持ち時間 30分(発表 20分 質疑応答 10分)

◇ 閉会式<16:35〜16:55>812号室/各分科会の報告 (3分科会 X 5分)

閉会のことば

<会場移動 アイーナ ⇒ マリオス>

■ 懇親会 <17:15〜19:00>

[カフェテラス スカイメトロ] マリオス20階

(挨拶 谷藤裕明盛岡市長<予定> など)



  毎週 日曜日の「日本経済新聞」には、「日記をのぞく」という記事が連載されている。ここに、本日(2007・3・4)から、啄木が登場しました。今回から4回の予定で連載されます。

 啄木の生きた時代と啄木の作品、そして人間がどのように伝えられるかが楽しみです。ちなみにこの欄にはすでに多くの近現代の著名人が残した日記をもとにして、その時代の世相と人物が紹介されました。その紹介は定評のあるものです。啄木ファンの方は今月からぜひお読み下さい。啄木の項を担当する執筆者は栩木 誠 氏です。(07・3・4 佐藤)

※<追記>
 このコーナーで紹介した甲斐があってか、啄木の項は4回の連載予定が6回に延長されたとの情報をいただきました。嬉しいかぎりです。(07・3・29 佐藤)

 

JR北海道のPR雑誌3月号が啄木特集号
 百年の旅人、石川啄木
 昨日、北海道の友人から送られてきたJR北海道のPR雑誌「JRHokaido」3月号は啄木特集号でした。
サブタイトルが〜「忘れがたき人人」と北の風景〜となっており、函館/札幌・小樽/釧路/と啄木の足跡をたどりながら、文章と啄木短歌と現代の風景写真で美しい啄木ゆかりの地が丁寧に紹介されております。
 また、地元の啄木研究者(小樽啄木会・水口 忠氏や釧路啄木会・北畠立朴氏)からの聞き取りなども紹介されており、ユニークで親しみやすい内容です。ここからは学術誌や研究論文では読めない北海道時代の啄木が楽しめますので、啄木ファンの方はぜひご覧になって下さい。
 北海道を3月中に旅行できない人は、JR北海道で直接講読の方法をお訪ね下さい。(定価:110円 送料76円)
 昨年秋の札幌のタウン誌「ぶらら」の啄木特集号も素晴らしいものでしたが、今回のJP北海道も本当に良い啄木特集号ですが、ここにも、水口氏や北畠氏のような啄木大好きという陰の協力者があったから、と私は推測しました。そして啄木愛好者のひとりとして、それをひそかに喜んでおります。(2007年3月4日 佐藤)

 
最近の新聞コラムに啄木が続々登場、

 
 朝日新聞(天声人語07・2・26)、読売新聞(編集手帳07・2・22)の各コラム欄で啄木の歌や日記を引用した文章が載った。朝日は、啄木の「はたらけど」の歌を国際啄木学会の池田功氏(明治大学教授)の解説をふまえて、現代社会の若者のたちがおかれている厳しい勤労事情を述べている。
 読売は、角川文庫の「啄木日記」から他人の書いた新聞記事を盗用した啄木の告白文(?)を引用しながら、書く事を生業(なりわい)とするものへの戒めとしている。
 日経新聞には「日記をのぞく」(毎日曜掲載)というコラムがあり、近現代の著名人が残した日記から、さまざまな世相を紹介しているもので定評のあるコラムだが、いよいよ3月には啄木が登場する予定との情報を頂いた。嬉しいかぎりである。(2007年2月28日 佐藤)


ドイツ語のホームページに啄木短歌
 
国際啄木学会会員でオーストリア・ウイーンに在住の、ルート・リンハルトさんが、自分のHPに『一握の砂』の中の子供を詠った(520〜551までの)10首をドイツ語訳して載せた、という情報を頂いて早速ルート・リンハルトさんのホームページをお訪ねしてみました。
 「ローマ字が併記されているので、ドイツ語がわからなくてもどの歌かわかります。日本からでも簡単にアクセスできます」これは、受け売りの言葉ですが、皆さんも是非お出掛け下さい。オーストリア・ウイーンに!
 そのアクセスは下記の通りです。
 啄木の娘京子さんの可愛らしい写真が載ってました。

 http://www.ruthlinhart.com/index.html
または
 http://www.ruthlinhart.com/diss_tanka_4.htm
札幌のタウン誌が啄木特集号
先日、啄木学会のK先生から、「いい内容なので札幌から持ってきました」と、言って送って頂いたのが下に表紙写真を載せた札幌で発行されているPR誌「ぶらら」(無料配布誌・第5巻9号・平成18年11月1日発行)です。
 私の知っているK先生は、こと啄木に関しては寸分の違いも見逃さない研究者ですが、そのK先生が「いい内容」というので、早速拝見させて頂いて、まず驚いたのは「これが無料配布誌なの?」ということでした。
 向井永太郎宛のハガキ(表裏)の写真をはじめ、札幌で啄木が「わが宿の姉と妹のいさかひに/初夜過ぎゆきし/札幌の雨」と詠んだ下宿、田中家の二人の娘さんの写真もめずらしい。が、何よりも啄木と小樽・札幌の紹介が簡潔で行き届いているからスゴイ!
 また、巻末の「啄木が見た?札幌の街」や「今も残る明治のたたずまい」に紹介された20枚の写真は貴重な参考資料となるでしょう。啄木愛好者のみならず、研究者の方にもおすすめします。
 このような啄木紹介の出来る人が、啄木研究者として著名な方以外におられた、という事は嬉しいですね。
※「ぶらら」11月号の内容紹介は「雑誌特集号コーナ」の◎「ぶらら」38号をご覧下さい。
(2006年12月17日 佐藤)

インドで啄木学会セミナーの冊子発行
 この度、岩手大学の望月善次教授が岩手日報(06・11・24 夕刊)に、「国際啄木学会インド支部セミナー報告」という一文をよせていた。望月教授の報告によれば、会は、去る11月3日に日本文化月間の一環として、国際交流基金ホールで開かれた。
 望月教授はこのセミナーで「『日本人の心の索引』としての啄木短歌」と題した講演をおこなった、とのことであります。詳しいことは岩手日報(06・11・24 夕刊)をご覧になって下さい。

啄木の恩人 渋川玄耳の関係図書2冊刊行される
 東京朝日新聞の校正係として働いていた啄木の非凡さに、最初に気付いた人は誰であろうか。
 編集長の佐藤北江と社会部長の渋川玄耳という所で意見の分かれるところだが、私は歌才においては渋川、明晰な頭脳においては佐藤北江と思っている。
 佐藤北江については、すでに何冊かの書もあって読んできたが、このたび渋川玄耳についての本が2冊つづけて刊行された。啄木との関わりは左程触れられてはいないが、渋川玄耳その人を知るには好著であるからここに紹介します。
※ 森田一雄著『評伝 渋川玄耳 野暮たるべきこと』A5判 398頁 2381円+税 梓書院 2006年3月1日発行

※ 古賀行雄著『評伝 渋川玄耳』四六判 215頁 1400円+税 文芸社 2005年8月15日発行


啄木を感動させた新聞記者
松崎天民とは!

後藤正人著『松崎天民の半生涯と探訪記』
〜友愛と正義の社会部の記者〜
和泉書院 四六判 197頁 3500円 06・9・25

石川啄木と松崎天民
  啄木は東京朝日新聞社の校正係として働いていた時、その社会部の記者として第一線で働いていた松崎天民の書いた多くの記事を、直接に読み、そして聞いた。
 啄木が松崎の書いた記事から受けた有形無形の影響については、これまでに多くを明らかにされた研究は少ない。

 然し乍ら啄木は確かに影響を受けている。このたび発行された後藤正人著『松崎天民の半生涯と探訪記』はそれを如実に語る研究書である。
 私は松崎天民の生涯を本書によってはじめて知った。そして感動している。

 啄木はその松崎の書いた記事に感動したが、私は松崎の刻苦の生涯に感動した。このような人が書いた記事だから「再三に亘って校正係・石川啄木の心を激しく衝いた」、と著者の指摘は正鵠を得た論である。
 石川啄木と松崎天民については、著者自身の数篇の論考もあるが、啄木が受けた影響などを更に追求した研究が待たれる。(2006年10月31日 佐藤)

郵政史上初の啄木切手
湘南啄木文庫が
生誕120年記念企画発行!
2006年10月20日
 
 このたび、郵便局の「フレーム切手・写真付き切手」通信販売の制度を利用して、湘南啄木文庫が所有する「石川啄木 幻の卒業記念写真」を使用した「啄木切手」を生誕120年記念企画として(13種類)作成致しました。
 啄木の肖像が切手になったのは、私の知る限りでは湘南啄木文庫が作成した今回の切手が史上初の「啄木切手」であると思います。
 石川啄木の写真を切手に作成することもできますが、それは他の方におまかせして、湘南啄木文庫ではオリジナル切手を発行したわけです。
 なお、皆さんがこの制度を利用して切手を作成する場合は、他者の持つ肖像権に抵触しないようにご注意下さい。 もちろん湘南啄木文庫の所有する肖像画も無断でのご使用は出来ません。
 このたび発行した「啄木切手」は、湘南啄木文庫のHPに掲載する「余剰本コーナー」を利用して「古書」や「新刊本」を購入された方への送本時には、その一部に使用致します。
湘南啄木文庫の切手は非売品ですが、ご希望があれば実費にてお分け致しますので、希望者はメールにて湘南啄木文庫の佐藤勝までご連絡下さい。(06・10・28)

※上記「啄木切手」の頒布は品切れのため終了しました。
啄木はやっぱり 天才だった!
〜歌人・今野寿美氏の講演内容記事を読んで確認したこと〜

 
 去る9月9日(06年)に開かれた国際啄木学会東京大会の第二部は、4人の専門家よる連続講演で、テーマは「歌人・石川啄木」であった。

 当日の講演者の一人であった歌人の今野寿美氏は「啄木の責任」と題して、近代短歌史における啄木の功罪?を語られたが、私はその内容を興味深く聞いた。

この時の話をまとめた今野氏の文章がこのたび「短歌往来」11月号(連載「歌のドルフィン18」)に載っている。

 「口語短歌といったら『一握の砂』(明治43年12月)より先に世に出た青山霞村の『池塘集』(明治39年12月)が全編口語の歌集」とのことだが、その霞村の歌集が今日に残らず、なぜ啄木の『一握の砂』が残ったのか。

 今野氏は啄木短歌の「叙述の基本は文語なのに、そのことが意外に思えるほど親しみやすい。」それは「啄木は、短歌につづるときの発想が口語的」だからで、「短歌文体を排除しようとはしていなかった」からだ、という。

 そこには啄木が「文語による短歌文体を排除」するのではなく、「温存して口語発想を持ち込」んで、「語法の規制緩和にこそ意欲的だったから」である、というのである。

 今野氏の論稿を読みながら私はネットで「青空文庫」の<石川啄木・一握の砂>を呼び出し、今野氏の指摘された「文言」を検索するなどして小半日を楽しく過ごした。気分の良い一日だった。

 このような論は今野氏のように、言葉に鋭い歌人でなければ指摘出来ないものと思う。私は今回も今野氏のお蔭様で、啄木の感性の深さと先見性を再確認した。

 そして、啄木はやはり天才である、と思って満足している。(06/10/23 佐藤勝)


高松鉄嗣郎著『啄木の父 一禎と野辺地町』(青森県文芸協会発行)

  啄木の父、石川一禎について書かれたものは少ないが、この度「石川一禎」についての本が刊行された。高松鉄嗣郎著『啄木の父 一禎と野辺地町』である。
 著者はこの本の原稿を書き上げた昨年9月に惜しくも亡くなられた。その後、夫人と著者を知る人たちの協力によって出版された貴重な一書である。

 啄木の父一禎はとかく誤解されるところのある人物像を残している。これは一部の小説家などが勝手に想像して書き散らした結果である、と私は思うが本書は一禎とその師であり、義兄でもある葛原対月との縁ある「青森県野辺地町」から、という視点で捉えた一禎像である。
 「野辺地と一禎」に関する文献の紹介と一禎像を正しく伝えたい、という著者の一途な思いに心打たれる。今後、一禎を語る時は欠く事の出来ない一書になるものと思う。

 今日までに啄木の「一禎」を論じたり、正しくその遺稿(短歌など)まで捉えた論稿は皆無であるが、過去にもそれに近い努力をされた人はいる。ついでなのでここで「啄木の父一禎」について書かれたものから、私の記憶に残っている近年の文献を紹介したい。

 高橋幹雄著『啄木の父一禎・啄木と堀田秀子』(平成10年5月・関西図書出版)もその一冊。啄木文学の直接的な研究ではないが、啄木文学の源流を探る貴重なもので、特に金田一京助との交流から得た証言などは他書に見られない一禎像の実証である。今回の高松氏の遺著と合わせて、私は高橋幹雄氏の功績を讃えたい。

 また、松本黎子著『つれづれに啄木』(平成11年4月・日曜随筆社)に収録された「評論・石川一禎 天才の父」は、評論としては薄さも感じられるが悪意のない見方で好感の持てるものであった。

 さらに小坂井澄がその著、『兄 啄木に背きて』(昭和61年6月・集英社)の中で触れた一禎像は、小説家が捉えた文章としては正鵠を得たもので推薦できる。

 私の知人で精神科医の言によると、小説家の中には自分(書き手)が登場人物(例えば一禎)よりも優れている事を強調したいばかりに、登場人物を貶めるような書き方をする作者もいる、とのことだが私はそれに随するものは、このような場に取り上げたくもないので省略する。  (以上思いつくままに。06.10.6 佐藤)

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※高松鉄嗣郎著『啄木の父 一禎と野辺地町』
(B5判 215頁 2100円+税) 2006年9月29日発行

発行者=高松俊子
住所=青森県上北郡野辺地町野辺地241−1

発行所=青森県文芸協会出版部
住所=青森県五所川原市唐笠柳藤巻467
電話:0173−35−5323
FAX:0173−35−8414
振替:02370−6−371
※内容の紹介は「単行本コーナー」をご覧下さい。

※啄木の父一禎については、一禎の終焉の地である高知市を訪ねた「啄木の息」のホームページを管理人yuさんが、数年前に詳しい紀行文を載せております。上記の本と合わせて読まれると、一禎という人物像がさらに鮮明になると思います。「啄木の息」⇒「啄木の父一禎

啄木の妻、節子は生きていた!
山下多恵子著『忘れな草 啄木の女性たち』未知谷

 待望の書が刊行されました。山下多恵子著『忘れな草 啄木の女性たち』(未知谷・2400円)です。
 本書の第一部は、一昨年「盛岡タイムス」に56回にわたって連載されたもので、このサイトでも紹介しておりますが、第二部の「節子に聞く」は、93年も前に亡くなったと思っていた、啄木の妻節子をインタビュー室に迎えて、山下さんが、節子の本心や啄木の事をいろいろと質問しております。
 小説家の井上ひさしさんが、以前に啄木や宮澤賢治にインタビューした事がありましたが、井上さんのインタビューなどはるかに超えて、節子は私たちが十分に納得できる話しをしてくれました。
 私はこの章を読みながら、何度も泣き、何度も笑いました。

 例えば、169頁にある質問者(作者?)と節子の会話

─※─ 啄木はとてもラブリーな人だったと思います。鼻持ちならないところもあるけれどもどうしても愛さずにはおれない、というような。

節子  子どものようなところがありましたから。子どもを見ると文句なくいとおしいと思うでしょう。子どもは人を疑いません。信じられると、こちらも応えようとするでしょう。

─※─ ああ、なるほど。

節子  子どもが何か失敗しても、大人は本気では怒りませんよね。生意気なことを言っても。笑って許してしまう。そんな得な性格でした。

─※─ でも、ときどき本気で人を怒らせてしまうようなところもありましたね。ユニオン会を除名されたときは、啄木自身も血相を変えて反対に絶交状を書いたりしていますが。

節子  プライドの高い人でした。

 上記の会話は、もう少し前から読むと泣き笑いしたくなる場面なのですが、皆さんにはお分かり頂けるでしょうか。とにかくぜひ、ぜひお読み下さい。また新聞に連載された第一部の「啄木の女性たち」を、今回あらためて読み直して、啄木の母親、カツに対する作者の眼差しの温かさには、またしても感動、感動でした。

 このような乱暴な、否、取り乱した紹介は作者の山下さんにとっては迷惑なことかと思いますが、私は昨夜から読み出して、只今読み終えました。
 とにかく啄木の好きな人は勿論、研究者の方々にも、この本は大事な一冊だと思いますので、ぜひ、読んで見て下さい。(06年9月5日 21時記す 佐藤勝)

※出版元のホームページはここ、「未知谷」をクリックして下さい。9月の新刊案内に本書の詳しい内容紹介があります。 また、メールで注文も出来ます。

 それから、第一部の「啄木の女性たち」には、どのような女性たちが取り上げれているか、を詳しく知りたい人は、yuさんが管理するホームページ「啄木の息」に、全女性の詳しい個別紹介が載っておりますから、おじゃましては如何でしょうか。

※本書は2006年9月10日号の「盛岡タイムス」(←ここをクリックして下さい)に著者の近影とともに大きく紹介されております。

啄木研究の現在、池田教授の論稿

 雑誌「詩と思想」(土曜美術社)2006年9月号に、明治大学の池田功教授が、今日における啄木研究の在り方を示唆する一文を載せているので紹介します。

 論稿は「石川啄木研究と一般読者」と題して、1.啄木詩の世界と現在の研究、2.教科書に採用された作品とは、3.国際啄木学会と各地の啄木会、4.外国における啄木研究と受容、5.新聞記事や一般読者の啄木イメージ、の5章からなる。
 本稿では特に、研究者は現代の若者にも「十分通じるテーマを啄木が持ち合わせていることを」伝えることの必要性を説き、そのヒントを示唆し、国際性に富んだ啄木の視線を語っている。
 是非多くの啄木愛好者、そして研究者に読んで頂きたいものです。
 追記
 池田功教授の近著『石川啄木 国際性への視座』(おうふう)について、去る8月6日の「新潟日報」に長岡技術科学大学の若林敦教授が「・・・・「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつゝ秋風を聴く」──1910年の「日韓併合」を批判したこの歌は<亡国>を悼む歌であると著者は言う。啄木は少年期からインドやポーランドの<亡国>の歴史・民衆に思いを寄せ、のちに小説で朝鮮にも<亡国>のイメージを重ねている。墨の「黒」は、当時併合を祝って使われた「赤」と対照的な喪の色、「秋風」は閉塞した時代状況への危機意識を表す啄木の喩(たとえ)であった。この周到な調査と丁寧な読みにより、この歌の鑑賞は深まった。また、<亡国>への関心は、裏返せば、啄木のナショナリズムの強さを物語る。だが、著者はそこに、「日本賛美」とは異質の、他国の民衆との連帯に開かれたナショナリズムのあり方を見いだしている。」(略)と、少し長い引用となったが、まことに行き届いた紹介をしている。こちらの文章も是非の一読をおすすめしたい。(06・8・29)

明治大学リバティ・アカデミーの
教養文化講座で「石川啄木」を学ぼう!

 石川啄木と同時代、そして後代の歌人たち

◆講座期間 2006年10月6〜11月10 
◆毎回 金曜日 17:00〜18:30
 (11月10日のみ17:15〜18:45)
◆場所:アカデミーポイント: 1AP
※ 講座コード 06220024 

●講座趣旨
 1886年(明治19)に生まれた石川啄木は、今年生誕120年を迎え、地元岩手県では数々のイベントが行われました。26年の短い生涯を終えてから90年以上を経ても、なおその魅力は尽きません。歌集『一握の砂』『悲しき玩具』のみならず、詩、小説、日記なども読み継がれています。今回はその啄木の生涯や短歌、国際性、また、啄木の友人であった若山牧水、啄木が属していた新詩社『明星』の与謝野晶子、そして啄木の死後、啄木の影響を指摘できる斎藤茂吉、前川佐美雄などの文学者を通して、啄木の文学の魅力と共に、啄木と関係する同時代、そして後代の文学者についても考えてみたいと思います。
【受講をお薦めする方】
石川啄木を中心に行いますが、若山牧水や与謝野晶子、与謝野鉄幹、斉藤茂吉や前川佐美雄など、啄木と関係する歌人たちの魅力も紹介します。日本近代、現代の文学史や短歌史に関心のある方にお薦めします。

●講師紹介

池田 功 (イケダ イサオ)   明治大学政治経済学部教授
1957年新潟県生まれ。明治大学大学院博士後期課程単位取得退学。韓国、東国大学校招聘専任講師、ドイツ・ボン大学客員研究員などを経る。現在、国際啄木学会副会長。著書に『石川啄木 国際性への視座』(おうふう)、『若き日本文学研究者の韓国』(武蔵野書房)、『石川啄木事典』(共編著・おうふう)、『明治文芸館』(共著・嵯峨野書院)、『論集 石川啄木』(共著・おうふう)など。論文に、「石川啄木における狂」、「脚気の文化史」、「結核の文化史」など。

上田 博 (ウエダ ヒロシ)   立命館大学名誉教授、前国際啄木学会会長
1940年生まれ。15歳で町工場に働きに出、今春、40数年の教育労働者を終える。『風呂で読む牧水』(世界思想社)、『石川啄木歌集全歌鑑賞』(おうふう)、『石川啄木 抒情と思想』(三一書房)など多数。第一歌集『食卓の津波』。ポトナム短歌会同人。現職:毎日文化センター講師、甲南大学大学院講師。

近藤 典彦 (コンドウ ノリヒコ)   元群馬大学教授、国際啄木学会会長、成城大学講師
約50年前、中学校3年生の時、石川啄木『一握の砂』の魅力に取り憑かれ、20年前啄木研究を始める。主な著書に『国家を撃つ者 石川啄木』(同時代社)、『石川啄木と明治の日本』(吉川弘文館)、『啄木短歌に時代を詠む』(吉川弘文館)、『『一握の砂』研究』(おうふう)などがある。現在ライフワーク「石川啄木伝」に取り組んでいる。

今野 寿美 (コンノ スミ)   歌人、朝日カルチャーセンター講師
実作指導のほか、近・現代の秀歌鑑賞をてがけている。歌集には『世紀末の桃』(現代短歌女流賞受賞)、『龍笛』(葛原妙子賞受賞)などがある。近代短歌論として『わがふところにさくら来てちるー山川登美子と「明星」』、『24のキーワードで読む与謝野晶子』(本阿弥書店)など。短歌雑誌「りとむ」編集人。

三枝 昂之 (サイグサ タカユキ)   歌人、テレビ「NHK短歌」選者、跡見学園女子大学講師
作品と評論の両方を精力的に発表している。歌集には『甲州百目』(寺山修司賞受賞)、『農鳥』(若山牧水賞受賞)などがある。また評論では昨年刊行した『昭和短歌の精神史』(本阿弥書店)で、芸術選奨文部科学大臣賞など4つの賞を受賞する。現在「歌壇」に「あたらしい啄木」連載中。りとむ短歌会主宰。

●講義概要

第1講  2006/10/06
石川啄木 国際性への視座
石川啄木と韓国の詩人尹東柱・ドイツ語の詩人ハイネとの生涯や作品の比較やトルストイの受容の様子、また西欧、東洋における啄木の具体的な受容、そして啄木における国際性への視座を解説します。
(講師:池田)

第2講  2006/10/13
若山牧水 大正の抒情のかたち
酒をこよなく愛し、生涯の大半を旅に過ごした歌人。西行、芭蕉をしのび、桜を愛し、水源を紀行した歌人。牧水の自然観、生命観の上にも時代の影は落ちています。多くの人に愛されてきた牧水の魅力を語ります。
(講師:上田)

第3講  2006/10/20
『一握の砂』の読み方
石川啄木『一握の砂』の魅力は汲めど尽きぬものがあります。魅力の源泉の一つは原典『一握の砂』(東雲堂 明治43年)そのものの中にありました。そこに張りめぐらされたコードを読み解きます。
(講師:近藤)

第4講  2006/10/27
晶子から啄木へ 啄木から晶子へ
『みだれ髪』によって啄木を触発し、歌人として誕生させた晶子。その後の新詩社での啄木の軌跡をたどりながら晶子のなかの啄木の存在について探ります。
(講師:今野)

第5講  2006/11/10
現代に生きる啄木
啄木は昭和短歌のモダニズムの源流であり、また今日の文学の主要なテーマである<自分探し>の先駆的な存在でもあります。そのようなことを具体的な短歌を紹介しながらお話ししたいと思います。
(講師:三枝)

※リバティ・アカデミーは会員制度です。受講の申し込みの際は、「入会申込」の手続きが必要です。その手続きは、トップページの「オンライン入会申込」からでも、講座を選択した後の流れからでも行うことができます。お支払いはクレジットカードと銀行振込が選択できます。

 上記の文言は明治大学のホームページからの引用です。申し込みなど詳しいことは下記のアドレス明治大学のホームページ「教養文化講座」をご覧下さい。
※ 講座コード 06220024
 http://academy.meiji.jp/ccs/index.html
(06・8・10 湘南啄木文庫・佐藤)

啄木像を歪めた 金田一春彦を糾す!
西脇 巽氏「青森文学」74号
 「青森文学」74号(06年6月)に、近年多くの啄木研究論を刊行している西脇巽氏(本業は精神科医)が、「金田一春彦氏の迷惑」という論稿を書いている。
 これは私(佐藤勝)が、先に刊行された西脇氏の『石川啄木の友人 京助、雨情、郁雨』(同時代社)を読ませて頂いた時に、氏宛に書いた読後感の最後に付けた、金田一京助の息子である春彦が、不可解な言動と、悪ふざけ的で不愉快にしか感じない文章を書き散らしたのは何故か、精神科医でもあり、著述者でもある西脇氏に、ぜひ教えていただきたい、という旨の手紙を送ったことが、西脇氏が今回の論稿を書かれる発端になった、とのことだが、少なからず多くの啄木愛好者が、私と同じように感じていた疑問であり、春彦のような著名人の書いたものは、根拠のない嘘でも本当のように伝わってしまうから、私はそのことを少しでも避けたい、という思いで、ある意味では西脇氏に懇願するような思いで、書き足した手紙でした。
 それが、このように見事な論稿となって発表されたことは、まことに溜飲の下がる思いです。また、私のような啄木愛好者のみならず、研究者にとっても、貴重な一文となって残ることは何よりも嬉しいことです。
 西脇氏の『啄木と郁雨 友情は不滅』(青森文学会)なども合わせて読んで見られることをおすすめします。 (06・8・10)

※「青森文学」74号は湘南啄木文庫でも販売販売致しております。定価600円、送料210円です。

 湘南啄木文庫への申し込みは「新刊書割引コーナー」の「新ー26青森文学74号」と、メールで申し込み下さい。

桜井健治氏の「啄木の風景」(10回)「素顔の啄木像」連載(8回)開始!北海道新聞

 「啄木生誕120年記念企画」として北海道新聞のホームページに桜井健治氏の評論「啄木の風景」(10回)とインタビュー記事「素顔の啄木像」(8回)を掲載しております。
この記事は北海道新聞の特集ページです。ぜひご覧下さい。

 ※「啄木の風景」「素顔の啄木像」のアクセスはこちらどうぞ。
 その他の啄木関連記事はこちらの北海道新聞HPから記事検索を利用すると、約2年ほど前の過去の記事やコラムも見られます。
 ※ほかに「啄木を偲ぶ歌碑・施設」のページも掲載されています。
ザ・啄木展 啄木関連の4館が共同企画(盛岡市)
平成18年8月24日(木)〜11月5日(日)

 このたび盛岡観光コンベション協会を軸にして、四つの啄木関連の記念館(もりおか啄木・賢治青春館/石川啄木記念館/盛岡市先人記念館/盛岡てがみ館)が、啄木生誕120年記念の特別企画展を開催するという案内を頂きました。(06/8/4)
※詳しくは各館のHPをご覧になって下さい。

大室精一氏、啄木全歌集の「編集意識」についての研究進む

 このたび発行された論稿、「『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(1)──「第一段階」の歌群(3〜68番歌)について──」は、氏が、啄木歌集の編集意識について疑問をいだき、早くからその方面の研究に専念され、すでに発表された『一握の砂』の研究は、多くの啄木研究者にとって刺激的であったことは周知の通りである。
 本稿は、啄木第二歌集『悲しき玩具』についての論稿。
 啄木の友人、土岐哀果(善麿)は、歌稿ノート「一握の砂以後」を啄木から預かったが、そのノートはすでに、啄木自らの手によって編集されていた筈であった。が、土岐は啄木の編集意図を無視してしまった。
 ノートに無かった歌を入れるなどして刊行したのである。それは何故か?。
 このたびの『悲しき玩具』新論稿は、三部作の予定であるとのこと。大室氏の論稿はいよいよ佳境に入って来た。
 三部作の完成と二歌集の「編集意識について」の論稿が一本になって読める日の早く来る事を願いたい。

※上記の文献は「佐野短期大学 研究紀要」第17号(06・3)に掲載されております。


川啄木「ローマ字日記」の表記
「日本語の研究」第2巻2号(2006年4月)
菊地 悟
 この文献については2年前の平成16年10月に、日本語学会の「日本語学会2004年度秋季大会予稿集」に掲載された時、「湘南啄木文庫」のHPと「湘南啄木文庫の収集目録」第17号(平成17年1月発行)にて紹介したが、今回の論稿は、先の研究会で発表した原稿を元に書かれたものである。
 啄木ローマ字日記は、あまりにも有名だが、その日記の詳細な研究はまだまだ、踏み込まれてはいない。というのが現状であった、と思える。
 菊地氏の今回の論稿によって、いくつかの事項が詳細にされたことは有り難い。
 先ず啄木はローマ字日記で、どのような表記的方法を用いたのか、その変遷についても詳しい一覧表を掲げて示されている。
 また、土岐哀果(善麿)の歌集『NAKIWARAI』から受けた影響なども含めて、啄木のローマ字観をより具体的に示された論稿である。(2006年7月19日 佐藤勝)

「啄木日記」を切り取ったのは誰か!
作家、日垣隆氏が告発する啄木リポート!
 「新潮45」06年7月号に「世の中を舐め切れなかった 石川啄木」という一文が載っている。日垣隆氏はルポライター(ルポルタージュ作家と呼ぶのだろうか)として、夙に知られる文人。その売れっ子作家の書いた30枚足らずのコンパクトな「啄木評伝」ですが、唸らされました。
 啄木愛好者の私には、諸手をあげて歓迎できる内容ではないが、先に精神科医の西脇巽氏が書いた『啄木と郁雨 友情は不滅』(平成17年3月 青森文学会発行)には、何かしらしっくりこない、と思っている読者(あるいは研究者)の方には、節子、又は郁雨が切り取った、と思えるという「啄木日記」に関する、このリポート記述は刺激的ではないでしょうか。先ずはご一読をおすすめします。(06・7・14 佐藤)
 

 参考までに、日垣氏が参考文献として記された文献の一覧を下記に掲げます。

『石川啄木日記 第二巻』(世界評論社 昭和23年)
金田一京助『短歌講座 第12巻』(昭和7年9月)=『新訂版 石川啄木』(角川文庫)
平岡敏夫編『石川啄木の手紙』(大修館書店)
金田一京助著『新編石川啄木』(講談社文芸文庫)
小田切秀雄編『啄木書簡』(第三文明社)
太田愛人著『石川啄木と朝日新聞社』(恒文社)
朝日新聞社編『朝日新聞社史 明治編』(朝日新聞社)
吉田狐羊著『石川啄木研究』(乾元社・昭和27年刊)
岩城之徳「啄木晩年の金銭出納簿」(「日本大学文理学部(三島)研究年報」第20輯 昭和47年12月4日発行抜刷)
国際啄木学会編『石川啄木事典』(おうふう 平成13年刊)
藤田庄一郎著『石川啄木余話』(武蔵野書房 平成6年刊)
桑原武夫編訳『啄木 ローマ字日記』(岩波文庫)
三浦光子著『兄啄木の思い出』(理論社など)
吉田狐羊「啄木晩年の経済生活」(「日本評論」昭和11年4月号)

<編注:「(金銭出納簿)は、現存しています。が、どの全集にも入っていません」との記述があるので、筑摩版全集にも目を通したもの、と思われます。>
岩手県立図書館が新装開館!

啄木の直筆資料のことなど思う
─盛岡在住の啄木研究家から届いた新着ニュースから─
私がこれまでに訪ねた啄木文献の生資料(直筆など)の宝庫は、やはり函館市立図書館の「啄木文庫」が第一番の筆頭であると思う。
 しかし、ここでは生資料の閲覧は出来ない。すべてコピーの閲覧なのだが、そのコピー資料の閲覧さえ職員が立ち会う、という堅牢さである。
 このようにして来たから守られてきたものもある、と私は思っているが、啄木の超一級生資料を何処よりも多く所蔵している唯一の施設として、このままではいけない筈だ、とも思われる。

 二番目は東京の日本近代文学館、ここには戦前から啄木研究のために自力で資料を集めていた川並秀雄氏の所蔵していた啄木の直筆などを含む生資料が、川並氏没後に遺族から寄託されたものと、啄木晩年の友人であった土岐善麻呂が所蔵していた啄木直筆の原稿や書簡などの生資料がある。

 日本近代文学館の閲覧には、それほどの負担はない。規定の閲覧料を払えば原則的には誰でも閲覧できる。閲覧料が高いと思うか、安いと思うかは資料を必要とする人によって異なる問題であり、法人と公立館との運営事情を汲めば納得できる、と私は思っている。

 三番目は啄木の故郷にあり、今年一月から盛岡市と合併した渋民の財団法人「石川啄木記念館」、それとも盛岡市文化振興事業団の運営する「盛岡てがみ館」であろうか。

 七年前、『石川啄木事典』(国際啄木学会編、おうふう)に「現存資料案内」の原稿を書くために私が調査した時は、石川啄木記念館が三番目であったが、その時は「盛岡てがみ館」が啄木の生資料を多く所蔵しながらも、未整理のために公表出来ない、という事情をもっていたのであった。

 あれから七年、「盛岡てがみ館」は次々と貴重な啄木文献の生資料を公開して来た。もちろん「石川啄木記念館」にも、七年前から見れば何点もの貴重な生資料が増えている。したがって三番目がどちらかとは言い難いのである。
 ともあれ「盛岡てがみ館」が多く所蔵する啄木の二次的生資料(啄木関係者の生原稿や書簡など)は、これからの啄木研究者にとって見逃すことは出来ないところと思う。

 さて、啄木文献資料は生の資料ばかりを一級としているわけではない。啄木がどのような雑誌、あるいは新聞にどのような事を書いていたのか、あるいは啄木について書かれていたか、を知るためには、その刊行物を直に見たいものである。そのような資料を何処よりも多く所蔵しているのが「岩手県立図書館」(盛岡市)である。

 この図書館は私も何度も訪ねて大変お世話になった。(私が利用した図書館でもっとも親切で丁寧な職員の多いのもこの図書館であった)その岩手県立図書館がこのたび新装開館した、というニュースが盛岡市在住の啄木研究家、森義真氏から伝わってきた。

 以下に森氏から頂いたメールの一部を紹介して、岩手県立図書館がますます多くの利用者に知の泉として愛されることを願いたい。啄木研究の発展のためにも。

  森さん嬉しいニュースを有り難うご座いました。 2006年5月16日記す。佐藤 勝

****************
  
 湘南啄木文庫・佐藤 勝様

    (略)
 8日に新装開館した「岩手県立図書館」(盛岡駅西口)に日曜日夕方に行ってきました。
 簡単な調査依頼とさっと館内を見て回っただけですが、これまでに比べて、かなり利便性が高くなったと思われます。
 蔵書数などは別として、月曜日も開館しますし、土日も含めて、夜8時まで開館していることは、私にとって行きやすくなります。
 パソコンが多く設置されているのが目に入りましたし、マイクロ機も最新と思われる機種が入っていました。
 不便になった点は駐車場ですが、バスを使ったり、知人の駐車場に置いたり、いろいろと利用法を考えます。
 新聞も、東北地方(秋田は魁新報のみ)に加えて、北海道新聞(札幌版)も今年1月分からありますので、日付さえわかれば、コピーを取りやすくなります。
 報道によれば、閉架の図書や郷土資料などが整理されたようですので、リクエストしてからの時間が短くなると思っています。
  (略)
  2006年5月15日  森 義真 (もり よしまさ)
 
 ****************

 付記
 岩手県立図書館には啄木の書簡など生資料もあります。閲覧は無料ですが事前の連絡が必要です。(佐藤勝)


 照井悦幸盛岡大学助教授の論稿!掲載誌

 啄木学会の若手ホープの一人である照井助教授の最新の論稿については、★新聞・雑誌の記事★特集号雑誌等欄にても紹介したが、この度、湘南啄木文庫に照井助教授より論稿掲載誌「盛岡大学 比較文化研究年報」第16号をご寄贈頂きました。
 この照井論稿は、昭和初期に啄木の国際性をいち早く認識した英文学者坂西志保の見識の深さと、啄木ほかの文学者を通して、国際平和の在り方を考えさせてくれる素晴らしい論考です。
 詳しいことは前記の欄にてご覧下さい。

「石川啄木の不幸と幸福」 佐佐木幸綱
 (ある日のある新聞から佐藤勝が抄出)
 歌人の佐佐木幸綱氏が啄木の120回目の誕生日前日である日の、公明新聞<日曜版>(2006年2月19日)に、上記の表題で執筆した文献を友人から頂いた。
 一般紙でないから、読まれた人も少ないと思うので、少し紹介したい。

 「あるアンケート調査では、近代の歌集で人気のあるのは、第一位が斎藤茂吉の『赤光』(しゃくこう)で、第二位が石川啄木の『一握の砂』だということである。」
 という調査の方法は知らないが、嬉しい記述に続いて

「啄木の歌が好まれるのは夭折者に対する同情といったこと(それも多少あろうが)ばかりではない。百年もの長きにわたって読まれるには、やはりそれなりのわけがなければならない。
 「東海の小島の磯の白砂に/われ泣きぬれて/蟹とたはむる」という有名な歌は、青年の感傷をうたったものとして、わたしなどは若いころは反発したものであった。しかし、年老いて来てこれを読むと、中年者でも老人でも「われ泣きぬれて」という状況はありうるとわかって来る。」
 と、執筆者である佐佐木氏の告白(?)的な文章には、啄木を語るにふさわしい優しさがにじんでいる。

 「ところで、啄木という一人の明治の青年は、現代の青年とくらべて、不幸だったか、幸福だったかを考えてみよう。」と続くが、この文献に興味のある方は、公明新聞、又は湘南啄木文庫のコピーサービスをご利用下さい。
 ここに全文を紹介できないのが、私も残念ですが。。。。。。。(2006年3月10日・佐藤勝)



本日(2006年4月8日)、入荷の啄木文献新刊書です!

池田 功著『石川啄木 国際性への視座』A5判 346頁 6800円 おうふう 06・4


<帯文の紹介>
「国際人」としての啄木の貌をさぐる
啄木におけつ朝鮮・中国などの東洋、そしてドイツ・アメリカ・ロシアなどの西欧への認識、またそれらの地での翻訳や研究状況などの調査、さらに尹東柱、Heinch Heine、トルストイとの比較などを通して、啄木を「国際詩人」として位置づける試み。


安元隆子著『石川啄木とロシア』翰林書房 4800円 A5判 386頁 
詳しい紹介は後日いたしますが、取り敢えず帯文を!

啄木が遠く仰ぎ見たロシア
時代閉塞の状況に悩む啄木が生きた時代---
ロシアの文学・思想を日本は深く受容していた



 風呂で読む啄木歌集『一握の砂・悲しき玩具』

 先日、ネット上で見つけた啄木歌集『一握の砂・悲しき玩具』という本は、全頁プラスチック製である。しかも巻末には不要となった時の廃棄の方法まで記されてある。塩化ビニルによって環境汚染とならないように、との気配りからである。このような記載のあることに何となく嬉しくなった。
 以前(1997年)に、世界思想社という出版社から「風呂で読むシリーズ」の一冊として、木股知史著『啄木』という本が出ていた。この本は「浸水に耐える合成樹脂使用」と記載してある他は、特に変わった感じのしない普通の新書判の本であった。
 しかし、今回の本は1ページ、1ページがプラスチックなので、その感触は冷たくて何とも言えないものだが、私にはこの冷たい感触が何故か心地よく思える。

 下に詳しく書誌的紹介をしてあるので、興味のある方は取り寄せてご覧になってみて下さい。
 (2006年3月31日・佐藤勝)

 石川啄木『一握の砂・悲しき玩具』風呂で読める文庫100選009・文庫変型判195頁 1050円
フロンテイアニセン発行(東京都中央区新川1−15−2  tel:03−6222−5771) 05・2

西脇巽著『石川啄木の友人 京助、雨情、郁雨』


 本日は、4日程前に届いた西脇巽著『石川啄木の友人 京助、雨情、郁雨』(46判 215頁 1600円 06・2・10 同時代社)を読み終えましたので、この本について紹介します。
 西脇氏の名はこのHPでも何度か途上しているので、お馴染みになった著者ですが、氏の最初の著書に接した時の私は、何故これほどのことに執着して論をすすめるのか、と思いながらちょっと敬遠気味になっていたのですが、3作目の『石川啄木 骨肉の怨』を読んだ時に、著者の意図するものが読者の意表を突くことにあるのでは無くて、著者なりに感じている、啄木の作品とその生への真実を、純粋に追求している事を知った時に、私はこの著者の主張とは多少の相違はありますが、著者の一途な思い入れが好きになってしまって、というのが正直な思いです。
 今回の著書は氏にとって6冊目の啄木論です。特に前著『啄木と郁雨 友情は不滅』(05・3 青森文学会刊・湘南啄木文庫にて購入出来ます)は、著者の啄木への熱い思いが直に伝わって来るようで痛快でした。
 ところで今回の書についても、私は痛快に読みました。民謡詩人の野口雨情が書き残した「啄木の思い出」などには、思い違いや自分に都合の良い事しか書いてない事が、解りながらも、それを一蹴しただけではダメであって、何故、雨情の書いたものは信憑性が無いのか、という事を立証しなくてはなりませんが、それを今回は西脇氏が精神医学者としての経験とか、学識、それに研鑽した啄木研究の面などから、総合的に捉えて論じておます。今回のように雨情の精神の分析をはじめ、本来の性格などを含めて雨情の言動なども論じられた事には、大きな意義があると私は思います。
 以下は本日、西脇氏に宛てて私が書いた手紙の一部です。

 (前略)
 西脇先生の矢継ぎ早に放される「啄木論」には、驚いておりますが、又その源泉が、啄木を正しく理解しよう、あるいは理解させたい、という思いにあることを知って、嬉しくなっております。
 今回の論考では特に、金田一京助についての論を興味深く拝読いたしました。京助と啄木の精神的な繋がりについて、もう少し詳しく専門的な先生の医学者の視点などからもっと語って頂けたら良かった、という思いも少し抱きました。
 しかし゛「啄木末期の苦杯」の嘘゛などを読みながら、金田一がとった、あるいは語った事の意味が少しばかり理解出来たような気が致します。
 それから京助の息子、春彦(故人)などは、随分とおかしな啄木エッセイーを度々書いておりましたが、私などには何故あんな風なものを書きまくったのか、と思う事がありますので、いつか西脇先生の論考が、京助から春彦まで延長される事も楽しみにしております。
 野口雨情と啄木についての論は、「陰謀捏造の名人」という表題が、雨情側から見れば大変刺激的でしょうが、このような書き方のほうがすっきりした感じもして来ました。
 雨情の言動には、私などには理解し難い部分が多くあって、不謹慎なようですが、私は今、先生の論に対する今後の反論の出る事が楽しみです。(後略)
2006年2月24日  佐藤勝                    


近藤典彦 啄木の北海道−社会主義思想への接近・天皇の神格を否定− 「しんぶん赤旗」05・10・13号から

 啄木が北海道で知り合った新聞記者、小国露堂から受けた社会主義思想の影響は重要であった。それは、「神聖ニシテ侵スヘカラス」とされていた天皇に関する迷信を取り払われたことである、という。紙幅の所為もあってか、詳細ではないが、この方面の啄木論は、まさに近藤氏の独壇場であり、論旨も解り易い。ご一読をおすすめしたい。
また、啄木特集号雑誌として、当ホームページでも紹介している「小国露堂〜啄木に主義を説いた宮古生まれの新聞人〜」(小国露堂展実行委員会 05・6)と、併読されると更に理解できるかも。(05・10・15)

*上田 博 鴎外の「森」から 杢太郎・啄木 P70〜82 『明治文芸館 V』A5判 2450円+税  嵯峨野書院 H17・10・10(本書の購入には湘南啄木文庫の★新刊書籍販売コーナーをご利用ください。)

 森鴎外が小説家としては失敗した、といわれる啄木の才能を認めて、啄木に送った手紙に込められていた言外の意味を、啄木はどの程度知り得たのか。杢太郎や啄木など若き文学者たちに向ける文豪、森鴎外の慧眼を彼らはどの程度理解できたのか、を論じている。(2005年9月25日)

*田口道昭 石川啄木論「明日」という時間 P101〜119 『明治文芸館 V』A5判 2450円+税  嵯峨野書院 H17・10・10(本書の購入には湘南啄木文庫の★新刊書籍販売コーナーをご利用ください。)

 この文献については執筆者自身が論稿の序に短く記した、内容の解り易い文章があるので、それを次に掲載する。

 「石川啄木の評論「時代閉塞の現状」は、「明日」という言葉を重要なタームとして使用している。啄木は、この評論に「我々は今後も厳密に、大胆に、自由に『今日』を研究して、其処に我々自身にとっての『明日』の必要を発見しなければならぬ。必要は最も確実な理想である」と書いた。
 この言葉は、「今日」が停滞状況にあり、「『未来』が奪われたる現状」からの脱出口をみつけねばならないという問題意識によって生み出されたものであった。
 本稿では、「時代閉塞の現状」を中心に、啄木の歴史認識もしくは時間認識の位相を考察したい。」(2005年9月25)


大室精一 「『真一挽歌』の形成」補論−誕生歌から挽歌への推敲について−(「佐野短期大学 研究紀要」第16号 05・3発行)

 私は大室氏の論考を読むまでは、啄木の心が『一握の砂』の編集時に、どのように変遷したか、という視点で読む気持ちをまったく持ってはいなかった。
 だから歌集に託されたメッセージとしては、大逆事件との関わり程度であったが、大室氏は、そのような小手先のことではなくて、もっと大きな、啄木の心のメッセージのあることを教えてくれた。
 それは大歌集「万葉集」にも指摘する、意図的な編集と推敲のあったことを示してくれたもので、万葉集学者ならではの新しい啄木の発見を示唆するものである。
 
 大室氏はこれまでに『一握の砂』の編集と推敲の過程についての、綿密な研究論文を多く発表されているが、本論は前稿の補論、というものであるから、この項のみの読者には、是非、国際啄木学会編『論集 石川啄木U』(おうふう 04・3)や「国文学 解釈と鑑賞」平成16年2月号(至文堂)などに収載されている氏の論考と併読される事をお進めしたい。(05・7・9)


第20回 岩手日報文学賞「啄木賞」は、木股知史氏に決まりました!
<和歌文学大系>『一握の砂ほか』(共著)(明治書院・04・4)
詳しい事は上、又は右の「啄木賞」をクリックしてください。 なお、第15回「啄木賞」の受賞は拙著『石川啄木文献書誌集大成』(武蔵野書房 99・11)で、岩手日報文学賞第15回「啄木賞」のHPでは、私(佐藤 勝)のコメントもご覧になれます。


永田秀郎著『釧路 街並み今・昔』(A4判 1905円 北海道新聞社 05・7)

 啄木文献ではないが、啄木ファンにとって、釧路の啄木を知るのには欠く事のできない本となる一冊である。
 多くの写真は見ても楽しいが、想像を掻き立ててくれるから、なお楽しい。が、本書に掲載の写真の多くは昭和3、40年代のものである。
したがって啄木研究からではなく、私にとって啄木と親しみ出した年代と、本書が主に取り上げている時代が丁度重なっているから、楽しくなる本なのかも知れない。

 昭和40年代に釧路からも「集団就職列車」が発車していたとは知らなかった。私も東北の田舎から30年代に「就職列車」に載って上京した人間だから、こんな写真には胸がジーンとなってしまうのである。

 随所に折り込まれた「コラム」の文章が良い。数篇の啄木コラムもあるが、コラムの全般に、著者の「釧路」を思う気持ち滲み出ている文章は、特に感動的だ。

森 義真  啄木を訪ねる道 (渋民村・啄木と出会う道)を読む (掲載誌「北の文学」第50号 1100円 岩手日報社 05・5)

 この文献は論文ではない。が、私はこれを「論文のページ」で紹介した。と言うのも、これはまったく至れり尽くせりの文学散歩案内であるが、単なる文学散歩案内の文章では無い。啄木文学の原風景訪ね、それを顕彰したものである。

 その的確な表現は文学散歩の域を超えて、啄木作品の誕生の原点を示唆するものとなっている。が、森氏の文章はけっして分を超えてはいない。懇切丁寧でありながら控え目なのである。
 これから啄木の故郷「渋民」を訪ねて見たい、と思っている人には勿論、以前に訪ねたことのある人にも必見の文献と言える。そして私たちは、森氏の啄木案内の的確さに感謝したくなると思う。

 旧環境庁の推進で「新・奥の細道」という自然歩道が、全国的に設置された事は、記憶力のよい人なら覚えておられる事と思うが、本論の案内コースもその一部である。が、森氏の格調高い文章を読むと、やりっぱなし、の国家事業も底辺の庶民によって、このように支えられているのだ、ということが実感できる。
 この文献は贅沢な「文学散歩」の案内文である。(05・6・19記)
 
近藤典彦  修と啄木ー大逆事件以後ー (「平出修研究」第37集に掲載) 05・6
 

 明治という時代に起きた「大逆事件」(「幸徳事件」とも)という大きな事件を、今日的に研究解明するのには、啄木が書き残した「日本無政府主義者陰謀事件経過及び附帯現象」や「A LETTER FROM PARISON」などが大変貴重な記録であることはよく知られている。

 この事件の弁護を担当した一人で、啄木の友人でもあった弁護士 平出修の弁護がが如何にすぐれたものであったか、また、平出がその弁護にあたって啄木から示唆されるところが、如何に多くあったか、という事を調査研究したのがこの文献である。

 つまり近藤氏の論は、弁護士の平出修もさることながら、啄木が如何にすぐれた時代の炯眼者であったか、ということを伝えてくれるものなのである。(2005年6月16日)

 本稿掲載誌の連絡先  〒103-0002 中央区日本橋馬喰町2−5−12(株)三栄社内 平出修研究会事務局(頒価 1400円+送料) 


<最近の新聞記事から>

 最近の2紙に載った下記の6回分の啄木関係報道記事で、特に心に残ったのは「赤旗」に掲載された、池田功(明治大学教授・現在ドイツのボン大学客員教授)・孫順玉(ソン・シュンオク/韓国 中央大学校教授)の対談記事であった。
 啄木が今、国境を越えて理解されようとしている事が、二人の対談の中から伝わって来て嬉しかった。が、何故、特に今なのかと思うと、やはり気になるのは時代を流れる、不可解な気配によるものではないか、と思えてきた。
 孫氏は「(時代閉塞の現状を/いかにせむ)と詠んだ啄木の心情への共鳴ではない」か、と語っている。
 池田氏は(啄木が)1910年の韓国合併を悲しんで「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつつ秋風を聴く」と詠んだ啄木の国際認識思う、と語っている。
 強い国が武力を持って世界を征服するような事が、21世紀の今日にあって良いのだろうか。啄木は百年前にその事を嘆いていたのです。

 イラクでは今日も、幼い子供たちが銃弾の飛びかう中を逃げ惑っている、と思えば、私はやはり小泉サンを全面的に支持することは出来ない。 啄木がこのような様子を見たなら、何と詠うことだろうか。(2004/11/15)

岩手日報 「18歳啄木の直筆はがき・100年の歳月を経て」11月10日
しんぶん赤旗 「対談 石川啄木の魅力(上・下)」11月3、4日
岩手日報 「国際啄木学会ソウル大会から(上・下)」10月20、21日
しんぶん赤旗 「国際啄木学会ソウル大会」10月21日


近藤典彦 『一握の砂』巻頭歌考  「成城国文」第20号 成城国文学会 04・3
「東海歌」についての鑑賞、解釈は、論者が言うように「諸説紛紛」で、啄木短歌の中で最も多いものであるが、それでもなお、論じたくなるのは何故か、と思いながら(そう思うと楽しいのです)読んだ。
 これは「一世紀を経ても収拾がつかない」この歌の、鑑賞と解釈の難問?に「決着をつけたい思」いで書かれたのが、本論であるとの事。論考は、1.『一握の砂』の章立てと編集・割付の巧緻/2.『一握の砂』各章・各節における冒頭の歌と末尾の歌/3.巻頭歌の成立過程・巻頭歌としての意味/の観点から論じられる。
 かつて「東海の小島」は「世界の東の海上に位置する」という説に対して、旧歌壇の大御所だった尾山篤二郎は「大袈裟なことをいふもんだ」と言ったそうだが、近藤氏の論考は尾山の嫌み?な発言をみごとに封じ込めて、終止符になるような論考である。
 しかし、この問題はまだ簡単には決着はつかないかも知れない。何故なら、この歌は啄木の象徴であり、啄木歌の原点であるから。
 最後に蛇足ながら一言。近藤氏は、この歌の凄さを「の」をアップして行くところにある、という井上ひさし氏の言葉で紹介してる(「国文学 解釈と鑑賞」2004.2)が、井上氏よりも早くに、その凄さを語り紹介している、李御寧(イー・オリョン)氏の『「縮み」志向の日本人』(学生社・1982.1/1984.10講談社文庫)のあることを、ネットファンにはお伝えしておきます。この書の中で李氏は「入れ子型・・・・込める」というすぐれた論考で、啄木論、否、日本人論を披瀝されているのです。是非ご一読を。  (04.9.5記)

*種倉紀昭 「石川啄木『呼子と口笛』の自筆口絵の象徴的意味について」 (04・3「大学美術教育学会誌」第36号)

 「呼子と口笛」の口絵については、これまでに何人かの人が論じている。種倉氏はそのような先行論文を踏まえて、ここに氏独自の美術学者としての視点から、自筆詩集「呼子と口笛」の扉絵に、啄木が何を語ろうとして描いたのかを、論じている。
 先行論文の一つである近藤典彦氏の論は、啄木が大逆事件の直後に読んだ、幸徳秋水著『基督抹殺論』から影響を受けたが、啄木独自の天皇の神性批判と、キリスト教を否定したもの、としている。
 また、戸塚隆子氏の先行論もある。戸塚論は近藤論に似て非なるもので、近藤論のように「秋水⇒啄木⇒天皇の神性及びキリスト教否定」と性急ではなく、啄木とキリスト教の一致を意図するものとしている。
 種倉氏は近藤論を肯定しながら、さらに啄木は「西欧近代市民社会的自由への憧れ」と「それとは逆の方向に向う日本の暗黒時代への警世の象徴」として、描かれたものと思われる、としている。
 この絵は晩年の啄木が描いた絵としても、興味あるが、このように奥の深いものである事を知ると、つい本物が見たくなってしまう、と言う人は、東京 駒場の日本近代文学館が所蔵しておりますから、ご覧になる事をおすすめしたい。
 また、大変良くできた覆刻版が、今でも石川啄木記念館などで、安い値段で購入出来るので、こちらもおすすめしたい。そしてこの絵をご覧になってから、種倉氏や他の方の論文を読まれると、このノートに託した啄木の思いが、何倍もの熱さで伝わって来て、啄木が何故、絵や詩という形でしか、表現出来なかったのかについても、理解出来ると思う。    (04・8・12 佐藤 勝 記)


*鳥海健太郎著『啄木慕情』1995年5月・近代文藝社

 先日、Kさん(57才の男性)から、啄木の生涯と、その歌の背景を知りたいので、むつかしく無い、小説的に書いてある本を紹介してほしい、と言われました。
 またKさんは「図書館で借りて読むのは嫌い」とも言うので、今、新刊書で読める啄木が主人公の小説は、と考えて咄嗟に思い付いたのが、上記の本でした。
 私はこの著者の事をまったく知りませんが、奥付の紹介には1938年生まれ、外科医、と記されてますからプロの作家ではないらしいです。
 この本は北海道を流浪した後の啄木と、その一家が間借りした「喜之床」という床屋の二階での、約一年間のことが書かれているもので、総数80頁にも満たない短い小説ですが、歌集『一握の砂』の誕生にいたるまでの、啄木周辺のことが、著者の私観で(ここが大事ですが)、とても上手く書かれています。
 10年程前にでた本で品切れでしたが、最近再版された、と雑誌(「文学界」04・6月号)の広告に載っていたので、まず、これを紹介したのです。
 間もなくしてKさんから、感激した、との電話を頂き、ほっとしていたら、次ぎは何を読んだら良いですか?、と聞かれました。

 今、新刊書で読める啄木小説とは?
 *澤地久枝著『石川節子〜愛の永遠を信じたく候〜』(文春文庫)もよい本ですが、これは「啄木の妻節子」が主人公なのです。
 *井上ひさし著『泣き虫なまいき石川啄木』(新潮社)、これは小説ではなく、戯曲です。が、私はこの舞台を初演も再演も見ました。笑いながら泣けてしまいました。今も原作が単行本で読めるのは嬉しいので、これもおすすめです。
 でもやっぱり、小説と言うより評伝的なのですが、啄木の親友であった人の書いた本、これを是非読んで下さい。
 *金田一京助著『新編 石川啄木』(講談社文芸文庫)、同じく『新訂版 石川啄木』(角川文庫)です。この本には著者の記憶による、多少の錯誤が記されていることも、現代の研究者から見れば、明かだそうですが、私は、啄木の最も近くに居た人の、生のような言葉には、とても心打たれるのです。

 以上のように私は、電話口でKさんに答えましたが、どなたか新刊で読める啄木小説のおすすめがありましたら、小生まで、メールで知らせて頂けませんか。
(04・8・1 佐藤 勝)啄木図書新刊の紹介

* 山下多恵子 <忘れな草・啄木の女性たち>(54〜56)女性たちの啄木(上)(中)(下) 
盛岡タイムス 04・5・19/6・2/6・16
*<読後寸感>
 不定期ながら56回にわたって連載された山下氏の「啄木の女性たち」が完結した。この連載論には何度も共感し、胸のつまる思いで読んだ。女性の立場から書かれた、などと誤解してはいけない。
 この連載を通読すれば、それが女性だから書けた、などとは言え無いことが解かるだろう。
 これは山下氏の人間啄木と、啄木を支えた多くの女性たちを観る、暖かくも冷静な眼差しによって書かれた、ある種の社会評論でもある。
 明治という時代に、啄木という天才と共にその時代を生きた女性たちの姿が、文字制約のある新聞連載という文章の中で、みごとに語られている。
 啄木ファンは勿論、研究者には五つの★印で薦めたい論稿なので、一日も早く一本になる事を切望する。が、盛岡タイムス社は単行本の発行を企画に入れてくれてるのだろうか?
 山下氏には最近刊行されて話題となっている、明石海人、島比呂志というハンセン氏病に苦しんだ、二人の文学者を論じた評論集『海の蠍』(未知谷社)という好著もある。
(2004年6月18日・佐藤 勝)


*「啄木文庫」第34号
(04・3)から

 田中礼氏の「啄木と俳句〜表現とのかかわりで〜」は、50年ほど前になる、V.マルコヴァ女史の啄木論に示唆された論稿で、俳句の季語「啄木忌」についての考察だが、私たちの社会が啄木作品(短歌)を、どのように受容してきたかをもう一度考えさせてくれるもの、として心に残るものだった。
 松村洋氏の「『石川啄木事典』について思うこと<下>」も気になる一文である。これまでの常識をやぶったのが啄木事典であり、そのスタイルには賛否両論の感もあるが、松村氏のように「想像力の羽を広げてゆく」事典として活用したい。
 <本・紹介と批評>の欄では、田口道昭氏が望月善次著『石川啄木 歌集外歌評釈1』、森義真氏が米田利昭著『賢治と啄木』を紹介してる。
 なお、私、佐藤勝は山下多恵子著『海の蠍』の紹介を担当したが、山下氏の書の持つ大きなものを充分に紹介出来なかった悔いがある。
 啄木文献から少し外れるが、明治大学教授の池田功氏は、ドイツのボン大学に客員研究員として留学?中であるが、氏のエッセイ「ドイツの大学とその学問について」も、短いのが残念と思えるような佳い見聞録だ。
 この見聞録を更に読みたい、と思う人は「国際啄木学会東京支部通信」1〜4号を見られるとよい。こちらにはもっと楽しい留学日記、となっている。
 本号には<啄木作品と私>というコーナーがあり、会員各自が自分と啄木作品とのかかわりについて書いている。
 森義真氏は啄木との出会いは小さな新聞記事であった、と心ほのぼのとする文章をつづっている。また、啄木の歌と重なる記憶、として書かれた、元新聞記者の松村洋氏の「生き甲斐はどこに」は、自分の生き越し方を見返りながら、ちょっとせつなくなるような文章だ。
 本誌は会員配布の他に一般販売もされるので啄木愛好者に薦めたい。
(定価800円・連絡先・神戸市中央区諏訪山町3−1・神戸山手女子短期大学・田口研究室内・関西啄木懇話会)

*付記・・・・・・
「啄木文庫」第33号(03・3)には、現代歌壇の多方面において活躍している、三枝ミ之氏の「啄木の今日的魅力を考える」や、若き啄木研究家の一人である、田口真理子氏の「石川啄木と『朝日歌壇』〜啄木に選ばれた歌〜」や、後藤正人氏の「秋田雨雀の啄木研究をめぐって」などの力の入った論稿が掲載されている。
 ついでに、もひとつ。
 今日の啄木研究家の最も若きホープ(この表現は”70年代?)である、河野有時氏が拙著『啄木の肖像』の紹介を書いて下さってる。これがうれしい文章なので是非読んで頂きたい、と思う。

「北方文芸」通巻第358号
(03・12)から

 この雑誌は北海道で発行されてる同人雑誌である。知友が私の文献目録に、菱川善夫・「よみがえる啄木〜啄木の現代性〜」が載ってないから、と取り寄せて送ってくれたものである。(04・6・10 拝受)
  菱川氏は現代歌人の一人であり、氏の文学評論(特に短歌)は、高く評価されるものだが、これは久しぶりの氏の啄木評論である。
 テロリストの名の下に民衆の意を封じ込めようとする為政者へ、一篇の詩をもって果敢に挑んだ詩人石川啄木の姿を、評論「時代閉塞の現状」、「平信」、「性急な思想」などを更に深く読み解き、今日的な意義と啄木が感じた問題を提起する論稿である。
 この論稿の発表後に起きた世界の中の日本を想起すれば、菱川氏の卓越した啄木論、否、社会評論に私は敬服するばかりだ。
 (800円・発売元・なにわ書房(株)・札幌市中央区北一条西三丁目)

新日本歌人」第59巻4号
(啄木特集号・04・4)から

 碓田のぼる・「石上露子と啄木〜1098年、そこまでとそこから〜」
 碓田氏には近代の閨秀歌人と呼ばれた石上露子を論じた『夕ちどり』という著書がある。啄木と露子は、ほぼ同時期に雑誌「明星」の誌上にデビューした。
 露子は四〇〇年も続いた関西の旧家に生まれ、封建制度の中にある素封家に嫁いだ。
 長男は大戦前に31歳で病死、戦争を生き抜いた二男は戦後に自殺という、母としての苦闘を越えた露子は、1956年に78歳で亡くなった。
 一見恵まれた環境の中にありながら、社会の矛盾を告発した露子と啄木には、ひとつの共通点がある。
 論者は常に天皇制度と戦争について考えているのだが、世の中の弱者を守る弁護者でもある。

 近藤典彦・「啄木短歌三行書き序論」
 近藤氏には啄木研究の著書数冊があり、すでに多方面からの啄木を論じている。
 三行書きについても、その著書の中で述べているが、本稿では土岐哀果のローマ字歌集『NAKIWARI』から啄木が得たヒントと、啄木の発展的な創造力について、大室精一氏の論(「『一握の砂』編集の最終過程」(国文学解釈と観賞H16・2)ほか)などを踏まえて論じている。
  蛇足だが「新日本歌人」は、創刊以来毎年4月号を啄木特集号として発行している短歌結社誌である。
(800円・東京都千代田区猿楽町1−4−8新日本歌人協会)
*(上記3点のメモは04・6・1記載です 佐藤 勝)
 

 幼児向けの啄木図書!
 『声に出して読みたい日本語8 われ泣きぬれて蟹とたわむる』(1000円+税 草思社 2006年4月14日発行)
 ちょっと遅くれた紹介で恐縮ですが、昨日、横浜の書店で幼児向けの啄木図書を見つけました。
それは、今 高齢者に大変人気のある「声に出して読みたい日本語」の本を次々と出している斎藤孝さんの著書で小林治子さんの絵と啄木短歌が27ページにわたって載っているものです。
 啄木短歌につけた斎藤さんの短いコメントが、若いお父さんやお母さんにも喜ばれそうです。
 「子どもたちには、ぜひとも啄木からセンチメンタルな気持ちを学んでほしい。傷つきやすく、ときにいい気になってしまう素直な心の揺れ動きを啄木と分かち合ってほしい。」という著者の気持ちが、小林治子さんの優しいタッチの絵と重なって、とても幸せな気分になれる絵本です。
 私は孫(2才5カ月)のお土産と自分用に2冊買いました。(06・4・10)
                  (各本の表紙写真をクリックすると拡大されます。)


上の写真は啄木と函館を結ぶ
紅苜蓿(べにまごやし)の花
(秦野市南が丘にて)
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