千林マンション管理士 事務所

コラム


未知数の要素が多いタワーマンション
ワーマンションは出入口が限定されている為、ホテルの様なフロントサービスがあったり、共用施設が普通のマンションと比べて充実しています。
例えばコンシェルジュが居て、宅配便、クリーニング、コピー、タクシー、カーシェアリングなどの取次や手配など、利用者にとっては有難いサービスがあります。コンビニがあるマンションもあります。
しかし、多くのタワーマンションの修繕積立金は、6〜7000円と聞いてびっくり。これで本当に大規模終戦工事が出来るのでしょうか?
そのマンションの長期修繕計画を見てみたいものです。
そしてもう一つ疑問に思うことは、高層階と低層階の費用負担です。
標準管理規約第25条に「各区分所有者の共有部分の共有持分に応じて算出する」とあり、階層は関係ありません。しかし、実際は高層階に物を移動する為に電気が余分に掛かります。給水のための維持費、エレベーターの維持費・・・タワーマンションは高層階の方の為には有利ですが、,低層階の方は余分な費用を払わなくてはなりません。そんな疑問を抱いているのは私だけでしょうか? 衡平な負担とは、何を基準にすれば良いのでしょうか? 写真はイメージです。内容とは関係ありません。

毎月なんとなく払っている管理費
平成16年3月に東京のあるマンションで委託した実存しない管理会社から1300万円の超える金額が横領される事件がありました。
入居者の無関心が原因で、起こるべくして起こった事件かも知れません。 
勿論、委託している管理会社の管理体制にも問題はありますが、大切なのは、自分たちの大事な管理費は、自分たちで守る必要があると言う事です。
一度、管理費の内訳を検討して見てはどうでしょうか。委託している業務は本当に必要か、価格は適正か、その質は?色々な疑問が出てきます。
疑問点は委託している管理会社に、納得のいくまで尋ねてみてはどうでしょうか。
コストダウンが可能かもしれません。質のレベルアップが図られるかもしれません。
 管理費が他のマンションと比べて高いとか、安いというのは、何を根拠に言っているのでしょうか?
比べるなら、内容や条件を同じにしないと比較はできません。また、管理費が高いからと言って、必ずしも管理の質が高いとは言えません。管理費が適正かは、委託している管理業務を見直すことからですね。

なぜ欠陥マンションが起きるの?
相手をだまし、ごまかす行為は、絶対に許せません。
単純な施行ミスは、現場仕事ですから多少はあります。
だからチェックが必要となります。単純な施工ミスは、やり直せば正常な状態になります。軽度のミスは、気が付いたり、指摘を受けた段階で、素直に認め修正しれば何とかなるものです。
しかし、大きなミス程、人は隠しごまかすのです。
後になれば成るほど、物事は悪化し、取り返しのつかない大事にもなります。
★JR市川駅前で清水建設JVが建築中の超高層マンションで2007年11月、RC柱の鉄筋不足が発覚した。マンションは地下2階・地上45階建て、総住戸数は573戸。発覚までに全戸を販売済みだった。分譲主である三井不動産レジデンシャル、野村不動産、清水建設の3社は、購入者からの解約受け付けました。
鉄筋不足が発覚した25階〜30階の住戸だけでなく、販売対象の全407戸を対象に内約40戸の購入者が、解約の意向を示したと市川市が明らかにしました。
 設計・監理者の日建設計は、工事監理で施工ミスを把握できなかった。同社によると、配筋が適切かは、施工者が作成する品質管理記録で確認する契約になっており、この記録によれば配筋は設計図書の通りだった。施工中に鉄筋不足が発覚して柱のコンクリートを一部除去して鉄筋を追加する補修工事を行って竣工し、建築主である3社が事業施行者の市川市へ引き渡し、市川市から地権者と管理組合へ引き渡した。
★新聞紙上でマンション建直しに発展した事件は、大手企業や旧公団でもある。大手だからと言って、決して安心ではありません。横浜の傾斜したマンションも大手建設会社の杭打ち問題でした。
★住宅性能評価書の付いたマンションが安心です。評価は二段階あり、設計図の段階で評価を受けた設計住宅性能評価書と、工事施工の段階を評価した建設住宅性能評価書です。
図面だけでなく、施工時のチェックがあった方が安心に決まっています。さらにこの制度のいい所は、品確法によって設置された紛争処理機関を利用できること。住宅をめぐるトラブルは、素人では大変難しいく厄介な事です。分譲主も非は簡単には認めませんし、相手は専門家ですから、言葉巧みに言い込められてしまします。この評価書の付いたマンションなら各地弁護士会などに設置された指定住宅紛争処理機関に1万円を支払えば、弁護士費用や裁判費用なしで依頼することができます。
管理会社の良し悪し
 管理会社の良し悪しは、一概には言えません。同じ管理会社でも、営業担当者や管理員さんによって、業務の内容やレベルに大きな差があります。
 勤続年数が長いからと言ってレベルが高い訳でもありません。新卒で入社2〜3年の若手で熱意のある方も居ます。他業種から転職してきた人も管理会社には多くいます。経験だけでは、その人の器量を判断できない仕事です。その担当者と話したり、問題解決をしていく内にその担当者の器量や熱意が分かってきます。
また、優秀な担当者でも、理事さんとの相性によっても、実力が十分発揮できない場合があります。
★マンション管理業を営むには、マンション管理適正化法に基づいて国土交通省に登録することが求められています。これはすぐに調べられます。相談を受けた管理組合の中に、不動産業者やビル清掃会社で登録していない会社もありました。

★管理会社は、委託契約の内容が変更するたびに重要事項説明会を開催しなければなりません。
これも上記の法律で定められていますが、実施せずに契約変更している会社もありました。

★担当者が変更する際の引継ぎがどの程度行われているか?
 管理組合の理事さんは、1〜2年で交代します。管理会社の担当者も数年毎に交代していきます。
 問題は、管理組合の運営に関する情報が継続されず、無駄な出費をしている場合が多くあります。
 機器の交換や修繕工事記録がきっちと整理記録されず、理事経験者の記憶に頼っている管理組合も多く、それらの情報は、管理会社と管理組合で共有し引き継がれていく必要があります。

★管理会社の業務仕様書が明確になっていますか?
仕様書に、各種管理業務をいつ・どのように処理するがを記載します。仕様書が無いと業務内容や品質は判断ができません。大雑把でいい加減だった所もありました。

★出納業務や会計処理に不正が起きにくい措置が取られているか?
 過去に管理組合の財産を横領する事件は、毎年発生していました。営業担当者・管理員・理事長などお金を扱う方法に甘さがありました。修繕積立金の様に億単位のお金が消えてします事件もあり、現在は万が一のために保証制度に加入する措置も講じられています。
 現場会計ではキャッシュレスも浸透してきましたが、管理会社の社内監査やコンプライアンス研修が、どの程度行われ、それに取り組んでいるかによって、大きく異なります。

★未集金明細報告や月次報告などは、最も重要な業務です。
これらの定型業務が毎回理事会で報告され、提案や問題点を投げかける担当者でないと理事さんは、気づかない。いつまで隠されている場合があります。管理会社と言うより営業担当者のレベルになります。

★結局は担当者の質が管理会社のレベルになる!
 主に、営業担当者、管理員、清掃員の質によって、管理会社の良し悪しが決まると言いていいのではないでしょうか。依頼事項が期日までに処理しているか、営業担当者と管理員や清掃員との意見交換を定期的に行い、絶えず問題点を探っているか。
 そのマンションに携わる全ての人によって、管理会社の質が決まります。受託件数や規模で判断されるのではなく、中小の管理会社でも定期的にマンションを巡回し、担当者任せにしないで、指導や教育を行っていいる立派な会社もあります。
 管理会社の良し悪しよりも、まず、営業担当者とよく話し合い、改善できるところがないか、双方で工夫してマンションをよくすることを考えましょう。それでも解決しない場合は、マンション管理士の登場でしょうか。

管理の良し悪し
実は、マンション管理の良し悪しは、区分所有者、住民一人ひとりが自分たちでつくり上げるものなのです。
単純に言えば、管理費で支払う管理委託費の額によって、如何様にもなると言うことです。24時間365日有人管理やコンシェルジュサービス付きのホテル並みのマンションにするか、或いは住民自身で日常清掃を行うか、そこに住む皆さんの考え方次第です。

 マンションと言う共同住宅で大切な事は皆さんの話し合いで物事を決めて行くことになります。
管理会社は、組合員から委託された業務を履行する営利企業であり、利益が出なければ、企業として存続できませんから、時として管理組合と意見が異なることは当然あります。
 現実には、そこに働く従業員、フロントマンや管理員さんによってもマンションの管理や質は大きく異なります。そのような事を考慮しつつ管理会社と上手く付き合っていくのが、ポイントとなります。

専用使用権
共用部分であっても、区分所有者が管理する部分があります。
一般的に壁や床・天井の躯体部分は共用部分ですので、玄関の扉や外部に面する窓も共用部分になります。また、窓の外側にあるベランダ、ルーフバルコニーも共用部分です。
しかし、専ら特定の区分所有者が使う部分については、専用使用権がある共用部分として、清掃や誤って割ったガラスの入れ替えなど、日常的な管理はそれを専用使用する区分所有者が行うことになっています。玄関扉、窓ガラス、バルコニー等は、専用使用権がある共用部分となりますが、それはそれぞれのマンションの管理規約の別表として明記してあります。例えば、玄関扉は、共用部分で専用使用権を認めていますが、錠と内部塗装部分のみは専有部分とされているます。
原則、日常的な使用に伴う管理は区分所有者が行いますが、あくまでも共用部分ですので、勝手に取り替えたり、改造したりすることはできません。しかし、経年劣化・自然破壊・計画修繕など管理組合で負担する場合もあります。 
写真はバルコニー手すり根元のコンクリートが爆裂して補修している所です。

ポンプ交換
修理・交換を行う際は、作業前と後に必ず、施工業者は写真を撮ります。作業完了報告書等に添付します。また、万が一の際の証拠として使います。
理事様が替わっても、交換記録の写真や報告書が保管されていると、適切な維持管理が可能となります。私の顧問先では、修繕履歴表を作成しています。年月日・工事名・業者名・金額・備考などを記録に残していますので、このポンプはいつ頃取り替えるか、オーバーオール良いか判断も可能で、経費の節約にもつながります。
写真は、増圧給水ポンプ(川本製作所ポンパーKDP)の内部写真です。
専有部分の漏水事故
経年劣化で、排水管から漏水。建築年数や使用材料にもよるが、職人さんの技量や経験がモノを言う。きちっとした工事であれば、起きなかった漏水事故も多い。設備工事の職人さんもピンからキリまで。
マンションの排水管は、勾配があまりとれないので、どうしてもヘドロが溜まりやすい。毎年、排水管の内部を高圧水で洗浄します。全てのお部屋が協力して在宅してもらえばいいのですが、これも100%は難しい。
油料理で使ったフライパンなどは、洗う前に雑布で油をふき取り、食器洗剤で洗うようにしましょう。また、麺類をゆでた熱湯は、冷ましてから排水しないと、塩ビの配管は、接続部分や管内に穴が開きます。日頃から、食器に着いた油等はふき取ってから洗うとか、髪の毛がつまらないようにネットを付けるといいでしょう。
マンションのスラム化
写真のような荒廃したマンションを見るのは、誰も嫌になりますね!誰もがこんなマンションに、したくはありません。でも、これは市川市内に現実にあったマンションの姿です。
道路に面した空地には、いつの間にか、粗大ごみの捨て場になっています。外壁には、ペンキによる落書きが目につきます。こうなると、いつ放火されても不思議ではなりません。近隣住民は不安でたまりません。
一度こうなると負の連鎖で更に悪い方へ悪い方へと回り始め、住む人がいなり、スラム化していきます。
築30年以上の高経年マンションはこれからどんどん増えてきます。管理が行き届いている所とそうで無い所の差は明らかです。
豊島区の高野区長は、このような事態になることを避けるために、全国で初めて「マンション管理推進条例」を制定しました。条例における管理状況の届出義務として、管理者の選定、管理規約の作成・保管・閲覧、名簿の作成及び保管、設計図書・修繕履歴の等管理に関する図書の保管、連絡先の明確化、長期修繕計画の作成、町会加入等についての協議…など区分所有法で義務とされている規定は、条例で義務化しました。平成25年3月に施工されましたが、他の市町村では、まだこのような動きはありません。ぜひ、見習ってほしいものです。

管理員さんやフロントマンが働きやすい環境

居住者の中には、管理員さんに大声で感情的に苦情を並べたり、使用人の様に見下す人、管理会社の担当者を罵倒して、自分の思いどうりにならないと管理会社の支店長を呼び出す人が居ます
 管理会社との管理業務委託契約とは無関係の仕事、私的なたのみこと、パワハラ苦情で困らせる方がいます。
 当人は、管理組合の為に行っているつもりでも、言われた管理員さんや担当者は、精神的に落ち込み、悩み、士気も低下し、ウツになることもあります。管理員さんや担当者を攻撃して、問題は解決するのでしょうか? 考えてみて下さい。
また、管理員さんや担当者に長電話を掛け業務の妨害を行う方もいます。その電話に対応するため本来の管理業務を行うことができず、業務品質の低下を招くことになります。
クレーマー対策は、管理会社だけでなくは解決できません。
住みよい管理の行き届いたマンションを築くには、理事様や居住者様のご協力無くして、良い管理体制は構築できません。
 日頃から、管理員さんや担当者とよく話し合い、問題の本質を洗い出し改善や解決に皆の協力が必要です。私は多くの管理会社で、優秀な管理員さんやフ担当者が退職していくのを何度も見ています。
原因の多くは、こんな所にもあることも知って欲しいのです。楽しい職場出なければ、良い提案も出ません。
マンションを良くする大事なポイントだと思っています。

日本初の分譲マンション

 

関東大震災後の住宅復興を目的に建設された「同潤会アパート」は、鉄筋コンクリート構造の震災に強い集合住宅として建設された。
有名なのは渋谷にあった「同潤会青山アパート」で、2006年に「表参道ヒルズ」として、商業施設、住宅施設、及び駐車場からなる複合施設として生まれ変わった。築年数80年が経過していた。 
日本で最初に販売された分譲マンション「四谷コーポラス」が建替えられた。敷地面積996.33u 1956年竣工 5階建 総戸数28戸 専有面積は約50・77u 玄関は1・4階のみで、2・3階には入口がないメゾネットタイプ 分譲価格は3LDKで230万円と156万円と、大卒初任給が1万円位の時代。
区分所有法が未だ施行される前に、管理規約の制定、管理会社による管理運営方式を採用。
現在のように住宅ローンがない時代に日本信販が、年利12% 元利均等償還の割賦販売も用意された。
また、クリーニングや配達取次などの現在のコンシェルジュサービスの原型とも言えるサービスを導入したのも日本で最初であった。
築61年経過し2011年の東日本大震災、2013年に耐震診断で著しい劣化が判明、耐震改修コストも莫大で建替えを本格検討に踏み切り、2017年に管理組合は建替え決議を全員合意により行い、旭化成不動産レジデンスに事業協力を依頼し2019年に完成した。
建替えは、地上6階・地下1階建 総戸数55戸 30〜114u 延床面積は3,970u 玄関は1階 平均坪単価は約450万円。日本最初の民間分譲マンションが消えるのは寂しい限りだ。
諸外国の様に100年以上前の建物に未だに住んでいる事に改めて驚く次第である。


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