集合と1項述語・1変数命題関数とのリンク

 ・定義:一項述語・1変数命題関数の真理集合・外延(論理から集合へ)
 ・定義:集合の内包(集合から論理へ) 
 ・性質:∈と述語の言い換え/の元ではないと「述語の否定」の言い換え=と⇔ / 普遍集合に言い換えられる述語 / 空集合に言い換えられる述語 
 ・性質:∩と「かつ」 / ∪と「または」 / 補集合と「〜でない」 /  /      
 
集合論目次総目次


∩と《かつ》との言い換え







[文献]
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-共通部分と和集合(pp.24-6)
 ・中谷『論理』 5.2-C(p.111)


 
 (1)

  ・「集合Aと集合B共通部分」は、
   「『《集合Aの内包をなす性質・条件かつ集合Bの内包をなす性質・条件》』の真理集合」に一致する。

  ・「『性質・条件Pかつ性質・条件Q』の真理集合」は、
   「『性質・条件P真理集合』と『性質・条件Q真理集合』の共通部分」に一致する。

  ・記号で表すと、

    A{ x | P(x) } { xΩ | P(x) }B{ x | Q(x) } という設定のもとで、

    AB { x | xAかつxB }  { x | P(x) かつ Q(x) }  
   
   ※なぜ?
    ・AB { x | xAかつxB } は、∩の定義
    ・ { x | xAかつxB }  { x | P(x) かつ Q(x) } は、
       xAP(x) 、xBQ(x) は、互いに言い換えてよいから()。 

   ※集合A,Bという記号を使わずに書くと、
     { x | P(x) }{ x | Q(x) }  { x | P(x) かつ Q(x) }   [中谷(5-17)(p.111)]
   
 (2)

  ・集合Aの内包性質・条件P集合Bの内包性質・条件Qであるとき、
   つまり、A{ x | P(x) }B{ x | Q(x) } のとき、
   以下の4表現は、同一のことがらを表すので、互いに言い換えてよい。

   【表現1】

     aは、性質・条件Pを満たしかつ性質・条件Q満たす
     すなわち、
      P(a) かつ Q(a) (ただし、P(a)は、命題関数P(x)aを代入してつくった命題、 Q(a)は、命題関数Q(x)aを代入してつくった命題)

   【表現2】

     aは 「『性質・条件Pかつ性質・条件Q』の真理集合」に属す
     すなわち、
     a { x | P(x) かつ Q(x) } 

   【表現3】

     aは 「集合Aと集合B共通部分」に属す

     a (AB)      

   【表現4】

     aは、集合A属しかつ、集合B属す
     すなわち、
      aA かつ aB      


   ※なぜ?
    ・表現1と表現2:
       「P(a) かつ Q(a)」と「a { x | P(x) かつ Q(x) } 」は互いに言い換えてよい。 (
    ・表現2と表現3:
       (1)より、AB { x | P(x) かつ Q(x) } だから、
       「a { x | P(x) かつ Q(x) } 」と「a (AB)」とは互いに言い換えてよい。

    ・表現1と表現4 : aAP(a) 、aBQ(a) は、互いに言い換えてよい()。 



∪と《または》の言い換え







[文献]
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-共通部分と和集合(pp.24-6)
 ・中谷『論理』 5.2-B(pp.107-8);D(p.115)


 
 (1)

  ・「集合Aと集合B合併」は、
   「『集合Aの内包をなす性質・条件または集合Bの内包をなす性質・条件』の真理集合」に一致する。
    

  ・「『性質・条件P または 性質・条件Q』の真理集合」は、
   「『性質・条件P真理集合』と『性質・条件Q真理集合』の合併」に一致する。

  ・記号で表すと、

    A{ x | P(x) }B{ x | Q(x) } のとき
    AB { x | xA または xB }  { x | P(x) または Q(x) }  
   
   ※なぜ?
    ・AB { x | xAまたはxB } は、∪の定義
    ・ { x | xAまたはxB }  { x | P(x) または Q(x) } は、
       xAP(x) 、xBQ(x) は、互いに言い換えてよいから()。 

   ※集合A,Bという記号を使わずに書くと、
      { x | P(x) }{ x | Q(x) } { x | P(x) または Q(x) }  [中谷(5-11)(p.108)]

   
 (2)

  ・集合Aの内包性質・条件P集合Bの内包性質・条件Qであるとき、
   つまり、A{ x | P(x) }B{ x | Q(x) } のとき、
   以下の4表現は、同一のことがらを表すので、互いに言い換えてよい。

   【表現1】

     aは、性質・条件Pを満すかまたは性質・条件Q満たす
     すなわち、
      P(a) または Q(a) (ただし、P(a)は、命題関数P(x)aを代入してつくった命題、 Q(a)は、命題関数Q(x)aを代入してつくった命題)

   【表現2】

     aは 「『性質・条件Pまたは性質・条件Q』の真理集合」に属す
     すなわち、
     a { x | P(x) または Q(x) } 

   【表現3】

     aは 「集合Aと集合B合併」に属す

     a (AB)      

   【表現4】

     aは、集合A属すかまたは、集合B属す
     すなわち、
      aA または aB      


   ※なぜ?
    ・表現1と表現2:
       「P(a) または Q(a)」と「a { x | P(x) または Q(x) } 」は互いに言い換えてよい。 (
    ・表現2と表現3:
       (1)より、AB { x | P(x) または Q(x) } だから、
       「a { x | P(x) または Q(x) } 」と「a (AB)」とは互いに言い換えてよい。

    ・表現1と表現4 : aAP(a) 、 aBQ(a) は、互いに言い換えてよい()。 


補集合と《〜でない》







[文献]
 ・中谷『論理』 5.2-A(pp.105-6)
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-共通部分と和集合(pp.36-8)


 
 (1)

 【言葉で】

  議論領域(全体集合)Ωにおいて、
   集合Aの内包性質・条件Pであるとき、
     「集合Aの補集合」と、
     「『性質・条件Pを満たさない』の真理集合」とは、
     一致する。

 【記号で】

  [設定]

    ・P(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数P(x)
    ・Aは、{ xΩ | P(x) }  で定義される集合
   とする。
   このとき、 ¬ P(x) も、Ωを議論領域とする述語・命題関数となる。 

  [本論]

    この設定の下で、

     Ac { x'Ω |  x'属さないA }  { x'Ω | ¬ P(x') }   

   ※なぜ?
    ・Ac { x'Ω |  x'属さないA } は、Acの定義
    ・x'属さない A={xΩ|P(x)}¬ P(x') は、互いに言い換えてよいから()、 { x'Ω |  x'属さないA }  { x'Ω | ¬ P(x') } 。   

   ※集合Aという記号を使わず、結論だけ書くと、以下のようになる。
     「議論領域(全体集合)Ωにおける性質・条件P真理集合の補集合と、
     「議論領域(全体集合)Ωにおける『性質・条件Pを満たさない』の真理集合」とは、
     一致する。
       { xΩ | P(x) }c   { xΩ | ¬ P(x) }   [中谷(5-5)(p.106)]

   
 (2)

   以下の4表現は、同一のことがらを表すので、互いに言い換えてよい。

   【表現1】

     aは、性質・条件Pを満たさない
     すなわち、
     ¬P(a) (ただし、P(a)は、命題関数P(x)aを代入してつくった命題)

   【表現2】

     aは 「『性質・条件Pを満たさない』の真理集合」に属す
     すなわち、
     a { xΩ | ¬P(x)  } 

   【表現3】

     aは 「性質・条件P真理集合」に属さない
     a属さない {  xΩ | P(x)  } 

   【表現4】

    ・aは 「性質・条件P真理集合の補集合」に属す
     すなわち、
     a {  xΩ | P(x)  } c  

   ※なぜ?

    ・表現1と表現2:
       Q(a)a { x | Q(x) } は互いに言い換えてよい ()。
        Q(x)が、¬P(x)  であっても、このことは成り立つので、¬P(a)a { x | ¬P(x) } は互いに言い換えてよい、  
    ・表現1と表現3:《集合における∈の否定》と《述語における否定》との言い換えから。        

    ・表現2と表現4 :(1)より、 { xΩ | ¬ P(x) } { xΩ | P(x) }c だから、a { xΩ | ¬P(x)  }a {  xΩ | P(x)  } c とは互いに言い換えてよい。




部分集合を表す命題







[文献]
 ・前原『記号論理入門』 第1章§6.1(p.10)
 ・中谷『論理』 5.4B必要条件と十分条件(pp.129-30) 
 ・本橋『新しい論理序説』3.3(pp.44-56)  


 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』は記述なし。
 【言葉で】

 
 (1) 集合から述語論理への翻訳

   「集合Aは『集合B部分集合
   「集合Aは集合Bに含まれる」  A B  

   という主張は、

   「普遍集合Ωのどのをとってみても、
     そのが『集合Aの内包をなす性質・条件を満たすならば
         そのは『集合Bの内包をなす性質・条件』も満たす」

   という命題に言い換えてよい。


 (2) 述語論理から集合への翻訳

   「議論領域Ωのどの対象をとってみても、その対象が性質・条件Pを満たすならば、その対象は性質・条件Qも満たす」 aΩ ( P(a) Q(a)

   という命題は、

   「《性質・条件Pの 真理集合》は『《性質・条件Qの真理集合》部分集合」「《性質・条件Pの 真理集合》《性質・条件Qの真理集合》に含まれる」 { xΩ | P(x) { xΩ | Q(x) } 

   という主張に言い換えてよい。


 【記号で】

  [設定]
    ・P(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数P(x)
    ・Q(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数Q(x)
    ・Aは、P(x)真理集合 { xΩ | P(x)        
    ・Bは、Q(x)真理集合 { xΩ | Q(x)           
   とする。

  [本論]

   この設定の下で、
   以下の三表現は、互いに言い換えてよい。 
    【表現1】 A B            すなわち、 { xΩ | P(x) { xΩ | Q(x) }   
    【表現2】 aΩ ( a A a B )   すなわち、 aΩ ( a { xΩ | P(x) } a{ xΩ | Q(x) } )  
    【表現3】 aΩ ( P(a) Q(a) )       すなわち、 aΩ ( P(a) Q(a) )  

  ※なぜ?

    ・「AB 」の定義が 「 aΩ ( aA aB ) 」 だから、
     【表現1】と 【表現2】とは、互いに言い換えてよい。   
    ・a { xΩ | P(x) }  P(a) は互いに言い換えてよい()。
     同様に、a { xΩ | Q(x) }  Q(a) も互いに言い換えてよい()。
     したがって、【表現2】と【表現3】とは、互いに言い換えてよい。




命題関数「P(x)ならばQ(x)」の真理集合







[文献]
 ・中谷『論理』 5.4A条件文の真理集合(pp.126-7) 
 ・本橋『新しい論理序説』3.3(pp.44-56)  


 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』は記述なし。 
 【言葉で】

  議論領域をΩとし、変項xを主語とする述語・命題関数
    「x性質・条件Pを満たすならばx性質・条件Qを満たす」
  の真理集合は、  
  
  「普遍集合Ωにおける『性質・条件P真理集合』」
  と
  『性質・条件Q真理集合
  との合併

  に一致する。


 【記号で】
 
   {  xΩ | P(x) Q(x) }  {  xΩ | ¬P(x)  または  Q(x) }  {  xΩ | ¬P(x) }   {  xΩ | Q(x) }   {  xΩ | P(x) } c  {  xΩ | Q(x) }  
  

  ※なぜ?→中谷