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相対変化率の具体例1
価格の変化という具体例のなかで、導関数、対数微分、相対変化率が何を意味するのかを、みていく。

[設定]  
   t:  時間(単位:年)、
   
f(t): t時点における米1キロの価格(単位:円)、
   
g(t): t時点におけるフロッピーディスク1枚の価格(単位:円)
とする。
f(t), g(t)は全ての範囲で微分可能で、常に正(0にはならない)とする
[導関数の意味]  
  ・このとき、f(t)導関数   
      
f ' (t)     
   の意味を考えてみよう。
   まず、分子
f(t+t )f(t)は、
        
t時点の米1キロの価格が、瞬間的な時間の長さt経過後、
        何円上昇したのか
   を示している。
   これを、瞬間的な時間の長さ
tで割ることは、
        
tの単位あたり、ここでは年あたりに、換算すること
   を意味する。

   ゆえに、f(t)の導関数全体は、t時点における米1キロの「瞬間」的価格変化が  
             
「年率換算」すると何円の上昇幅となるのかを意味している。   
   単位は、円/年。
  ・
g'(t)     
   も、同様に、
   
t時点におけるフロッピーディスク一枚の「瞬間」的価格変化が  
         「年率換算」すると何円の上昇幅となるのかを意味すると解釈できる。   
   瞬間的変化を年率換算するのは奇妙に思えるかもしれないが、
   自動車の速度計がそのときの「瞬間」的速度を時速換算で表示していることを考えてみれば、
   それほど奇妙でもないだろう。
   単位は、円/年。
[変化率の意味]  
    すると、   
    
(log|f(t)|)’=f ' (t)f(t)    
    ≡             
    は、
t時点における、
        「時価」
()= f(t)に対する、
        「瞬間」的価格変化の「年率」上昇幅換算額
()=f ' (t)の比率(単位なし)に他ならない。 
    たとえば、
      
t = t において、f(t)=400, g(t)=100, f ' (t)=50, g' (t)=50 であるとする。 
    これは、
t0時点における、米1キロの「時価」が400円、[f(t)]
                
FD一枚の「時価」が100円、[g(t) ]
                米
1キロの「瞬間」的価格変化が「年率換算」−50 [ f ' (t) ]
                
FD一枚の「瞬間」的価格変化が「年率換算」−50 [ g' (t) ]
    であることを意味している。
    このとき、
     米
1キロとフロッピーディスクの価格低下の著しさを、
     
f ' (t), g ' (t)50から、同一であると、判断するのは、おかしい。
    同じ
50円の価格低下でも、
         
400円から50円下がるのと、
         
100円から50円下がるのでは、
    後者のほうが価格低下著しいと見るのが、自然であろう。
    そこで、価格変化の著しさを比較する場合に、「
変化率」が用いられることになる。
    
t0時点における米1キロの価格変化率(価格上昇率):(log|f(t)|)f ' (t)f(t)=−12.5%  
    
t0時点におけるFD一枚の価格変化率(価格上昇率):(log|g(t)|)g ' (t) g(t)=−50%  

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