シリーズ無実  3

石川さんの証言 2

 

 狭山事件でもっとも重要な物証とされているのが、脅迫状です。この事件では、犯人の指紋は見つかっていません。ですから、脅迫状の筆跡が犯人を特定する証拠となるのです。

 当たり前のことですが、脅迫状を犯人が書いたのであり、犯人は書くことができたということです。なぜそのようなことをいうのかというと、石川さんはほとんど読み書きができなかったからです。これは重要なことです。石川さんが書くことができなかった脅迫状を、判決では書くことができたと強弁していることになるからです。

 石川さんは、取り調べの時に、脅迫状を手本にして書き取りの練習をさせられました。それについて裁判で聞かれたとき次のように答えています。

「(脅迫状だなんて)わからないですよ。字を知らないんだから」

 石川さんは事件当時、読み書きがほとんどできなかったのです。ですから、脅迫状を書くこともできなかったのです。国語学者の大野晋氏は、そのことを、学問的に証明しています。

 判決では、脅迫状の筆跡が同じだといっていますが、字の書けない人の筆跡などどうやって判定するのでしょうか。字の書けない人に、漢字が多く使われている脅迫状を書くことはできないのです。石川さんは脅迫状を書けない以上、犯人ではないのです。

01  02  03  04  05 06 07