動物病院で遭遇した医療事故                              

―アニマルメディカルセンター事件 ―                



アニマルメディカルセンターでのポメラニアンの不慮の死。
病院側から死因の説明もないため民事裁判を提起。
動物病院の実態を知ることになった裁判記録です。                      判決



動物病院での医療過誤は、民事裁判で責任追及するしかありません。
人間の医者の医療過誤であれば刑事事件の捜査で解明されることも、飼い主自ら調査しなければなりません。
獣医療過誤は密室性があり、カルテ等も病院側が支配していることからも、事故に至った真実を飼い主側がつきとめてその責任を追及するには時間と労力を要することになりますが、もの言わぬ子への虐待を有耶無耶にはできません。




動物病院で医療事故に遭遇
事件の発端は、24時間診療していると広告し、テレビでも紹介されていた武蔵小杉にあるアニマルメディカルセンターを本院とする東京動物夜間病院に入院することになったことからでした。
翌朝にアニマルメディカルセンターへ移され、一旦退院したものの、処方薬の副作用により翌日深夜に再び入院したのは動物救急医療センターでした。このとき、24時間診療しているのは動物救急医療センターという名称のアニマルメディカルセンターとは別病院であることを知らされたのでした。
その2日後、容体急変で死亡。担当とされていた土屋獣医師とは一度も対面することがありませんでした。

提訴後、診療施設開設届の公開請求を東京都と神奈川県に行うとともに、裁判所へ調査嘱託を申し立てたことにより、この間診療を受けた病院の開設手続きには、いずれも不備があることが判明しました。
医療過誤の追及を逃れるために、正規の届出を行わずに病院の責任者を曖昧にしていたのです。




不正開業の動物病院が点在しています
東京動物夜間病院の届出は全て、届出義務者である法人代表者名が別人になっています。
東京都は、開設届受付時に提出書類の不備を放置して本人確認を怠っていたようですと言い訳していました。

アニマルメディカルセンターは、届出の病院所在地が実際の建物住所と違っています。
動物救急医療センターは届出からしてされていませんでした。無届営業だったのです。
これについて神奈川県の担当者からは、「きちんと取り締まったら半分の動物病院を営業停止にしなければならなくなる。」と、不正営業を黙認しているような発言がありました。

農水省は、都道府県が不正を放置していることが明るみにならないように手をまわすだけです。
厚生省は医師法、歯科医師法を改訂するまでして、インターネット検索により医師と歯科医師の資格確認ができるようにしていますが、農水省は飼い主が獣医師について情報を得るための対策を何も講じようとしません。

動物病院を選ぶ際に、信頼できる情報であるのか見極めることは難しいことです。
大切な家族が命の危険にさらされないよう、まずは、合法に開設・運営されている病院であるかを確認することをお勧めします。




東京都の開示
東京都は、最初は個人情報保護法を盾に診療施設開設届の開示を拒否しました。
異議を申し立て、情報公開審査会の審理を経て開示されるまでに約1年かかりました。
この東京都情報公開審査会の答申は、都庁のホームページで紹介されました。
                              東京都情報公開審査会の答申





神奈川県の開示
神奈川県では、公開請求の翌日には開示決定されました。
事件当時、川崎では4つの病院名で広告し看板を掲げていましたが、届出されてたのは2つだけでした。
8階建の店舗・共同住宅を新築した平成11年に、従前建物でのアニマルメディカルセンターの開設届がエキゾチックメディカルセンターに名称変更され、新たにアニマルメディカルセンターの開設届が出されていますが、動物救急医療センターの開設届は届出されていませんでした。


< 補足 >
事件当時、潟Aニマルメディカルセンターが川崎で開業していたのは
  アニマルメディカルセンター/診療時間 9:00〜19:00
  動物救急医療センター/診療時間 24時間
  エキゾチックメディカルセンター
  動物予防医療センター
であり、この内のアニマルメディカルセンターと動物救急医療センターが訴訟対象になりました。
裁判では、動物救急医療センターが無届けの診療施設であることを指摘したところ、病院側は21日深夜に診
療したのはアニマルメディカルセンターの夜間部である動物救急救命センターであったと述べ、動物救急医療セ
ンターでは診療していないと主張しています。
病院入口はじめ、領収証、入院同意書控にも動物救急医療センターと明記されているにもかかわらずです。

この裁判により役所の調査と警察の捜査が入ったことから、当時のアニマルメディカルセンターをセンター病院とし
て、動物救急医療センター等無届であった病院と併せてアニマルメディカルセンターと称するというように、現在は
組織変更したことになっているようです。

            



獣医療法
動物病院開設後10日以内に
届出ることが義務付けられて
います。(第3条/罰則規定第
21条)


広告の制限。(第17条/罰則
規定第20条)

獣医師法
獣医師でなければ飼育動物を診療できません。(第17条/罰則規定第27条)

診療をした場合には診療簿に記載し、3年間保管することが義務付けられています。(第21条/罰則規定第29条)

薬剤師法
薬剤師でなければ調剤は禁じられていますが、医師・獣医師が自分の処方箋に従って自ら調剤することだけは認められています。(第19条/罰則規定第29条)












東京都開示決定文

東京動物夜間病院開設届

裁判所調査嘱託回答書




神奈川県開示決定書

アニマルMC開設届

エキゾチックMC開設届

神奈川県調査嘱託回答書