動物病院で遭遇した医療事故

裁判経過




ご報告 控訴審判決で一部請求が認められました。

平成22年10月7日東京高等裁判所は、請求を棄却したアニマルメディカルセンター事件の一審東京地裁判決を変更し、病院側の説明義務違反を認めて一部勝訴することができました。

                             
毎日新聞記事    神奈川新聞記事


高裁の判決理由には食違いがあり、また理由が付されてないれていない重要な争点があるため上告するととも
に、判例に反する判断もあることから上告受理申立てをしましたが、控訴審判決によって確定されました。




2件の裁判を提起することに
裁判を提起するにあたり、病院の開設者・経営者が不明であったことから建物登記簿謄本を取り寄せたことで、「株式会社アニマルメディカルセンター」という法人の存在を知りました。

平成18年5月23日、株式会社アニマルメディカルセンターに対して平成17年8月18日から23日までのポン太診療に関与した被告病院スタッフより被った損害に対する責任追及のために、また、アニマルメディカルセンターにおいて担当した土屋薫獣医師と中村睦獣医師個人に対する責任追及のために、横浜地方裁判所川崎支部に訴訟提起しました。


  『被告株式会社アニマルメディカルセンターは、肩書住所地において、「アニマルメディカルセン
  ター」・「動物救急医療センター」・「動物予防医療センター」・「エキゾチックメディカルセンター」
  という名称の動物病院を、又、東京都品川区では「東京動物夜間病院」の名称で動物病院を
  営む会社(以下被告病院という。)である。』
と訴状に記したところ、被告側もこれを認め、裁判は進められていました。
しかし、東京都の診療施設開設届の開示により、東京動物夜間病院の開設者が別法人であることが明確になったことから有限会社キャッツエー・エム・シーを平成20年7月11日に東京地方裁判所へ提訴。
これにともない、川崎支部の事件を東京地方裁判所へ移送する申立てをしました。


      東京地裁民事部第35部合議B2係 平成21年(ワ)第6021号
                            (移送前:横浜地裁川崎支部平成18年(ワ)第346号)
              〃             平成20年(ワ)第19314号


東京地裁では、株式会社アニマルメディカルセンター、土屋獣医師、中村獣医師を被告とする事件の移送にともなう裁判形態変更手続きのための口頭弁論も行われずに、有限会社キャッツエー・エム・シー事件の準備期日に、一緒に弁論準備が進行されていきました。



腎不全の特徴は、アシドーシスとクレアチニンの上昇です。
18日・19日のクレアチニン値は正常であり、21日深夜の血液ガス検査結果も呼吸性アルカローシスです。
それを、18日初診時から腎不全だったと病院側は主張していますが、診断理由には一貫性がありません。
カルテにしても、東京動物夜間病院とアニマルメディカルセンターとで引き継ぎ記載し共用していたと主張して、裁判所には変造したものを提示しています。
病院自体の運営形態についてさえも、被告らの主張は二転三転しています。

東京動物夜間病院の開設者についての主張を被告が変更したことから、契約主体は泣LャッツAMCと潟Aニマルメディカルセンターのどちらになるのか明らかにするよう、裁判長は被告側に指示しました。これは、東京動物夜間病院の診療は、潟Aニマルメディカルセンターから獣医師が出向いて行っていると、被告が主張しているからです。


審理不十分のまま突然の結審
裁判長からの求釈明や提出を指示されていた書面等を、「次回には…。」と被告は先延ばしにするばかりであったことから、争点整理もされずにだらだらと弁論準備が繰り返され、裁判は長引いていました。
被告が求釈明を怠り、争点整理にも入れない状態に陥っていたため、解明を急ぐ目的で原告側で調査嘱託と文書提出命令の申立てを行ったのですが、裁判所はこれを保留にしたまま,全く状況が変わらずに迎えた平成21年12月10日第20回準備期日に突然、裁判長は次回期日を証拠調べにしました。

病院側は,結局診療経過一覧表すら提出しなかったのです。
証拠調べにしても、治療に立ち会っていないアニマルメディカルセンター院長だけしか出廷しませんでした。その病院長の証言は、訴訟前の被告病院からの回答書にも矛盾し、被告らの準備書面とも土屋獣医師・中村獣医師の陳述書とも合致しないものでした。

裁判長は、「併合しなければならないと思っています。」「併合するつもりです。」「タイミングをみて併合します。」と弁論準備期日には毎回述べていたことから、証拠調べの口頭弁論期日には併合されるものと思っていましたが、併合されませんでした。
そして、証拠調べ期日に裁判長は、「本日で終結にしたいと思いますので。」と述べ、2年以上前から原告が申し立てていた鑑定申立と調査嘱託申立・文書提出命令申立を採用しないことにするとし、被告である獣医師への尋問申請までも却下しました。

強引に裁判を終結させたその判決文は、重大な争点についての審理が漏れているばかりか、判断には適確な理由がなく矛盾が多々みられるものでした。


審理ないまま閉廷した高裁で逆転勝訴
東京高等裁判所へ控訴したところ、口頭弁論が開かれる前に第10民事部から9部へ移され、さらに2部へと係属が変更されました。

第1回口頭弁論を病院側は欠席しました。
裁判長は、改めて申し立てていた鑑定と土屋獣医師および中村獣医師の尋問申請を却下して、法廷審理することなく即日終結としました。
控訴直後、「事件を併合するので」と、その手続きに上申書提出を裁判所から求められたのに、併合すらせずにです。

審理なく閉廷しながら、一審判決を破棄し原告勝訴の判決。しかも、控訴審判決には“一審判決をそのまま採用して判断を追加したもの”と前置きがありますが、その判断は食い違いだらけです。
インフォームドコンセントの過失を一部認めてはいるものの、その理由にも矛盾があり、まったく医学的根拠がありません。


                          東京高等裁判所第2民事部 平成22年(ネ)第3306号
                                 〃          平成22年(ネ)第3308号



地裁での裁判記録の隠匿・改竄
アニマルメディカルセンターが横浜地裁川崎支部へカルテを提示したのは、事件後1年以上経過してからでした。
しかも、その原本は修正ペンや修正テープで訂正されていたり、ところどころ鉛筆の下書きが残っていたことから、裁判長はカルテ原本を『留置』としました。
そして、不自然に暈しのはいったレントゲンフィルムも『留置』しました。
これはとても異例なことです。
東京地裁に移送直後の弁論準備期日に裁判官が退室すると、この留置されているものをこともあろうか被告代理人に、「貸し出すので写しを撮ってくるように。」と山崎書記官が指示していました。
留置されているものは、被告がその写しを提出している証拠の原本です。写しは裁判所にあるのです。
たとえ改めて原本からの写しが必要だとしても、東京地裁の閲覧室には謄写業者が待機しています。
シャーカステンも用意されているのでレントゲンの謄写もできます。
外部に持ち出さなくても複写できるのです。


この次の期日にも不可解なことが起きていました。
裁判長が当日の弁論準備で提出とした、原告の証拠が欠番とされていたのです。
書記官が隠匿したこの証拠は、被告病院が不正開業病院であることを証明するものでした。


尋問調書にしても、書記官に再三催促して、証拠調べから1ヶ月も経ってやっと確認することができたのですが、その調書は誤りの多いものでした。
併合せずに証拠調べが行われたことから、別訴の尋問調書を証拠提出する必要もあったため、至急、確認および修正することを書記官に要請しましたが、訂正されることはありませんでした。


これらの出来事からして、上告したとしても捏造された裁判記録がまわされることは予想できましたが、裁判でも誠意ない態度をとり続ける被告病院の悪行を突き詰めるために、裁判をやりとげることを目指し闘ってきました。









控訴審判決 H22(ネ)3306
干ニマルメディカルセンター事件


上告理由書

上告受理申立理由書

    参照文献要点一覧





控訴審判決 H22(ネ)3308
     狭ャッツエー・エム・シー事件

















移送決定文(川崎支部)

移送決定文(東京高裁)
















診療経過一覧表H21(ワ)6021
                (原告作成)

診療経過一覧表H20(ワ)19314
           (原告作成)



















地裁判決 H20(ワ)19314

控訴理由書 H22(ネ)3308




地裁判決 H21(ワ)6021

控訴理由書 H22(ネ)3306

控訴理由補充書H22(ネ)3306