神奈川県西部の清流・渓流の紹介

神奈川県西部地区は、地域を代表する大河川である酒匂川の本・支流域が中心となります。
標高が低く、県内でも温暖で昇温しやすい地域なので、早期か終盤が狙いのエリアだと考えます。
水系は全域、酒匂川漁協の管轄ですが、同漁協は主力のアユ釣りへの取り組みが主体であり、
渓流魚については、それほど放流量が多いとはいえません。

管轄区域全体で、ヤマメについてはせいぜい1,000kg程度であり、内訳として、西丹沢を控える山北地区に800kg程度、
酒匂川本流をはじめ、狩川や内川、川音川系統が属する松田地区は、僅か150kg程度という少なさです。
本命は、丹沢湖流入3渓流の中川川・世附川・玄倉川に絞られ、他の河川は、探釣程度の比重となります。

私については、源流域や本格渓流には行けるだけの運動能力及び体力がありませんが、
できる限りの努力を払って釣行し、サイトに反映させております。
しかし、それでも本格山岳渓流についてはカバーし切れていないので、西丹沢の本格的な山岳渓流釣りについての
足りない点は、諸先輩方が、それぞれのサイトで広く紹介しておりますので、それらを参考にしてください。
(’鈍感ではない’体質らしく、深山の源流部や鬱蒼とした沢に入ると、憑依される懼れがあるので、NGなんです・・・)

酒匂川水系は、古くからヤマメとアマゴの混生域でして、どちらともいえない魚が釣れるのもまた、
面白いところです。
一般的に、左岸(上流から見て左側)流入支流がヤマメで、右岸(上流から見て右側)流入支流は
アマゴが多いとされているようです。

なお、川鵜の食害が深刻であり、生態系の破壊も心配な水域です。
具体的な河川名を明示しておりますが、最近は渓流釣りの本やら雑誌やらで紹介されてしまっているので、
公開に踏み切りました。
漁期は、3月1日〜10月14日迄です。
平成20年現在、遊漁料は、日釣り1,000円(現場監視員:1,400円)で、年券10,000円です。
私は、アユ釣りも毛鉤釣りは少々するので、年券は必携です(^^;)



酒匂川水系・本支流


1.酒匂川本流

松田地区に属します。

酒匂川本流は水質が良く、全国にも誇れる清流ですが、アユ以外はそれほど魚影が濃くなく、
一般的には渓流魚狙いでは対象になりません。
しかし、降海型の遡上マス(サクラマス・サツキマス)や大型本流ヤマメが、数は少ないながらも
生息し、実際に年に何本かが揚がっていますので、一発大物狙いでは、価値があります。
松田町よりも上流が渓流魚の生息域のようですが、飯泉取水堰付近でも、落ちたニジマスならば、居るようです。
なお、一見穏やかに見えても、昔は暴れ川として名高く、現在でも底流れが強いので、ウエーディングや渡渉時には、
十分注意しましょう。

なお、余談ですが、酒匂川の本流筋は、丹沢湖流入三川(世附・中川・玄倉)を併せた河内川ではなく、
御殿場高原からの鮎沢川になります。これは意外と知られていないことです。
鮎沢川については、別で詳しく紹介しますが、鮎沢川も神奈川県内区間は、酒匂川漁協の管轄のようです。

なお、6月1日以降はアユ釣りのシーズンになるので、本流では渓流魚狙いの釣りは難しくなります。
大型を狙うとしたら、シーズン前期限定でしょうね・・・。

2.狩川

松田地区に属します。

狩川は、南足柄市民の水がめとなっている重要な河川であり、上流域は、まさに山紫水明の世界です。
南足柄市街地を通過するため、小田原市内で酒匂川本流へ合流するまでには汚染が進み、綺麗な川とは
いい難い面もありますが、南足柄市苅野地区から上流は非常に水質が良くなり、マス釣り場より奥は、
素晴らしい渓相の本格的渓流です。

以前から比較的有名河川であるので、魚はスレ気味ですが、大型の残りマス等、思わぬ大物が生息するのも
また、この川の魅力でしょう。
狩川の源流域に入渓される方は、この川が南足柄市民の水源であることを自覚していただき、絶対に自然破壊を
しないでいただきたいです。

3.内川

松田地区に属します。

内川は、狩川と平行して流れる「弟分」的な存在の小渓流です。狩川よりも大分上流で、酒匂川本流に
合流します。 この川は、私が「初めてヤマメを釣った川」として、思い出深い川です。平坦なので、安全性も高いです。

しかし、内川の最大の欠点は、なにしろ、超外道のクソバエ(アブラハヤ・タカハヤ等)が雲霞のごとく
湧いてくるというと大袈裟に思われるかもしれませんが、猛攻は凄まじいものがあります(>_<)
私が下手なだけかもしれませんが、内川では、ヤマメを1匹釣るためには、クソバエを50匹釣らないと
出会えないといっても過言ではないでしょう・・・。
それでも、この川は渓流釣りの初心者が、入門の場として利用するには適していると思います。

4.皆瀬川

松田地区に属します。

皆瀬川は、山北町人遠・八丁集落よりもさらに奥を水源とする小渓流です。
こんなマイナーな川でも、週間釣りニュースに掲載されております。
西丹沢山地の前衛ともいえる高松山と大野山に挟まれた谷筋を流れ、酒匂川本流に注ぐ急流です。

それほど魚影は濃くなく、また、一見するときれいに見えますが、水質にも懸念点があるとの話もありますので、
探釣程度に考えたほうが無難な渓流ですが、思わぬ大物がヒットすることもあるそうです。

内川と同じく、超外道のクソバエ(アブラハヤ・タカハヤ等)が非常に多く、
しかも大型ですので、そういう意味では、割り切った気持ちが必要な川です。
東名高速高架下辺りから上流部が、主たる釣り場ですが、一部河川改修工事等で荒れた区間も有ります。

5.川音川

松田地区に属します。

川音川は、小田急線の新松田〜渋沢間の車窓から見える河川であり、狩川と並ぶ酒匂川の主力支流です。
酒匂川本流との合流点より数キロ上流の、松田町と秦野市の境界付近で、中津川と四十八瀬川に分岐します。
いずれも、丹沢山系を水源とする河川です。

中津川は、下流部は谷が非常に深い上に私有地が多く、アクセスが非常に困難です。また、魚影は極めて薄く、
YGLから落ちてきたニジマスが対象であり、ヤマメはあまり望めません。
源流域は、寄沢を主体とした沢が何本かありますが、放流量も少ないようで、資源量はそれほど多くはありません。
支流の虫沢は、酷いボサ川ですが、超外道のクソバエ(アブラハヤ・タカハヤ等)が非常に多いものの、
ヤマメが釣れなくはありません。

四十八瀬川は、秦野市内を通過する関係上、雑廃水の流入が避けられず、上流部へ行かないと水質が良くない感じです。
しかし、最近はヤマビルの生息圏に完全に入ってしまっており、夏場は、事実上入渓できない状態だそうです。

川音川系統については、渓流魚対象の釣りについては、私もまだまだ知らない点が多いです。
しかし、現在酒匂川本流で釣れるニジマスやホウライマスの供給源は、
実は中津川中流にある管理釣り場(YGL)から落ちてきた個体が多いというのは、間違いないようです。
川音川の流れにも、きっとヤマメとニジマスが生息しているものと思われます。
なお、アユ釣りシーズンには、コロガシ釣りのメッカとなるので、場荒れ必至です・・・。

6.中川川

山北地区に属します。

中川川は、丹沢湖流入河川3川のうち、真ん中の川です。比較的平坦であり、アクセスもしやすいので、
私のような里川スタイルの釣り師でも、この川ならば、何とか無理なく遡行できるレベルです。
酒匂川の左岸側主力支流である、河内川の本流筋の河川ですが、流域は観光地化されており、
有名な中川温泉郷をはじめ、数多のキャンプ場等の施設も乱立する、中々に「人臭い」細流です。

西丹沢の尾根筋の水を集める清澄な清流ですが、相当上の方で取水されてしまう関係上、取水口よりも下では、
涸れ沢のような乏しい流れが、延々と丹沢湖まで続いてしまします。
また、取水口よりも上でも、かつては中々の美観を保った流れで水質も抜群でしたが、キャンプ地整備のために
河川工事がどんどん進み、年を追うごとに、渓相が、どんどん失われてきています。

世附川や玄倉川に比べると、釣趣に劣るのは事実。これら2川に比べると、観光地化されている分だけ、
割り切らないといけないでしょう。
花崗岩の川床ゆえか、白っぽい色をした、綺麗なヤマメが出てくれる川です。

7.玄倉川

山北地区に属します。

玄倉川は、10年ほど前にキャンパーの悲劇で有名になってしまった、丹沢湖東岸の渓流です。
丹沢湖流入河川3川のうち、最も険しい地形を流れる秘境ともいえる渓流であり、神奈川県側酒匂川水系において、
唯一イワナの渓として名高い存在であり、神奈川県内でもトップクラスの秘境といえるでしょう。

上流部では発電用のダムによって2箇所にわたって取水されており、普段の水量は非常に少なく、所々水が涸れて、
伏流している区間もあります。
しかし、ひとたび大水が出ると、一気に魔の川へと変貌する怖さがあります。

谷が深くて険しい地形のため、林道が並行するにもかかわらず、入退渓が可能な緩斜面が少ないのが特徴です。
また、懐中電灯無しでは歩行不能な真っ暗なトンネルその他、アクセスは中々に骨が折れます。
玄倉川の渓谷を、俗に「ユーシン渓谷」と呼びますが、ユーシン≒幽深との語源もあるらしく、
それなりに噂も聞くエリアです。
水質は抜群に良く、西丹沢随一のレベルです。

8.世附川

山北地区に属します。

世附川は、神奈川県下で最も有名な渓流釣り場であり、全国にも知られた名渓だとされています。
その分、大激戦区であり、地元の常連さんは勿論、近隣の猛者達が腕を競って集結する、
一種の聖域としての感があります・・・。
資源量もそれなりに多く、渓相も中々のものです。

しかし、H17.8月に、酒匂川漁協から業務委託された「YGL」が別料金の管理釣り場区間を設定してしまい、
上流へ30分ほど歩かねばならない芦沢橋までの区間は、一般釣り客は入場できなくなっています。

とはいえ、世附川系統は奥が非常に深く、ほとんどの支沢も釣りの対象になるし、
フィールドの広さは群を抜いています。
この川を制覇できたならば、まさに渓流釣りにおいては、全てを極めたといってもおかしくないランクの渓流だと、
切に思います。

9.大又沢

山北地区に属します。

大又沢は世附川の一大支流であり、河川としての規模も大きく、丹沢湖流入3渓流+1沢としての位置付けを与えても、
何ら違和感の発生しない素晴らしい渓流です。
世附川本谷系統に同じく、H17.8月に、酒匂川漁協から業務委託された「YGL」が別料金の管理釣り場区間を
設定してしまい、上流へ20分以上歩かねばならない栗の木堰堤までの区間は、一般釣り客は入場できなくなっています。

源流部を攻めるには、多かれ少なかれ、おどろおどろしい雰囲気を持った空間に身を投じなければならなさそうです。
地蔵平より奥地は、何となく行く手を阻むような空気が感じられます・・・。
なお、世附川本谷系統よりも大きな堰堤が少ないので、その分快適に遡行できそうです。
また、相当の大物実績があるので、じっくり狙いたいと思います。

10.河内川本流

山北地区に属します。

河内川は、本流筋の鮎沢川に匹敵する規模を有し、西丹沢の水を集める清流である、酒匂川水系左岸側主力支流です。
谷峨の鮎沢川合流点から、三保ダム直下までの区間はせいぜい6KM程度であり、盛期はアユ友釣り及び川遊びの
人々で賑わってしまうため、それらの合間を縫っての釣りとなります。

酒匂川漁協が、少ないながらもヤマメとニジマスを放流しているので、一応は釣りの対象になります。
とはいえ、資源量自体はそれほど多いわけではないので、探釣程度に清流釣りの釣趣を味わう程度の河川です。
なお、丹沢湖下とはいえ、元は西丹沢の水系が集まった水なので、水質は比較的良好である点は評価すべき河川です。
傾向としては、下流部の鮎沢川合流点が近いエリアよりも、上流部の三保ダムに近いエリアの方が、釣果には
恵まれるようです。
神縄堰堤はじめ、大淵のポイントも多いので、餌釣りよりも、ルアーでの大物狙いの方が楽しめるかもしれません・・・。

11.畑沢

山北地区に属します。

山北町の谷峨地区は鞠子橋下にて酒匂川本流に注ぐ小渓流です。
流程は比較的長いものの、あくまでも小規模。それに今や採石場とゴルフ場がある関係上、
場荒れも顕著であり、農薬等による、水質面の問題も懸念されます。

ただし、隠れた釣り場としても知られており、シーズン中には、必ず先行者と出くわします。
手軽な渓流として、一部の人には、人気があるのでしょう・・・。

典型的なヤマメとアマゴの混生域らしく、どちらともいえない魚が釣れるらしいです。