Driftwood
(アルバム, '01)
ERCD002(英盤)


曲目Cover of Driftwood
1. Old Soul
2. Sarasota
3. Meantime
4. Curragh of Kildare
5. Good Girl
6. Wasting Time
7. Paper Wings
8. Holiday
9. Small Soul Sailing
10. New Preteder
11. Forgive the Boy
12. Everything
*4, 5はUK盤のみの収録(Simple Soulの日本盤にも収録)

クレジット
(ソングライティング)
 1. Graham Henderson/Boo Hewerdine/Eddi Reader
 2, 8, 11. Boo Hewerdine and Eddi Reader
 3, 12. Boo Hewerdine/Eddi Reader/Calum MacColl/Roy Dodds
 4. Traditional arranged by Eddi Reader
 5, 9. Eddi Reader
 6. Ron Sexsmith
 7. Gillian Welch and David Rowlings
 10. Boo Hewerdine
(プロデュース)
 1, 4〜12. Eddi Reader, Boo Hewerdine and Roy Dodds
 2. Clive Gregson
 3. Calum MacColl

解説
Simple Soulと同時期にRoy Doddsの自宅にあるスタジオ、"Driftwood"で録音された音源を主体にまとめた、Simple Soulと”対”になるアルバム。Liveと同様に”オフィシャル・ブートレッグ”という扱いで、'01年の10月から始まったイギリスツアーの会場で販売され始め、Simple Soul発売から9ヶ月を経てEddiの希望通り日の目を見ることとなった。当初はImportCD.comでも販売されていたが、翌年1/23には日本でもパッケージし直して発売された。アルバムジャケットはLive同様のカードスリーブで、裏にはEddiがコートを着て後ろ向きに立った写真が使われている。

Simple Soulと同様のメンバーが主体となって録音されているが、SarasotaはClive Gregsonが録音、ミックス、プロデュースを務めており、'99の4〜5月にEddiがBoo Hewerdine, Clive Gregsonと一緒にアメリカツアーを行った際、NashvilleにあるCliveの自宅で録音された数曲のうちの1曲だと思われる。またMeantimeはBible時代からのBoo Hewerdineの盟友で、Eddiの初期のツアーメンバーの一人でもある Calum MacCollがプロデュースを務めている。またDawson Sarah Millerという人が1、11でパーカッション系の楽器を担当している。収録曲の多くではSimple Soulと同様に肩の力の抜けたEddiの歌唱が聞かれ、Simple Soulに入っても違和感のないような曲もいくつかあるが、これまでとはちょっと違った面を見せてくれる曲も数曲あるところが、もともとアルバム製作を意図しないセッション形式でレコーディングが進んだことを伺わせる。結果としてSimple Soulよりも多彩な曲が揃い、だいぶ違ったイメージを与えてくれるアルバムとなっている。

Old SoulはSimple Soulに収録されていたI Felt A Soul Move Through Meを全く別のアレンジにした曲で、バグパイプやオルガンの(一種の)音がI Felt〜とは大きく異なる、ちょっと不思議な世界を作っている。歌詞に注意しなければI Felt〜と同じ歌だとはわからないだろう。EddiはI Felt〜のときよりもさらにゆったりと歌っており、Edenで聞かれるような、低音を使って起伏を意図的に抑えた歌い方をしている。

Sarasotaはギターとハーモニカだけによるシンプルな演奏でEddiの歌がぐっと前面に出ており、Eddiらしいナンバーと言える。コーラス部でのBooの歌声も優しく効果的。音数が少ないため、屋外でDATにより録音されたファースト国内盤のボーナストラック(The Girl with the Weight of the World in Her Handsなど)と似た雰囲気もある(実際にCliveの自宅の裏庭で録音されたらしい)。曲の最後には小鳥のさえずりのような音(国内盤ライナーによると、本物の鳥のさえずりのようです)も聞かれ、朝焼けの高原で歌っているというイメージを想起させる。

Meantimeはギター、ドラムが淡々としたリズムを刻むなか、ベースの音と、フィルターをかけたような感じのEddiの声が他の曲とちょっと違った雰囲気を作っており、これまであまり聞かれなかったタイプの曲となっている。歌詞にアルバムタイトルの"driftwood"が出てくるが、アルバムを録音したスタジオのことを歌ったわけではなく、恋人?に対するメッセージの一部として使われている(しかし国内盤解説によると、Roy Doddsはこの曲にちなんでスタジオの名前をDriftwoodと名付けたらしい)。途中キーボードやギターの明るい音が入るが、曲の形作る世界はあくまで重く、少し息苦しさを感じさせる。この重苦しさからは次のThe Curragh of KildareでのEddiの伸びやかな歌声が一気に解放してくれるが、この曲とつぎのGood Girlが収録されていないことが国内盤のアルバムの印象をちょっと変えてしまうように思われるので、ボーナストラックが収録されているとはいえ、日本のファンは少し損をしているのかもしれない(MDで聞く習慣がある人は、この2曲を入れて聞きくらべるのをお薦めします)。

Wasting TimeはRon Sexsmithのデビュー作収録曲のカバー。Angels & Electricity収録のOn A WhimはRon Sexsmithの書き下ろしだったが今回はカバーでの収録となった。Eddiはイギリスツアー(たとえばこれ)においてはよくRon Sexsmithの曲を取り上げており、EddiのRonの曲に対する評価の高さが伺える。Lucky Pennyあたりと近い雰囲気を持った曲で、アルバム中最も違和感なく聞ける曲だろう。とても柔らかい曲調にEddiの歌声が映える。バックコーラスの入れ方もEddiならでは。

Paper WingsはGillian Welchのデビュー作収録曲のカバー。オリジナルではベースの音がかなり目立つアレンジだったがここではそれほど目立たず、むしろドラムやペダルスティールが前面に出ている。少しハワイアンっぽい感じもする演奏のなか、ファルセットをときおり使いつつたっぷりと溜めを持たせたEddiの歌声は、夕暮れどきをイメージさせる。

Holidayは流れるようなメロディーにアコーディオンとドラムの乾いた音が印象に残る。Small Soul SailingはProcol HarumのA Whiter Shade of Paleを思わせる静かなうねりを持った(そういう意味でSadeのBy Your Sideにも通ずる)曲で、穏やかでありながら深い感情を込めたEddiの歌はI Felt A Soul Move Through Meを思わせる。

New PretenderはBoo HewedineのアルバムThanksgivingの国内盤にボーナストラックとして収録されていた曲のカバー。Booバージョンでのピアノの代わりに使われているオムニコードのかわいらしい音を中心に、ギター、キーボードが周りを固めている。そのちょっと幻想的な雰囲気はAngels & Electricity収録のBell, Book and Candleを想わせる。イギリスではライブで歌ったこともある曲らしいので、是非一度生で聞いてみたい。Forgive the Boyは静かだがムードのある曲で、地味ながらもEddiはいろいろ変化をつけながら歌っている。要所で聞かれるギターの音が印象的。

最後のEverthingは'01/春の来日公演でも演奏してくれた、アコーディオンとマンドリンの音が印象的なとても陽気な曲。こういうトラッドナンバーはFairground Attraction時代からEddiが得意とするところだけに、聞いててとても楽しい。こういう曲だと(実際には入っていないが)ついEddiのかけ声を想像しながら聞いてしまう。楽しかった来日公演を思い出させてくれるナンバーであり、国内盤のボーナス・ライブトラックには自然と繋がるだろう。

 

Eddi Reader Discographyに戻る

Homeに戻る