Thanksgiving
(アルバム, '99)
meldac, MECI-25112(日本盤)


曲目Cover of Thanksgiving

1. The Birds Are Leaving
2. Swansong
3. Hope is A Name
4. Lazy Heart
5. Water Song
6. 'Our Boy'
7. Bell, Book & Candle
8. Thanksgiving
9. Footsteps Fall
10. Homesick Son
11. Eve
12. A Long Winter
13. Murder in the Dark
14. Please Don't Ask Me to Dance
15. New Pretender
16. The King is Dead
*15, 16は日本盤のみのボーナストラック

ここ(アメリカ盤全曲、Liquid Audioが必要)かここ(アメリカ盤最初の5曲、Real Audioが必要)で試聴が出来ます。 

クレジット
(ソングライティング)
 1, 2, 5, 7, 8, 11, 13〜16. Boo Hewerdine
 3, 12. Boo Hewerdine and Clive Gregson
 4, 10. Boo Hewerdine and Eddi Reader
 6. Boo Hewerdine and Neill MacColl
 9. Boo Hewerdine and Annette Bjergfeldt
(プロデュース)
 Eddi Reader and Teddy Borowiecki

解説
アメリカで'99の3月(日本では5月)にリリースされたソロ第3作で現在のところの最新作。前作Baptist Hospital同様、Eddiに提供した(共作含む)楽曲4曲(4, 7, 10, 14)を収録し、また8, 15についてもEddiはイギリスではライブでたびたび歌っている。しかしオリジナルソングライターによるセルフカバー集にはもちろん留まらない内容を持ったアルバムである。

Teddy BorowieckiやThe BibleでのバンドメイトNeil MacColl, Tim HarrisといったEddiとも交流のあるメンバーに加え、来日公演も一緒に行ったClive Gregsonが3, 12で参加している(共に共作もしている)。他にはRufus Wainwrightの姉、Martha WainwrightがLazy HeartやMurder in the Dark(この曲ではソロ・パートもある)など5曲で印象深い歌声を聞かせてくれている。

どうしてもEddiのアルバムに収録された曲に目が向きがちになるのは致し方ないところだが、それらの曲もEddiとはちょっと違ったアプローチで、その透き通ったハイトーン・ヴォイスで歌われてアルバムのなかに自然に溶け込んでいる。全編アコースティックな演奏でBooの歌声が乗っている、と一言で表現することも可能だが、共にストリングスをフィーチャーしながらもゴスペル的な響きもある重厚なThe Birds Are Leavingと軽快な曲調のSwansongを並べたり、Teddy Borowieckiのピアノのみによるインスト曲'Our Boy'を途中に放り込んでみたり、Clive Gregsonだけによる演奏でBooが歌うHope is A NameやA Long Winterの後にはMarthaの歌声が入った曲を持ってくる、というようにうまくカラーの違う曲を順番に並べてあるために飽きることなく聞き進めることができる。Martha Wainwrightの参加は大きく、彼女のわずかにハスキーな声がBooの声といいコントラストを成している。Footsteps FallやA Murder in the Park, New Pretenderといった曲でのTeddy BorowieckiのアコーディオンやピアノはEddiのアルバムでもそうであるように彩りを添えており、多大な貢献をしている。

ギターの音も軽やかなFootsteps FallやA Murder in the Park、あるいはEddiのバージョンとは違って華やかさも感じさせる明るいアレンジのLazy HeartやBell, Book & Candleといったところが耳に心地よいが、ThanksgivingやA Long Winterでの哀愁を感じさせるデリケートな歌唱がBooの持ち味だろう。ピアノ、ギター、ストリングスなどがどれか一つ目立ち過ぎることなく、その上にBooの歌声が乗って絶妙な調和を見せるEveも味わい深い。Neil MacCollと2人だけで演奏されるPlease Don't Ask Me to DanceはBoo & Clive の来日コンサートでも最後に歌われたが、(ボーナストラックがあるものの)アルバムを締めくくるにふさわしい曲で、Eddiのバージョンより更にシンプルなアレンジで比較するに足る出来映え。ちょっとポルカ的な演奏も聞かれるA New Pretenderも面白い。

EddiのAngels & Electricityが好きな人なら気に入るアルバムだろう。

 

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