Angels & Electricity
(アルバム, '98)
ワーナー, WPCR-1990(日本盤)
Blanco Y Negro, 3984-22816-2(英盤)
曲目
1. Kiteflyer's Hill
2. Prayer Wheel
3. Postcard
4. Wings on My Heels
5. On a Whim
6. Hummingbird
7. Barcelona Window
8. Bell, Book and Candle
9. California
10. Follow My Tears
11. Psychic Reader
12. Please Don't Ask Me to Dance
12+1. Clear
14. Homesick Son
15. St. Christopher
*14, 15 は日本盤のみのボーナストラック
ここで試聴が出来ます。
クレジット
(ソングライティング)
1. Mark E. Nevin
2, 7, 9, 10, 14, 15. Eddi Reader and Boo Hewerdine
3. Eddi Reader and Calum MacColl
4, 6, 8, 12. Boo Hewerdine
5. Ron Sexsmith
11. Eddi Reader
13. Eddi Reader/Calum MacColl/Roy Dodds
(プロデュース)
Eddi Reader and Boo Hewerdine
解説
'98の5月(日本では6月)にリリースされた第4作。深みを増した表現力が楽しめるとはいえ、人によってはすこし取っ付きにくかったであろう前作、Candyfloss and Medicineより分かりやすく、その前のセカンドアルバムに近付いた感がある。だがEddiの表現力はさらに柔軟、多彩になっており、ほとんどのシンガーが到達できない程の上手さを既に持っていたFairground Attraction時代と比べても明らかな差を感じさせてくれる歌唱が聞ける。
Mark E. Nevinの1やBoo Hewerdineによる4、8、12が繊細なメロディに情感豊かなEddiの歌がのっかっていて特に味わい深い。これからEddiを聞こうという人にも自信を持って薦めることができる傑作。14、15は国内盤でしか聞けないし、伊藤なつみ氏によるライナー(Eddiの各曲へのコメント付き)も大変良いので国内盤のお得度は高い。アメリカでも'99の春になってようやくリリースされ、この時期にちょうど新作がリリースされたBoo
Hewerdine, Clive Gregsonとともにツアーも行った。
最初の曲Kiteflyer's Hillは2作ぶりに収録されたMark E. Nevinによる曲。曲の 提供を受けたのはもっと前('94 頃)だったらしいが、出版社の方から許可がおりず、今作でやっと収録されるようになった(伊藤なつみ氏による国内盤ライナーによる)。ゆったりとしたEddiの独唱で始まる控えめなメロディを持つ歌だが、Eddiの絶妙な歌い回しと繊細なメロディは聞き込む程に味わいが増してくる。当初アルバムからのファーストシングルに予定されていたが、結局イギリスではこの曲に限らずシングル発売は現在までにされていない。Kiteflyer's Hillとはロンドン北部に実在する丘の通称(正式名はParliament Hill、Hampstead Heathにある)で、以前Markが住んでいたアパート(セカンドアルバムに提供された曲のデモをここでEddiと録音したらしい)がこの丘から見える。ライナーにはこの丘の写真が使われている。
続くPrayer Wheelは一転して元気のいい曲で、日本ではニュース番組のエンディングテーマに使われ、シングルカットされた。軽快なギターの音にBoo Hewerdineのコーラスも効果的な、ライブで映えるナンバー。アルバムタイトルAngels & Electricityはこの曲の歌詞の一節から取られたもので、”with angels and electricity”で”自由奔放で情熱的な”との意味を持つらしい。 Brian Kennedyがコーラスに参加しているPostcardに続いてのWings on My Heelsは微妙に声を震わせ、間を取りながら歌っているEddiの歌唱が素晴らしい。昔のことを回想したような歌詞は物悲しく、曲によく合っていると思う。個人的には'98のフェイバリットと言える曲。こういう曲はEddi以外の他のシンガーには歌いこなすことが出来ないと思う。
On a Whimはカナダのシンガーソングライター、Ron Sexsmithによる歌。EddiとRonはメール友達だそうで、RonがEddiに歌って欲しいとメールで送ってきたらしい。ほのぼのとした曲調が愛らしい。'98のツアーの大阪公演では私と外国人の女性が声をあげてリクエストし、歌ってもらえました(この曲が歌われたのはこの日だけ、だと思う)。 Hummingbirdはファーストアルバムに入っていたHoneychildをどこか思わせる浮遊感のある曲。思わず口ずさんでしまうフレーズがキャッチー。
ちょっとエスニックなBarcelona Window、タイトルにおまじないをもじったBell, Book and Candle、カントリー系のアーティストが歌っても似合いそうなCaliforniaと今まであまりなかった曲調の曲に続くのはEddiらしいナンバー、Follow My Tears。ファーストのPay No MindやDolphinsを連想するこういう曲はライブでEddiの声にどっぷりと浸れる歌だと思います。 タイトルにちょっとドキッとするPsychic Readerに続くPlease Don't Ask Me to DanceはBooのアルバムThanksgivingではラストを飾り、彼がClive Gregsonと一緒にやった来日公演でも最後に演奏された彼の自信作。別れた恋人達のことを歌った歌詞がせつない。そしてClearでアルバムは終わる。
このあとには日本盤のみに収録の2曲が続く。Homesick Sonは明るいメロディが嬉しいポップな曲。イギリスではライブで結構頻繁に披露されているらしいのに日本では演奏されなかった(;_;)。これもBooのソロアルバムに収められている。
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