Eddi Reader & Boo Hewerdine @ Cambridge Folk Festival (July 27, '00)
この日の写真はこちら。
イギリス・ケンブリッジで開催されているCambridge Folk Festivalの初日、27日のRadio 2 Stageでとりを務めたEddi & Boo Hewerdineのステージを見ました。ちなみにこのフェスティバルにEddiはFairground Attraction時代から度々参加しており、'89 (Fairground Attraction), '92, '94, '98に続いて5回目の参加となるようです。
Eddiは約15分遅れて9時過ぎにBoo HewerdineとColin Reid(この日ステージの始まる1時間前に一緒にやるように声をかけたらしい)を引き連れて登場。厚手のエプロンみたいなノースリーブにプリントの入ったピンクのパンツという恰好のEddiは髪が短く(といっても肩にかかるくらいはある)なって表情も明るく、声の調子も非常に良かったです。演奏はアコースティック・ギターだけ(半分くらいの曲ではEddiも演奏)によるシンプルなもので、アンコールも含めて14曲演奏されました。
セットリストは次の通りです:
1. Lucky Penny (新曲)
2. Joke (I'm Laughing) *
3. Wolves(新曲)
4. Butterfly (BooがアイドルグループHepburnに提供した曲)*
5. Please Don't Ask Me to Dance
6. 59yds *
7. The Right Place
8. Patience of Angels
9. Hummingbird
10. I Remember You(新曲) *
11. Lebanon Tennessee (Ron Sexsmithの曲のカバー)
12. Footsteps Fall
13. 16 Miles *
(Encore)
14. Bell, Book & Candle
(*のついているのはBoo Hewerdineがリードを取ってEddiがハーモニーボーカルを付けた曲)
セットチェンジの間はステージ前方と真ん中の通路に立ってる人が多くいましたが、まだ座ってる人の姿も見られました。しかしEddi達が出てくるとテントの中は立っている人で埋め尽くされ、地元出身のBoo Hewerdineの人気もあるのでしょう、歓声も今までの誰よりも遥かに大きくて嬉しかったです。クラブ・クアトロとかでやった時よりも歓声や拍手は大きく、Eddiもリラックスしているのがわかる良い雰囲気の中で演奏が始まりました。
1曲目からいきなり新曲が演奏され、嬉しい驚きを与えてくれます。続くJokeではEddiを見ていたら一瞬口を動かしたのでEddiが歌うのだろうと思ってEddiの声をイメージしていたら実際に出てきたのはBooの歌声で、この曲は結局全編Booがリードを取って、Eddiがハーモニーをつける形で演奏されました。この日はこういう形を取る曲が全部で4曲ありました。ここらへんからEddiの手の動きも多くなってきます。
Eddiによる曲名紹介のあとWolves、そしてBooによる曲紹介のあとButterflyと新曲が続き、それぞれEddi、Booがリードを取ります。最初にやった曲とWolvesはミディアムテンポですが曲調は明るく、タイプは違うもののJokeにも通じるような爽やかな感じのする曲でした。これに対してBooによるButterflyはギターのメロディがどこか哀愁を感じさせる、Thanksgiving 収録のA Long Winterを思わせる曲でした。このあとPlease Don't Ask Me to Dance, Booによる59ydsと続いて会場はかなりの盛上がりを見せます。59ydsでは歌はBooにまかせてEddiはほとんど踊ったりステップを刻んだりしていました。Booの方も上体をよく動かしてかなり気分が乗っていることを窺わせる歌いっぷりでした。
その後のThe Right Placeはいままで聞いた中でもたぶん最高の演奏といえるもので、一点の曇りもない透き通ったEddiの声の魅力を存分に堪能させてくれました。スタジオバージョンではコーラス部で"I've been in the wrong place"と3回繰り返す所を、ブレス無しで、しかし声が全く揺らぐ事なく十分な声量でワンコーラスにまとめて歌っていたところは特に圧巻で、最後の方には”ダイヤモンドはないけどクレジットカード(?)はあるわ”などとアドリブで歌詞を付け足して歌ってました。
Patience of Angelsは長いイントロが続いてる間にEddiは観客に一緒に歌うようにリクエストしたあと、「この曲はそこにいるBooによって書かれたもので非常に感謝している」といったようなことを言って、座っているBooをEddiが抱き締めるというシーン(撮り損ねた!)があって大きな歓声が上がりました。最近のライブでは必ず演奏されているHummingbird、Booの新曲I Remember Youと演奏した後一瞬の間があって、会場からは様々な曲のリクエストの声が上がったのですが、そのなかで"Footsteps"という言葉にEddiが反応して「まだ録音してもいないのによく知ってるわね」と冗談を言った後にFootsteps Fall(BooのアルバムThanksgivingの収録曲で、EddiによるライブバージョンがTransatlantic Sessions 2 Volume 2 に収録されている)が演奏されました。そして最後はBooの16 Milesというちょっと意外な選曲ではあったものの大きく盛上がって本編は終了。そして会場の大歓声に応えてアンコールでBell, Book & Candleが演奏されて約75分のステージは終了しました。退場時にEddiが、ステージ脇からずっと演奏を見ていた息子をぎゅっと抱き締めているのが印象的でした。
Booの曲も含め新曲が4曲も披露されたこの日の演奏は日本では見られないギターだけによるアコースティック・セットだった事もあって、Eddiの歌声が普段以上に引き立つ素晴らしい内容でした。イギリス来た甲斐があった。嬉しい。