ラビット職人の呟き

日々、ラビット職人になる為精進している修行者達。

彼らの「つぶやき」をまずはご覧ください

今をさかのぼる事十数年前、私はスバル360の神様と言われた川崎の故T中氏の元で日々スバル360の修行をしていた。早朝6時には神様のお宅へ赴く、7時からは「モーニング」と呼ばれる修行である。要するに近所のマクドナルドへ「モーニングセット」を食べに出かけるのだが、神様はウイスキーを入れた栄養ドリンクのビンをポケットに忍ばせ、ソーセージマフィンをつまみに一杯やり始めるのだ。話の内容は昨日と同じ。私の胃の中にも当然ストレートのウイスキーとブラックのコーヒーが納まる。朝から意識朦朧となり9時頃朝の修行は終わる、しかし続く11時頃からほぼ同様の内容の修行が始まる。

当時、私と一緒に修行していたのがT上兄貴だった。兄貴は歳は私より一つ下だったが大学の学年は一緒だった。私はスバル一本だったが兄貴は高校生の頃よりラビットにはまっているだけあって全てにおいて私より上を行っていた。1日の修行が終わると兄貴と一緒に近所の中華屋でお互いを励ましあった。

ラビット初体験もT中師匠の下だった。今思えばそれはS301のBタイプジュニアだった。 確か元色の未再生原型車だったと思う、私の手による簡単な整備で息を吹き返した。「ぽんぽんぽん」という小さな焼き玉エンジンのような排気音、どっしりとしたライディングポジション、意外と太いグリップ。「これがラビット…」衝撃的な感動と共に左グリップをローに入れる、アクセルを開けると自動遠心クラッチは緩やかに車体を動かし始めた、ゆるゆると動き始めたラビット。ラビットが運ぶ風、床下から聞こえる心地よい排気音、揺れるメーター針、私を包む時空間全てが体験した事の無い20数年前のそれだった。

私は16歳で原付免許を取り、近所のおばさんのシャリィで隣町まで行ったのが初体験だった。自分でペダルをこがなくても快走する、アクセルひとひねりで自分を速度40キロの世界へと連れていってくれるモーターサイクルに自分の世界が無限大に広がる感動を覚えた。 今となってはどんなに大排気量のオートバイに乗ろうと、どんな遠くの地を訪れようと、この時の感動を味わう事はできない。

しかしこの時のラビット初体験の感動は時空間を超えることの快感だった10kを越えた頃2速へとグリップをひねる。2速の伸びは感動ものだった、あっという間に私はラビットと一体化して昭和40年代へと走り出した

ラビット職人の浮気 その1 鈴木さん家のスージーチャン

ラビット職人の浮気 その2 本田さん家のシービーさん

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自分のガレージ(小屋)を建てるため基礎のつか石を埋める作業を行う修行者

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