****************************************
Home
杉並区の歴史
(杉並郷土史会・文/東京にふる里をつくる会・編 名著出版 昭和53年刊)
1 グラビア
2 序にかえて
3 あとがき
4 「東京ふる里文庫」について
一部 杉並区のあゆみ
前半
後半
二部 杉並の自然
三部 杉並の生活
四部 杉並区文化財散歩
付録 杉並区略年表 |
杉並区は、最後に東京23区になった地区です。
真ん中をJR中央線が走り、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪の駅がある都心のベッドタウンの地区です。
杉並郷土史会
昭和四十八年六月に、郷土史の研究、文化財の発見と保設を目的として創立された会(代表委員・森泰樹氏)。
現在会員数三四〇名で、毎月一回例会をもって、講演会、見学会など活発な活動を行い、隔月に機関誌「会報」を発行している。
年会費は一、五〇〇円で、誰でも入会できる。
|
 |
1 グラビア
top
2 序にかえて top
東京に今日住んでいる人々のあらかたは、自分がはじめて地方から出てきたか、せいぜい親の代くらいに東京に移り住んだにすぎないだろう。
しかし自分がそこに住みついてみると、いくら生えぬきでないとはいえ、その土地の歴史を知りたくなるのは人情の常である。
けれども、自分の住んでいる土地の歴史を自分で歩いて調べるには、東京は余りに変動が激しすぎて、むずかしくなってしまった。
その土地になお根をおろしたり、刻みこまれている歴史の痕跡は余りに乏しくなり、素手で歴史散歩をするだけで、土地の歴史を知ることは、杉並区のような外辺部でさえほとんどできなくなっているのである。
私も十年余り前、この杉並の中でもまだ市街化がおくれている久我山に移り住み、おそらくもう引越すこともあるまいこの土地の歴史を探ってみたいと思うようになったが、直接歩いて目で見えるところから知ることのできる歴史はごく限られてしまっている。
そうした歯がゆさに似た思いを味わっていたところに、この「東京ふる里文庫」の一冊として『杉並区の歴史』が出ることになった。著者たちは、毎月欠かさず研究会や見学会をもって、長い同調査研究を進めてこられた杉並郷土史会の中心メンバーである。
著者たちは関係する文献をくまなく探り、精密に検討するとともに、実に丹念に区内を歩き、一人ではとても発見することのできない歴史の痕跡を残すところなく扣り起こし、それを系統づけている。
いわゆる一般史のようなものは、文献も多いし、昔からの積上げで、大体の筋道が分っているが、区の歴史というようなものになると、まだ、ほとんど系統立てられていないから、他人の仕事に頼るわけにゆかかい。
この『杉並区の歴史』は、著者たちの永年の努力によってつくりあげられた独創的な仕事である。
しかも、さすがに手作りの史書であるだけに、その組立ても、これから区史を知ろうとする人々のために、まことに手ぎわよく、また親切に工夫されており、同好の士に広くおすすめできる書物である。
秋になってこの書物が出来上ったら、私もさっそく、本書を手にして探史漫歩をはじめようと思っている。
一九七八年一〇月 永原 慶二(一橋大学教授)
3 あとがき top
杉並区は、人口五六万をこえ、かつては雜木林や杉木立てあった丘陵も、用水路をめぐらした田園も、皆人家で埋めつくされ、まさに武城野の面影が消え去るうとしています。
戦後の激しい地域の変貌に、失われゆく古い風物に郷愁と愛惜を持つ人々の間に、「今のうちに郷土の話をまとめよう。お地蔵さまや庚申様を保護しよう」という気運が盛上がり、昭和四八年に杉並郷土史会が設立されました。
現在会員は三四〇名を数え、昨五二年には、東京都教育委員会より、都内の市民活動の代表的団体に推薦され、広く紹介される程に生長しました。
本書の著述を分担された各氏よりの一言。
先史時代の杉並の姿を、杉並古代文化研究会の調査資料と、いろいろのデータを用いて復元しようと努力したつもりだが、果して読者の皆さんにご理解いただけたか、心配である。
この文を通じて埋蔵文化財へのご関心を寄せられれば、幸甚です。
(安藤幸吉)
かつて優れた区史として、先駆的な役割を果した『杉並区史』が、発刊されてから二十年経った。
その間、発見された史料や研究はおびただしいものがある。ここでは区史にふれられなかった面を取出すことを主眼にしたが充分とはいえない。 今後の会員の研究に期待したい。
(尾藤さき子)
杉並は江戸よりは遠く離れ、明治までは純農村として歩んでまいりました。
しかし郷土には、祖先が何代もの間に渉り築き上げた文化遺産が残されています。
本書では、これらをさぐると共に、杉並区が今日の状態までに発展してきた跡をたずねてみました。
(井口金男)
割当られたページ数に対して社寺、旧跡が余りにも多いため、やむなく文献の記事引用を省略しわかり易く解説しました。
読者の皆様が区内の旧蹟や文化財のいわれを理解されて、少しでも杉並区に愛着を持たれれば、幸甚に思います。
(森 泰樹)
巻頭に、尊敬する一橋大学教授永原慶二先生より、序文をいただき、光栄に存じます。
まだ先史時代の項は、杉並古代文化研究会会長平山久夫先生のご助言によって記述し、その他の文章、写真等については、本会会員諸氏と関係機関のご協力をいただきました。
謹んでお礼を申上げます。
一九七八年一〇月 杉並郷土史会
4 「東京ふる里文庫」について
top
東京都は、昭和五十二年には、新区制の三十周年を迎えることとなった。
昭和二十二年に新区制が施行されて以来、区政は、急激な人口増加とそれに対応する環境問題と都市計画の模索に苦しんでいる。
戦後生れの人口は、わが国の人口の大半を占め、その十分の一の若者は東京二十三区での生活にあえいでいる。
このような状況のなかで、東京に「ふる里」を求める声が、ここ数年来、とくに著しくなってきた。
熱心な各区単位の史談会や郷土研究会などの活動、とりわけ若い区民らは、新しい郷土「東京」を求めて。さかんに活躍している。
いまや我々は、地域社会として区の将来の計画を立案する必要に迫られている。
そのためには最も正しい情報――知識――が必要であることを確信する。
そこで、我々は今回『東京にふる里をつくる』運動を提唱し、そのための会を組織し、東京二十三区の区史シリーズ『東京ふる里文庫』の発刊を企画することにした。
現在、区政単位による「区史」の編纂事業は、各区で刊行されているけれども、それらはあまりに尨大な頁数と巻数からなり、一般市民にとっては入手し難い状況にある。
我々が企画する区史シリーズ『東京ふる里文庫』は、児童から老人に至るまで、すべての階層に理解できるように平易な文章で書きおろし、各時代、とりわけ近現代の歴史を具体的にのべて、あわせて史跡めぐりや歴史探索に役立つように編集したいと思っている。
この企画進行にあたっては東京都当局および区役所・各種団体のご協力なくしては、到底続刊することができない。
二十三区史シリーズ『東京ふる里文庫』は自分らの文庫であると考えられて、積極的に、その執筆と配布にご協力とご援助をお願いしたい。
「東京にふる里をつくる」運動に、よき理解と絶大なるご協力を念願する次第である。
東京にふる里をつくる会 代表世話人 杉山 博
top
****************************************
|