木造建築研究機構

WOOD-FRONT SUMMER SESSION


高知木造サマーセミナー

 現在あらゆるジャンルにおいて、既存の理論や快適性に対して疑問がもたれ、その有効性やこれからの可能性を再考する動きが活発となっています。 本来、すべて木造であった日本の建築が、現代科学の産物である鉄、ガラス、コンクリートによって取って代わられて1世紀以上が経ちます。それらが日本の近代化に対して果たした功績には大きいものがありますが、いまさらいうまでもなく、画一化された無機能な都市をつくってきたことも否めません。建築界においても、ようやく機能と経済性を越えて、環境、エコロジーという概念の一般化とともに、都市環境、居住環境、居住性などを日本の歴史や風土、社会性、民族性などに即して見直す時期にきたようです。 一方では戦後、とくに昭和30年代をピークとする造林によって育成されたスギが、10〜20年後には伐採期を迎え、森林の健康な育成と保護のためにも、大量に市場に出回らざるを得なくなります。エネルギーや資源の有効利用、広くは地球、小さくは居住空間にいたる環境問題を含めたとき、ひとつの建築をつくるという行為自体も、大げさにいえば地球規模でのトータル・バランスに寄与するものとして、これからの方向性を再確認する必要があるのではないでしょうか。

日本の歴史と文化に深い関わりをもっていた「木」を中心に、木材の生産から供給、木造建築の伝統的な手法、設計、施工にいたるまで、一貫して展望することによって、木材という建築素材のもつ魅力と、未来の可能性を探ってみようではありませんか。 それは、「木造建築」を伝統的・文化的側面をふまえながら、現代的な視点によって見直すことでもあります。多彩な講師によるレクチャーと見学、フィールドワークによる実体験が、知識以上のものを与えてくれるはずです。

主宰 中谷正人                 


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毎年夏に開催して参りました高知セミナーも、おかげざまで今年は4回目を終えることができました。

今後も皆さんのご意見を反映させてより充実したセミナーにしていきたいと考えております。

 

1996年夏 第1回

■参加していちばんよかったことはなんですか?

・活躍されている講師の方の講義を受けられたこと。(住宅設備メーカー勤務.26歳女)

・杉山に登れたこと。(学生.女)

・土佐派の家に一言!日本建築の良いところを絶やさないで欲しい。また、現代建築に応用して欲しい。(住宅設備メーカー勤務.26歳女)

・建築に携わる他社の方々と交流でき、貴重な講義を受講でき、良い夏休みとなった。(住宅設備メーカー勤務.26歳女)

・様々な人と出会えることができた。(ゼネコン勤務.35歳男)

 

■今後どんな講師からどんな内容の話を聞きたいですか?

・小川三夫さん"宮大工にかける情熱" (住宅設備メーカー勤務.26歳女)

・野村加根夫さん等、和風建築の世界で活躍されている方。(ゼネコン勤務.35歳男)

 

■今後、木造建築研究機構に期待することは?

・建築を見に行き、説明を聞かせていただくプログラムを増やして欲しい。

(住宅設備メーカー勤務.26歳女)

・実際に制作するようなプログラム。(学生.女)

・建築内部で普段見られないものを見せて欲しい。(ゼネコン勤務.35歳男)

 

1997年夏 第2回

■参加していちばんよかったことはなんですか?

・最近、木に関するセミナーが多い中で、受身的なものではなかった。(設計事務所勤務.男)                     

・同じ様な考え方をもった方々と知り合えた。(設計事務所勤務.女)

・木造に関する方法論をきちんと持ち、実際に取り組まれている土佐派の方法を知ることができた。(設計事務所勤務.男)

・想像以上に幅が広く、内容も良い講義が聞けた。(設計事務所勤務.男)

・土地に付いた安定感を感じる建築だ。(設計事務所勤務.男)

・中谷さんが元気だったのが、印象的だった。(設計事務所勤務.男)

 

■今後、木造建築研究機構に期待することは?

・実施設計時の矩計図面などを見せてもらえれば尚、参考になった。(設計事務所勤務.男)

・アジアや北欧などの地域について、民家や木造文化などの研究をされている方々の講義。

 また逆に木造とはかけ離れた活動をされている方が木造についてどのような考えを持って

 いるか聞いてみたい。(設計事務所勤務.男)

・実際に手を動かしてみたい。(設計事務所勤務.女)

 

1998年夏 第3回

■参加していちばんよかったことはなんですか?

・下刈り、間伐は、地味な作業ではあったけれど、認識が改まりとても面白かった。 (設計事務所勤務30歳男)

・下刈り、間伐という言葉の知識はあっても、実際やらなければ分からないことが多くあった。林業家の苦労が身にしみた。貴重な体験だった。 (設計事務所勤務22歳女)

・有名な建築家と同じテーブルで話ができた!(笑)。  (設計事務所勤務30歳男)

・チェンソーのエンジンが、自分でかけられて嬉しかった。(設計事務所勤務30歳男)

・木造について思いのある人たち、何かをやろうとしている人たちと出会えたのは大きかった。(設計事務所勤務22歳女)

・木造をやろうと思ったことを間違いではなかったと認識できた。(設計事務所勤務22歳女)

・土佐派の家は、地域限定の建築ブランドというイメージもありましたが、そんなイメージをも払拭してしまうくらいのムーブメントであると思った。(設計事務所勤務30歳男)

・実際に目で見て「土佐派」という名のイメージ通りの骨太で、そこにいる人々に安心感を与える。清々しい建築ばかりだった。設計者の木に対する心意気みたいなものが感じられて、建物がその場に根付き、息づいている。生命力があった。(設計事務所勤務22歳女)

・木造建築を見たということに加え、さらに森林作業や林業に従事する人たちとの会話が、すでに非日常体験だった。(設計事務所勤務30歳男)

 

■今後、木造建築研究機構に期待することは?

・事前に参加者が、作りたいものを絵にしてもってくるなど、クリエイティブ要素も入れて欲しい。(設計事務所勤務30歳男)

・土佐派の家の建築現場など見たい。(設計事務所勤務22歳女)

・参加費は初め高いと感じたが、それだけの値打ちはあった。(設計事務所勤務22歳女)

 


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