若島 正:詳解詰将棋解答選手権 初級・一般戦

作成日:2020-03-08
最終更新日:

概要

詰将棋解答選手権のうち、初級・一般戦の部の 2009 年から 2019 年までの問題を、 若島氏の解説とともに掲載する。

感想

私は1手詰でも考えてしまうような耄碌じいさんだから、初級の部の問題でも解けたときは非常にうれしい。

本書は若島氏の著作であるが、掲載されている詰将棋は若島氏の作品だけでなく、 他の作者の作品も含まれている。若島氏は、(チャンピオン戦に出てくる)作品を見ただけでその作者がわかるという意味のことを、 チャンピオン戦の著書で述べられている。 私にはそんなことは到底わからないが、あることに思い至った。 それは、若島手筋のことである。

手筋

詰将棋には、ある感動的な効果を与える一連の手を「手筋」と呼ぶことがある。 これは指し将棋の場合も同じだが、詰将棋の場合はその手筋の第一作者の名前をつけることがならわしとなっているようだ。 最も有名な詰将棋の手筋は「森田手筋」であろう。森田手筋の説明は省くが、まず詰将棋で手筋といえば森田手筋なのである。 ちなみに、下記のページで「手筋」と名の付く詰将棋関係の名前は、森田手筋のほか、若島手筋、高木手筋、桂花手筋、 ブルータス手筋がある。このなかで、ブルータス手筋は、ブルータス氏が発見した手筋ではない。 ある作者により詰将棋が出題された。その正答は目をみはる手が含まれていたが、 名だたる解答者たちがこの手に気づかずことごとく解答を誤った。 この討ち死に状況を見て、解答解説の評者が「ブルータス、お前もか」と嘆息したことからこの手筋の名前がついている。 ブルータス手筋については若島氏の盤上のフロンティアでも解説されている。 なお、桂花手筋については、これを手筋といえるのかどうかという疑問があるが、私は詰将棋がわからない人間であるから深入りしない。

http://toybox.tea-nifty.com/memo/2015/06/post-5601.html

それで何が言いたかったというと、若島氏の作品に、若島手筋が変化手順で発生すると思われるものがいくつかあったからだ。 たとえば、第7回詰将棋解答選手権 初級戦の⑥である(と思うのだが、違うような気もする)。⑥も若島手筋に近い。 実際に若島手筋が出てきた作品をこれということを示せばいいのだろうが、 それについては若島氏の盤上のファンタジアの第三十三番の解説を読んでほしい。 ここでは割愛する。

裏手筋

p.112 の解説には「初手に銀の空き王手が絶対に見えますが、それでは詰みません。☗2一龍は、この形のいわば裏定跡です」 とある。私も既視感があったので気になっていたが、裏定跡が何かは思い出せずにいた。

そんなとき、ふとしたことでインターネット上の詰将棋のページを見ていると、 勝浦修九段(引退)の有名な5手詰が目に入った。 これだ、と思った。私が最初に発見した裏定跡はこれだった。 龍と銀のペアで、銀による空き王手をかけずに、龍を銀の前に斜めに動かして、 一見攻め方に不利な状況を作るがその後の好手によって敵玉をしとめる、というものだ。

誤植

p.191 下段右から1行目「☗2六角☖1四歩☗1七金☖1玉」とあるがこれは誤りで、 「☗2六角☖1四歩☗1七金☖1玉」が正しい。 同様に下段右から4行めは「以下☗1七金☖1玉」とあるがこれも誤りで、 「以下☗1七金☖1玉」が正しい。

p.202 下段左から3行目「☖五馬と取られると」とあるがこれは誤りで、 「☖五馬と取られると」が正しい。(2020-04-16)

若島正の本

書誌情報

書 名詳解詰将棋解答選手権 初級・一般戦
著 者若島 正
発行日2020 年 2 月 29 日(初版)
発行元マイナビ出版
定 価1640円(本体)
サイズ254 ページ
ISBN978-4-8399-7206-6
その他2020年2月25日 旭屋書店新越谷店にて購入

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MARUYAMA Satosi