本書の「まえがき」から引用する。統計的因果推論の重要性が述べられた続きである。
(前略)本書は入門書でなく専門書の部類に入ると思う.読者には回帰分析や実験計画法,分割表などの基本的知識と実際の解析経験を期待している. 特に,テキスト通りの回帰分析の使い方に疑問を感じられている方を歓迎する.
統計学を学んでいると「シンプソンのパラドックス」ということばが出てくる。この有名なパラドックスを知ったのは私は最近で、
非常に恥ずかしいことである。本書ではこれがユール・シンプソンのパラドックスとして紹介される。
本書によれば、Simpson(1951)が与えた例の前に Yule(1903)の例があるという。ただし、シンプソンの例は、
性で層別した2枚の2元表が処理の有効性が示唆されるのに対し、性別について併合してしまうと処理の有効性がないという結論を導きかねない、というものであった。
いっぽう、ユールは層別したときには各層で処理間に差がないものの,層を併合することで処理間に差が生じる数値例を与え,層別の重要性を強調した
のだそうである。
名称については、Wikipedia によれば「シンプソンのパラドックス」または「ユール=シンプソン効果」として紹介されている。
ついでにいえば、Wikipedia の英語版では、ユールのほかにはカール・ピアソンも 1899 年に指摘していたことが書かれている。
本書の「まえがき」で、最近の統計的因果推論の先駆者である Judea Pearl は 2000 年に発表した著書の序文において
として一部を原文で紹介しているが、
その著書は引用文献 38) にある Pearl., J.(2000): Causality; Models, Reasoning, and Inference. Cambridege University Press である。これには
統計的因果推論 モデル・推論・推測 という邦訳がある。
要再読である。
| 書名 | 統計的因果推論 |
| 著者 | 宮川雅巳 |
| 発行日 | 2005 年 1 月 20 日 2版 |
| 発行元 | 朝倉書店 |
| 定価 | 3400 円(税別) |
| サイズ | A5 版 |
| ISBN | 4-254-12781-2 |
| NDC | |
| 備考 | 川口市立図書館で借りて読む |
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