鈴木義一郎:現代統計学小事典

作成日 : 2009-02-07
最終更新日 :

概要

「はじめに」から引用する。

(前略)しかし無謀にも、著者ひとりで五十音順配列の統計の事典を作ろうと思い立ったのが、3 年ほど前である。 手軽でしかも廉価ママのものならば、手元に置いて利用したいという方が相当数いるのではなかろうかと考えた次第である。(後略)

感想

「小辞典」ではなく「小事典」である。ほとんどの項目は「辞典」のように言葉の説明にとどまっているが、一部の項目では言葉の解説だけはなくてある程度の計算にも踏み込んでいる。 古典的な統計学をコンパクトにまとめていて、ちょっと調べたい時には便利である。 (2009-02-07)

たとえば p.188 の【ヒストグラム】を見てみよう。

統計データを適当な区間に分類した「度数分布表」を、視覚的に観察できるようにした“柱状図”のことである。 ヒストグラムを描くには、最初の区間の端点 `c` と、区間の幅 `w` を決める必要があるが、その定め方についての統一見解が得られていない。 よく知られているのは、

`w = R div ( 1 + log_2 N) ` ( `N` はデータ数で `R` は範囲 )
という「スタージェス」の公式である([S 10])。この公式がかなりポピュラーなわりには、存外よくないのである。これよりは
`k = (1.71)N^(1//3)`
という「鈴木の公式」を用いた方がよい([S21])。(後略)

ここで `k` は区間の個数である。この引用の次の段落で、上記の「鈴木の公式」の導出過程が示されていて、そこで `k` が区間の個数であることがわかる。 この鈴木の公式は、森真・田中ゆかり:なっとくする統計でも紹介されている。

なお、ヒストグラムの端点と区間の幅を決める方法は、坂元・石黒・北川:情報量統計学や、 坂元:カテゴリカルデータのモデル分析などでも扱われている。

誤植

p.313 上から1行目北側源四郎とあるが正しくは《北川源四郎》である。

数式の表示

数式はASCIIMathMLを使って表示している。

書誌情報

書名 現代統計学小事典
著者 鈴木義一郎
発行日 1998 年 3 月 20 日 第 1 版発行
発行元 講談社
定価 1160 円(本体)
サイズ 新書判 ページ
ISBN 4-06-257208-7
備考 講談社ブルーバックス、川口市立図書館で借りて読む

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