情報量規準で統計的手法を統一的にまとめようとする本書は,入門解説書であると共に,問題提起書でもある.
日本で生まれ育った(赤池)情報量規準(AIC)を用いた統計手法の解説。 基本となる検定問題について新たな考え方が述べられている。統計表がいらない、という 利点もあり、もっとこの方法は知られてよいのではないかと思う。
小針による確率・統計入門で誤っていた変数変換の式が、 この本ではどのようになっているか確認したかった。 p.10 における 1・6 変数変換では、正しい式になっている。以下引用する。
`f(x)` を確率変数 `X` の密度関数,`g(x)` を `x` の単調増加関数とする. `Y = g(x)` で新しい確率変数 `Y` を定義すると,`Y` の分布関数は,
`F(y)` ` = P(Y le y) = P(X le g^(-1)(y))` ` = int_(-oo)^(g^-1(y)) f(x) dx` で計算される.ここで `y = g(x)` なる変数返還を行うと,
`(dy)/(dx) = g'(x) = g'(g^-1(y))`
を用いて,
`F(y) = int_-oo^y f(g^-1(y)) / (g'(g^-1(y))) dy`
となる.これは,`Y` の密度関数 `h(y)` が,
`h(y) = f(g^-1(y)) / (g'(g^-1(y))) `
で与えられることを示している.`g` が単調減少関数である場合にも同様に考えて,`g` が単調関数であれば `Y` の密度関数が,
`h(y) = f(g^-1(y)) / abs(g'(g^-1(y))) `
で与えられることが導かれる.
書 名 | 情報量統計学 |
著 者 | 坂元 慶行, 石黒 真木夫, 北川 源四郎 |
発行日 | 1989 年 6 月10日 (初版第5刷) |
発行元 | 共立出版 |
定 価 | 円 |
サイズ | |
ISBN | 4-320-02171-1 |
NDC | 417 |
その他 |
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