マイケル・キーン,森真 : なっとくする確率

作成日 : 2024-04-11
最終更新日 :

概要

カバーから引用する:自然に確率の感覚がつかめる。

数学的モデル

第1章「みゆきさんとみどりさんのゲーム」は、次のモデルである。

問題がいくつか考えられる。

  1. `X_0 = 10` から始めてある `n` で `X_n=30 ` となる確率はいくつか。
  2. `X_0 = 10` から始めてある `n` で `X_n=0 ` となる確率はいくつか。
  3. ゲームが有限 の `n` で終わる確率はいくつか。
  4. このゲームは公平か。
  5. ゲームがおわる `n` の平均

まず第 1 の問題の答を考えよう。私のようなヘボな者であれば `X_n` をどのような式で表そうかと考えるのだが、 本書のとる解法は異なる。`n` はともかく、`X_n` のとる値そのものを考えるのがポイントだ。`X_n=k` とする。`k = 30 ` であればみゆきさんの勝ち、つまりみゆきさんが勝つ確率は 1 である。 同様に、`k=0` であればみゆきさんの勝ち、つまりみゆきさんが勝つ確率は 0 である。さて、`X_n=k` から始めたときにみゆきさんの勝つ確率を `p_k` で表す。 `X_n = k` ならば、①`X_(n+1) = k + 1` か ②`X_(n+1) = k - 1` のいずれかでどちらに行くかは `1/2` である。 ①ならばみゆきさんの勝つ確率は `p_(k+1)` になり、 ②ならばみゆきさんの勝つ確率は `p_(k-1)` になる。そこで、 `1 le k le 29` の場合は次の漸化式が成り立つ。

`p_k = 1/2 p_(k+1) + 1/2 p_(k-1)`

上記式を変形して次を得る。

`p_(k+1) - p_k = p_k - p_(k-1)`
これは、`0 le k le 29` の範囲内で、`p_(k+1) - p_k` が一定であること、すなわち `p_k` が等差数列であることを意味している。 `p_0 = 0, p_30 = 1` であることと合わせて、
`p_k = k/30`
が得られる。これは、`0 le k le 30` で正しい。初期条件は `k = 10` だから、求める確率は`X_10 = 10/30 = 1/3` である。なるほど。

次に第 2 の問題の答である。本書では答は正しいが求め方が誤っている例を最初にもってきて、どこが問題かを指摘している。これには感心した。求め方、答とも省略する。

第 3 の問題の答は 0 である。第 1 の問題の結果と第 2 の問題の結果から得られる。

第 4 の問題の答については、「公平」の意味をはっきりさせておかないといけないので後回しにする。第 5 の問題の答も「平均」の意味が大事なので後回しにする。

絵に表せるゲーム

第2章「ランダムウォークと電子回路の意外な関係」では、絵に表せるゲームで計算の練習をするよう、読者に促している。p.38 でそのようなゲームの例があったので、やってみた。 コンピュータを使わないと結構大変ですけどねとあるので、コンピュータを使ってみることにした。答は正しかったが、私のは近似解法だった。近似でない解法もあったので、 こちらもあとでやってみよう。

なっとくするシリーズ

書誌情報

書名 なっとくする確率
著者 マイケル・キーン,森真
発行日 2005 年 4 月 10 日 第 1 刷
発行元 講談社
定価 2700 円(本体)
サイズ A5 版 198 ページ
ISBN 4-06-154555-8
NDC 417.1
備考 草加市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi