第2巻は級数とフーリエ解析についての公式を収める。
本書の内容を参考に下記のページの公式を掲載した。
pp.83-89 で、多くの無限乗積の公式が載っている。p.84 の上から 9 行めの公式は次のとおりである:
`prod_(n=1)^oo (1/(1-1/(4n-1)^2))(1-1/(4n+1)^2) = 3^2/(3^2-1) * (5^2-1)/5^2 * 7^2/(7^2-1) * (9^2-1)/9^2 cdots = 1/pi(K(1/sqrt(2)))^2=(Gamma(1//4))^4/(16pi^2) = 1.09421quad98 cdots`.
なんとも厳めしい式だ。この式は正しいが、似た式が数学公式Ⅲに出ていてそちらは誤りであるというのだから、 怖いことだ。
p.198 から p.199 にかけて、`A+B+C=pi` のとき成り立つ三角関数公式が載っている。
特に p.199 では `sum` や `prod` が使われた公式がいくつかある。その最初はこうだ。
`sum sinA sinB = 2(prod cos {:(B-C)/2:} + prod sin {:A/2:})`
この意味はただし,`sum, prod` は `A, B, C` について循環的にとった 3 項の和,あるいは積を示す.
ということだ。ならば、こう書けるはずだ。
`sinA sinB + sinB sin C + sinC sinA
= 2(cos {:(B-C)/2:} cos {:(C-A)/2:} cos {:(A-B)/2:} + sin {:A/2:}sin {:B/2:}sin {:C/2:})`
目がくらくらする。ただ、こういう式を見て萌える人もなかにはいるはずだ。
p.282 以降は Laplace 変換に充てられている。ラプラス変換の公式に「黒須-魚返の公式」がある。 日本人だろうか。特に、魚返という名字は珍しい。魚返正という数学者はいるようだが、この人だろうか。
p.46 の下から3行めの式は次のようになっている :
`sum_(n=0)^oo (-1)^n/ ((8n+1)(8n+3)(8n+5)(8n+7)) = 1/48`
これは誤りで、次が正しい。
`sum_(n=0)^oo (-1)^n/ ((8n+1)(8n+3)(8n+5)(8n+7)) = 1/48 int_0^1 (1-x^2)^3/(1+x^8) dx`
積分の式は計算できるらしい。私は計算する自信がなかったので、次の URL
https://ja.wolframalpha.com/examples/mathematics/calculus-and-analysis/sums/
を使って計算させたところ、次の解答を得た。正しいかどうか、検証する力が私にはない。
`sum_(n=0)^oo (-1)^n/ ((8n+1)(8n+3)(8n+5)(8n+7)) = `
`1/96cos(pi/8) (-log(sin(pi/16)) - 3log(sin((3pi)/16)) +log(cos(pi/16)) + 3log(cos((3pi)/16)))`
`-1/96sin(pi/8) (-3log(sin(pi/16)) + log(sin((3pi)/16)) +3log(cos(pi/16)) -log(cos((3pi)/16)))`
定積分の値が `cos(pi/8)` や `sin(pi/8)` の係数が出てくるこの式になるかどうかは、 数学公式Ⅰに出てくる公式を使えば検証できるはずだ。
参考 : https://twitter.com/Paul_Painleve/status/1005822078019198977
このページの数式は ASCIIMathML で記述している。
書 名 | 岩波 数学公式Ⅱ |
著 者 | 森口繁一・宇田川銈久・一松信 |
発行日 | 1987 年 3 月 13 日 新装第1刷 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 1700 円(本体) |
サイズ | B6版 340 ページ |
ISBN | 4-00-005508-9 |
その他 | 越谷市立図書館にて借りて読む |
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