小暮陽三:ゼロから学ぶ物理のことば

作成日:2024-05-13
最終更新日:

概要

カバーから引用する

「重力と万有引力って違うの?同じなの?」たとえばこんな疑問、曖昧なままですませていませんか?物理の必須用語を厳選、楽しく学べる 50 講。物理お役立ち用語辞典です。

感想

第1部 物理の基本にして極意、力学のことば

上記のカバーで引用した疑問に対しては、p.30 に解答がある。

なお、万有引力と重力 (gravity) という 2 つのことばは, まったくの同義語としてつかわれることもありませうが,少し意味が違うこともあります。

少し意味が違うのはどういうときか、本書を見ればわかる。

第2部 ユラユラを科学する、波動論のことば

p.93 には次のような説明がある。

真空中では,光の速さは波長に関係なく 3.0 × 108 m/s に決まっていますが, 物質中の光の速さはこの値より少し遅くなります。そして,遅くなる度合いは通る光の波長によって違うのです。たとえば,ガラス (FK1) の中では, 赤い光のほうが紫の光より 1 % ほど遅くなります。

この FK1 というものが何かがわからなかったが、 調べてみるとガラスの種類を表したもので、比較的屈折率が低いガラスのようだ。

p.101 では、音が屈折する現象について説明されている。

晴れた風のない夜などは,高いところで温度が高くなることがあり,図 4 のように,上に向った音が下に受かって屈折することがあります。 これが狸ばやしと呼ばれる現象です。

現象は知っていたが、これを「狸ばやし」というとは知らなかった。Wikipedia の狸囃子の説明では、音の屈折に関しては言及されていない。

第3部 理想と現実がせめぎあう、熱力学のことば

第 26 講(p.115)の表題は「理想気体 何である?アイデアル」と、これはまた古いキャッチフレーズが使われている。植木等の傘のコマーシャルに使われた。

第4部 快適な暮らしの立て役者、電磁気学のことば

p.161 でコイルに蓄積されたエネルギー `U` を、インダクタンス `L` や電流 `I`、磁束 `Phi` によって表す (10) 式が

`U = 1/2 LI^2 = 1/2 Phi L`

となっている。磁束と電流の関係は p.160 にある (7) 式から `Phi = LI` だから、(10) 式の第2の等号の右辺は `1/2 PhiI` ではないかと思う。

第5部 人類の夢を託す、量子力学と相対性理論のことば

p.204では、ごくごく微量の放射線を浴びることで,逆に健康増進にも役立てることができます。という主張が見られる。この放射線ホルミシス効果に関しては、 いろいろな研究があるが、効果があるとする結果もあれば、効果が不明であるとする結果もある。

ゼロから学ぶシリーズ

数式記述

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書誌情報

書名 ゼロから学ぶ振動と波動
著者 小暮陽三
発行日 2005 年 3 月 1 日(第1刷)
発行元 講談社
定価 2500 円(本体)
サイズ 220p 21cm
NDC 420
ISBN 4-06-154680-5
その他 草加市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi