フォーレ:合唱曲・重唱曲

作成日 : 1998-06-05
最終更新日 :

1. 合唱曲・重唱曲概観

フォーレの宗教曲/合唱曲/重唱曲で一番有名なのはなんといってもレクイエムである。 ここでは宗教曲以外の合唱曲や重唱曲を取り上げる。宗教曲は、フォーレの宗教曲を参照してほしい。 なお、ここでの宗教曲とはラテン語の韻文をテキストとする曲とした。

2. ラシーヌ讃歌

リンク先ラシーヌ讃歌を参照してほしい。

3. ヴィーナスの誕生

宗教曲を除いてフォーレの合唱曲はごく少ない。これはごく少ないうちの一つ(Op.29)。 つい最近(2000-2-11)「世界初録音」というCDを聞いてみたところ、ずいぶん豪勢な感じがするので驚いた。 しかし全体に伴奏に重きがおかれ、それが繊細なのでまた驚いた。豪勢と言うのは 単にオーケストラのリダクションであったためだろう。ちなみにこの曲は演奏に 20 分以上を要する。(2000-02-11)

4. 魔神

前出とともにフォーレの数少ない宗教曲ではない合唱曲の一つ。 ヴィクトル・ユゴーの詩につけた、若い時代(Op.12)の野心作である。 詩の視覚的特徴(右向きの三角形に見える)からか、最初は控えめに始まり、中間部はもりあがるが、 最後はまた控えめになって終わる。(2000-02-11)

5. パヴァーヌ

フォーレの合唱曲中で、否、全作品の中でも有名である(Op.50)。 ものうげなトーンが全体を被う。 マスクとベルガマスクでも取り上げられているが、 組曲版では割愛されている。 おもしろいことに、この曲は「合唱は任意」となっていることだ。 事実、演奏される機会は合唱なしの場合がほとんどだ。 なお、単独で設けたパヴァーヌの項も参照してほしい。 (2000-02-11)

6. 小川

女性合唱にメゾソプラノがついた、さわやかな歌(Op.22)。伴奏音型も標題を思わせる。(2000-02-11)

7. マドリガル

フォーレ結婚の年に作曲された、肩の凝らない混声四部合唱(Op.35 )。 世俗的な歌詞に比べて多分に古風な節回しがミスマッチでいい味を出している、という人がいる一方で、 歌詞とメロディーの一体感がすばらしい、と賞賛する人もいる。 どちらもほめていることには変わりないし、歌詞が全くわからない私にはどうでもいい話である。

歌の開始はバッハの平均率第1巻第8番のフーガに似ている(もっともこのフーガもバッハ自作のカンタータ からの借り物という)。ただ、フォーレは意識して他人の作品の節を借りることはなかったと思う。 晩年、彼のトリオの終楽章が「パリアッチ」に似ているという指摘を受けて 「それとは関係ない」と答えた彼の精神は、このころからあったと思っている。 私が少しがっかりしているのはニ長調に転調してからの和声進行の一部である。そこは、紋切り型(クリシェ) に聞こえる。しかし、個人的には合唱曲の中では、これが一番好きだ。

「マスクとベルガマスク」の版によっては、オーケストラ伴奏版でこの曲が聴ける。 (2000-08-14)

8. 金色の涙

ソプラノとテノールの二重唱(Op.72)。繊細で美しい旋律、控えめではあるが効果的なピアノ伴奏、転調の妙、 どれをとってもフォーレの美質が遺憾なく発揮されている、第一級の作品である。それでいで晦渋さはなく、聞きやすい。 今まで紹介せずにいたことにお叱りを受けても仕方ないほどの優れた作品である。(2001-12-22)

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MARUYAMA Satosi