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日本酒の基礎知識

日本酒は百薬の長

適度な飲酒は、心臓病、ガン、骨粗しょう症、健忘症、動脈硬化、心筋梗塞、肝硬変などの発症リスクを下げるというデータが世界の疫学研究でぞくぞくと発表されています。緊張によって収縮した血管を拡げ、毛細血管の動きを活性化させ血液が流れやすくなるので、血管にもハリがでて若返り、冷え性を改善し、筋肉のコリもほぐしてくれるマッサージ効果や癒し効果があるといわれています。適量をゆっくり楽しむことでストレスを和らげ、病気の予防にもなり、美肌効果も期待できるという日本酒は、まさに百薬の長といえるでしょう。(日本酒造組合中央会)

酒の原料米

日本酒の原料である「米」は、日常食べるうるち米とは区別され「酒造用米」と呼ばれます。日本で栽培される米全体を100%とした場合、酒造用米は5%程度で、その内、日本酒醸造に必要な条件をクリアした米を「酒造好適米」と呼びます。酒造用米の内、この「酒造好適米」は30%ほどしかなく、酒質の良し悪しは、原料の品質が大きく影響します。

仕込み水

全体の80%が水分である日本酒は、原料の米同様に重要な原料であり、米は保存や輸送ができるので良質の物を取り寄せることが可能ですが、水は動かすことができないので、全国各地の蔵元が川や水源に近い場所にあります。蔵元が自然環境に恵まれおいしい仕込み水に恵まれたならば、水質の良さ=酒質の良さとなります。

日本酒の種類

  • 吟醸酒: 精米歩合60%以下の白米と米麹および水、そして醸造アルコールを原料として吟味して造った日本酒です。フルーティで花の香りがあり、澄んだ味わいが特徴です。また精米歩合50%以下のものを大吟醸酒といいます。
  • 純米酒: 白米、米麹および水を原料として造った日本酒です。まろやかな香りがあり、豊かでなめらかな味わいが特徴です。純米吟醸酒は純米酒で、かつ吟醸酒の造り方であり、また純米大吟醸酒は純米酒で、かつ吟醸酒の造り方と精米歩合50%以下の酒です。
  • 本醸造酒: 精米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコールおよび水を原料として造った日本酒です。穏やかで控えめな香りがあり、すっきりとした味わいが特徴です。
  • 普通酒: 上記のもの以外は全て普通酒と呼ばれ、日常的に飲まれ、各蔵元の特徴が出ている色々な味わいがあります。

日本酒度と酸度

  • 日本酒度: 人によって感じ方が異なる甘口や辛口などを数字的に表した尺度で、日本酒の比重を表しています。これは4℃の時の水の比重を±0とし、これより比重が大きい酒に−(マイナス)をつけ、比重が小さい酒に+(プラス)をつける。甘口ほど比重は大きく、マイナスが大きくなり、辛口ほどプラスが大きくなります。
  • 酸度: 酒に含まれるコハク酸、リンゴ酸、乳酸などの酸の量を表します。酸度が高いほうが、コクのあるしっかりした味わいに感じられ、日本酒度がマイナス(=甘口)だとしても、酸度が高ければ辛口に感じられることがあります。

お酒の温度

日本酒の飲用温度にはさまざまな温度帯があり、わずかな温度差により、その香り、味わいが多様に変化します。またそれぞれが日本語の美しい言葉で表現されておりそれを温度の低い順から記載すると、霙酒(0℃)、雪冷え(5℃)、花冷え(10℃)、涼冷え(15℃)、日向燗(30℃)、人肌燗(35℃)、ぬる燗(40℃)、上燗(45℃)、熱燗(50℃)、飛びきり燗(55℃)となります。フルーティで華やかな風味を持つ「吟醸酒」、「大吟醸酒」などは5〜10℃の冷がお薦めですが、どのタイプの酒でも飲む人のお好みで構いません。どの酒も冷やせば冷やすほど甘さが控えめになり、すっきりとしたライトな味わいに感じられます。逆に温度が高いほど、甘さ、旨さがふくらみ、きりりと引き締まったドライ感やコクを感じ複雑な味わいになり、またアルコールの揮発成分も強くなり、刺激を感じやすくなります。温度が低めのお燗、特にぬる燗は最も通好みの飲み方ともいわれ、酒がもつ柔らかさや旨味が十分に感じられます。

和らぎ水のすすめ

「和らぎ水」はカラダにやさしい飲み方です。水を飲むことで、お酒のアルコール分が下がり、酔いの速度がゆっくりとなります。また、お水でひと呼吸おくので、飲み過ぎない点もあります。そしてよりおいしく飲んで、食べるためにも、「和らぎ水」は有効です。合間に飲む水で、口の中をリフレッシュ。舌の感覚を鈍らせないので、次の一杯や料理の味を鮮明にします。お酒や肴がいっそうおいしく味わえます。

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