Ivan'sジェットキット!!


アメリカのフェーザー乗りの間で定番となっているIvan's Carburetor Tuning Kit(そのままカタカナにすると長いので、Ivan'sジェットキットにします)を使ってみることにしました。少なくとも、FZ1OAでの書き込みを見る限り、これを使ったほとんどの人が満足しているみたいです。また、日本でも、先発隊としてすでに何人かの方が付けて、いい結果を得ているそうです。さてさて、効果のほどは?
  1. まずは能書き
  2. 自力インストール!
  3. 試乗&微調整
  4. インプレッション
  5. 再セッティング

一段落した時点でのセッティングは...

まずは能書き

Ivanさんや
Patさんのページを参考にすると、このキットは次のような効能があるそうです。
(ありがたや、ありがたや...)
  1. パーシャルスロットル時の振動を減らす(3800から5000rpmあたり)
    これは3つのスローポート(バイパスポート)の間隔が広すぎるために起こる。スローポートから多くの燃料が出てくるときにバタフライバルブ下端がまだ通り過ぎないことが原因(下にこんな感じかなという図を書いてみました。)で、スロージェットを大きくしたりニードルクリップ位置を変えても効果がない。(1)スローポートを広げてスロットル開度に応じた燃料を供給し、(2)パイロットスクリューを調節して、開度の小さい領域での混合気を濃いめにし、(3)キャブの同調をとって、(4)スロットルポジションセンサーを調節して4000rpm以下の点火タイミングを早めることで解決する。
    スロー系の図
    (注:Ivanさんお勧めセッティングでは、スローポートを2つ広げた場合は、パイロットスクリューは5回転戻しが標準だそうです。「え、そんなに?」と思いますが、スローポートとアイドルポート(パイロットアウトレット)は元は同じスロー系なので、スローポートを広げることによってそちらで圧が逃げるため、パイロットスクリューのほうもこれぐらい開けてちょうどバランスするそうです。なんとなく納得。)

  2. 長時間停止したときの燃料オーバーフローによる始動性低下を防ぐ
    フロートチャンバーのガソリン量が多いために停車中に燃料が少しずつ漏れ出すことが原因。「かぶり気味」になるために、エンジンが冷えていてチョークを引いて始動するとき、スロットルを開けないと始動しない。この症状は、キットの指示通りにフロート高さを調節して油面を下げれば改善される。

  3. フルスロットル8000rpm以上での過度に濃い混合気を適正化する
    キットに含まれる小さめのメインジェットと交換することで解決される。標準のメインジェットは#1と4が#2と3より大きめになっているのに対して、キットに入っているジェットは4つ同じ。ダイノテストと空燃比計測を繰り返して、パワーのピークがはより高く広い範囲になり、全回転数域でのフルスロットル時の空燃比が適正になることを確認済みだそうな。

  4. スロットル開度が小さいときの薄い混合気を適正化する
    ストックのニードルは角度の浅いシングルテーパーであるため、空燃比をうまく対処できていない(注:排ガス規制をクリアするために敢えてそうしている?)。そのため、発熱や振動が増え、加速が鈍くなる。キットに含まれるカスタムニードルはテーパーが5段階になっており、燃料の供給を最適化するように設計されている。その結果、ピークパワーを犠牲にすることなく、トルクの谷、燃費、日常域でのレスポンスが改善される。このニードルは、様々な気象条件でのロードおよび空燃費計測を含むダイノテストにもとづいて選ばれており、70個のプロトタイプと900回以上のダイノテストの成果である、とのこと。

  5. R1と比べて(注:比べるか!?)鈍いスロットルレスポンスを改善する
    これはスライドバルブの動きが鈍いためで、(1)バルブ底面のエア抜き穴を適切なサイズに広げて上下の動きを速くし、(2)スプリングをカットしてフルスロットル時のバルブの上がりの遅れを無くすことによって改善される。ただし、スプリングカットによって、3000rpm以下でのフルスロットル時のレスポンスは「マイルド」になる。

で、実際のキットの中身はこうなっています。
なかみ

実は、これが一番価値があったりして...
ステッカー


自力インストール!

(7/5)
入荷したIvan'sジェットキットを、今回の輸入元である
エアリアルさんに取りに行きました。バイクなら自宅から15分くらいだったので、いろいろ話も聞けるかと思い直接行ってしまいました。社長さん、「販売店」ではないのに長々とお相手頂き、ありがとうございました。m(_ _)m

(7/6)
実行決断!
梅雨の間の「趣味の工作」として、自力でやることを決心しました(そんなたいそうなものではありませんが)。まずは、タンク、カバー類を外し、エアクリーナーをずらす下準備まで。それから、Pat'sページを見て一通り復習しておきました。Oリング類やキャブのジョイント部の組み付け用に、シリコーングリースも用意しておこう...

(7/12)
一通りケーブルやチューブ類を外して、キャブレターを取り出しました。思ったより手こずる箇所はなかったので一安心。それにしてもPatさんの情報には頭が下がります。大抵のキャブを外す作業は知恵の輪状態で、初めてやるバイクでは試行錯誤になるんですが、Patさんの写真付解説を見ながらやると気が付いたら外れていました。「あれ、もう取れたけど何か忘れてない??」という感じ。(笑)

取り出すまでをざっと書くと:
  1. タンク、サイドカバー、エアクリーナーカバー、バッテリーを取り外す。
  2. キャブのダクトを閉めているネジ(前に3mm六角4つ、後ろに+ネジ4つ)を緩める。
  3. 左右のサイドカバーの中にあるエアクリーナーボックス固定ネジを緩める。
  4. タンク下にあるエアクリーナーボックス固定ネジを外す。
  5. キャブにつながっているチューブ類とTPSのコネクタを外す。
  6. チョークケーブルを外す。
  7. キャブを左にずらして、スロットルケーブルを外し、キャブを完全に取り出す。
きゃぶなしこれがキャブ無しのFazer。この状態で屋外放置のため、インシュレーターやエアクリーナーボックスの口には「ラップ」してあります。

いよいよ、中身にとりかかります。

[メインジェット&フロート高さ]

メインジェットを交換し、フロート高さを変更しました。このフロート高さがくせ者で、標準12.5mmというのはキャブを逆さまに立てた状態ではなく、フロートピン側を上にして本体を寝かせ(この状態ではフロートはぶらぶら)、そこからやや起こしたときにフロートが最初に軽く止まるところで計ります。このときフロートのベロがフロートバルブのピンに軽く当たって止まっているのですが、そのピンはスプリングで沈むので、そこからさらに起こすとフロートがもっと沈みます。(この高さで指定してくれれば楽なのに...。サービスマニュアルには、「フロートアームはニードルバルブを押し込まない状態で当たっていなければならない」とだけ書いてあります。)本体をひざで抱えて角度を調節しながらスケールで計りました。ちなみに、たいした意味はないのですが、Ivanの指定より0.5mm低めにしました。
フロートチャンバーにはすでに汚れがたまってきていたので、キャブクリーナーを使ってお掃除もしておきました。

[ニードル交換&スライドバルブ穴加工&スプリング加工]

ニードルを外し、エア抜き穴を広げる作業です。ここは、電動ドライバーを低速にして使いました。
ばねばねリョービでしょ

プラスチックパーツなので簡単に貫通するのですが、削りかすのお掃除がちょっと面倒。

次に、ニードルを交換。ストックとの違いはこんな感じ(上がストック、下がIvanスペシャル)。
長く細いです。この写真ではわかりにくいですが、テーパーは確かに多段になっています。材質も違うっぽいですね。
はりはり

まずは、標準指定のクリップ位置(上から3段目でナイロンスペーサー下にはシム無し)で組みました。
スプリングは3/4インチ(約19mm、4巻きくらい)カットを指定されていますが、レスポンスがややにぶめのほうが好きなこともあり、2巻き半カットにしました。これで、自由長98mmのところ86mm(切った端を曲げ加工した後の値)になり、12mm短縮です。

[スローポート加工]

いよいよ、一番緊張するスローポートの穴広げです。失敗したらキャブボディがおしゃか...
この作業は、ピンバイスを使って手でやるように指定されています。私の場合、電子回路用のプリント基板に穴を開けるこんな道具を使いました。
ドリル
ホーザンのスパイラルドリルというものですが、昔々に買ったもので、今では製造していないようです。(今回のような作業にはぴったりなので、ホーザンさん復刻版作ってくれたらいいのに。)

作業は、こんな感じ:
  1. エンジン側の開口部から斜めにドリルを差し込み、軽く押しつけながら回していきます。最初の一回しのみやや重いのですがそのあとしばらくは、回転軽いままです。
  2. ここで刃を抜いて光を当てて見ると、穴の底が銀色に見えます。この状態では、壁を貫通していないようです。
  3. あなあなこの段階の写真です。赤矢印が加工中の穴です。青矢印も同じ大きさの穴ですが、これは広げると恐ろしいことになります。(<−伝聞)
    黒矢印はアイドルポート(パイロットアウトレット)です。
  4. そのまま削っていくと、ある程度のところで再び回転が重くなり、それを超えるとコンマ何ミリかですが「スポッ」と刃が沈みました。これは手でゆっくり回さないと分からない程度の感触です。
  5. ここで刃を抜くと、斜め上から見てまっすぐな穴が黒く開いているのが確認できます。ドリルの刃を出し入れすると2mmくらいのストロークで「カツカツ」と底に当たります。削る深さ1mmくらいで壁を貫通してこの状態になるようです。
  6. これを、各ポート2つずつで計8つ開けます。
  7. 問題は削りかすのお掃除ですが、削る段階で、スローポートの中にはなるべくカスが出ないように気を付けて、後はバタフライバルブを開けて両側から丁寧に拭きました。
  8. 最後の仕上げはと、ふと回りを見渡すと....掃除機!(注)
    各ポート(エンジン側)に掃除機の口を当て(これがぴったり)、パワーを適当に調節して吸い出しました。これでエンジンにカスが入ることは無いはず?
(注:アイドリングでの負圧はサービスマニュアルから30kPa、運転時は確認したことありませんが最大約65kPaくらいかな?一方掃除機は...わからん。(^^; ウェブを漁って唯一見つけたのが某社の業務用掃除機で最大20kPaだったので、たぶん掃除機吸引で壊れることはないだろうと判断しました。吸引の流速なんかも問題になると思いますので、よい子はマネをしないでください。負圧ピストンの動く様子なんかも見れてなかなかおもしろかったですが、強力なエアガンがあれば、それを使うほうが無難かと。)

[パイロットスクリュー調整]

これも、まずはお勧めどおり締め込みから5回転戻しにセット。ちなみに落ちるんじゃないかと心配なので、どこまでゆるむと外れるか確かめたところ、約10回転戻しでようやく外れました。まあ、簡単には落ちないか...

(7/17)
朝は久々にいい天気だったので、出勤前に取り付け作業を終了させました。
でも、後から考えるとワイヤーの取り回しとケーブルクランプのかけ方がサービスマニュアル指定と違いました。また今度直そう。気を取り直してエンジン始動!
チョークを引いてキュルキュルキュル(やっぱり、キャブ外してて10日以上ほうってあったし、すぐには掛からないわなぁ)キュルキュル..フォーーオ〜〜ンッ!!!!!。(キルスイッチ入れる)あー、びっくりした。アイドリングスクリューが回りすぎていたのね。
気を取り直してアイドリングスクリューを何回転か戻して再始動。キュルキュル、フォ〜ン!なかなかいい感じ。
ちまちまとヒマを見つけて作業したので何日もかかっていますが、ここまでの積算作業時間は、写真撮影やメモとりなんかも含めて6時間でした。ふーぅ。


試乗&微調整

ちょっとまとまった時間がとれたので、試乗&微調整開始!
まず始動性ですが、これは間違いなく効果ありです。今まで、暖まった後のチョーク無しでの始動にちょっと手間取ることが多かったのが、セルをちょっと回すだけで一発始動するようになりました。
あとすぐに分かるのは、低回転でエンジンブレーキが弱くなったこと。高めのギアで4000rpm以下の場合、ほとんど減速してきません。
トルク感はというと、実はあんまり以前と変わっていないような気が...(^^;
トップエンドはノーマルのジェットよりのびていそうです。
ともかく簡単にいじれるTPSとPSのベストセッティング出しをすることにします。(ちなみに、EXUPはやや絞りめにしたままです。)

まず、マニュアル標準の方法でTPS調整(現時点でマニュアル推奨よりやや反時計回りにずれていました)して試乗。うん?こんなもんかな?なんとなく普通としか言いようがない感じ。次に、 Ivanお勧めの方法で調整(半時計回りにほとんど目一杯回しました)して試乗。回転の上がりはこちらのほうが良くって、なんとなく2ストエンジンっぽいふけ上がりですが、3000〜4000rpm付近でスロットル一定で走ったときにエンジンが落ち着かない感じです。で、両者の中間くらいにセットしてみました。これが正解のようです。中低回転からの吹け上がりも良くって、スロットル一定でのうなりもかなり落ち着きました。

TPS<−調整前後での角度差はこの程度です。

この試乗の間時折小雨が降っていたので、場所によっては路面がウェットだったのですが、吹け上がりの感触を試すために結構スロットルを開けていることもあって、右左折や信号の出だしでやたらホイールスピンしました。体感していないだけで、全域トルクアップしているかも.....私のようなヘタッピが使いこなせるかぁ??

お次はPSを4回転半戻しに。2、3速でのスロットルオンオフのつながりを回転数を変えて見てみると、「ちょっと良くなったか?」って感じ。さらに4回転戻しにすると、つながりが良くなってエンブレもやや効くようになってきました。まずはこのあたりで、しばらく様子を見てみようかな。

ノーマルのジェット&ニードルで試した時の感触から、ニードルを少し上げたほうが良さそうな気がします。ジェットキットを付ける前の状態より、中低開度が薄くなったようで、ラジエターのファンが回る頻度も多くなりました。そこで、#1、4のニードルを、クリップ位置はそのままでシムを入れて0.5段上げてみました。さすがに、この作業は慣れたので速かったのですが、慣れで油断したのか「世界最小のOリング」を飛ばしてしまいました。(汗)これを探すのに20分ロス。
試乗の結果、やっぱりこちらのほうが良くなっている感じです。

セッティング変更その1

試しにEXUPの調節を変えてみました。
現状はやや絞り目(反時計回りにプーリー端で約3mm)です。これをやや開き目(同じく時計回りに約3mm)にしてみました。以前とおなじく低回転での排気音は大きくなりました。ただ、ほぼストック状態のキャブのときほど低回転がスカスカになる感じはありません。でも、低回転からスロットルを開けると一瞬もたついてからふわぁっとトルクが出ます。音も含めて好みの範囲かもしれませんが、個人的な好みとしてはやっぱり絞りめのほうが良いので、戻しました。

セッティング変更その2

今年は8月より9月のほうが暑い日が多いような気がしますが、ちょっと涼しい日に再度セッティングを詰めてみました。そもそも、プラグをDENSOのイリジウムに換えてから低回転でのトルクがもりもりしてきましたので、この状態で合わせてみたいと思います。
オイル交換もして万全のコンディションで、EXUPを調整します。現状はほぼ標準状態。
まずは、恒例の絞りめに。いつものごとく押さえた音になります。結果は、Ivan化前と違ってあまり良い印象ではありません。確かに極低回転でのトルクは出るようですが、イリジウム化後は極低回転をプラグが補ってくれているので、EXUPが動き出す5000〜8000rpm前後での吹け上がりが重いほうが気になります。
次に、やや開きめに......断然こちらのほうが良い!
EXUP(画像をクリックすると大きな写真が見れます。)
こんな位置です。標準ではEXUPボディーにある赤丸を付けた合わせマークと2本の赤線で示したプーリーのフォークが一致するようにしますが、それより若干開き気味にセットされているのが分かりますでしょうか?
Ivan化後、フル加速時にあまりフロントアップしなくなっていたのが、2速で伏せていてもフロントが上がる感じになりました(別に上げたくはないのですが)。トルクピークの7000〜8000rpm前後で元気が出たようです。
最後の難点は、イリジウム化してから中低回転域の特定の回転数で振動が大きくなったことでしょうか。今度TPSも再度微調整してみます。

セッティング変更その3

イリジウム化後、トルクフルになったのは良いのですが、3000rpm前後と5000rpm前後で結構振動を感じるようになりました。このあたり、日常でよく使う回転数なので、気になります。ハンドルバーとバーエンドを軽いのにしたせいもあるのですが、長距離ツーリングで疲れてくると、手や足から頭に振動が伝わってくる感じです。短距離だと特に気にならないのですけど。
これまでの経験だと、ニードルを少し下げて混合気を薄めにするか、TPSを進角が進むほうにズラせば減ると思うのですが、混合機を薄めにしてスロットルレスポンスに手応えが無くなるのがいやなので、TPSのほうで対策することにしました。
まずはマニュアル標準の方法で初期状態に戻し、次にIvanお勧めの方法で調整します。あいからわず、反時計回りに目一杯になりました。ここで試乗したところ、以前のようにひどくはありませんが、中低回転でのパーシャルで落ち着きのない様子が少しでます。ここからほんの少し時計回りに戻しつつ試乗したところ、振動も少なく妙なスロットルレスポンスもでない良いところが見つかりました。まあ、振動が無くなるわけではありませんが、バーエンドウェイトを少し重くしたのと合わせて、ほとんど気にならないレベルになりました。めでたしめでたし。

追加情報!
この調整をやる前はTPSをやや反時計回りに、つまり進角が進む方向に回すと振動が減ると予想していたのですが、調整した結果を以前と比べると反対でした。
ちょっと写真の角度が違うのでわかりにくいですが、下の2枚の写真を見比べてください。

beforeafter
以前のTPS位置今回調整後のTPS位置

トルクスビスの回りに見えるTPSの金属部の見え方を比べると、以前よりも少しだけ「時計回り」に回っています。つまり、進角を遅らせたことになります。イリジウムプラグが実質的な点火タイミングを早める効果があったので、それを戻したということでしょうか?


インプレッション

以前の準ストック状態と比べてIvan'sジェットキット装着後はこんな感じです。(この後、まだいろいろあるように、セッティング次第で微妙なところは変わるので、だいたいの傾向だけです。)


再セッティング

気温のせいもあるかもしれませんが、最近気になる症状があります。
1月に久々にダイノで計測したときに、スロットルの開け具合にもよりますが、5000rpm以下でえらくトルクが出ずにもたつきました。そこで、実走でも6速3000rpmからのスロットルワイドオープン(どこでやるかは要注意!^^)を試してみたら、開けっぱなは一瞬グイっと出るのですが、そのあと「もわ〜〜っ」ともたついて、5000rpmくらいからようやくまともに加速を始めます。そういう開け方は日常やらないので、Ivan化直後からそうだったのかあるいは寒くなってからかは、自信がありません。ただ一つ言えるのは、Ivan化前には同じダイノでそのような症状は見たことないという点です。
もうひとつ、これは車検のためノーマルサイレンサーを付けているときですが、やはり低回転でいわゆるドンツキの症状がでるという点です。ショップの方によると、スライドピストンの穴広げとスプリングカットのせいで、低回転でピストンが上がり過ぎているのではないかとのこと。薄いか濃いかといえば、濃いほうになっているのではというご意見でした。
そこで、試しにスプリングをXJRのものと交換してみました。標準品が自由長98mmで86mmまで短くしていたのを107mmの柔らかめのものに交換するので、出だしは若干動きにくく、最後のほうは開きやすくなるのを期待しました。
試乗の結果は、ドンツキ感は弱まったものの、6速5000rpmまでのもたつきは相変わらずです。TPSやEXUPもいじってみましたが、この症状は改善しませんでした。でも、パワーバンド以上でのレスポンスは前より良い感じです。

そこで、FZ1OAの掲示板を調べてみると、低回転でのもたつきについてIvanさんがこんなことを言っていました。
Before you replace the springs.... Try lowering the needles 1/2 a step. If this makes your problem go away, then leave it... you will still have better "snap"and response with the shorter springs. If that does not help or makes another symptom appear, I would put them back to the 3rd, and then try the springs. My recommendation is at least a 1/2" off, but you can approach this in stages anyway. If the springs are clipped more than 3/4" then they are too short, and need replacing. If your problem is worse in the heat, then it's picking up a little too much fuel and moving the needle will cure it. All of this is assuming that all the float levels are set correctly and the carbs are in sync, and the TPS is set according to my method.

3/4インチ(約19mm)はマックスで、1/2インチ(約13mm)以上がお勧めだそうです。このときの長さは切った分で、そのあと先を折り曲げるのでもう少し短くなると。また、標準のスプリングに戻したほうが低回転でのレスポンスが良いとの意見もあり。Ivanさんご本人も、スプリングカットは低回転でのレスポンスを「マイルド」にすると言っていますので、そうでしょうね。

さて、選択枝としては、ニードルを下げるかスプリングを標準に戻すか。ヤマを張ってニードルを下げてみました。
#1、4が3.5段目だったのを2.5段目に、#2、3が3段目だったのを2段目に、これですべて1段=1mmだけニードルが下がり、中低回転が薄めになります。ついでに、EXUPも標準よりほんの少し開け気味のところまで戻し、TPSもまずはYAMAHA標準にしました。

実走テストに出陣して、なんかエンジンがバラツクな〜と思っていると、やがてエンジンストップ!
頭の中に、ショップ引き取り〜「エンジン焼き付いてますねぇ」〜修理代10万コース(;_;)、という幻影が一瞬よぎりましたが、まだまともにエンジンを回していないのにソンナコタァナイ!
はたと思いついたのは症状がまさにガス欠だってこと。道ばたでいそいそと工具を取り出してタンクを上げ、フューエルコックをONにしました。(実は、以前にも一回やってます。学習してないぞ!)
気をとりなおしていつものテストコースを走ってみると....なかなかいいじゃないですか。(^^)v
1速からの普通の加速はいつもと同じかややスムーズ。6速3000rpmからのスロットル全開は、3000rpm台こそまだノロイですが、4000rpmくらいからはスルスルと加速するようになりました。まだ 100%満足ではないですが、方向としては合っていたみたいですね。
それにしても、この寒い時期に混合機を薄くする方向で良くなるなんて....。夏場はどうだったんだ??
あまり釈然としませんが、結果よければ気にしないのが精神衛生上良いかな?


その後、忠男レーシングでダイノマシーンにかけてみました。

Dynorun
紺と水色が今回の、赤とピンクがIvan'sキット使用前(4連キャブも怖くない!?でニードル調整後のチェック)のものです。
ピークは、それぞれ127PS、10.3kg-mくらいです。
う〜ん。再セッティングは正解だったみたいです。ヨカッタ、ヨカッタ。
キット使用前と比べて、特に5000〜6000rpmあたりのトルクが0.4kg-mくらい増えていて、10000rpm以上も大幅ではないものの増えています。何より嬉しいのは、Ivan前からトルクが減っているところが全くないことです。今回の再セッティング前と直接比べられないのが難点ですが、ダイノの暴走の合間にかろうじて計れた(ダイノの暴走についてはこちらを見てください)ときの記憶では6000rpm相当までトルクが凹んでいたと思います。
全体にトルクカーブがなめらかですが、実際に乗った感じも実になめらかです。スムース過ぎてパワーダウンしたかと思っていました。(^^;
加速のカイカンを味わうにはトルクがググっと盛り上がるほうがいいのですが、このスムースさは、また別種の快感です。ストリートやワインディングでバイクに乗っていることを忘れてしまう(?)というか....。現状のタイヤやブレーキなんかも含めて、バイクが自己主張をせず、思う通りに動いてくれるというか。ただ、スムースといっても、低いギアでの回転の上がりはキット使用前よりも速い感じです。スライドバルブの穴を広げたのとスプリングを柔らかくしたことが効いているんでしょうか。
これまでのセッティングの方向と少し違うのですが、しばらくは、この状態を楽しんでみることにします。
困ったことに、このグラフを見ていると、8000rpmから上のトルクを上げたくなってきます。(^^
ここは、カムを換えたりフルエキにしたりしないと難しいんですよねぇ。

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