やっぱりアーシングの怪!


以前、アーシングの怪?で、アーシングが効果あるとは思えない!(...たぶん)という結論を出したのですが、ある日、久々にダイノマシーンを使って愛機の現状を確認しようとして、ものすごくショックを受けました。な、なんと! ノイズでセンサーやコンピューターが誤動作して計測不能!1500馬力というとてつもない数字をたたき出したのです。
以前同じマシンで何ともなかったので、怪しいのはその後の変更です。電気系統での変化は:
  1. アラームイモビライザー
  2. D社のイリジウムプラグ
  3. LEDポジション&テール・ブレーキランプ
  4. 「アーシングの怪?」の公開(?)
ですが、さすがに4はないですよね?(^^;
1は、その場で配線を外して見たのですが、特に改善はありませんでした。また、3はダイノマシーン上では点灯させていないので、2が原因である可能性が高いと思います。同じ日にN社のイリジウムプラグを付けたFazerもダイノに乗ったのですが、そちらではうまく計測できていました。
そこで急遽、ノイズを減らすためにアーシングの実験となりました。結構マジです。

  1. まず配線
  2. 体感チェック
  3. 電磁ノイズは減ったか?
  4. ふたたび結論?



まず配線

アーシングの怪?で書いたFazerの点火系の図に、今回つけたアーシングのラインを追加した図は次のような感じです。

アーシング配線


バッテリーのマイナス端子を起点として、
  1. ヘッドブロック左側
  2. カムチェーンテンショナー部
  3. イグニッションコイルケース部(直列で2つとも)
に、アース線を接続しました。すべてノイズ対策のつもりですが、1、2は火花の強化にも効果があるかもしれません。
使ったのは ノロジーのホットアース です。
実際の接続部はこんな感じです。
12
34
ヘッドブロックへの接続は左右ともガスケットを締めていてトルク管理が重要な箇所になってしまいました。ターミナルが結構柔らかい銅ですので、特に左側のフクロナットはとても規定トルクで締められそうにありませんが、まあ1本だけなので大丈夫かなと思っています。


体感チェック

いきなり、始動時に違いを感じました。セルモーターの立ち上がりが力強くなった感じです。他にも、ヘッドライトを付けた状態でウィンカーが点灯すると、これまではメーターランプがやや暗くなっていたのですが、それが気にならなくなりました。大電流が流れるときには、やっぱり効果があるのでしょうか。
いつものごとく試走してみた印象はというと....わからん。(^^;
な〜んとなく、アイドリングが安定したような気はしますが、走行時の低回転トルクや振動は特に変わった印象はありません。付けたり外したりしてみたのですが、少なくともプラグをイリジウムにしたときのような差は体感しませんでした。(いや、決して先入観ではなく...)


電磁ノイズは減ったか?

まず、アーシングで電気抵抗は変わっているのかをちょっと真剣に調べてみました。以前にポケットテスターで計って表示0だったので、今回はその道のプロ用の計測器(Fazerより間違いなく高い...^^)を使い4線接続!!

バッテリーマイナス端子との間の抵抗
(単位:mΩ)
アーシング前アーシング後
ヘッド左5.03.3
カムチェーンテンショナー4.83.0
コイルケース3.32.2

うん、半分とまではいっていませんが、確かに減っています。製造後3年くらい経っているにも関わらず、そもそもシャーシアース自体も悪くはないんですね。アーシングによってさらに低抵抗になっているわけですから、ちょっと期待が持てます。
問題のダイノキラー(電磁ノイズことです。アバレンジャーとは関係ありません。)を減らす効果はどうかですが、まずは電磁ノイズを簡単に計ってみました。
オシロスコープのCh1に#1のプラグコードと10cmほど沿わせた配線を、Ch2に車体左横約50cmくらいのところに約1.2mくらいのダイポールアンテナもどきを車体と平行に地面に置いたものを接続して、アイドリング時の信号を見てみました。

オシロスコープ画面
(上の輝線:#1プラグ信号(20 mV/div)、下の輝線:アンテナ信号(50 mV/div)、X軸:5 ms/div))
前1前2
アーシング前1アーシング前2
後1後2
アーシング後1アーシング後2

うーん、あんまり変わらん。(涙)
画面をデジカメで撮影しただけですので見づらいですが、上側の線でぴょこぴょこしているのがプラグコードの点火信号で、よく見るとポンと立ち上がった後、振動しながら減衰しています。シャッタースピードが遅いので何本かの線が重なっていて、トリガーはかけていないのであちこちで点火パルスが見えています。
で、アンテナで拾ったノイズのほうですが、プラグコードの信号の減衰がゆっくりなめらかになったような波形が点火信号と同時期に出ていますので間違いなく点火信号によるノイズです。ただ、この写真だけでは分かりづらいのですが、点火タイミングで必ず出るわけではなく、また、大きさも出るたびに違っています。
心なしか、アーシング後は小さめにはなっているようですが、ともかくスパイクの高さがバラついているので、それぞれの場合で数多くの平均をとって差をみたときの改善の結果のほうがバラツキよりも小さそうです。
なんとなく、いやーな予感。もしかして、プラグコードかイグニッションコイルに不具合があるのかも。そこで、点火系の配線をチェックしてみました。
イグニッションコイルの1次側は、どちらも2.2Ω(規定値:1.87〜2.53Ω@20℃)でOK。2次側はプラグキャップとケーブルを外すのが結構面倒くさいので、キャップごと抵抗チェックしてみました。1番−4番が35.0kΩで2番−3番が35.4kΩ(規定値:10kΩ×2+(12〜18)kΩ=32〜38kΩ@20℃)でやはりOK。特に点火コイル〜キャップまでは問題ないようです。なんでかな〜?


ふたたび結論?

結局、いろんな人から聞いた情報を総合すると、イリジウムプラグにするとノイズが増えることが多く、デンソーのほうがNGKよりも増えることが多いようです。
ダイノのほうはというと、アーシングでいくらかましになったかもしれませんが、やはりノイズで誤動作します。これは、エンジンからダイノマシーンの金属部にアースをとると収まるみたいです。(無事計測された結果は、Ivan'sジェットキット!!の最後に加えました。)
忠男レーシングの方曰く、「レーサーはアーシングなんてしないが、そもそもノイズが少ない。」「ノイズでイグニッションユニットなんかが誤動作しているバイクでは、アーシングでそれが収まって回転がスムーズになるなんてこともあるのでは?」確かにそういう効果の出方もあるのかもしれません。


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