改造を考える how to remodel 

 

 色々な方とメールやりとりしている中から、こんなお話が出てきました。

「構想を考えていたけど、人に先を越されたアイディアは、もうやらない」なんて、考え方が出てきている。

みたいな、話がありました。内容の本意としては、「○○の○○仕様」というアイディアは誰かがやったから、考えていたけどアイディアがダブるからやらない、って事なのだそうです。こんな話を聞いて、私は、

仮に出来上がった形が同じでも、アプローチの方法が異なるのであれば、改造方法としてそれはそれで知りたい情報なので、やらないなんてこと考えなくても良いと思う。

と、こたえました。ご存じの通り、当生産工場では、説明書通り作るのと全く変わらない外見を持つ機体をいくつも作っているわけで、出来上がった形や設定が同じになるからやらない、なんて考え方が主流となってしまうと、困っちゃう訳です。そこで今回は、一つの機体を題材に、改造のあり方を考えてみようと思います。

 

 採り上げる機体は、サーベルタイガー(新セイバータイガー)。多くの方が改造の題材に採り上げたる人気の機体です。そして、旧シリーズでは、ダークホーンのパーツであったハイブリットバルカン砲が、単体の改造パーツとして売り出されたことと、アニメの影響も手伝って、サーベルタイガーにハイブリッドバルカンを装備する改造が数多く行われています。そんなわけで、政府生産工場もせっかくハイブリットバルカンが別売りしているのだから、サーベルタイガーに搭載する改造をしたくなったわけです。

 

コンセプトを考える

 改造をはじめるにあたって、一番大事なのは、コンセプトです。自分が何をしたいのか、改造の目的を何にするのかを、しっかり決めないと、あれこれ詰め込みすぎてしまいいつまでたっても完成しなくなってしまいます。まずはコンセプトををしっかり考えましょう。

 前述の通り、今回の改造機体はサーベルタイガー。目的は、これにハイブリットバルカン砲を搭載させることです。しかし、既に多くの改造例があるので、外見的には、目新しいことはありません。そんな中にも、自分らしさ、をしっかり組み込みます。これにあたって、以下のような命題を自分に与えました。

1 ハイブリットバルカンは回転させること

改造コンテストやネット上で見せてもらった、サーベルタイガーにハイブリットバルカン砲を装備した改造では、単に搭載してあるだけで、回転しないモノがありました。しかし、それでは、ゾイドらしさがない思うので、やはりガトリング砲は回転させます。

2 動力は背中から取り出す

ハイブリットバルカンを回転させる方法は色々あります。ガトリング砲基部にモーターを仕込む方法、足の回転軸にスプリングをつなげる方法などなど。

前回ゴジュラスの改造で、あえて単モーターという枠を超えた改造を行ったので、今回は単モーターで行きたいです。そして、足の回転軸から回転を取り出す方法は、既にオルディオスでやっている方法であり、それほど速い回転ではないことがわかっていたので、ガトリング砲らしさがねらえないことがわかっていました。よって、これも却下。

 サーベルタイガーには、背中に大きな穴があいています。もしここから動力を取り出す事が出来れば、ボディーパーツには加工は必要なくなるし、かつ設定的にも説得力あるだろうと考えました。今回は、スプリングによる動力伝達でありながら、背中の開口部から回転動力を取り出すことにします。

3 ハイブリットバルカンは固定装備にしない

前述の通り砲身が回転するのは当然ですが、固定装備のまま回転するのではなく、砲塔全体に動きがあって回転する、という装備方法にします。前回のゴジュラスで、武器を上手くホールドさせることにさんざん苦労したことも、固定装備を避けることにした理由でもあります。

4 兵器としてのリアリティーを持たせるカラーリング

これまでの機体でもやってきているような、装飾過多にならず、アニメ的な配色にしない、などを狙います。特にデカールは、読むことの出来る大きさの文字は、それを意識した場所を選んではるようにします。

 

こんなふうな、コンセプトを立てて、これにのっとって改造をすすめていきます。まだこの時点では、具体的な作業方法が決まっていません。しかし、自分に命題を与えることで、何をやりたいのか迷うことを無くします。

 こうしてコンセプトを決めると、これのためならこっちを犠牲に出来る、という考え方が生まれてくると思います。装飾過多であるとか、詰め込みすぎであるとか、時間をかけすぎる、ということがなくなり、いつかは完成するようになるはずです。もちろん、作業の途中でコンセプトを全く変えるというのもありです。

 

パーツを整える

 これは、兵器としてのリアリティーを求める、というコンセプトを元にやることの一つです。

 

 お約束といえば、銃口部の開口。

 全ての兵器銃口はピンバイスで開口します。いきなり欲しい大きさの穴を開けるわけではありません。細いドリルから、銃口の中心をとりながら、順番に太いドリルに換えながら穴を大きくしていき、最終的に欲しい大きさにします。

 

 背中のスリット部分は、削りこんでフィンらしさを演出します。裏側は強度を考え裏打ちしてあります。具体的作業方法はこちらを参照して下さい。

 

 このほか、パーツにあるパーティングラインは出来るだけ削り取ります。必要に応じて、パテがわりに瞬間接着剤を流して、パーティングラインを消した部分もあります。

 

 あと、胴体フレームの接合部分。新シリーズのセイバータイガーは、一部の商品に胸の接合部分が薄くなってしまっているモノがあります。もしこのような商品にあたってしまった場合は、ここに5mm×5mmの0.5mmのプラ板を張り付け、強度を確保します。

 あとで何度も分解組立することが想定されるのに、必要な強度が得られないと思えるところがあれば、必要に応じて何らかの対策を採ります。

 

 こうして、各パーツの成形を行い、完成後のリアリティーを演出します。同時に改造作業のしやすさを考えた処置を施します。サーベルタイガーには、この他に気になる点があります。確認は、サーベルタイガーMk-1の改造も参照して下さい。 

 

続くnext

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