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SPEED
金城一紀
いつか、おまえのジュテ<跳躍>を見せてくれよ

岡本佳奈子、16歳、マジメで平凡な女子高生。そして--。
家庭教師の謎の死+ザ・ゾンビーズ+憎むべき敵+赤い車
=生まれて初めての冒険!

(帯より全文)
この物語は、『スター・ウォーズ』シリーズにたとえるなら…
っていうか、別次元の存在だから、もうたとえるのはやめる!

と豪語したくなる、直木賞作家・金城一紀の最新作は
ザ・ゾンビーズの冒険譚第3章です。
(『フライ・ダディ・フライ』のところで、上のようなたとえをしていた
 ものですから、今回も同じ書き出しで始めてみたかったの。)

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そもそもザ・ゾンビーズって、なんなの?というギモンが
(読んだことのない方々には)あると思います。
むかし流行ったバンドの名前ではありませんよ。
(それはモンキーズ、っていうか、このボケ、古っ!
 ちなみに、"マンキー"というキャラクターは登場しますが)
落ちこぼれ高校に通う南方(みなかた)、萱野(かやの)、ヒロシ、
山下、アギーそして朴舜臣を中心とした
学校非公認の無秩序集団の名前が「ザ・ゾンビーズ」なんです。

で、そのザ・ゾンビーズは、たびたび騒動を起こすわけですが、
今回は女子高生が(本格的に)絡んで巻き起こる冒険についての
物語なわけです。

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物語の中で、朴舜臣が、女子高生である佳奈子に
ボクシングのワンツーを教えるシーンがあります。

左足を踏み込んだ時、大地をぎゅっと掴む感じで足の指に力を入れるんだ。そうしたら、そこにパワーを蓄える支点ができるから、あとはそれを踏み外したり踏み越えないようにうまく動けばいいんだ。とにかく、おまえの中に絶対にブレない芯を築け。それさえあれば、おまえは強いパンチを打てるよ。

このセリフが、この本の読み方を物語っていると思ったので
抜粋してみました。

この"The Zombies Series"には
しょっぱなから突っ走るツカミがあり、
そこから蓄えられるパワーがあり、
しかもそれは損なわれないようにずっと持続し続け、
最終的に、自分が思い描いていた地点よりも
こぶし二個分だけ腕が伸びて相手のアゴにヒットするんですよ!
最後までブレない芯を持ちながら、ね。

なにしろ強烈ですわ。
なにしろ真っ直ぐですわ。
なにしろ頑丈ですわ。
世の中のキレイなところ、キタナイところ、
世の中の見える部分、見えない部分、
見たい部分と見たくない部分。
すべてひっくるめて理解した上で、
"オレはオレの道を往く"というクールさ。
そして、"わたしはみんなの風になりたい"という熱意。

いろーーーーんなものが混ざり合ったなかで
最も「真っ白」なものを、この若者たちは見せてくれますよ。
えぇ、そりゃもう爽快で、そりゃもう躍動感いっぱいで、
そりゃもう、オレみたいなヘッポコ社会人にも勇気を与えてくれますよ!
金城流の、流れるように飛べる文章に乗っかれば
そこはもう雲の上の気分です。はい。

今回も大傑作を届けてくれて、ありがとー。
これからもよろしく♪
posted on 2005.07.23
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