【モルヒネ使用中の患者から吐き気の相談があったとき】
【ポイント】状況の把握(発現時間、増量の様子等)、受診可能かどうか
| 質 問 | 
「服用して何時間経過後に吐き気を生じたか?」 | 
| 回 答   | 
吐き気の出現時間とTmaxが重なっている場合 | 
|     参考)モルヒネ水:30分〜1時間 | 
|        アンペック:1〜2時間 | 
|        MSコンチン:2〜4時間 | 
| 原 因   | 
→モルヒネがCTZを直接刺激していると考えられる | 
| 対処法 | 
●制吐薬としてドパミンD2レセプター拮抗薬を推奨する(セレネース、ノバミン、ウィンタミン等)。 | 
| ●Cmaxを低下させるようなモルヒネ投与法への変更→1日量を変更せずに投与回数を増やして1回量を減量する。 | 
| ●当院受診不可能な場合:近医で制吐薬を処方してもらう。 | 
| 質 問   | 
「どのようなときに吐き気を生じたか?」 | 
| 回 答   | 
乗り物に乗ったとき、あるいはその後に吐き気を感じた(乗り物酔いのような吐き気)。 | 
| 普段横になっているのに立って体を動かしたときに起こった(ふりむく、起き上がる、眼球を動かすなどの体動時)。 | 
| 原 因   | 
→モルヒネが前庭器を過敏にしていることが考えられる(前庭器からの刺激による吐き気・嘔吐) | 
| 対処法 | 
●制吐薬として抗ヒスタミン剤を推奨する(トラベルミン等)。 |  
| ●当院受診不可能な場合:トラベルミンならば、薬局でも購入可能。 | 
| 質 問   | 
「食事との関係は?」 | 
| 回 答   | 
食事時間のときや食後に吐き気が生じた。 | 
| 原 因   | 
→モルヒネによる胃内容物の排泄抑制や胃噴門部の緊張の高まりが原因と考えられる | 
| 対処法 | 
●モルヒネのTmaxと食事の時間をずらすようにする。 | 
| ●制吐薬として消化管の運動促進薬(ナウゼリン、プリンペラン等) | 
  | 
その他、上記のいずれでも対処できない場合。 | 
| 対処法 | 
●作用機序は不明であるがステロイド剤が効く場合もある。 |  
,モルヒネによるがん疼痛緩和(1997),,,112