亀倉康之の仕事
亀倉康之の仕事
仔馬
「仔馬」 煮黒味銅板 1956
そこで出会った、美しく躍動する馬たち。たちまち虜になった。
「一日中、馬を見ていると、体の中に馬が入ってくるような感覚になった」
この地に留まろうとも考えた。
しかし生命力にあふれたこの地との出会いは、逆に康之を創作へと向かわせた。スケッチブックには、たくさんの「いのち」が描き込まれていた。
大学に戻り、創作に入る。
一枚の銅板を叩いて造った立体作品、「仔馬」が誕生する。
のちに新潟に制作拠点を置きながら、北海道日高にも多くの作品を残すこととなる。
(次回につづく)
この世に産まれ出て、今まさに立ち上がったばかりの姿。
康之の原点とも言える作品である。
この作品をつくったのは、前回ご紹介した「麦」の2年前、大学4年のときである。
康之は大学のアカデミックな授業には馴染めないところがあった。
4年生の冬、卒業を目前に大学をやめるつもりで北海道へ渡った。進むべき道に迷っていた。
札幌から日高地方へ。
ここでしばらく滞在する。
雄大な日高山脈を背にして、太平洋を臨むように牧場が広がっていた。
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