EHN 2009年12月7日
防汚剤は低出生体重と早産に関連する

情報源:Environmental Health News, Dec 7, 2009
Stain repellents linked to low birth weight and premature births
Synopsis by Jonathan Chevrier, Ph.D.
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/
stain-repellents-linked-to-early-birth-low-birth-weight/


オリジナル:Stein, CR, DA Savitz and M Dougan. 2009. Serum levels of perfluorooctanoic acid and perfluorooctane sulfonate and pregnancy outcome. American Journal of Epidemiology 170(7):837-846.
Toxicological Sciences 112(1):175-184.

訳:安間 武(>化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年12月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_091207_stain_repellents.html


 汚れ防止用や焦げ付き防止用の化学物質が、それらを製造し使用している工場の近くで生まれた赤ちゃんの出生時の低体重や早産と関係しているかもしれないということを新たな研究が発見した。

 ウェスト・バージニアの地域共同体のメンバーにより調査された研究訳注1)が、近くの工場から放出された焦げ付き防止用化学物質への、おそらく水か大気を通じての高い暴露は、その地域に住む女性から生まれた赤ちゃんの出生時の低体重や早産(児)と関係があるかもしれないことを発見した。

 この研究で対象とした合成化学物質は過フッ素化合物(PFCs)と呼ばれる。それらは、カーペットや家具に用いられる防汚剤や、ポットや鍋の焦げ付き防止剤の製造に広く用いられている。

 過フッ素化合物(PFCs)の中で最も一般的なふたつがパーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルフォン酸(PFOS)である。それらは製品のコーティングとしての使用のために設計されているが、PFOA と PFOS はまた、他の過フッ素化合物(PFCs)が分解しても生成される。ウェスト・バージニア州のパーカースブルグの近くにある化学工場は1951年以来焦げ付き防止用コーティング材を製造していた。

 これらの化学物質は非常に残留性があり、世界中の野生生物や人間から検出されている。最近の全国健康栄養試験調査(NHANES)は、事実上全てのアメリカ住民はPFOAとPFOSに暴露していると報告した。

 動物実験は、高用量の過フッ素化合物(PFCs)に暴露すると胎仔の低体重や死亡率の増加を招くことを報告している。以前の人間での研究での結果はこれらと一致しなかった。

 この研究では、血中のPFOS濃度が中央値(13.6 nanograms/milliliter (ng/mL))以上である女性は中央値以下の女性に比べて、低出生体重児の出産リスクが50%増加し、早産児の出産リスクは10%増加する。これらの女性はまた、妊娠中に高血圧をもたらし、胎児の成長を異常に遅らせる子癇(しかん)前症に30%高くなるようである。

 PFOAについては、この地域の人々の暴露の中央値(21.2 ng/mL)は一般的アメリカ人の濃度(4.0 ng/mL)より高いにも関わらず、PFOA血中レベルとの明確な関係は報告されていない。

 データはウェスト・バージニア州のミドオハイオ・バレーにある化学工場の近くに住む69,000以上の人々の調査の一部として収集された。これらのデータは、地下水汚染及び大気中の堆積を通じて起きたと信じられているPFOA暴露による健康障害を主張する集団訴訟の後に収集された。研究者らは1,845人の女性の血中の過フッ素化合物(PFCs)を測定し、参加者のインタビューに基づき、妊娠の結果に関する情報を得た。


訳注1
訳注:参考情報




化学物質問題市民研究会
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