2006年10月報道記事
過フッ素化合物(PFCs) 関連記事2件概要紹介
1. デュポン社の PFOA:高汚染判明 パーカーズバーグの人々のPFOA血中濃度
2. 3M 社の PFCs:レイク・エルモ市内の井戸を汚染 広範な地下水汚染か?


情報源:
1. Charleston Gazette, October 08, 2006
 C8 levels far above normal, research finds / Toxin concentration high in Parkersburg-area people
http://www.defendingscience.org/case_studies/upload/C8_Charleston_Gazette_Oct_8_2006.pdf
  2. Minneapolis Star Tribune, October 07, 2006
 Chemical dump thought clean still a hazard / 3M-produced fluorochemicals have contaminated household wells in the city of Lake Elmo
http://www.startribune.com/462/story/728358.html

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年10月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_10/061008_PFOA_articles.html

1. チャールストン・ガゼット 2006年10月8日 記事紹介
  Pデュポン社の PFOA 高汚染判明:パーカーズバーグの人々のPFOA血中濃度
  • まだ秘密扱いで公開されていなかったこの地域の広範な画期的な健康調査の予備的データによれば、デュポン社の工場があるパーカーズバーグ地域の住民数千人の血中のパーフルオロオクタン酸(PFOA)濃度は著しく高いことが判明した。
  • この予備的なデータによれば、ウェストバージニア州とオハイオ州の約30,000人の血中のPFOA平均濃度は 123 ppbであったが、それは平均的アメリカ人の血中濃度の25倍である。
  • 今までにデュポン社は、パーカーズブルグ地域のわずか12名の住民のテスト結果を報告していただけであるが、それによれば PFOA 濃度の中央値は48ppbであった。
  • 連邦政府は PFOA の排出の規制は行っていないが、アメリカ人の平均汚染濃度が5ppbであることが判明した後、EPA は2002年に PFOA の安全性に関する検証を優先することとした。
    参考:EPA プレスリリース 2006年1月25日/EPA、PFOA の排出削減をメーカーに求める(当研究会訳)
  • 動物実験によれば、PFOA は、がん、生殖障害、出生障害と関連している。
  • EPA 科学諮問委員会は PFOA を”ヒト発がん性であるらしい”と分類するよう勧告した。
    参考:エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ プレスリリース 2005/06/28 テフロン化学物質 PFOA は”ヒト発がん性であるらしい”EPA独立科学委員会がEPAに報告書(当研究会訳)
  • 2005年2月に Wood County の判事は PFOA で飲料水が汚染されたとしてデュポンを訴えた数千人の住民の集団訴訟に関し、1億760万ドル(約118億円)の和解調停を認めた。
  • 和解金の多くは7万人近くの地域住民の血液サンプルを含む PFOA 関連の地域住民健康調査に使われている。
  • 今回発表され たPFOA 血中濃度データはこの地域住民健康調査の予備的な情報である。
  • 訴訟和解金で設立された3人の科学者委員会は3ヶ月以上前に、血液サンプルの分析を行ったブルックマー社から提出されたデータを編集した。
  • 7月に科学者委員会はデュポン社の弁護士及び訴訟住民側の弁護士ににそのデータを提出した。その際、科学者委員会は、そのデータは今年の冬に開かれる予定のパブリック・ミーティングで公開するまで、そのデータを公開しないよう指示した。
  • しかし、デュポンの弁護士がこの予備的データをEPAに提出することを決定した後にこのデータを公開した。
  • 血液調査に関する最終報告はブルックマー社から本年末頃に提出されるが、PFOA の健康影響に関する結果が入手できるのは、その後1年あるいはそれ以上後のことであろう。


2. ミネアポリス・スター・トリビューン 2006年10月日 記事紹介
  3M 社の PFCs:レイク・エルモ市内の井戸を汚染 広範な地下水汚染か?

  • 3M 社がミネソタ州オークデールの処分場から有害な学物質のドラムを撤去して数年が経過し、EPA はその処分場をクリーンであるとする証明を与えよとしていたが、最近、近くの住民の飲料用井戸からこの過フッ素化合物(PFCs)が検出された。
  • 過フッ素化合物のうち、パーフルオロオクタン酸(PFOA)は焦げ付き防止用テフロンの製造に、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)はカーペットや繊維製品、紙製品の防汚/防油剤の製造に、3M 社は1950年代から2002年まで使用した。
  • 調査の結果、井戸水は州の飲料水基準の数千倍の濃度でこの化学物質により汚染されており、汚染源はオークデールの処分場であることが判明した。
  • 現在までのところ、レイク・エルモの200世帯以上が自家用井戸の使用を避け、市営上水道から供給を受けている。
  • この化学物質は地下水とエルモ湖に注ぐ小川を汚染していた。
  • 州当局はどのようにして地下水汚染の拡大を防ぐかについて報告書を調査検討中である。
  • 同報告書は、この汚染はアラバマ州からミネソタ州までの地下水の浄化のためにPFOAの製造者らに非常に高いコストをもたらすことになるであろうとしている。
  • 1980年代中頃、3M社は溶剤や有機化合物を含んだ多くのドラム缶をオークデールの処分場から撤去したが、当時はフッ素化合物が危険であると誰も考えなかったので、その撤去は要求されていなかった。
訳注:
 非常に残留性の高い物質による大規模な地下水汚染の事例として、ガソリンのアンチノック剤として使われた MTBE による1990年代後半のカリフォルニア州での汚染が有名であり、欧州環境庁の予防原則の名著 『レイト・レッスンズ−14の事例から学ぶ予防原則』 (日本語版−七つ森書館)で事例として取り上げられています。



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