欧州労連プレスリリース2008年6月26日
欧州労連はナノ技術に
予防原則を適用することを望む


情報源:ETUC Press Release, 26/06/2008
ETUC wants precautionary principle applied to nanotechnologies
http://www.etuc.org/a/5159

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2008年6月29日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ETUC/080626_ETUC_REACH_NANO.html


 欧州労働組合連合(欧州労連/ETUC)は、ナノ技術及びナノ物質に関する初めての決議を最近の実行委員会で採択した。主要な要求:予防原則がナノ技術に適用されなくてはならない。

 ナノ技術は、多くの産業分野、特に化学、医薬品、及び電子産業の急成長している活動領域である。その結果、ナノ物質−そのサイズが10億分の1メートルで測定される物体−に接触する労働者の数が近年急速に増大している。欧州労連は、ナノ技術と人工ナノ物質が開発と適用に大きな可能性を持っていることを認識している。しかし、欧州労連は、多くの不確実性がナノ技術が社会に与え”アスベスト騒動の後、欧州労連は、もし予防的アプローチが適用されておらず、労働者に透明にされていないなら、製品が人の健康と環境への潜在的な影響が知られていないのに製造されるということを受け入れることができない”と欧州労連事務局ジョーエル・デカイロンは主張している。決議はナノ技術開発の異なる局面に関する一連の要求を述べている。

市場に出すこと
  • REACHの”ノーデータ・ノーマーケット”原則が適用されなくてはならない。ナノメートル形状の化学物質は、人の健康と環境に有害影響を与えないことを示す十分なデータが提出されないなら、市場に出すことを許されるべきではない。
  • 年間製造量又は輸入量が1トン以下のものを含んで、全てのナノ物質はREACH登録要求の対象とならなくてはならない。
  • ナノメートルスケール使用がわかっている全てのREACH登録物質に対して化学物質安全性報告書が生成されなくてはならない。
労働者の保護:
  • 雇用者は有害性がないと証明されていない物質に対するリスク削減措置を実施することを求めるために化学薬品指令98/24/ECを改正すること。
  • ナノ物質関連リスクの評価と削減に労働者と彼らの代表を関与させること
  • 労働者が暴露する製品中に存在するかもしれないナノ物質について労働者への情報を改善すること。安全データ・シートにナノ物質が存在するかどうかを記述すること。
  • ナノ物質に暴露する労働者のために訓練と健康調査を実施すること

研究開発:

  • 公共研究費予算の少なくとも15%を健康と環境に割り当てること
  • 労働安全衛生分野を全ての研究プロジェクトの必須部分とすること

 欧州労連は欧州委員会と加盟国にこれらの新たな技術に関する討論に欧州市民の真の参加を確実にするよう求める。

訳注:関連記事


化学物質問題市民研究会
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