EurActiv 2009年3月25日
欧州議会
化粧品中のナノ物質の新たな規制を支持


情報源:EurActiv, 25 March 2009
MEPs back new rules on nanomaterials in cosmetics
http://www.euractiv.com/en/science/meps-back-new-rules-nanomaterials-cosmetics/article-180605

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年5月15日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/EurActiv/euractiv_090325_MEPs_back_nano_in_cosmetics.html


背景
 欧州議会が化粧品中の安全性について取り組むのは2003年化粧品指令以来である。当時、議会議員らは動物テストが行われた製品や成分の販売禁止の議案を採択した。
 この規則の修正の理由のひとつは、近年急速に発展しているナノテクノロジーの進歩を考慮に入れたためである。
 ナノ物質は現在、日焼け止めやその他の製品中で使用されており、主導的な消費者グループは、現在市場に出ている製品の開発のペースに対して法制定が遅すぎると批判している。
更なる情報
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 欧州議会は昨日(3月24日)ナノテクノロジーの進展を考慮して、化粧品に関する改正案を支持した。改正案に対する反応は入り混じっており、消費者団体はこの案の早期実施を求め、緑の党の議員らはナノ物質の定義について不満をもった。

 ナノ物質を含む全ての製品の安全性評価は、この規制の一部となり、その評価によっては人の健康に脅威をを及ぼすとみなされる物質は禁止ということになる。

 化粧品中に存在するどのようなナノ物質も製品容器上の成分リストに記述されなくてはならない。

 欧州委員会は、ナノ物質は現在、化粧品の約5%に用いられていると推定しており、それらには日焼け止め、口紅、小じわ対策クリームなどが既に市場に出ている。

 同改正案に盛り込まれるナノ物質の定義は、科学的及び技術的研究から新たに得られる情報に基づき欧州委員会によって調整されるであろう。

 同改正案はナノ物質を、 ”不溶解性又は生物耐性(bioresistant)で、1またはそれ以上の外部次元、又は内部構造が1〜100nmである意図的に製造された物質” と定義した。

 633人の議員が改正案に賛成し、29人が反対、11人が棄権した。


立場
 ヨーロッパの消費者団体 BEUC は、容器表示により多くの情報を確実にする改正案は、消費者の情報に基づく選択に役立つであろうとを慎重に歓迎した。

 しかし、BEUC は、すでに市場に出ている製品のあるものは安全テストの対象とならず、またこの規制は2012年まで発効しないということに懸念を表明した。

 また BEUC はナノ物質の定義について、”正しい方向に第一歩を踏み出した”が、その定義は生物耐性と不溶解性物質だけしかカバーしないことを残念がった。

”よいニュースは、ナノ物質が、着色剤、保存剤又は紫外線吸収フィルターのようなある特定の目的のために使用されるときには、それらが市場に出される前に評価されなくてはならない。しかし、化粧品中でのナノ物質の用途は他に数百もあり、それらはこの措置でカバーされない。それでは製造者は単にナノ物質が使われているということを欧州委員会に知らせなくてはならないというだけのことである。これは消費者の安全を確実にするためには十分ではない”とBEUCはその声明の中で述べた。

 BEUC は、市場に出される前に化粧品中に含まれる全てのナノ物質の義務的な安全性評価を要求した。

 緑の党のヒルトラッド・ブライヤー(ドイツ)とマーグレット・アウケン(デンマーク)は採択後、共同声明を発表してこの改正案を歓迎したが、ナノ物質の定義の範囲については不満を表明した。彼等はこの点を国際的な既存の定義と調和させて修正するよう欧州委員会に要求した。


リンク

欧州連合
欧州議会:MEPs approve new rules on safer cosmetics (24 Mar. 2009)
NGOs
BEUC: Cautious welcome for new regulation on nanomaterials in cosmetics (24 Mar. 2009)
BEUC: Nanomaterials: a resolute revolution? (24 Mar. 2009)


訳注:ナノ化粧品関連情報


化学物質問題市民研究会
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