EFSA 2021年8月9日
食品接触材料中で使用される
銀ナノ粒子の安全性評価


情報源:EFSA 9 August 2021
Safety assessment of the substance silver nanoparticles
for use in food contact materials
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6790

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年9月21日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/EFSA/210809_EFSA_Safety_assessment_of
_the_substance_silver_nanoparticles_for_use_in_food_contact_materials.html


概要
 食品接触材料、酵素および加工助剤に関する EFSA パネル(CEP)は、プラスチックで使用することを目的とした添加銀ナノ粒子の安全性を評価した。

 全ての銀粒子は 1〜100 nmのサイズ範囲にあり、平均直径は約 15 nm、粒子サイズが 20 nm 未満のものは全粒子数の 99%であった。

 この添加剤は、様々な食品と様々な時間、温度、食品接触面/食品質量比で接触する非極性プラスチック中で最大 0.025% w/w の表面殺生物剤として使用することを目的としている。

 添加剤がプラスチックに組み込まれると粒子状の形態が維持されるが、いくらかの凝集塊(aggregation)又は凝集体(agglomeration)が観察される。

 理論的考察、特定の移行、摩耗試験に関するデータと情報は、意図され試験された使用条件下で、銀ナノ粒子はポリマーに埋め込まれたままであり、移動せず、摩耗による放出に抵抗することを示しており、したがって食物を介した暴露と毒性学的懸念を生じさせることはない。

 添加剤粒子の表面から、可溶性イオン形態の銀が最大 6μg/kg、食品に移動する。

 これは、2004年に AFCパネル(添加物、香料、加工助剤及び食品接触物質に関する科学パネル)によって提案された 50μg銀/ kg食品のグループ制限を下回っており、ECHA によって確立された食品接触材料(FCM)からの最大暴露量 0.9μg銀イオン/kg体重の一日摂取許容量(ADI)を下回る。

 したがって、パネルは、ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン系樹脂など、水性食品や類似食品と接触しても膨潤しないポリマーで最大 0.025%w/w の添加剤として使用されるなら、この物質は消費者の安全上の懸念を引き起こさないと結論付けた。

 しかし、パネルは、他の食事暴露源からの銀への暴露は、ECHA によって設定された ADI を超える可能性があることに言及した。


訳注:食品包装材中の銀ナノ粒子に関連する当会紹介記事


化学物質問題市民研究会
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