UNEP 2011年9月25日〜28日 神戸
INC3_アジア太平洋地域会合参加報告 報告:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2011年9月29日 更新日:2011年10月13日 (NGOs/環境省意見交換会)更新 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC3_AP_Kobe/110925-27_INC3_AP_Kobe.html 1.はじめに 2.テクニカル・ブリーフィング 3.本会議 ドラフトテキスト全36条項の検討 4.NGO の本会議における発言 5.NGOs/環境省意見交換会(更新) 6.国際条約関連資料 1.はじめに
2011年9月26日〜28日、神戸国際会議場 で「水銀条約政府間交渉委員会第3回会合(INC 3)の準備のためのアジア太平洋地域会合」が開催され、9月26日午前のテクニカル・ブリーフィングと、27日までの本会議に参加したので、その概要を報告します。 また、9月27日のランチタイム及び本会議終了後の夕方、参加 NGOs と環境省との間で意見交換会が持たれ、有意義な意見交換が行なわれました。 尚、9月28日最終日は政府代表団だけで行なわれた非公開セッションでした。 会議の背景、概要、結果などについては、環境省の報道発表資料平成23年9月29日「水銀条約政府間交渉委員会第3回会合の準備のためのアジア太平洋地域会合」の結果について(お知らせ)をご覧ください。 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14266 ■使用言語: 英語(本会議)、英語/日本語(テクニカル・ブリーフィング) ■会議文書等: 下記 UNEP ウェブサイトから一部入手可能。 http://www.unep.org/hazardoussubstances/Mercury/Negotiations/RegionalPreparations/ AsiaPacificRegion/InformationforparticipantsAPmeeting/tabid/56159/Default.aspx ■会議進行 Mr. Teruyoshi Hayamizu (Japan): regional coordinator(地域コーディネータ) Mr. Muhammed Khashashneh (Jordan) and Mr. Xia Yingxian (China) bureau members for the region Mr. Fernando Lugris, Chair of the INC Mr. Per Bakken, Special Adviser, UNEP/Division of Technology, Industry and Economics ■参加国:25カ国 Bhutan, Cambodia, China, Cook Islands, India, Indonesia, Iran (Islamic Republic of), Iraq, Japan, Jordan, Kiribati, Kyrgyzstan, Malaysia, Myanmar, Nepal, Oman, Pakistan, Philippines, Qatar, Republic of Korea, Singapore, Sri Lanka, Syrian Aran Republic, Thailand and Vietnam. ■オブザーバー:企業関係者、大学関係者など ■参加NGOs: 7団体7人 写真左から
2.テクニカル・ブリーフィング(9月26日午前) 第一部:UNEP 世界水銀パートナーシップ・プログラム Part I: UNEP Global Mercury Partnership Programme (09:40-10:20)
1) Ms. Desiree Narvaez (UNEP Secretariat): デズリー・ナルバエツ氏(UNEP事務局) 世界水銀パートナーシップの概要:学んだ経験と教訓、及び、アジア太平洋地域における余剰水銀の環境的に適切な管理のための修正オプション分析) "Overview of the Global Mercury Partnership: Experiences and Lessons Learned" & “Revised Options Analysis for the Environmentally Sound Management of Surplus Mercury in Asia Pacific” 2) 鈴木規之 博士(国立環境研究所/UNEP水銀輸送運命研究パートナーシップ) ”水銀の輸送と運命研究(UNEPMFTP)イニシアティブと水銀の運命と輸送問題についての関連研究” Dr. Noriyuki Suzuki (National Institute for Environmental Studies, Japan (As a member of the UNEP Partnership for Mercury Transport and Fate Research, lead by Dr. Nicola Pirrone, CNR Institute for Atmospheric Pollution, Italy)): "UNEP Global Partnership for Mercury Transport and Fate Research (UNEPMFTP) Initiative and Related Research on Mercury Fate and Transport issues" 第二部:日本における水銀管理のための現状技術 Part II: Current Technologies for Mercury Management in Japan (11:00-12:20) 1) 山内 氏(日本電球工業会/パナソニック株式会社 ライティング社) ”電球中の水銀削減技術” Mr. Masanori Yamauchi (Japan Electric Lamp Manufacturers Association (Panasonic Corporation Lighting Company)) : "Technology for reducing mercury in lamps" 2) 真鍋明義 氏(日本ソーダー工業会/クロリンエンジニアズ株式会社) ”水銀を使用しない電気分解技術の開発” Mr. Akiyoshi Manabe (Japan Soda Industry Association (Chlorine Engineers Corp., Ltd)): "Development of Electrolysis Technology without Mercury" 3) 工藤 氏(日本鉱業協会/秋田製錬株式会社) ”秋田製錬株式会社の水銀管理実施” Mr. Yoshito Kudo (Japan Mining Industry Association (Akita Zinc Co., Ltd.)): "Mercury Management Practice at Akita Zinc Co., Ltd." 4) 長安立人 氏(日本産業機械工業会/三菱重工株式会社) ”塩化アンモニウム注入による水銀除去システム” Mr. Tatuto Nagayasu (The Japan Society of Industrial Machinery Manufacturers (Mitsubishi Heavy Industries Ltd.)): "Mercury Removal System with NH4Cl Injection" 3.本会議 ドラフトテキスト全36条項の検討 (9月26日午後〜27日) ■主要な論点の例 (UNEPによる解説)
A. 前文
4.NGO の本会議における発言 (9月26日午後〜27日午前) NGOは7人全員が、本会議で発言を行ないましたが、そのうち原稿を入手できたものについて以下に紹介します。
5.NGOs/環境省意見交換会 (11/10/13)修正 アジア・太平洋地域会合に参加したNGO 7団体(7人)は、9月27日(火)ランチタイム及び本会議後の夕方、環境省(早水課長以下4人)と非常に有意義な意見交換を行なった。
・国際的な合意との関係 ・日本の水銀輸出/保管について ・水銀添加製品オプション3 ・装置の輸出制限 ・水銀が使用される製造プロセス ・締約国との国際貿易(第4条) ・非締約国との国際貿易(第5条) ・チャイナ・ノンペーパー ・国際条約関連資料 ■国際的な合意との関係 NGO 1:第1条bisのパラグラフ1 "水銀条約は他の条約における権利と義務に影響を及ぼさない"は、 不必要にWTOの異議申し立てを助長することになる。同様な文言がストックホルム条約でも提案されたが拒否された。NGOはパラグラフ2の"他の関連する国際的協定と相互に支えあうやり方で実施されなくてはならない"とする文言を支持する。日本もこれを支持することを望む。 ■日本の水銀輸出/保管について NGO 2:日本が水銀を輸出していることは世界のNGOによく知られている。EU及びアメリカはすでに輸出禁止を決定している。水銀条約の要求にかかわらず、日本が水銀輸出を禁止すれば、各国に大きなインパクトを与える。日本政府はどのように考えるか? 環境省:この問題については何度も言っていることであるが、輸出は制限されるべきであり、将来は恐らく、水銀条約の下に、ストックホルム条約のような形で制限され、環境的に適切な保管と管理がなされることになる。日本の余剰水銀の多くは非鉄金属精錬プロセスからのものであり、日本ではある会社が回収を商業的に行なっている。回収のためのコストは水銀輸出でカバーされており、輸出を禁止すると回収のためのコストが問題となる。また輸出を禁止すると回収水銀の保管の必要が生じるが、日本には地震、台風などがあり、適切な永久保管場所を探すのが難しく、管理責任の問題もある。さらに水銀安定化など技術の問題もある。これらは水銀輸出禁止/制限を決定する前に議論されなくてはならない問題であり、2013年の水俣での水銀条約採択までの残された2年間で決めなくてはならないことは承知している。それまでは輸出禁止/制限について何とも言えない。 NGO 3:日本は考え直してほしい。アメリカも永久保管施設は持っていない。現在あるのは40年位を目処とする一時保管施設であり、最終解決ではないが、輸出禁止を決めた。EUとアメリカの輸出禁止決定で、水銀の市場価格は上昇しており、需要低減に貢献している。日本は年間150トンを輸出しているが、日本が世界の水銀供給削減の仲間入りをすれば、米、欧、日で世界の50%近くを削減できる。アジアでの大きな需要は小規模金採鉱(ASGM)である。中国は水銀を生産しているが輸出はしていない。日本の状況は、アメリカの金採鉱時に副産物として水銀が生じる状況と非常によく似ている。日本もとりあえずアメリカと同様に一時保管を考えればよいのではないか?保管に要する余剰水銀量もスペースも大きくない。 環境省:日本からの一次輸入国は分かるが、そこから先の二次輸入国の特定は難しい。水銀価格上昇は、余剰水銀の輸出に影響を与えているかもしれないが、輸出量は価格だけではなく、在庫量や需要にも依存するようである。なお、オペレーションは連続ではなくバッチであると聞いている。ところで、アメリカの水銀輸出禁止法案について調べたので、質問したいことがある。その法案は、ある種の証明書(certificate)があれば輸出できるのだから、真の水銀輸出禁止ではないのではないか? NGO 3:そのようなことはない。それは輸出禁止における免除プロセスであり、非常に限定されている。輸入国は、他に供給源がなく、適切に管理され、ASGMに使用されることがないことを示さなくてはならず、免除の期間と量が限定されている。アメリカの輸出禁止法案は私が起草した。 環境省:免除の意図が非常に限定的であることは理解した。 NGO 1:輸出/保管の問題について結論を出すのに、どのようなタイムラインを考えているのか?発表はどのように行なうのか? 環境省:日本の輸出/保管問題について内部での検討を始めているが、もう少しを続ける必要がある。コスト、技術、場所の問題など検討すべき多くの側面があり、今、何かを話すのはまだ早すぎる。進み方が非常に遅いのは承知しているが、この問題の重要性は十分に認識している。議論を速め、2012年度中には条約遵守への何らかの対応策を示す必要があると思われる。これは輸出/保管問題だけではなく他の問題も同じである。2012年度中には公開の場で議論することになると思う。最終決定は2013年の外交会議の前に行い、法的な結論を示すことになるが、少なくともコスト回収、技術、場所、施設などに関する概要については、完全ではなくてもINC 5前に示すことが必要である。輸出入を制限するストックホルム条約の経験があるので、それと同様な内容をフォローすることは可能であるが、それ以上のことを加えようとすると、政府内部で議論が必要となるであろう。輸出禁止という呼び方になるのかどうか保証はできないが、少なくともストックホルム条約のような輸出制限にはなるであろう。とにかく、日本はすべきことはやるので急がせないでほしい。 ■水銀添加製品 第3条オプション3 【注】:第3条オプション3は、水銀製品を、(1) 禁止、(2)段階的廃止、(3)必須用途の3つのカテゴリー分けて管理するという内容であり、神戸会議では多くの国が賛意を示したが、ZMWGは反対している。NGOは、オプション2(ネガティブ・リスト・アプローチ)を支持している。 NGO 3:オプション3には3つの問題がある。1番目の問題は、第4節に示されるように、(1) 禁止、(2)段階的廃止、(3)必須用途の詳細を、締約国が事務局に提出した提案に基づき、"締約国会議(COP)が決定する"という部分である。これは政府間交渉委員会(INC)で決定されるべきである。COPは多くの提案を整理しなくてはならず、その決定には何年もかかるであろうし、10年かもしれない。2番目の問題は、製品のカテゴリー間の移動に関する詳細/手順が決まっておらず、その移動が難しいということである。3番目の問題は、まだ誰もカテゴリー毎の製品を提案していないので、どの製品が議論されるのか分からないということである。 環境省:ZMWGの見解は他の国にもインプットしているのか? NGO 3:東南アジア会議や他の地域会合でも紹介している。 ■装置の輸出制限 【注】: 第6条 製品 オプション1 第4節の記述 [4. 各締約国は、この条約の下に、利用可能な最良の技術として特定される装置の場合を除いて、この条約のどのような非締約国に対しても、Annex C にリストされている水銀添加製品を製造するための装置の輸出を許してはならない、又は、Annex C にリストされている水銀添加製品を製造するための装置のための補助金、aid credit、保証又は保険プログラムを提供してはならない。] 第7条 プロセス 第6節の記述 [6. 各締約国は、Annex D にリストされているどのような製造プロセスでの使用が意図されている機器の輸出を許してはならず、また、非水銀製造プロセスへの移行の一部として既存の施設における水銀排出の低減を目的とする場合を除いて、そのような機器のための補助金、aid credit、保証又は保険プログラムをこの条約のどのような非締約国にも提供してはならない。] NGO 3:我々は、水銀添加製品を製造するための装置が非締約国に輸出されることを望まない。同様な記述が、第7条 プロセス 第6節にもある。これらは、本条約に含まれるべきである。 環境省:水銀を使用するプロセスを特定することは容易であろうが、水銀を使用する装置を特定するのは実際には難しいのではないか? いずれにしてもNGOの指摘については留意する。 ■水銀が使用される製造プロセス 【注】:第7条 水銀使用プロセスのための許容用途免除に関し3つの代案が第1節で提案されている。オプション1は、ポジティブ・リスト・アプローチであり、該当するプロセスはAnnex Dにリストされている。オプション2は、ネガティブ・リスト・アプローチであり、これは第8条の下に許容用途免除を受けるプロセスを除いて、全てのプロセス中で一般的に水銀は禁止される。オプション3は、'禁止'、'廃止'、'必要不可欠'のプロセスをリストすることを提案しているが、製品に関する同様な提案のように、具体的には何も提案されていない。 NGO 3:中国の塩ビモノマー製造(VCM)プロセスに関し、プロセスに関する第7条には基本的には3つのオプションがあるが、許容用途免除には問題がある。NGOとしてはオプション2(ネガティブ・リスト・アプローチ)が望ましい。 環境省:VCMは中国固有の問題なので取扱いが難しい。日本は基本的には水銀使用プロセスを使用していないので、プロセスについてオプション2は日本にとって問題ないであろうが、中国にそれを強制することはできない。NGOの指摘については留意する。 ■締約国との国際貿易(第4条)(11/10/13) NGO 3:第4条第2節では、締約国が水銀輸出するためには、代案1は、"輸入締約国から書面による事前合意書と輸入は規定された目的のためだけであることを示す証明書を受け取っている"ことを求めている。しかし、代案2は、"もし輸出締約国がそのような合意書を求めるなら、輸入締約国の書面による事前合意を受け取っており、また国内法がそのことを求める締約国は、その法律文書を事務局に提出しなくてはならず、事務局はそれを締約国会議に伝達しなくてはならない"としている。しかし、この代案2は政府が水銀の輸入に同意する要件を弱めるので、NGOは受け入れられない。 環境省:代案1と代案2の違いは何か? NGO 3:代案1は普遍的な(universal)要求であり、常に求められるが、代案2は普遍的な要求ではなく、輸出国の法律に依存する。 環境省:我々としては、貿易手続きについては、全ての輸出入に合意書(consent)と証明書(certification)を必要とするのは重い負担(heavy burden)を伴うことになるのではないかと考えるが、いずれにせよ条約実施の実行性と運用に実施可能性の両面を考慮して検討する必要があると考えている。第4条第2節代案1のようなやり方で、輸入水銀のASGMでの使用を止めるのに十分であると思うか? NGO 3:それは、供給する側の管理の問題だ。 環境省:輸出国の政府ということか? 輸入国に管理責任があるのではないか? NGO 3:例えば、100トンという量のアマルガムなら、水銀輸出国もこれはおかしいとチェックできる。 環境省:一次輸出先なら特定できるが、二次輸出先の特定は難しい。例えば、シンガポールから様々な二次輸出先に送られるであろうが、一次輸出国がそのフォローをするのは難しい。 NGO 1:一次輸出国は責任を二次輸出国にシフトできる。 NGO 4:ひとつの例として、インドネシアでは輸入を許可されている輸入業者は1〜2社だけである。 環境省:それでは、インドネシアでは輸入水銀はASGMでは使われないということか? NGO 4:そうではない。不正(corruption)も行なわれているし、通関での限界もある。 NGO 1:インドネシアの例でも、ブラック・マーケットの存在がある。ブラック・マーケットは規制できない。 ■非締約国との貿易(第5条)(11/10/13) NGO 3:第5条の文言では非締約国との貿易は容易となる。その理由は、第2節が加えられており、この第2節は実質的に第1節の要求を無効にするからである。第2節は何も制限していない。第2節の下では、基本的にはどのような用途の水銀でも非締約国と貿易できることになる。 環境省:日本の基本的な立場としては、適切に実施可能な輸出管理制度を導入することが重要と考えている。恐らく第1節と第2節の間に何らかの節を提案すべきであろう。ストックホルム条約の証明書(certification)に関する条項のようなものを付け加えるのも一案かもしれない。 NGO 3:その通りだ。もし非締約国との貿易を望むなら、そのような文書を得ることを義務とすべきだ。 NGO 1:ストックホルム条約における代案に加えて、バーゼル条約の要求を適用することができる。すなわち、締約国と非締約国の貿易は、条約の下に同一レベルの規制に従うべきだ。 ■チャイナズ・ノンペーパー(11/10/13) 【注】:地域会合に向けて水銀条約に対する中国のアプローチを示す無記名、日付なしの下記メモ(1葉)が発表されました。 China's Non-paper: Explanatory Note on the Menu-Order Approach to the Implementation of the Instrument このペーパーについてのNGO/環境省の意見交換が行なわれましたが、内容が複雑なので、ここでは議論の内容は省略し、ノンペーパの日本語仮訳を下記に示します。 チャイナズ・ノンペーパー
条約の実施に対するメニュー方式アプローチに関する説明メモ China's Non-paper: Explanatory Note on the Menu-Order Approach to the Implementation of the Instrument 仮訳:安間武/化学物質問題市民研究会 T 法的権限 水銀条約に関する交渉に権限を与えるUNEP 決議 25/5で規定されているように、第28節は"政府間交渉委員会に次のことを考慮するよう求めている。
条約の開発は実施を目的としており、したがって実施は条約の中核をなす。 水銀問題は、世界の共通の挑戦であるが、時には、一次採鉱、水銀添加製品、プロセス、廃棄物処分などを含む、ある国にとっての特定の問題である。水銀義務の規制と管理が全ての国に適用可能なら、異なる国の特定の状況が考慮されるべきである。 その特徴は、開発途上国による法的に拘束力のある義務の実施財源と技術的支援の利用可能性次第であるということである。 国家実施計画の提出は、条約の実施と遵守を促進することができる基金と関連するであろう。 Vこのアプローチの運用 ■国家実施計画(NIP)の開発 各締約国は、自国の特定の状況を考慮しつつ、そして"メニュー方式アプローチ(menu-order approach)"と呼ばれる条約の文脈の中で果たされるべき義務をカバーしつつ、実施計画を開発することが望まれる。例えば、水銀廃棄物に関連した問題だけを持つかもしれない国については、本来、水銀廃棄物の処分に特化した実施計画が開発されるであろう。取り組むべき広い範囲の問題を抱える国については、実施計画はその国が持つ全ての問題をカバーしなくてはならない。 その点について、実施計画を作り上げるための手引きとして、ひとつのテンプレートが開発され、締約国会議(COP)によって支持されるであろう。そのテンプレートは、メニューとしての役目を果たし、各締約国はそのようなメニューを参照して自国の実施計画を作成するであろう。そのメニューは、法的拘束事項と非拘束事項の両方をカバーする全ての義務の包括的な組み合わせというようなものであろう。 ■国家実施計画(NIP)のレビューと承認 国家実施計画(NIP)は、レビューのために技術経済専門家グループ(TEEG)に提出され、TEEGは、締約国会議(COP)に最終レビューと承認を勧告するであろう。国家実施計画(NIP)の中で、法的拘束力のある義務のために、タイミング・スケジュール、規制目標、予算などを含む行動計画とともに、条約によって求められる報告要素をカバーするであろう。締約国会議(COP)によって国家実施計画(NIP)が承認されれば、スケジュールに基づく目標によって決まる法的拘束力のある義務の実施のための基金が同時に承認されるであろう。 6.国際条約関連資料 (11/10/13) 1. ストックホルム条約
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