欧州議会2007年10月22日
農薬に関する討議を開催

情報源:European Parliament
Pesticides debated on Monday opener
Environment - 22-10-2007
http://www.europarl.europa.eu/news/public/story_page/064-11884-295-10-43-911-
20071019STO11857-2007-22-10-2007/default_en.htm


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年11月4日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/071022_EP_pesticides_debated.html


10月22日(月)議会総会で
農薬一括法案が討議

Monday in Plenary: Pesticides
- new package debated
Institutions - 23-10-2007 - 14:09

http://www.europarl.europa.eu/news/public/
story_page/008-11886-295-10-43-901-20071019STO11861-2007-22-10-2007/default_en.htm


 農薬審査の改革提案が10月22日(月)に討議された。討議されたのは、新規農薬の”認可システム”、政策的戦略、及び農薬使用に関する指令である。
 農業関係者,化学産業関係者、及び環境活動家らが討議を真剣に傍聴した。

 討議では、報告書起草者のドイツ選出のグリーンのヒルトラッド・ブレヤー議員は、世論調査によれば、”消費者の第一の懸念は農薬である”とし、彼女はさらに、”ヨーロッパでは毎年、20万トン以上の農薬が製造されており、これは世界の農業用地のわずか4%のために、世界の農薬の25%を製造している”と述べた。

 ドイツ選出の欧州人民党−欧州民主党(EPP-ED)のクリスタ・クラス議員は、”EU内の異なるルールは異なる安全基準を意味するだけでなく、それらは混乱をもたらし、競争を歪めるものである”と述べた。農薬に関する投票は10月23日に行われる。

 EUの議長国ポルトガルは11月26日の農業委員会で加盟国間で合意が得られることを望んでいる。

 ヨーロッパでの農薬の使用について本日10月22日に欧州議会で討議される。決定されようとしていることは、新規農薬の”認可システム”を規定する欧州全土の規制提案、政策戦略、及び農薬使用に関する指令についてである。本日の討議の後、明日投票にかけられる。議会の環境委員会は10年以内に農薬使用の50%削減及び農薬の空中散布禁止を要求している。化学物質産業界、農民及び環境活動家らが傍聴してその結果を見守るであろう。

農薬−食料生産に重要

 農薬は、現代農業にとって重要である。農産物の生産高を増し、収穫を害虫から守る。果物や穀物を菌類や微生物による被害から守り、消費者のために天然の毒素のリスクを低減する。

 この措置は農民や 消費者のために重要な経済的結果をもたらす。農業で省力化をはかり大きな収穫を得ることは経済的に実現可能である。それはまたヨーロッパの人々に安くて信頼性のある食料を提供する源である。

農薬−健康と汚染の脅威

 しかし、農薬は、その定義に基づけば、生物の生長を妨げる。このことはまた、農薬は人の健康と環境に有害な影響を与えることを意味する。現状の規制にもかかわらず、歓迎出来ない量の農薬が土壌中、大気中、そしてヨーロッパの食物供給中に見いだされている(残留農薬)。

 もうひとつの懸念は表面水及び地下水の汚染である。これは動物や植物に影響を与えるだけでなく、人の食物供給系にも入り込んでくる。食物は自国の市場のためだけに生産されるのではないのだから(スパーマーケットをみればヨーロッパ中そして世界中からの生産物がある)、共通の規制が誰のためにも有益であることは明らかである。

 最後に、科学的な研究は、たとえ低レベルの農薬曝露であっても人のホルモンを生成するの内分泌系の機能をかく乱することがあることを示している。

議会に提出された3つの提案

1.農薬戦略に関する報告書

 検討中の最初の事案は、一般”農薬戦略”に対する議会の対応である。これはスロバキアの non-attached 議員イレーナ・ボロホルスカによって起草された報告書の中に述べられている。その報告書は各国に低農薬農業の推進と非化学系農薬の使用を優先するよう求めている。それはまた、削減目標をを設定するよう求めている。

2.農薬の認可システム
 この報告書は農薬が市場に出される前に受ける認可システムを要求している。それは農薬の主用成分の全ヨーロッパ共通のリストを想定しており、それは各国政府が農薬を認可する時に使用するチェックリストとして機能する。それはまた、遺伝子に有害(遺伝子毒性物質)、潜在的な発がん性(発がん性物質)、ヒトの生殖系に有害(生殖毒性物質)、又はホルモン生成に有害影響を及ぼす(内分泌かく乱物質)のような、ある特定の物質を禁止することを想定している。

 ヒルトラッド・ブレヤーは、この規制案の第一読会のための報告書(議会と閣僚理事会が共同の決定機関である)を起草したドイツ・グリーンの議員である。ブレヤー女史はまた、神経系に有害(神経毒性物質)又は人の免疫系に有害(免疫毒性物質)な農薬を完全に禁止することを望んでいる。

3.農薬使用に関する指令の提案に関する報告書

 三番目そして最後は、ドイツ選出の欧州人民党−欧州民主党(EPP-ED)のクリサタ・クラス議員は農薬使用に関する指令提案に関する報告書を作成した。既に議会環境委員会の支持を得ているこの報告書は、5年以内に農薬使用の25%削減、10年以内に50%削減することを要求している。

 それはまた、ワイン用ブドウ畑や森林で広範に使用されている化学物質(農薬)の空中散布をほぼ全面的に禁止することを求めている。議会議員ら、農薬が近隣生態系を汚染するリスクははなはだしいと信じている。

 この報告書は、農薬は使用又は保管されてならないという”緩衝地帯”を設けるという欧州委員会の提案を支持している。議員らはこれらの緩衝地帯は少なくとも10メートル幅を規定している。最後に、農薬使用者のリスクの理解を高めるために取られるべき段階的措置、及び農薬散布に使用される器具の定期的な検査を求めている。

農薬とは正確には何か?

 農薬は、物理的、化学的、又は生物学的に成長と生殖を阻害することにより害虫のライフ・サイクルを破壊、抑制、又は変更する機能を有する。

 最もよくある農薬は生物の呼吸系を攻撃し、効果的に窒息しさせる。除草剤などは種子の発芽と植物の成長−主に雑草−に影響を与える。

 議員らは、農業や林業における植物の保護のために用いられるこれらの農薬について討議するであろう。この提案に含まれていないのは”殺生物剤(Biocides)”であり、それらは例えばノミやネスミを殺すのに使用される。

月曜日17:30頃からの討論中継と水曜日12:30からの投票中継をご覧ください。

映像
 ・Euroinfo film on pesticides(農薬に関するEuroinfo フィルム)

スピーチ
 ・Irena Belohorska (イレーナ・ベロホルスカ議員)
 ・Hiltrud Breyer on pesticides (ヒルトラッド・ブレヤー議員)
 ・Christa Klass (in German) (クリスタ・クラス議員(ドイツ語))

訳注(関連情報)


化学物質問題市民研究会
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