欧州委員会プレスリリース 2006年7月12日
欧州委員会
より安全な農薬使用に関する戦略を提案
空中散布は原則禁止


情報源:European Commission Press Release, 12 July 2006
Commission proposes strategy on safer use of pesticides
Brussels, 12 July 2006
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/981&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年7月24日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/060712_pesticide_strategy.html


 農薬の使用は人の健康と環境の両方に脅威を及ぼすことが認められている。これらの懸念に対応するために欧州委員会は本日、欧州連合(EU)全土において農薬の使用方法を改善することを目指す新たな戦略を採択した。それは、どの農薬を実際に市場に出すことができるのかを管理する既存の EU の法律を補完するものである。
 その戦略は、各国の行動計画、職業的使用者及び販売者の訓練、散布装置の認証と管理、水系環境の保護、及び特定の地域での農薬使用の制限または禁止のような措置を想定している。

 空中散布は厳密に定義された場合を除き禁止される。

 環境委員スタブロス・ディマスは、”農薬の使用が公衆の健康又は環境に危険を及ぼさないことを確実にすることがEUの基本的な義務である。我々は今日及び将来の市民が農薬の使用によって彼らの健康を危険にさらされず、安全できれいで豊かな環境から恩恵を受けることを望む”−と述べた。

 農薬は大規模に使われており、その使用が特に農民に対する直接的な利益、そのほとんどは経済的な利益、を生み出すので、一般的には現代的な作物栽培に重要なものとして考えられている。農薬を市場に出すことについては包括的に規制されている[1]

 農薬の誤用(過大な使用を含む)は、水、空気、及び土壌を危険にさらし、最終的には農薬使用者、周囲の人々、居住者、及び消費者の健康を脅かす。農薬は、暴露のレベルと頻度によって、急性、慢性、又は長期的な健康の悪化を引き起こす。農薬による環境汚染はまた、植物や野生生物に有害影響を与え、もっと一般的には生物多様性を喪失させるかもしれない。

 いくつかの加盟国はすでに農薬使用によるリスクを削減するための措置の実施を開始しているが、全体像は非常に異なる。ある農薬の望ましくない量が環境中の媒体(特に水)で常に見いだされ、規制値を超える残留農薬が時には農産物や飼料中で検出される。したがって、EU における土俵のレベルを合わせるために調和の取れた規則が必要である。。したがって、EU における土俵のレベルを合わせるために調和の取れた規則が必要である。

提案された新たな法案

 各加盟国の地理的、農業的及び気象的条件にしたがった柔軟性を許容しつつ、共通の目的と要求を規定する枠組指令のための提案に添えられて、この戦略はコミュニケーションの中で提示される。

 この戦略とともに、欧州委員会は、”植物防疫用薬剤の上市に関する1991年指令(1991 Directive on the placing of plant protection products on the market (link to IP from SANCO))”を修正する規制のための提案を採択した。

 さらに、この戦略は、近い将来に採択されるであろう二つの他の新たな法案を含んでいる。
  • 市場に出されるべき新たな農薬散布装置によって満たされるべき環境の保護のための本質的な要求
  • 植物防疫剤に関する統計についての新たな規制
 この戦略は、もっと効果的でもっと安全な物質と穀物保護方式の開発と使用のための研究と革新を鼓舞するであろう。それは健康と環境に影響のより少ない植物防疫の代替手法の使用を促進するであろう。このことは化学的及び非化学的植物防疫方法を開発する最も革新的な会社にとって市場機会を与えることを意味する。
 それは公衆の認識を高め、加盟国によって作成される国家行動計画の準備とレビューに公衆が参加することを確実にするであろう。農薬使用のリスク削減を測定するためのヨーロッパ指標を確立するためにデータ収集が強化されるであろう。
 最後に、それは、環境にやさしい農業の実施の新たな世代への動きを促し、その結果、農業分野の現代化に役立つであろう。

 当分の間、この戦略は、最大の適用範囲である農薬・植物防疫剤(PPPs)だけを扱う。第二段階でその範囲は、殺生物剤に関する1998年指令[2]の影響が評価された殺生物剤に拡張されるかも知れない。例えば、消毒剤、木材防腐剤、防汚塗料などの殺生物剤などの殺生物剤は、穀物や植物にダメージを与える生物ではない他の有害な生物を駆除するために用いられている。

 農薬の持続可能な使用に関する戦略は、欧州委員会が発表している 7つの主題戦略(Thematic Strategies)のひとつであり(訳注)、EU の第6次環境行動計画の規定に従うものである。他の戦略は、大気汚染、海洋環境、廃棄物対策とリサイクリング、天然資源、都市環境、及び土壌である。農薬の持続可能な使用に関する戦略の詳細は下記ウェブページで見ることができる。
 http://ec.europa.eu/comm/environment/ppps/home.htm

 この戦略に関するビデオ・ニュース・リリースはテレビ局及びネットワークに対して用意されている。それは下記にて見ることができ、又注文することができる。
 http://www.tvlink.org

 詳細については MEMO/06/278 も参照のこと。


[1] Mainly through the new Regulation amending Directive 91/414/EECon the placing of plant protection products on the market which the Commission also adopted.
[2] Directive 98/8/EC on the placing on the market of biocidal products was adopted in 1998.


訳注(参考):


化学物質問題市民研究会
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