BAN ニュース 2020年10月6日
タイは電子廃棄物の輸入の厳格な禁止を決定
厳格な執行及び他の国々と同様の行動が求められる

情報源:BAN News, October 6, 2020
Thailand Passes Strict Ban on the Importation of Electronic Waste
Strict Enforcement and Similar Actions by other Countries Called For
https://www.ban.org/news/2020/10/6/thailand-passes-
strict-ban-on-the-importation-of-electronic-waste


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年10月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/201006_
Thailand_Passes_Strict_Ban_on_the_Importation_of_Electronic_Waste.html


【バンコク、タイ, 及びシアトル、ワシントン州米国 2020年10月6日】 米国、日本、オーストラリアなどの国々からの電子廃棄物の投棄が繰り返し明らかにされた後、タイ政府はついにそのような有害廃棄物のタイの輸入を完全に禁止することを可決した。数年間そのような禁止を求めていた環境団体は、この動きを称賛したが、今では法の積極的な施行、プラスチック廃棄物の追加、そしてバーゼル条約の禁止令(Basel Convention's Ban Amendment)のタイによる批准を求めている。さらに、彼らはこの地域の他のすべての国にも同様のことをするよう促している。

 エコロジカル・アラート及びリカバリー・タイランド(EARTH)のアカラポン・ティーブタイソンは、”タイでこの法律がようやく施行されたことを非常に嬉しく思うが、タイは依然として香港と米国の業者によるプラスチックやその他の廃棄物の投棄場所と見なされていることを心に留める必要がある”と述べた。”さらに、我々は、国内および国外の両方で、この新しい法律を無視する行為者に対して警戒を怠らないようにしなければならない”。


タイのシラチャ近くにあるYianHai Electric Co.Ltd. のサイト。 BAN は、電子機器内にトラッカーを設置し、ヨーロッパに展開することでこのサイトを発見した。ここの労働条件は非常に悪く、労働者は段ボールの小屋で現場に住んでいた。
Copyright BAN、2018年2月2日。

巨大な製錬所で回路基板とワイヤーが燃やされているタイの「ダイオキシン工場」のドローンビュー。有毒な煙が煙突から噴き出し、前景には灰の山が見え、背景には輸入された電子機器が見える。
Copyright BAN、2018年2月2日。

 電子廃棄物やプラスチック廃棄物の同国への輸入を禁止するという中国のナショナルソード政策(国門利剣 2017)(訳注1)に従い、多くの業者は、汚染度の高い廃棄物事業を香港、またはタイ、インドネシア、パキスタン、インド、マレーシアなどの南アジア及び東南アジアの国々に移した。バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)は、中国への廃棄物の輸出を長年追跡してきた世界的な廃棄物投棄と戦う NGO であり、GPSトラッカーを使用して世界中の最新の廃棄物の流れを監視していた。 2018年2月、彼らは、ドイツからひとつ、オーストラリアからひとつを含む、タイに持ち込まれた多数の輸出を発見し、その結果をタイ政府と環境団体 EARTH に報告した。

 2018年5月、タイ政府はこれらの企業に対していくつかの注目を集める強制捜査の最初のものを実施したが、その時点で発表された禁止が公式になり、2020年9月15日に発効した新法の商務省の通知で428 種類の電子スクラップが輸入禁止としてリストされた。

 2019年12月5日、先進国から発展途上国への有害廃棄物の輸出の世界的な禁止が発効した(訳注2)。現在までに 99か国がその協定を批准しているが、タイ、オーストラリア、日本、米国は協定を批准してない。さらに、2021年1月1日に、新しいバーゼル改正により、混合および汚れたプラスチック廃棄物の取引を厳しく規制または禁止することが義務付けられる(訳注3)。

 BAN と EARTH は、すべての国にバーゼル禁止令とバーゼル条約の批准を求めている。 さらに、中国が行ったように、すべての国に電子廃棄物とプラスチック廃棄物の輸入を禁止するよう求めている。

 ”彼らの領土が世界の廃棄物投棄者によって利用されるのを避けるために、アジア、ラテンアメリカ、アフリカの国々が中国が行ったようにあらゆる種類のプラスチックと有害廃棄物を禁止することが重要である”とバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)の事務局長ジム・パケットは述べた。 ”あなたの国と地方が世界の廃棄物取引業者の標的になってからでは、地下水、大気質、そして地元の食糧供給の破壊を防ぐのに遅すぎる”。


訳注1:中国のナショナルソード政策
訳注2:バーゼル禁止令(Basel Ban Amendment)
訳注3:バーゼル条約 プラスチック廃棄物 改正
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化学物質問題市民研究会
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