BAN ニュース 2019年12月5日
待望の発展途上国への有害廃棄物輸出の
世界的禁止が本日、法になる


情報源:BAN News, December 5, 2019
Long Awaited Global Ban on Exporting Hazardous Waste
to Developing Countries Becomes Law Today
https://www.ban.org/news/2019/12/5/long-awaited-global-ban-on-
exporting-hazardous-waste-to-developing-countries-becomes-law-today


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年12月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/191205_
Long_Awaited_Global_Ban_on_Exporting_Hazardous_Waste_
to_Developing_Countries_Becomes_Law_Today.html


 電子機器業界及び海運業界は、バーゼル禁止令を逃れようとして恥ずべきことを画策している。

【シアトル, 米国ワシントン州 2019年12月5日】 1995年に「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」の締約国により採択されたバーゼル禁止令(Basel Ban Amendment)は、本日、国際法になる。つい最近のコスタリカの批准により、批准国が合計 98か国になったこの禁止令は、欧州連合加盟国、経済協力開発機構(OECD)、及びリヒテンシュタインから他の全ての国に有害廃棄物を輸出することを禁じる。この合意は本日、バーゼル条約の新たな条項(4a)となる。


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 ナイジェリアのラゴスで北アメリカ及びヨーロッパから”再利用名目”で輸入された修理できない、使用できない電子廃棄物の投棄場に立つ少年。 Copyright BAN 2005
 バーゼル禁止令を生みだすのに尽力した多くの国やグリーンピース及びバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)を含む多くの組織は、彼らの粘り強さを称賛される。望まれない電子廃棄物、プラスチック廃棄物、及び廃船の北アメリカ及び欧州諸国からアジアおよびアフリカにおける汚染操業現場への継続する輸出を見れば、大量の有害廃棄物を廃船内に残したままアフリカやラテンアメリカ諸国海岸に乗り上げた 30年前と同様に、その禁止令は今日でも意味がある。

 ”バーゼル禁止令は世界の環境正義にとって輝かしい法的金字塔である。それは環境的犠牲と危害の中で自由貿易に立ち向かう強固な法的規制である”と、30年間にわたり禁止令を達成・実現するために働いてきたシアトルのバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)の代表ジム・パケットは述べた。

 バーゼル禁止令の達成にもかかわらず、禁止令を覆すことに失敗した強力な産業側−現在は電子機器及び海運業界−は、禁止令が適用する定義を変えようとしていることをパケットは警告する。彼らは、彼らの製品(電子廃棄物及び廃船)を条約及び禁止令によって課せられる法的制約から除外するために、そのようにする。

 ”恥ずべきことに HP、 Dell、Apple の様な電子機器製造者らは、もし誰かがこれらの廃棄物はおそらく修理可能であると単純に宣言すれば、バーゼル条約は機能しない(non-functional)電子機器を’非廃棄物(non-waste)’とみなし、したがってバーゼル禁止令の対象ではないとするように働きかけている”と、パケットは述べた。


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 輸出されて解体のためにバングラディシュの海岸に乗り上げる有害物質を含む廃船。原始的な廃棄物管理でバーゼル禁止令今日まで違反している。 Copyright BAN 2005
 ”同様に海運業界は、廃船に求められるバーゼル条約の責任を嫌って金切り声を挙げ、特にこれらの有害船舶を南アジアの海岸への投棄すを永続させるよう目論まれた彼ら自身の香港国際条約(Hong Kong Convention)を作り出した”(訳注1)。

 さらに、禁止令を批准していない主要な諸国には、アメリカ、カナダ、日本、オーストラリア、ニュージランド、韓国、ロシア、インド、ブラジル、及びメキシコがある。実際に、アメリカは人口当たり最も多くの廃棄物を生成しているが、バーゼル禁止令に積極的に反対しつつ、バーゼル条約すら批准していない。

 ”どの国も、貧しい国を便利な廃棄物投棄場所として利用することには弁解の余地がなく、リサイクル又は循環経済の名の下に、そのようなことをすることは特に醜悪なことである”と、パケットは述べた。バーゼル禁止令は現在、国際法となり、それをまだ批准していない全ての国がグローバル化の時代に世界のリーダとなることがどの様な意味を持つのか再考することを我々は望み、強く促す”。

更なる情報:The Guide to the Ban Amendment
更なる情報: Jim Puckett, Executive Director、Basel Action Network
e-mail: jpuckett@ban.org, phone: +1 (206) 652 - 5555


訳注1:香港国際条約(シップ・リサイクル条約)
訳注:関連情報



化学物質問題市民研究会
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