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(2003年12月5日発行)



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「検察調書があかす県警の犯罪」
を読んで・・・





<その@>

日本国民救援会会長 山田 善二郎

電話盗聴の責任追及裁判が行われていた、
事件はその時期に引起された

 横浜人活センター弾圧事件のでっち上げや、坂本堤弁護士一家殺害事件では警察の責務を怠るなど、神奈川県警は、数々の問題を引き起こしてきたことで有名です。
 渡邉泉郎氏が県警本部長在任中のその頃は、電話盗聴事件の被害者・緒方靖夫氏が提起した国倍請求訴訟の控訴審が闘われていた時期と重なることに、私は注目します。

 この裁判の一審判決の前日、県警幹部の「晴れてたって気象庁が雨だと言えば雨なんだ。そして何年かたって、その日は雨だったということが真実になるんだ」との談話が報道されました。罪の意識を微塵も示さなかった神奈川県警は、ひそかに、本部長を先頭に、組織を挙げてもう一つの犯罪を犯していたのでした。警察の犯罪が厳しく糾弾され、犯罪防止に最も努めるべきこの時期に、新たな権力犯罪「現職警察官覚せい剤事件のもみ消し」を行ったのだから、その罪は重大です。

 この度「警察見張番」が発行した『検察調書があかす警察の犯罪』にある、警察官らの検察官調書は、弁解や言い訳、逆恨みなど、まともに責任を取ろうという姿勢がないこと、また面白半分としか考えられないような無責任な会話など、自浄力のない警察の実状を知る上で、まことに読み応えがあります。
 
自浄の意思も能力もない警察の体質、
そのトップは警察庁

 もっとも、自浄能力のないのは神奈川県警だけではありません。日刊警察97年6月6日号に、「警部昇任試験問題と回答」が紹介されています。「隣接する警察署の次長から、自署員による飲酒運転の交通事故が発生したとの通報があった。次長としてとるべき措置について考えるところを述べよ」という設問です。模範解答は、「秘密の保持」に最大の力点が置かれています。

〇報道関係者に察知されていなければ、広報を控えるように依頼する。
〇当方に有利な情報の収集(相手方の過失等)にも努める。
〇組織に対するイメージを最小限にとどめるのが、この種事案処理の目的である。秘密の保持に細心の注意を払わなければならない。また報道関係が察知した場合の対策についてもあらかじめ対応を考えておく。

 警察の全国機関誌ともいえる「日刊警察」にこのような問題を紹介することは、組織へのダメージ防止とそのための秘密の保持こそが、警察庁の基本方針だと見られます。

議会の中に警察チェックの機関を
 警察の自浄力を培うために、警察官労働組合結成の自由を認めることは重要です。だが、なによりも、各地で「警察見張番」のような、市民による警察監視の活動に取り組むことが重要だと思います。警察は国民の批判を恐れ、絶えず気にしていることが、「覚せい剤事件つぶしの記録」や先に紹介した試験問題などから読み取られます。

 ところで、国会には裁判官や検察官の行為をチェックする機関として、「裁判官弾劾訴追委員会」や「検察官適格審査会」が設けられています。しかし、なぜか警察官の行状をチェックする機関は、どこにも設けられていません。各都道府県議会に「警察官適格審査委員会」のような機関を設けるべきではないかと考えます。また警察の情報公開を透明、詳細にさせることも重要です。


警察による監視社会ではなく、
警察の活動監視を

 最近、多くの地方自治体に現職警察官が派遣されたり、「生活安全条例」なるものが制定されています。内容に相違がありますが、共通して次ぎの重大な問題点が見られます。
 第一は、「生活の安全・平穏」を標榜して、警察と自治体ぐるみで作られた市民監視網の中に市民団体や住民が「責務」として組み込まれ、警察の触覚としての役割を強いられていることです。
 第二は、タバコのポイ捨てや飼い犬の糞の処理など、市民のモラルにかかわる事柄まで監視の対象にされ、しかも「過料」が課せられるだけでなく、犯罪とされて軽犯罪法よりも重い罰金が課すという規定まで盛り込まれています(千代田区、杉並区条例等)。
 第三は、マンションを新築する場合あるいは商店街などに、警察の指導を受けて防犯カメラを設置する責務が規定され、市民の日常生活の中に警察が深く浸透する仕組みになっていることです。警察が地方行政と結びついて、市民を巻き込んで監視体制を強化していることは、「隣組制度」によって相互に監視しあい、国民を戦争へと駆り立てた戦前を思い起こさせます。
 こうした時であるだけに、市民による「警察見張番」の警察監視の活動は重要な意義をもっています。そして警察の体質を理解して活動を進めるために、この本が積極的に活用されることを期待してやみません。



<そのA>

東京都 社会人学生

 私の知る限りでは、覚醒剤を使用した酒寄元警部補は、日本大学を卒業後、神奈川県警に採用され拝命後約10年で警部補に昇任しています。ノンキャリアの警察官が、30代で警部補になれれば、将来の署長候補と言ってもいいかもしれません。彼は、交番勤務を経て、警察の中でもエリート部門とされる外事公安に配属され、本部である警備部所属というまさに将来を約束された位置にいたのだと思います。彼は外事課情報第三係の所属で、北朝鮮や韓国の動向の監視にあたっていたそうです。冷戦終結後、外事公安の主たる視察対象は、やはり北朝鮮になるのでしょう。私生活には、問題がありましたが警察官としては優秀だったのでしょう。
 私は、彼の公判を見ていないので、彼が薬物に手を出した経緯はよくわからないので、軽々しく論じることはできませんが、彼一人の個人的な問題で済まされないものがあるのだと思います。一番いいのは、彼に手記でも書いてもらうのが、いいと思いますが、彼も罪の償いは終え、また公務員としての守秘義務もあり難しいでしょう。その点などを、請求で得た検面調書やその後の監視活動で得た資料などで明らかにして頂けたらと思います。
 犯罪との戦いに打ち勝っていくためにも、法執行機関として、少しでもまともな警察にしなくてはなりません。今後の「警察見張番」の活動に期待しています。



<そのB>

「市民オンブズマンいわき」会員

 さっそく本を、読ませていただきました。テレビとか新聞でしか知らなかったので、本当にビックリしました。「検察調書」って読むと面白いんですね〜。 よくこれだけ集められましたね〜。スゴイ労力だなーってただただ感心するばかりです。これからもガンバってください。



<そのC>

普通に生きている人間

 僕は、ふだんあまり自分の生活と関係のないことには関心を持ちません。非常に普通な人間で、これまで学校も仕事も特別なこともなく過ごしています。そういう人間にとっては、「警察」なんて自分とは無関係な世界のような気がしていました。ま、道に迷ったとき交番に寄るくらいかな。でも、滅多におまわりさんはいないけどね。車も運転しないから、飲酒運転やスピード違反で警察のご厄介になることもないし、え?これは普通じゃないって? あ、そうか、今は運転できるのが普通なんですね。何はともあれ、「警察」の中では何が行われているのか、想像したことがなかったんですよ。テレビのニュースで、殺人犯人が捕まったとか、捜査中だとか見ると、「ふーん、おまわりさんって大変そうだな」ぐらいは思いますが、映画を見るような気分でニュースを見たり聞いたりしていたんです。
 それがですね、ひょんなことで、ひょんな本を読んでしまったんですよ。その本の題名は「検察調書があかす県警の犯罪」といい、副題に「神奈川県警覚せい剤事件つぶしの記録」とあるじゃないですか。そういえば、覚せい剤を使っていた警官がいたとかいうニュースがあったなあ、と思いながらパラパラとページをめくって組織図を見た時に、「警察」がおまわりさん達でなく、「組織」なんだと感じてしまったんです。それが引き金となって、とうとう読んじゃいました。面白いと言ったら不謹慎かもしれませんが、実に面白かった。これまで、想像もしたことがなかった警察の内部が、それもかなり生のことばで語られているではないですか。
 「不倫を理由に酒寄を諭旨免職とし、覚せい剤事件はもみ消すという方針」とか、尿の検査も密かにやるとか、マスコミ用の問答集を作っちゃうとか、なんでも出来ちゃうんですね。さすが警察なんですね。

 最初、「実に面白かった」と書きましたが、「怖いな」とも思い始めています。だって、なんでも出来ちゃう警察なら、その警察に「気に入らないヤツ」と思われたら僕のように普通に生活している者でも、犯罪者にされてしまうかもしれないじゃないですか。そして、警察の中のことは普通は見えないのですから、怖いですよねえ。だから、僕の読後感想は、「面白かった、でも怖くなった」ということになります。そして警察の中で行われていることが、みんなに、普通の人にも見える、分かるようにするには、どうすればいいのだろう、という思いです。


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